ソードアート・オンライン ―ファダーズ・ストーリー― 作:網緑 錆
あの日は、十一月にしてはやや暖かい日だったのを覚えている。
春に大学生になったばかりのぼくは、その日も本当は講義があったのだが、たった一万本しか販売されないという『とあるゲーム』を購入するため、講義をサボって電気屋の販売列に並んでいた。
ゲームの名は、《ソードアート・オンライン》。通称、《SAO》。
その自由度で、発売前から世間的にも有名になっていたVRMMORPG。夏に行われたベータ版サービスを体験したプレイヤー曰く、冒険や戦闘だけでなく生産系のやりこみ要素も充実しており『SAOの世界で暮らせる』とのことだ。
ちなみにぼくは夏休みを利用して、《ナーヴギア》というVR用デバイスを購入した際のローン返済のためにバイトを入れまくっていたので、とてもではないがベータ版に応募すらしている場合ではなかった。
電気屋の列で並びながら期待に胸を膨らませていると、列のはるか前方で歓声が起こるのが聞こえた。耳を傾けると、電気屋の店員が何かを言っている様だ。
「ソードアート・オンライン、販売開始です!」
販売が開始され、どんどん進む待機列。それから十分もしない内に、ぼくは無事、初回生産を手に入れることができた。
ぼくは、小さな頃に新品のゲームソフトを手に入れた時の様な胸の高まりを覚えつつ急いで帰宅し、すぐにVR用のデバイス《ナーヴギア》を装着する。
「待ちくたびれたよほんと……」
春頃には、バイト代と貯金にローンを合わせて《ナーヴギア》自体を手に入れてはいたのだが、いかんせん対応するゲーム自体が少なく、こっそり購入したアダルトなコンテンツを少し楽しむだけに終わっていた。
十万以上という、学生にとっては決して安くない値段を払った対価が性欲解消だけでは、あまりにもったいないだろう。
はやる気持ちを抑えて説明書を適当に流し読み、早速ぼくは魔法の言葉を唱える。
「リンク……スタート!」
視界が白くなり、幾本ものカラフルな棒状のオブジェクトが放射線を描いて広がった。その後に現れた入力画面に、自分のアバターの見た目や、その他詳細な項目を設定していく。
身長は百七十五センチ。少し痩せてる。髪の色は暗めの黒で、少しだけクセがあって、ややマッシュ気味。あまり特徴のない平凡な顔つき。奥二重で目力がないからか、ちょっとだけ、頼りなさ気。
自分とあまりに乖離したアバターを使うと、ゲーム内で鏡を見た時に認知のズレから違和感を感じてしまいそうな気がしたので、現実での見た目に近くなるように設定していく。
「あとは名前か……どうしようかな」
基本的に見た目そのままに設定しているので、アバターにはあまり時間はかからない。その分、いつも悩むのが名前だ。ネットリテラシーと自分らしさのバランス、そしてセンスが問われるものなので、個人的にはゲーム開始時の設定の中で一番難易度が高い作業だと思っている。
「……うーん、セン、で良いかな」
入力欄に《Sen》と打ち込む。
ぼくがネットゲームでよく使う名前だった。ぼくの下の名前の『千尋』の前半分を音読みにしただけ。
あとは、小さい頃によく見ていた昔のアニメ映画の主人公の女の子にちなんで。……ぼくは男だけど、細かいことは気にしない。
名前を入力した直後、ぼくの体は、異世界に降り立っていた。
「これが……SAO」
JRPGにありがちな、なんちゃって中世欧州な世界観の町の景色が眼前に広がる。今日がサービスインだと言うのに、既に他のプレイヤーがうじゃうじゃと町でうごめいていた。
ぼくは手を握って開いて、足で地面を踏みしめた。手の感覚、足の感覚、五感がきれいに機能している。人が多くて少しだけ埃っぽい。独特の『町の空気感』という繊細な要素まで、今のぼくには感じ取れる。
確かナーヴギアは脳に直接電気信号を流しているんだった。だから五感がリアルに再現される。その機能を最大限に活用しているのだろう。……アダルトの方は、技術力不足なのか、視界がリンクしているだけで、あまり楽しくは無かったからな……。
しかし、こんなにクリアに感覚が再現されるとなると、人類皆現実世界に見切りを着けて、仮想世界に生活を移したくなってしまいそうだ。そんな映画もあったっけ。
ぼくは数歩前へ歩き、振り返って今自分がいた場所を確認した。
時計台のオブジェクト、《転移門》……だったか。ログインした際の町への転送先はここになるのだろう。ということは、死んだ時のリポップの場所も、ここになるのだろうか。
とにかく、使用頻度の高そうな場所だ。覚えておこう。
「ねえ、君」
