悪夢の少女と   作:ヤマシロ=サン

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第4話 日常

 

 

 

まず言わせてもらおう。

 

 

うちの親はきっと神様からの使いか何かなのだろう。

 

 

 

両親にメアのことを話しに行ったんだ。最悪、旅に出ることも考えてた。しかし、

 

 

母さんの場合。

 

「あら、いつの間に彼女なんて作ってたの?」

 

 

「へー、この子ダークライなのね、よろしくね〜」

 

 

終わり。

 

 

 

親父の場合。

 

 

「可愛い子に悪い子なんていない!!」

 

 

なんて鼻血出しながら承諾してくれた。

 

 

終わり。

 

 

 

本当にいい親を持ったもんだ、つくづくそう思わされた瞬間だった。

 

 

「マスターのご両親って寛大な方々なんですねぇ。」

 

 

「だろ?確かに器は大きいと思ってたけどここまでだと、逆に怖いくらいだよ。」

 

 

『ふたりともー、ご飯よー!!』

 

 

下の方から母さんの声が聞こえてきて、いい匂いがする、今日の夕飯はなんじゃろな。

 

 

「え、もう夕飯か。」

 

 

時計をチラッと確認してみると、短い針が7を指していた。

 

 

「いろいろありすぎてあっという間な1日でしたね。」

 

 

「あぁ、そうだな。」

 

 

俺とメアはそんなことを話しながら下のリビングに降りて行った。

 

 

「わぁ、鍋ですかー!」

 

 

「ほう、キムチ鍋か。......やったぜ。」

 

 

俺は基本鍋はあまり好きではない。キムチ鍋は除くが。キムチ鍋はいい感じの辛さで飯が進むから許す。

 

 

「親父ー、飯だぞー。」

 

「...ん、あぁ。」

 

親父は昨日の夜中から漁に出ていて、昼過ぎくらいに帰ってきた。寝てないらしいからさっきまでソファーで仮眠(4時間)を取っていたのだ。

 

 

 

 

「お父様、お疲れ様ですっ!」

 

 

メアが満面の笑みで労いの言葉をかける。

 

 

「ッ!!」

 

 

「おい親父、鼻血出てんぞ。」

 

 

俺は親父に箱ティッシュを投げつける。俺はメアの背中しか見えなかったが、親父が献血レベルの量の鼻血を出すなんて......どんな笑顔だったんだろうか、すごく気になるところだ。

 

 

「ほら、あなた、食べますよ?」

 

 

「あ、あぁ。すまんすまん。」

 

 

親父はティッシュを両鼻に突っ込み、ソファーからゆっくりと起き上がる。

 

 

俺たちはテーブルに座って親父が来るのを待っていた。

 

 

因みに席割りは、俺の隣にメア、メアの前が母さん、母さんの隣に親父が座るようになっている。

 

 

親父が「よっこらせ」と椅子に座る。

 

「よし、食べるか。」

 

 

「「「「いただきます!!」」」」

 

 

「鍋を食べるのは初めてですー!!」

 

 

「そうか、たくさん食べろよ?」

 

 

「はいっ!」

 

メアは鍋から具材をどんどん取って食べていく。ものすごい食べっぷりだった。......あれ、メアって『食べるのが好き』だったっけか?なら、体力が高いのかな?

 

 

まぁ、美味しそうに食べているから考えないことにしよう。

 

俺も具材を取って食べていく。

 

 

「......美味い。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鍋も終盤となり、ちゃんぽん麺を入れてる時に母さんが思い出したように言ったら、

 

 

「そう言えば、メアちゃんの寝る部屋を作らないといけないわねぇ。」

 

 

確かに。今朝は俺と同じ部屋で目が覚めたが家族と認められた以上メアの部屋を作ってあげる必要がある。

 

 

「大丈夫ですよ、マスターと寝るので。」

 

 

「うん.........は?」

 

 

 

え?今何つった?

