悪夢の少女と   作:ヤマシロ=サン

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第7話 シンジ湖で

 

 

 

 

「結構暗いですねー、少し怖いです。」

 

 

「あともう少しで出るはずだ、頑張ってくれ。」

 

 

俺たちは201番道路を抜け、シンジ湖の方へ繋がる森を抜けていた。結構長く木が生い茂っていて結構暗い。

 

 

「お、出口が見えてきたぞ。」

 

 

 

数分間、森の中を歩いていると開けた場所が見えて来た。出口である。

 

 

 

 

 

 

「うっわ、広っ!!」

 

 

俺たちは森を抜けてシンジ湖に出た。ゲームではそこまで広いマップではなかったはずだが、実際に見てみると向こう岸がうっすらとしか見えないくらい広かった。

 

 

(確か、シンジ湖にいるのってエムリットだったよなー。一度でいいから見てみたいわー。)

 

 

そんなことを思いながら湖の真ん中にある小島を眺めていた。

 

 

エムリットはやりのはしらでのイベントを終了させないと会うことが出来ない、しかも、エムリットは他の二体、アグノムとユクシーとは違い、シンオウ地方のどこかに逃げてるというすごく面倒くさいことをするポケモンなのだ。それと結構かわいい。

 

 

 

 

「まぁーーすたぁーー!!!」

 

 

 

「ん?」

 

 

 

 

メアが大声で俺を呼んでいるので振り向いた。

 

 

 

 

「あそこの木の陰で一緒に食べましょー!!」

 

 

 

メアがバスケットを抱えてこっちの方に手を振っていた。昼食は早くないか?と思い、ポケッチを確認すると既に12時を回っていた。ナナカマド博士と話しすぎたおかげでかなりの時間が経過していたらしい。井戸端会議はよろしくないな。そう感じて反省した俺だった。

 

 

「よし、今から行くよ。」

 

 

俺はメアのいる木陰へ足を進めていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の名前はエムリット、一応、感情を司るポケモンって言われてるわ。

 

 

.........感情いじったことないけど。

 

 

 

このシンジ湖の管理者として湖の真ん中にある洞窟で暮らしているの。でも、ここに来ても何もないわよ?

 

 

 

だって、周りからは認識されないように透明になってるんだもの。

 

 

 

私はこれでも伝説のポケモンとされていてたまに私を捕まえようとする人間もいるわ。他のポケモンたちは人間に従って戦わさせられたりしてるけど、本当にそれでいいのかしら。私は絶対にお断りだけどね。人間みたいな醜い生き物に従うなんて吐き気がするもの。

 

 

でも、偶に......ごく稀に見かけるのよね、私たちのことを純粋に愛してくれてそのポケモンたちもその人間のことを心から愛し、慕っている。いわゆる相思相愛ってやつかしらね。そんな人間なら主人として従ってもいいかもね。.........そういるはずないけど。

 

 

 

 

 

 

 

私は普段どおり透明になって湖のまわりを飛んでいた。ここには色んなポケモンがいて、楽しそうに暮らしている。ここは人間の手によって侵されていない場所、きっとポケモンたちにとって一番住みやすい場所なのでしょう。冬なので冬眠しているポケモンもいるのか少し寂しい感じもするけど。

 

 

すると、入口の方から誰かが入って来た。一人は黄色いぱーかー?とかいう着物をきている男の人間、それにもう一人は白くて長い髪をひていて、黒いよくわからないヒラヒラしたものを着ている女の人間だった。

 

 

 

 

 

私はそこで違和感を感じた。あの女の人、何かがおかしいのだ。よくわからないが何か普通の人間とは違う感じがした。どちらかといえばそう、私たちポケモンと雰囲気が似ているのだ。

 

 

 

 

男の人は間違いなく人間だ、特に感じるものはない。その男の人は湖の方をみて何か考えているようだ。

 

 

 

私が気になっている女の人はバスケットを抱えて木陰の方へ駆けて行く。そして、バスケットを木のそばにおいて一言。

 

 

「ふふふ...運がいいことにブルーシートのような引くものはありません。つまり、マスターと寄り添う形を取ることができるってわけです...!しかも、寒さのせいにできるので合法ってことになるのです...!!ふふふふふふ...」