背後から急に若い女の声がした。若い声だが、落ち着いた低めの声。ぼくは声の方を振り返る。初期装備を装着した少女だ。茶髪のツインテール……では無いな。髪を結んでいる場所が肩くらいなので、どちらかと言うとオサゲに近いだろう。くるくるとしたクセ毛が特徴的だ。
身長は百六十はあるだろう。女の子にしては少し高いかもしれない。
顔もまあ整っているが……、ネットゲームの中だ。ぼくみたいな奇特な人間でもない限り、基本的には皆美男美女。ネカマという楽しみ方をする人種もいるし、目の前のこの子が、そもそも現実に女の子かどうかすら怪しい。
女の子はその整った顔についている形の良い小さめの口を開いて、続けて発言する。
「SAOは、初めて?」
「ええ、初めてです」
そう返すと、目の前の女の子はふわりと笑った。
「そうなんだ。私も初めてで、今、何すればいいかわからなくて。一人だとつまらないし、一緒に回ってくれたりしないかな」
「……そうですね」
一瞬、考える。
ぼくはソロ志向のプレイヤーだ。
他のゲームでは都合、パーティを組むこともあるが、基本的には一人で冒険して、一人でゲームを楽しみたい。
ネットゲームに親しんでいる玄人は、非効率的だと嗤うのだろうけど、ぼくは基本的にそういう楽しみ方なのだ。
とは言え、ここはVR。携帯端末のアプリケーションとは違う。仮想とは言え現実だ。目の前にいるのは人間。初対面の人を無下にするのは、ぼくの度胸では出来ない。
「それでは、あの、是非、お願いします。ぼくも、一人じゃつまらないかな、って思っていたところなんですよ」
気を使って微妙に嘘をつく。目の前の女の子が少しだけ口の端を上げる様子をみて、ぼくは自分の嘘に満足した。
「私、スノウ。よろしくね」
スノウは名乗りながら手を差し出してくる。握手か。これもフルダイブならではだ。
ぼくは握手に応えながら、微笑んだ。なんか、楽しくなってきた。
「ぼくはセン。こちらこそよろしくお願いいたします」
「よろしく、セン。……でも」
「なんですか……?」
「敬語、やめよっか。堅いから」
「あ、ああ……敬語になってた? そう、だね。やめることにする」
自分でも気づかなかった。まあ、初対面の人相手だったらつい、無意識に敬語になってしまうものだろう。
スノウはそうならない辺り、ネットゲームに慣れているのだろうか。
そんなことを真面目に考えていたら、スノウは握手していた手をそのまま引っ張ってきた。
「それじゃ、早速、この街を回ってみない?」
「ああ、わかった。とりあえず、メインクエストを受けに行かないと、だよな。ところで……」
一つだけ気になっていたことがあった。
「こんだけ人が沢山居るのに、何でぼくに声をかけたんだ?」
問うぼくを振り返ると、スノウは悪戯っぽく笑う。
「こんだけ美男美女が居る中で、君だけ平凡な顔してるから、ちょっと親近感かな」
これはこれは、失礼な話だ。
「平凡はまあ、良いとして……。親近感?」
「君、アバター作るの面倒だったんでしょ? 私もアバター、ほとんどリアルの見た目と一緒なんだ」
だとすれば、スノウは『平凡なぼく』と違って結構な美少女になるわけだが。……話半分に聞いておこう。どうせ、確かめる方法なんて無いんだから。
○
先程まで居た《はじまりの街》のすぐ外にある草原でぼくは片手剣を天に掲げ、目の前の猪型モンスターに向けて、振り下ろす。途中まで振り下ろすと、体が《自動操縦》で半ば勝手に動き出す。その動きに逆らわないように力を込めると、そのスピードは更に早くなる。
「よいしょお!」
気合の一声とともに剣が猪に沈む。猪はヒットポイントを全損させると、光の破片となって消えた。
このゲームには《ソードスキル》というものが実装されている。スキルの発動モーションをすると、勝手に体が動いて剣技を発動させてくれるというシステムだ。
確かにこういうシステムが無いと、勝てるのは剣道有段者だけ……みたいなゲームになってしまうもんな。
「お見事。今のは《バーチカル》だね」
少し離れて見ていたスノウが冗談めいた拍手をしつつ声をかけてきた。
ぼくは片手剣を腰の鞘にしまいながら頷く。
「うん。だいぶ慣れてきたかな。そっちはどう?」
「もちろん」
スノウは腰の細剣を抜くと同時に、体の中心から突き技を放つ。《リニアー》というソードスキルだ。
「上手でしょう?」
「流石はスノウ」
冗談っぽく言うスノウに対して、ぼくはさっきのお返しのように拍手をした。
ログインしてから何時間経っただろうか。ぼくとスノウは《はじまりの街》で武器を調達し、街近郊の草原で受けられるサブクエストを着実にこなして、攻略を進めていた。