 

 

 

 

メアの口からとんでもない言葉が発せられた気がするんですが……。

 

 

「いいですよねっ?マスター?」

 

 

え?

 

 

 

「は、確かに今朝は同じ部屋だったけどさ、無理して俺と寝ようとしなくてもいいんだぞ?空き部屋もあるし。」

 

 

やめてくれ、毎日同じ部屋で寝るのは精神的にくるものがあるから.....。

 

 

すると、メアは母さんの方を向き、

 

 

 

「マスターもいいそうです。」

 

 

「うぇっ?」

 

 

「そう、良かったわね〜、メアちゃんと毎日寝られるわよ〜?」

 

 

「......」

 

 

うちの親は少し寛大すぎるらしい。さすがにこれを許可するのはどうかおもうが...。ソレニオレキョカナンテシテナイシ…。

 

 

親父においては羨ましそうな目でこっちを見てるし、変態かよ。

 

 

 

 

 

「ごちそうさまでしたー!」

 

 

「風呂沸いてるから先に入っていいわよー。」

 

 

「メア、先に入っていいぞ。」

 

 

「いや、マスターお先にどうぞ。」

 

 

 

「そうか、それじゃお先に入らせてもらうとするわ。」

 

 

俺は寝巻きを持って風呂場に向かった。

 

 

その時俺は何故気付かなかったのだろうか。どうしてメアが風呂を先に譲ったのか......。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃーー、気持ちぃーー。」

 

俺は頭と体を洗い、湯船に浸かる。今は冬でここは港町だから寒い潮風がビュンビュン吹いているのだ。だから、風呂は俺にとって天国なのだ。

 

 

「......いやぁ、まさかメアもこっちに来てるなんてなぁ...。」

 

 

転生した理由はわからないが、こっちに来て良かったと思う。裕福な家庭に恵まれ、メアと再び会うことができたのだから。

 

 

「メアってこんな可愛い女の子だったんだなー、画面越しじゃわからないこともあるんだなぁ......」

 

 

 

「少し暑いな...窓を少し開けるか...。」

 

 

 

湯気も濃くなって来て、暑苦しくなって来たので窓に手をかけようとした時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「呼びましたか?マスター?」

 

 

「んおあ?」

 

 

風呂の中でうつらうつらしていると、(←危険だから絶対に風呂場では寝るなよ!!)急にメアが目の前に現れた。

 

 

「ぶっ!!」

 

驚きのあまり壁に思い切り頭突きしてしまった。

 

 

「大丈夫ですかマスター?」

 

 

「ななななんでメアがここにいるんだよ!?一応、予測して鍵も閉めて来たのに......!!」

 

 

メアが風呂場に乗り込んでくることもあらかじめ想定していたので風呂場の入り口の鍵はしっかり閉めていた。

 

すると、メアが超ドヤ顔で言った。

 

 

「ふふん、施錠なんてこの私には通用しませんよ!私はこの姿でもダークライなんですっ!!影になって風呂の扉の下から入って来ちゃいました!!」

 

 

そうだった...映画でもあったけど、ダークライって影に入れるんだった...。ん?俺、詰んでね?

 

 

つまり、施錠は無意味ということはすなわちいつでもメアは入って来れる。

 

 

 

 

 

そして、俺は今とんでもない事実に気づいた。

 

 

 

 

現在進行形でドヤ顔を見せて、浴槽に浸かっているメア。俺が目の前にいるのにも関わらず、タオルを巻いていないのだ。

 

 

「おおおお前...タオルは...!?」

 

俺は顔をそらして、メアに聞いた。メアはキョトンとした顔で

 

 

「え?なんでタオルがいるんですか?」

 

 

メアはこの状態がどんなに恐ろしい状態なのかまるで気づいていない。湯気さんのおかげでR-18タグは必要なさそうだ。

 

 

メアの真っ白なもちもちした肌が露わになっているが、うっすらしか見えなかった。窓を開けなくて良かったと真底思った。なるほど、湯気が多かったのはこの伏線だったんですね!!湯気さんナイスです!!