 

 

 

怖い。企んでることはしょうもないのに怖い。

 

 

 

「まぁーーすたぁーー!!!」

 

 

 

そして、さっきのドス黒い笑みが無かったかのような明るい笑みで手を振っている。

 

 

 

「あそこの木の陰で一緒に食べましょーー!!」

 

 

 

男の人も気づいたのか返事を返して木のそばへ向かう。

 

 

「おまたせ、って木陰って寒くないか?日差しも暖かいから日向で食べようぜ。」

 

 

男の人は当然日向での食事を提案した。返答は......?

 

 

「すいません、私、日差しって苦手なんですよ。」

 

 

うん、明らかに嘘だ。だったら、ここまでわざわざ来るはずがない。

 

 

「......そうか、それじゃ木陰で食べよう。」

 

 

承諾したぁーーーーー!!!男の人!!もう一度考えてみて!!さっきまで一緒に歩いて来てたんですよ!?日差しガッツリ当たってたじゃないですか!!気づけ!!彼女の発言が矛盾していることに!!

 

 

私は心の中で必死に訴えかけていた。

 

 

すると、男の人は女の人の隣に座って一言。

 

 

「別に嘘つかなくてもいいだろ、一緒に食べたかったらそう言ってくれればいいのに。」

 

 

あ、気づいてたのね。心の中でホッとしている自分がいた。

 

 

「なぁ。」

 

 

「はい?」

 

 

 

「寒くないか?そんな格好で。」

 

 

確かにそれは言えている。特に足の部分なんかにおいては膝より上の部分くらいまでしか丈がない。寒くないわけがない.........ハッ!まさか!?

 

 

「そんなことありませんよー!!ダークライの特防なめないでくださいよー!?」

 

 

すげえどや顔で言っているが、よく見たら震えているのがわかる。

ん?ダークライ?

 

 

男の人の方は少し考えたあと一言。

 

 

「.........ダークライってさ、そこまで特防高くないよな?」

 

 

 

「あ、高いのは特攻の方でした☆」

 

 

 

 

えぇ!?ダークライって、あのダークライ!?

 

あの悪夢を見せることに定評のあるあのダークライのこと!?

 

わたしは驚きを隠せなかった。人付き合いが皆無のはずのダークライが最近流行りの擬人化をしていて、すごくトレーナーに懐いているのだ。

 

 

「とゆーわけで寒いので抱きしめてくださーい!!」

 

 

ハッ!!これも狙いか!!これも狙ってたのかダークライ!!

 

 

「はいはい。」

 

 

トレーナーの方も呆れながらも優しく抱きしめてあげている。

 

 

「んふふー、暖かいです♪」

 

 

「そろそろサンドイッチ食べるか。」

 

 

「そうですね。」

 

 

 

 

この世に生を受けて、何十年も経つがこのような人間は初めて見た。言葉に表せないような普通の人間とは違う何かを持っているのだ。

 

 

 

気になる。

 

 

 

もっと知りたい。

 

 

 

この人間のことをもっと知りたい。

 

 

 

でも、私が姿を現したら...

 

 

 

 

私が姿を現したらあの貪欲に満ちたあの人間たちのようになってしまうかもしれない。

 

 

 

怖い。

 

 

 

そうなってしまうことが怖くて姿を現す勇気がない。

 

 

 

 

「......なぁ、そこにいるんだろ?」

 

 

 

......え?

 

 

 

トレーナーがぼそりと呟いた。

 

 

 

 

「さっきからすげー視線感じるんだけど、いるなら出てこいよ。」

 

 

 

え?私に言ってるの?

