CODE:BREAKER -Another-   作:冷目

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4か月ぶり……
最近、いろんなことに無気力になってるような……





code:80 命を買う金

 「…………」

 『渋谷荘』の地下……かつて大神たちが『捜シ者』との闘いに向けて己を鍛えた空間に、優はたった一人で立ち尽くしていた。元々、空間自体が薄暗いというのもあるが、今の優は何やら思い詰めたように顔を伏せており、その表情全てに影がかかっている。

 何をするわけでもない、ただ立ち尽くす彼の中では……先ほどまで同じ空間にいた者の言葉が繰り返されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『前線から退いてもらうって……どういうことですか、平家さん』

 『…………』

 突然放たれた言葉に大きく目を見開く優。それに対し、その言葉を放った張本人……平家は腕を組み、細めた眼を優へと向けていた。

 『……冗談にしては、笑えませんよ』

 『…………』

 明らかな動揺を見せる優だったが、平家は何も答えない。ただジッと優を見つめ、頑なに口を閉じていた。だが、その態度だけで彼が言わんとしていることはわかる。

 今言ったことは……決して冗談ではないと。なぜならその眼は、彼が仕事中に見せる眼とほぼ同じだったから。

 『……何か、言ってくださいよ』

 『…………』

 『平家さ──!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 『甘ったれるのはやめなさい……『コード:07』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ッ──!?』

 その一言に、優は全身が硬直した。鋭い眼を鈍く輝かせ、厳しい言葉をかけた平家……今の彼からは、確かに“殺気”に似たプレッシャーを感じた。

 そんなプレッシャーを真正面から優にぶつけながら、平家は続けた。

 『今一度、あなたの立場を思い出しなさい。あなたは『コード:07』……藤原総理が“特別に”ナンバーを与えているだけの存在です。『コード:ブレイカー』は本来『コード:06』を末尾とする。あなたは本来、今の『コード:ブレイカー』にはなり得ない……“異物”です』

 『…………』

 『そんな“異物”であるあなたが、なぜ『コード:07』というナンバーを与えられているか……理解していますか?』

 『……それ、は』

 『答えは一つ、戦力として利用価値があるからです』

 つらつらと言葉を並べる平家に対し、優はたった一言を絞り出すのに精一杯だった。それほどまで、今の平家から感じるプレッシャーは強かった。

 『確かにあなたは強い。特殊な異能である『脳』を命懸けで使いこなし、先の闘いでは『捜シ者』に加担した異能者のほとんどを片付けてくれました。……ですが、今のあなたはどうですか?』

 平家の鋭く細められた眼が優を射抜く。まるで心臓を鷲掴みにされているような緊張感に襲われ、優の全身を冷や汗が流れる。

 『一番の武器を無くしたあなたを……“エデン”が必要とすると思いますか? 武器が再び完成するのを待ってくれると思っているのですか?』

 『…………』

 『はっきり伝えます。……“エデン”は、これを機にあなたを見限ろうとしています』

 『──!!』

 その言葉に、優はこれまでにないほど目を見開き……一気に力が抜けていくのを感じた。しかし、それでも崩れ落ちるようなことは無く、その場に立ち続ける優。ただ唯一、その顔だけは力無く無機質な床を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──ポタ

 ふと、何かが滴るような音が空間に響く。それは、力を込めるあまりに自らの肉に穴を開けた……優の拳から滴る紅い液体。

 「…………」

 痛みは感じていた。だが、それでも優は力を緩めようとしない。それどころか、拳に込める力は徐々に強くなっていき、さらに穴を広げていく。

 そうして紅く染まっていく拳。その下に滴る液体が巨大な円を描き始めた頃……優は、その拳を振り上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──グアシャアアァァァ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 優を中心として、蜘蛛の巣のような亀裂が床一面に広がる。亀裂は一瞬のうちに壁まで到達し、その壁すら昇っていった。亀裂はみるみる天井に向かって伸びていき……半分を超えたところで止まった。

 だが、それを起こした優はそんなところは見ていない。かといって、自ら床に放った拳を見ているわけでもない。ただ彼は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「──アアアァァァアアァァアアアァァアアアアアアアァァァァア!!!」

 獣にも似た咆哮を、その空間一帯に響かせた。彼以外誰もいない亀裂まみれの空間……彼の咆哮は、その亀裂の中へと徐々に吸いこまれていった。

 自分の咆哮が消えていく中、優の頭の中には平家が最後に放った言葉が蘇った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『──ですが、この仕事(・・・・)の結果によってはそれも変わるかもしれません。受けますか……? 優君』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ─────

 