 

 

 

 

「さて、そろそろ上がるとするか...」

 

 

 

俺の理性が壊される前に退散することにした。

 

 

 

「えぇーー!?マスター上がるの早くないですか!?」

 

 

「施錠は無意味ということは今回の件でわかった...入ってくるなと無理に言うつもりもない、だがな...」

 

 

 

「今度から体にタオルを巻いてから来ること!!いいな!?」

 

 

俺はそう言ってこの天国のような地獄を後にした。

 

 

 

 

 

 

『ぶー』

 

 

 

体を拭いていると浴室からメアの不貞腐れたような声が聞こえた。今回は俺は悪くない、悪くないんだ。そう言い聞かせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、俺はリビングでテレビを見ていた。

 

 

「この時間はニュースしかやってねえじゃん。つまんねーの。」

 

現在時刻は20:56、大抵、9時のバラエティの前のニュースの時間だ。

 

 

「.........寝るか。」

 

俺はテレビをつけたまま二階の俺の部屋に上っていった。

 

 

 

「明日は暇だな、どっか出かけようかな...」

 

 

しかし、ミオシティは港町で店なんてほとんどなかった、出かけるならコトブキシティまで行く必要があった。

 

 

『ガチャ』

 

 

「マスタ〜!なんで途中で出ていっちゃうんですか〜!?」

 

 

「......っ!」

 

 

 

 

 

 

 

そこにいたのは水色に水玉模様入りのパジャマを着ていたメアだった。

 

 

 

 

 

 

「......どうしたんだよ、そのパジャマ...!!」

 

 

「いやぁ、別にいつもの格好のままでも良かったんですけど、寝るということなのでパジャマ風に変身してみましたー。」

 

 

色々聞きたいことがあったが、そんなことはどうでも良かった。

 

 

 

「メア......」

 

 

「はい?」

 

 

 

「......すげえ可愛い...!!」

 

 

俺は親指を立てて賞賛の言葉を述べた。ダークライは黒しか似合わないと思ってたが、まさか水色、水玉模様のパジャマがここまでマッチングするなんて...!!最高です。

 

 

「えっ、ほんとですか......!何だか照れますね...///」

 

メアも頰を赤くして視線を背けているが、嬉しそうだ。

 

 

 

 

 

 

その後、ベッドに座って明日のことを話していた。

 

 

「なぁ、明日シンジ湖に行かないか?」

 

 

「え?いいですけど、どうしてですか?」

 

 

「いや、コトブキシティでショッピングでも良かったけど、何となく自然の多いところに行きたくなってな、ピクニック気分でサンドイッチでも作って行こうぜ。」

 

 

「そうですね、マスターとのデートはもう少し後っていうことで、明日はピクニックにしましょう!!」

 

 

ん、デート...?

 

 

「あ、あぁ、そうだな。よし、今日はさっさと寝るぞ。」

 

 

「はーい、電気消しますね〜。」

 

 

メアは壁についている電気のスイッチを押した。

 

 

 

「おやすみ、メア。」

 

 

「...おやすみなさい。マスター。」

 

 

 

 

俺とメアはゆっくりと眠りにつ.................くことができない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ。」

 

「はい?」

 

 

「抱きつくのやめてくれないか?当たってるんだが。」

 

 

そう、がっつり俺の背中に抱きつかれている。メアの慎ましい二つの丘が俺の背中に当たっていて、気になって眠りにつくことができない。

 

 

 

「嫌ですよ〜、風呂でダメならせめて布団の中だけでもいいじゃないですか。」

 

 

 

「......わかったよ、おやすみ。」

 

 

 

「おやすみなさい...マスター。」

 

 

 

 

 

 

 

因みにメアが気になって12時くらいまで眠りにつけなかったことは内緒ってことで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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