 

 

 

「あれ?いないのか?確かこの辺から視線を感じたんだけど。」

 

 

『ガシッ』

 

 

あっ、頭掴まれた。バレてたのね。

 

 

「あ、やっぱいるじゃん。」

 

 

「流石マスター、見えない姿を気配で察知できるなんて!!」

 

 

『離してくれませんかね?』

 

 

私は素直に透明化を解いた。私としては話をしてみたかったので一石二鳥だった。

 

 

「お、喋れるのか。確かお前は......エムリット、だっけ?」

 

 

「えぇ!?エムリットって確か伝説のポケモンの一匹でしたよね!?」

 

 

『まぁ、一応そういうことになってるわね。』

 

 

 

「やっぱあれか、俺たちにの奇行がどうしても気になったのか。」

 

 

「えっ、奇行!?」

 

 

ダークライは驚いた表情をしているが、あれは策略に策略が重なった奇行にも見えた。

 

 

『まぁ、それもあるけど。』

 

 

「けど?」

 

 

トレーナーが首をかしげる。

 

 

『トレーナー、()()()()()()()()()()()()()().........かしらね。」

 

 

「ほう、俺のことか。あ、俺の名前はハルトね。」

 

 

『あ、うん。』

 

 

「ふふふふふ......」

 

 

隣のダークライが傾いて震えている。寒さで震えているわけではなさそうだ。しかも、不吉な笑みで笑っているあたり、何か私やらかしたらしい。

 

 

「ふふふ、面白いですね。今の発言はあれですか?私に対する宣戦布告と受け取ってもよろしいのですね?」

 

 

『えっ!?』

 

 

ダークライは右手に黒いエネルギー弾を生成する。よく見るとダークライの青い目からハイライトが消えていた。

 

 

「マスターとラブラブしているのを見てたならわかると思いますけど、私特攻めちゃくちゃ高いんですよ。それに私はあくタイプであなたはエスパータイプ。負ける要素はゼロに近......いや、ゼロです。」

 

 

『えっ、ちょ、ま......!』

 

 

「因みに手加減なんかしませんよ。勝負を申し込まれたなら全力でお相手する、それが礼儀ってもんですから。」

 

 

 

 

 

「マスターは私の物ですーーーーッ!!!」

 

 

ダークライは私に向かってエネルギー弾を放っ...

 

 

「なーにやってんだバカ。」

 

 

『ゴスッ』

 

 

「ぶっ!?」

 

 

放つ前にトレーナー、ハルトのダークライへのチョップで仲裁してくれた。死ぬかと思った。

 

 

『あ、ありがとうトレーナー。本当に死ぬかと思ったわ...。』

 

 

「こっちこそ悪かったな、メアはたまにこーやって嫉妬するんだよ。別に何もする気は無いのにな。」

 

 

「ふえぇ、痛いですよぉ、ますたぁ......」

 

 

ダークライが頭を抱えてうずくまっている。すごく痛そう。

 

 

「ごめんごめん、ちょっとやりすぎたわ。」

 

 

「それじゃあ、頭撫でてください。」

 

 

「あーはいはい。」

 

 

トレーナーは嫌がる様子もなくダークライの頭を撫でてやっている。............すごく羨ま...ゲフンゲフン。

 

 

「話戻すけどさ、何で俺のことが気になったんだ?俺、いたって普通の人間なんだけど。特に特徴も何も無い平均平凡な少年なんだけど。」

 

 

『いや、さっきから見てたのだけど、あなたは他の人間とは何かが違うわ。私にもよくわからないけどね。それで気になって気づいたらそばにいたのだけれど。』

 

 

そう、最初はある程度の距離のあるところで見ていたのに気がついたらほぼゼロ距離の場所にいたのだ。

 

 

「ふーん、伝説のポケモンって割と物好きなんだなー。あ、サンドイッチ食べるか?」

 

 

そう言ってバスケットの中からサンドイッチを一つ取り出して差し出してきた。

 

 

『えぇ、いただくわ。』

 

 

「ほら、メアもどうぞ。」

 

 

「わーい!マスター手作りのサンドイッチ最高ですー!!」

 

 

えっ、これって全部トレーナーの手作りなの!?にしてはかなり量がある気がするんだが......。

 

 

『はむ。』

 

 

 

 

一口食べて見た。見た感じたまごさんど?っていうサンドイッチらしいけど。(食べたことないからあってるかどうかわからない。)

 

 

 

 

 

『ふわぁぁ...♪』

 

 

 

 