 ──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「せぇい!」

 「ぐっ!」

 幸いにも休工中であり、街中よりもはるかに人が少ない工事現場。そこで、常人を遥かに超えた脚力で跳び上がり、異形の武器と化した左手を突き立てる春人。対する大神は寸でのところでそれを避け、なんとか一定の距離を保とうとする。

 「どうした、大神……逃げるだけか!」

 大神が避けたことで地面に突き立てられた左手……春人はそれを勢いよく振り上げることで追撃する。その流れるような追撃も避ける大神だったが、ハッキリ言ってギリギリというレベルだ。いつまで避け続けられるかわかったものじゃない。

 「情けないものじゃな、大神。先ほどから逃げの一手のみ。こちらとしては狩りやすいがな」

 「チッ……!」

 挑発も込めているであろう春人の言葉に、大神は小さく舌打ちをしながら自らの左手を見る。そこには手袋を外し、いつでも『青い炎』を使える状態……戦闘態勢に入っている左手があった。

 ただ……そこに肝心の『青い炎』は灯っていなかった。

 「やめるのだ、春人! 大神は逃げているのではなく闘いたくないだけだ! その証拠に、『青い炎』を使っていないだろう!」

 「使っていない(・・・・・・)……か。ふっ、果たして本当にそうなのかのう」

 なんとか春人を止めようと説得する桜。『青い炎』を使わないことから大神に闘う意思がないことを主張するが、春人はそれを鼻で笑う。

 「…………」

 対する大神は、鋭い目つきで春人の動きをジッと見ている。いつ攻撃が来ても動けるように集中しているのだ。

 だが、彼は内心では明らかな焦りがあった。それを示すかのように、冷や汗が額から流れ落ちる。その理由はただ一つ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 今の大神は『青い炎』を使わない(・・・・)のではない。使えない(・・・・)からだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「オイ、『エンペラー』……! どうせ原因はテメェだろう、なんのつもりだ……!」

 『ハッハー、なんのことだかな!』

 「テメェ……!」

 春人や桜に聞こえない程度の声量で、だが明らかな苛立ちを含んだ声を『エンペラー』が宿っている左手に向ける大神。しかし、当の『エンペラー』はそんなのお構いなしと言わんばかりに陽気な声を返してきて、大神の苛立ちはさらに高まっていく。

 『……見せてみな、零』

 「あ?」

 だが、次の瞬間……先ほどの陽気な声とは打って変わり、呟くように静かな声が左手から届く。ふざけている様子は一切感じられない『エンペラー』の言葉に、大神は眉をしかめる。

 『法でもない、『コード:ブレイカー』としてでもない……お前自身の裁きってやつを見せてみな。ただし、オレの宿主として不合格な裁きをしたならすぐに丸コゲにしてやる』

 「……何をわけのわからないことを──」

 「左腕との別れは済んだか? 大神」

 法による裁きでもなく、『コード:ブレイカー』としての裁きでもない大神自身の裁きを見せろという『エンペラー』。真剣な様子で話す『エンペラー』に、大神は今まで感じていた苛立ちもどこかへ消えてしまい、『エンペラー』のその真意を問おうとする。

 しかし、今彼らが相対している敵はそれを許してはくれなかった。

 「お前が来ないのならこちらから行かせてもらおう。我が異能『変殻《トランスフォーム》』……物質があるところならば、ありとあらゆる攻撃が可能じゃからな」

 ──ズォ!

 言いながら、春人は近くに停まっていたクレーン車へ右手を向ける。瞬間、クレーン車の形は歪み、なんの抵抗もなく春人の右手へと吸い取られていく。そして、今までバイクを基に構築された刃があった左手部分が光り出し、また新たな武器を構築していく。

 ──ガキン!

 「こ、今度は砲になった!?」

 「弾にはさっきのバイクを細切れにして詰め込ませてもらった。さぁ、大神……覚悟してもらおう!」

 「──ッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『コード:エンペラー』によって『青い炎』を封じられた大神と新たに異能を手にした春人。二人の闘いは言うまでもなく、大神が圧倒的に不利な状態で進んでいった。春人の猛攻に大神は避けるしかなく、闘いである以上は桜もうかつに手が出せなかった。

 だが、それでも桜は春人の説得を試みた。一度は始末屋から手を引いたのには理由がある、と考えたからだ。そして、桜はその理由になり得る存在が春人の近くにいることを知っていた。だからこそ彼女は春人に問うた。「金が必要なのは子どもたちのためなのか」──と。

 しかし、春人はその言葉がただの戯言であるかのように笑い飛ばす。そして……邪悪な笑みで答えた。

 

 

 

 

 

 「あのじゃり共は殺し屋にするために(さら)ってきただけじゃ。使えなければ売り飛ばす。子どもは金になるからの」

 

 

 

 

 

