D.C.Street.Runners.~ダ・カーポ~ストリートランナーズ   作:ケンゴ

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初音島の走り屋
プロローグ


 1年中“枯れない桜”が咲き誇る初音島。

 そんな不思議な桜を研究する人間がいる傍ら、初音島に居住する島民たちは至って平凡な生活を送っていた。

 島民たちにとって枯れない桜は、あくまでも“普通の風景”として捉えられ、この島で生活する彼らにとっては特別に意識することでも無いからだ。

 

 そんな不思議な初音島にも、車への情熱を持つ者達が居た。“走り屋”と呼ばれる彼らは、夜ともなると自慢の愛車を走らせ、他車とのスピード競争に心を躍らせる。

 夜の“初音山”は島内の走り屋たちが一堂に介する絶好の走りスポットに化け、数々のドラマが生まれる舞台へと変わってゆく。

 

 

――しんしんと桜が舞っている。

 

――狂ったように舞っている。

 

――驚くほどゆったりと。

 

――音もなく。

 

――天使の羽のような花びらの散りざまは、まるで永遠を思わせる一瞬。

 

――夜空に浮かぶ明るい満月に照らされ、花びらは煌びやかに舞い落ちる。

 

――ただただ静寂に包まれる真夜中の初音山。

 

――しかしそれが長く続くことは無い。

 

何故ならこの場所は、走り屋たちの楽園なのだから――。

 

 

 

 

「ああ……俺って詩人(ポエマー)

 

 初音島に位置する、島内唯一のチューニングショップ“HATSUNE AUTO(初音オート)”のガレージ入口で、従業員の朝倉 純一(あさくら じゅんいち)が青空に向かって呟いた。

 

「訳の分からん事を言ってないでさっさと作業しろ」

 

 そんな純一に向かって声をかけるのは、このショップのオーナーである大城 剣太(おおしろ けんた)

 手に客の車の資料と思われるファイルを持っている彼は、ガレージ奥の白い車を指さす。

 

「……かったりぃ」

「てめぇ殴るぞコラ」

 

 ため息をつく純一に、怒りの感情を表すケンタ。

 

「ほらほら、昼休みまであと少しだよ?」

 

 壁にかかった時計を指さし、ニコニコしながら2人にそう言うのは、同じくこの店の従業員の白河(しらかわ) ことり。

 

「その後も仕事だろうが……」

 

 そう言う口調とは裏腹に満更でもない笑みを浮かべる純一。

 

 

 学園を卒業して別れも少なくなかったが、やはり仲間が集まる環境は楽しい。

 桜の花びらが舞う青空を見上げながら、ほんの少し先の未来を夢見た――。

 

 

―WARING―

 

本作品は架空世界であり、現実世界とは一切関係は有りません。また登場する人物名や地名、及び団体名称も全てが架空の物で、完全なるフィクションです。

実車では作品中と同様の操作を真似しないで下さい。一般公道において、本作品に記載されている行為と同様の操作をしても、間違いなく事故を起こします。

一般公道では法定速度や道路交通法などを遵守し安全運転を心掛けましょう。

自慢の愛車を豪快に走らせたい場合、閉鎖された私有地やサーキットなどのクローズドコースでの走行をお勧めいたします。

 

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