自然と声が漏れた。卵とまよねーずの分量が絶妙でうまく混ぜられているおかげか、味にクセがなくすごく美味しい。

 

 

「どうだ?美味しいか?」

 

 

『はむ、すごく美味しいわね。』

 

 

「そりゃあなんてったって私のご主人様ですから!!」

 

 

メアがサンドイッチを食べながらすごいどや顔でこっちを見ている。お前が作ったわけじゃねーだろ。なんかすごく腹が立った。

 

 

 

『ね、ねぇ......』

 

 

「ん?どうした?」

 

 

『も、もうちょっと貰ってもいい?』

 

 

こんなに美味しいものを食べたのは生まれて初めてだ。もっと食べたいと思った。

 

 

「あぁ、沢山あるからいくらでも食べていいぞ。」

 

 

『ほ、ほんと!?』

 

 

「あぁ。ほらどんどん食べろ。」

 

 

『うん!!』

 

 

多分、今の私はここ最近では一番の笑顔を見せていると思う。

 

 

 

 

 

「おーい、お前らも見てないでこっちに来いよー。一緒に食べよーぜ!」

 

 

トレーナーが話している先には木陰に隠れているポケモンたちがいた。ムックルやビッパ、コリンクなどたくさんの野生のポケモンたちがおそるおそる出てきた。まだ、表情が固い。警戒しているようだった。しかし、トレーナーは気にすることもなく、

 

 

「ほい、沢山あるからどんどん食べていいぞー。俺のサンドイッチはあのエムリットさん公認だからな、味は保証するぜ。」

 

 

すると、野生のポケモンたちは気を許したのかサンドイッチを取り、食べ始める。美味しかったのか食べるペースが速くなった。

 

 

「おー、お前らも食べたいのかー。よし、何個か持って行ってやるから待ってな。」

 

 

トレーナーの視線の先を見ると湖に住むみずタイプのポケモンたちもあつまっていた。トサキントやコイキング、ギャラドスまでいた。しかし、トレーナーは恐れる様子もなく紙皿に何個かサンドイッチを入れて持って行ってあげる。みずタイプのポケモンも飛びつくようにサンドイッチを頬張っている。トレーナーは優しい笑顔でポケモンたちを撫でてあげる。

 

 

何よりすごいのがこんな短時間でこんなにたくさんのポケモンたちと打ち解けてしまったということだ。野生のポケモンは警戒心がとても強くそれを解くためにモンスターボールで捕まえたりしている。だが、トレーナーは優しくポケモンたちに接してあげる。そうすることで自然とポケモンたちも心を開いているのだ。

 

 

 

トレーナーを後ろから見守っていると。

 

 

 

 

「......すごいですよね。マスターって。」

 

 

ダークライが呟いた。

 

 

 

「すぐに誰とでも人、ポケモン関係なく打ち解けてしまう、これは一種の才能だと思うんです。」

 

 

 

「私もその中の一人ですよ。昔は新月島で一人でした。私は一人が好きだと思ってたんです。でも、そんなことは無かった。」

 

 

 

「マスターは言ってくれました。『一人で過ごすのもいいかもしれない。でも、俺は一人で生きるなんて無理だよ、寂しくてたまらなくなる。側から見たら強がって一人を好きがってる人もいる、でも、その孤独から抜け出した時、仲間、友達といえる存在が出来た時、今まで味わったことのない幸せを感じることができると思うんだ。』そう言われて私は気づいたら目から涙が溢れていました。そして、気づいたんです。私も独りが寂しかったんだなって。すごく共感できたんです。そして、思いました。マスターは孤独の怖さを知っている。この孤独を味わってほしくない、そう言ってると思ったんです。」

 

 

 

「マスターは優しいんですよ、ただ純粋に。その人のことを想ってくれる。そんなマスターに私は一目惚れしたんです。」

 

 

「私はマスターのことが大好きなんです。だから、わたしはずっとそばにいてあげるって決めたんです。」

 

 

 

「これが私ができる精一杯の恩返しなんですよ。」

 

 

そう言ってダークライ、いやメアはトレーナーのもとへ歩みだした。

 

 

 

『優しい.........か。』

 

 

 

 

 