 春人のその言葉に、桜は説得を諦めかける。どこからも突破口は見えず、大神がただただ追い詰められていく……そんな時だった。一人の乱入者によって、全ての流れは変わった。

 「やめろ!」──そう力の限り叫んで大神と春人の間に割って入ってきたのは……春人が連れていた子どもの一人である和樹だった。

 実は、和樹は大神と春人のやり取りを全て物陰から見ていたのだ。まだ幼い子どもゆえ、話の全ては理解できてはいないが、彼はどうしても春人に確かめたいことがあった。

 

 

 

 

 

 「春人! 始末屋は……悪いことはもうやめたって言ってただろ!? なのにこんな……ちゃんと説明してくれよ!!」

 「…………」

 

 

 

 

 

 和樹の問いかけに春人は何も答えなかった。すると、そこで大神が思わぬ言葉を口にした。

 この和樹という子どもは、大神と春人が最初に闘った時……春人が誘拐し、その口で「殺した」と口にした……死んだはず(・・・・・)の子どもだと。

 春人は「知らぬ」と一蹴したが、和樹は違った。彼は語った。彼が春人と出会った時のことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 和樹は裕福な家庭の一人息子だった。だがある日、母親が事故により他界。和樹がまだ幼いということもあり、父親はすぐに別の女性と結婚した。しかし数か月が経つと、今度は父親が亡くなった。

 継母と二人暮らしになった和樹。そんな和樹が誘拐されたのは父親の葬儀が終わってから数週間が過ぎた頃だった。その誘拐犯こそ、依頼を受けた始末屋……春人だった。

 春人は継母に身代金を要求したが、その身代金は支払われることはなかった。捕らわれている間、和樹はそのことは知らない。知る由もない。だが、彼にはわかっていた。身代金など支払われない、と。

 

 

 

 

 

 なぜなら、春人に和樹を誘拐させたのは継母本人だとわかっていたから。

 

 

 

 

 

 和樹の両親が遺した財産……それを独り占めするために、継母は和樹を始末しようとしたのだ。それを子どもながらにわかっていた和樹は、春人に言った。

 早く殺してほしい。どうせ自分が死んでも誰も悲しまない──と。

 次の瞬間、春人は和樹の拘束を解いた。呆気にとられる和樹に、春人は射抜くような眼で和樹に言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「死んで悲しむ者がおらぬなら、それはまだ生きてもいない証じゃ。然りと生きてから逝ね。でなければ、殺しがいもないわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから和樹は春人に育てられた。他の子どもたちも同じだと和樹は語った。他の誰でもない、命の大切さを教えてくれたのは春人だった、と。

 だが、春人はそんな和樹を容赦なく殴り飛ばした。そして言った。金より命が大事なんて綺麗事、命は金で買える、と。

 そう言い捨てる春人の中には、確固たる信念に似た思いがあった。そして、彼は今までになく感情を爆発させ、その思いを叫んだ。

 

 

 

 

 

 「野草を喰い、泥水を啜って生きていけるか? 否。住処も着物もなく人としてのなり(・・)が保てるか? ……否。綺麗事で、腹は膨れん。生きるには金がいる! そのために悪に堕ちて何が悪かろうて! 所詮は血塗られた手! 殺しとて厭わぬわ!!」

 

 

 

 

 

 ……この時、大神の中で一つの覚悟が決まった。

 彼は、『青い炎』が封じられた左手をグッと握った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ─────

 

 ──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「…………」

 『渋谷荘』の縁側……そこでは、刻がやめたはずの煙草を咥えたまま、吸うことも煙を吐きだすこともなくただ呆けていた。近くの灰皿にはすでに十本以上の吸い殻が置かれており、彼が長い間そうしていたということを裏付けている。

 現に、今咥えている煙草も半分以上が灰になっており、ボロボロと風に乗って落ちて──

 「煙草はやめたんじゃなかったんですか?」

 「どわぁ!?」

 突然、背後に現れた平家に話しかけられ、刻は大きく身体を跳ね上がらせる。驚きのあまりドクドクと高鳴る心臓を抑えながら、刻は勢いよく振り向いた。

 「驚かすんじゃねーヨ! この変t──!」

 ──グアシャア!