私も生まれて独りだった。いや、友人はいる。でも、会うのは一年の中でも数回だけだ。それにシンジ湖の管理も任されていて、周りに認識されないようにしながら湖の平和を守っていた。充実しているようで心の中は満たされたいなかった。まるで、ぽっかりと穴が開いたように。

 

 

私は求めていたのだ。想ってくれる存在を、想える存在を。彼のような優しさを求めていたのだ。私は彼と話しただけで心の中が満たされた。それに彼を見ていると心臓の鼓動が早くなり、胸の奥が苦しくなる。

 

 

ポケモンがこんな感情を抱いてもいいのだろうか。

交わるはずがないのに、私は人間にこんな感情を抱いてしまった。

 

 

 

『........まぁ、彼なら許してくれるわよね。』

 

 

 

 

 

 

私は彼、ハルトのことを一人の女の子として好きになってしまったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、バスケットの中は全て空になったな。」

 

 

 

「んー、ポケモンたちにも大人気でしたね、マスター。」

 

 

「みんな美味しそうに食べてくれてよかったよ。ん、そろそろ帰るとするかな、もう四時だし、日が沈んでしまう。」

 

 

 

ハルトはバスケットを抱え上げて帰る準備をする。

 

 

 

「そろそろお暇させてもらうわ。今日はありがとな、エムリット。」

 

 

ハルトはそう言って森の中へ入ろうとする。

 

 

 

『あ、あの!!』

 

 

気づいたら無意識に口が動いていた。彼を呼び止めていた。

 

 

 

「どうした?」

 

 

彼は振り向いて私の方を見る。

 

 

 

『た、偶に会いにきて欲しいんだけど.........だめ......かしら?』

 

 

 

彼に会いたい。こんな縁で終わらせたくない。そんな色々な思いが交錯していて、つい口から出てしまった。

 

 

 

「そうだな、暇があったら会いにきてやるよ。」

 

 

 

『ほ、ほんと!?』

 

 

 

「あぁ、もちろんだ。メアも勿論来るよな?」

 

 

 

「はい、私はずっとマスターのそばにいますので!!」

 

 

 

「そんじゃ、今度こそ帰るとするわ。またな、エムリット。」

 

 

 

 

そう言って彼は森の奥へ消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、シンジ湖の洞窟内で。

 

 

「私ね、面白い人間を見つけたの。」

 

 

『へぇ、あまり人間に興味を示さない君がねぇ。』

 

 

『.........どうでもいい、寝る。』

 

 

 

「流石ユクシーね、周りへの興味が相変わらず皆無だわ。しかももう寝ちゃったみたいだし。」

 

 

『それはいいよ、いつものことだし。で、その人間について教えてくれるかな。』

 

 

「彼、ポケモンたちと仲良くするのが上手なの、1日で湖にいるポケモンたちと打ち解けてしまったのよ。」

 

 

『へぇ、そんな人間もいるもんなんだね。』

 

 

「それに彼、誰にでも優しく接してくれるのよ、私が姿を見せても同じように話してくれたわ。」

 

 

 

「私ね、そんな彼に一目惚れしちゃったみたい。」

 

 

 

『ほぉ、まさか君がここまで感情移入しちゃうなんて、ますます興味が湧いてきたよ。』

 

 

「ふふ...。」

 

 

『彼ってどこに住んでいるのか知っているかい?』

 

 

「確かー、ミオシティって言ってたわよ。どうする気なの?アグノム。」

 

 

 

『決まってるじゃないか、ボクも彼に会いに行くのさ。話してみたくなったんだ。』

 

 

 

「...そう、多分あなたも気にいると思うわ。」

 

 

 

 

 

『そうか。ボクも明日が楽しみになってきたよ。それじゃボクも明日に備えて寝るとするよ。おやすみ。』

 

 

 

 

 

「えぇ、おやすみアグノム。」

 

 

 

 

アグノムとの会話の後、私は静かに月を見上げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「明日、ハルトはどんな反応をしてくれるのかしらね......。ふふっ」

 

 

 

 

 

 

 

月の光に照らされているシンジ湖の真ん中でエムリットは静かに微笑んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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