 「うおわぁ!!」

 「なんだか楽しそうですねぇ、刻君」

 「どこがダヨ!!」

 振り向いて文句を言おうとした刻だったが、それをかき消すように派手な轟音が鳴り響き、同時に『渋谷荘』全体を大きく揺らした。

 それ(・・)が、先ほどまで自分が話していた同業者(・・・)によるものだとすぐに予想がついた平家は微笑みながら素っ頓狂なことを口にしていた。

 「……ったく、なんだヨ今のは。地震、ってわけでもネーだろうし……」

 「さぁ……なんでしょうね」

ニコリ、と含みのあるような笑みを浮かべる平家。刻からは見えなかったため彼は何も言わないが、平家の様子は明らかにこれ(・・)がなんで起きたのかわかっている……といったような顔つきだった。まぁ、実際わかっていたのだろうが。

 「そんなことより刻君。“エデン”専属の病院へ行ってきたと聞きました。医者はあなたの両腕の状態を何と?」

 「…………」

 すると、平家は話題を刻自身の事へと移す。虹次との闘いにおいて「片腕で一発ずつ」という制限を破って放った磁撃砲(ガウスキャノン)。今後に支障はないかを確かめるために病院へ行ったことを知っていた平家は、その結果を彼自身から聞こうとする。

 だが、当の刻は少し目を伏せてすぐに答えようとはしなかった。しかしそれも一瞬、彼はすぐに普段の明るい口調で口を開いた。

 「べっつに大丈夫ですヨ~? まー、ちっとはリハビリが必要とは言われたけど、大したことねーシ。ちゃんと柔らかい物でも揉みまくってリハビリしますヨ」

 問題ない、と言いたげに両手で何かを揉む動作をする刻。(彼の言う柔らかい物が何であるかは触れないが)

 しかし、長年の付き合いからか、それとも上に立つ者としての経験か……平家はそれで納得はしなかった。

 「嘘は無駄ですよ。……まぁ、日常生活は問題ないでしょう。ですが、あなたの両腕は磁撃砲(ガウスキャノン)どころか強力な磁力の放出にすら耐えられない状態。大方、あなたはもう戦えない……とでも言われたのでしょう?」

 「ッ──!」

 平家の言葉を受けて、刻は大きく目を見開く。そして、彼はそれを隠すかのように普段より声を張ってそれを否定する。

 「バ、バッカじゃねーノ!? んなワケが──」

 だが、落ち着きを欠いたその様子は誰が見ても明らかな事実を述べていた。

 平家の言葉は間違っていない……ということを。

 「まぁ、『コード:ブレイカー』として“悪”を裁く程度なら問題は無いでしょう。ですが、闘いとなればそうはいかない。虹次を斃すのは諦めた方が賢明でしょう。……仕方のないことと言えば仕方のないことです。あなたはそもそも異能を持っていなかった。寧々音から異能を分け与えてもらったという、あなた方が姉弟だったからこそなし得た奇跡があったから異能が使えていただけ。本来なら、異能を持たない一般人が途中から異能を貰い受けるなど──」

 「うるせぇ!!」

 畳みかけるように、冷静に事実を述べ続ける平家に、刻は我慢の限界を迎えてその胸倉を掴んで強制的に言葉を中断させる。そして、強い眼光を込めた眼を平家へと向けながら声を荒げる。

 「横からゴチャゴチャと勝手なこと言ってんじゃねぇ! 虹次はオレが斃す! あんまふざけたこと言ってっとアンタだろうとブッ斃して──!」

 ──パシッ

 「な──!」

 突然、平家は刻が咥えていた煙草を奪い取り、自身が咥えた。そして、深く煙を口内に溜めこむと……何の躊躇もなく刻へと向けてその煙を吐きだした。

 「──餓鬼(ガキ)が。仇を討ったらあの人が蘇るのか? 復讐なんて、所詮はお前の自己満足。それこそ、その辺にいる“(クズ)”と同じ……反吐が出る」

 「ゲホッ! なに、を……」

 「そして敵討ちも無理だとわかればすぐに煙草(これ)で自暴自棄。そんな甘ちゃんじゃ、一生かかってもあの虹次には勝てっこない」

 煙草をガリッ、と噛み締めながら厳しい言葉を刻へと浴びせる平家。咳き込みながらも反論しようとする刻だったが、普段の平家からは想像もつかないほどの厳格とした雰囲気に、彼は何も言えずにいた。

 そう、彼にできることといえば、せいぜい彼の言葉を認めまいと否定することだけだった。

 「テメェ……言わせておけば勝手に──!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「──将臣!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「──え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「将臣、それ以上あたしの可愛い弟いじめたら承知しないわよ?」

 振り返り、声がした方へと視線を向ける。そこにいたのは見間違えるはずもない……かつて彼の目の前で消えた人。

 あの日を境に、決して相見えることの無かった本当(・・)の彼女……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「この『コード:ブレイカー』……藤原寧々音がね」

 「ね、ねーちゃん……!?」

 刻が心から「姉」と呼べる相手……藤原寧々音だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




大神VS春人は都合によりダイジェスト風に……申し訳ないです
もう少しでこの章も一区切り……の予定ですがいつになるやら
お待ちいただければ幸いです



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