このゲームは百の層からなるフィールドを駆け上がり、最上層にある紅玉宮なるところにいるボスを倒すとクリアになるらしい。
世の中には信じられない速度でゲームをクリアするひとがいるので、運営型のゲームでクリア目標が出てしまうというのも珍しいような気がしたが、おそらくはまだ、十層くらいまでしか作られていないんじゃないだろうか。それで、アップデートで層が増えていく……みたいな。
ただ、そもそも、一層一層がとんでもなく広いので、百層までたどり着くのに何年かかるのかすら想像がつかない。
「そろそろ街に戻るか。猪の牙も集め終わったし」
ぼくはステータスウインドウを開き、アイテムを確認する。今受けているサブクエストを終了させるために必要な素材アイテムである猪の牙が丁度二十個。
これでまたいい武器を手に入れられそうだ。
ぼくとスノウは街に向かっていそいそと歩き始める。ファストトラベルがないので、移動に時間がかかってしまうのがこのゲームの面倒なところではある。
だが、さすがはVR。景色が細部までつくりこまれているので、飽きることがない。散歩好きのぼくとしては、歩いているだけでも楽しいゲームだ。
「セン、ちょっと気になっていたのだけど……」
スノウが歩きながら聞いてくる。視線は、草原で狩りをしている他プレイヤーの方に向いていた。
「どうした」
聞き返すと、スノウは他プレイヤーの方を指差した。
「あれ、見て」
言われた通り、ぼくは指先の延長線上で必死に戦うプレイヤーを見た。
ぼくと同じく片手剣をつかっている。猪のモンスターと退治している彼が剣を掲げると、剣に光が集まり、《バーチカル》が発動した。
「《バーチカル》で狩りをしてる……そんな、何の変哲もない風景に見えるけど」
ぼくが首をかしげると、スノウが「じゃあ、気のせいなのかな」と唸る。
「君の《バーチカル》、他の人と比べて妙にモーションが速く見えるの」
「そうかな……。あ、あれかも。ぼく、ソードスキル撃つ時に《自動操縦》の後押しをしてるんだよね」
ソードスキルの動きを邪魔すると、キャンセルされてしまうというのは知っていた。逆にソードスキルの動きを邪魔しない、動きの後押しをしてみたらどうなるのだろうかと思って猪を狩っている途中に試してみた。すると、動きが速くなったのだ。
それを伝えると、スノウは率直に驚いてみせた。
「私、何も考えずに剣、振ってた。今度から意識してみる」
落ち着いた声色からは判別しにくいが、張り切っているみたいだ。そんな様子を見ているのも心地いい。最初の、パーティプレイに気乗りしなかったぼくはどこへやら。スノウと冒険するのが結構好きになってきていた。
その時、突然鐘のなる音がした。
「ん……? 何だろ。夕方のチャイムかな」
ぼくは立ち止まる。スノウもぼくの横で立ち止まる。彼女が「分からない」と言った直後、ぼくの見ていた景色は一瞬で別のものになっていた。
「……バグか?」
移動している。
草原に居たはずなのに、いつの間にか《はじまりの街》の広場にいる。隣りにいたはずのスノウも居ない。周囲を見ると、ぼくと同じく慌てている人が沢山居る。
ここまで意図的に集められたとすると……バグじゃないな。多分、イベントだ。
ぼくと同じ結論に至った人が現れ始めたのだろう。周りのプレイヤーたちも落ち着きを取り戻し始めた。
強制イベントなんて、ユーザーフレンドリーではないけど……。まあ、ぼくは街に戻る手間が省けてよかったかな。
ステータスウインドウを開くとパーティメンバーの中にスノウの名前もあった。後で探して一緒にこのイベントに挑もう。きっと誘ったら乗ってくれるはずだ。
勝手にこれからのことを計画していると、広場にどよめきが起こる。周囲の視線を盗み見て、その視線の先をぼくも追いかける。
空に、ローブを纏った人間が浮いていた。
確かSAOには魔法が無かったはず……。いや、違うな。あのアバターはゲームマスターだ。……ということは、やっぱりイベントだ。
ゲームマスターの顔は、フードに覆われていてよく見えない。が、フードの奥が、揺れた気がした。
「プレイヤーの諸君、私の世界にようこそ」
二年の歳月と四千人の命を奪った忌まわしき事件、SAO事件の始まりだった。
○
ぼくは、騒然とした群衆の中、スノウを探していた。
焦りでパニック寸前ではあるが、探すという行為に没頭しているお陰でなんとか動けている。
諸君らの脳は、ナーヴギアによって破壊される。
あのゲームマスターの、いや、このゲームを作った人間、茅場晶彦の言葉はわかり易すぎるほどに単純だった。
一つ、このゲームからログアウトすることは出来ない。
一つ、このゲームでのゲームオーバーは死を意味する。
クリア条件は百層の突破。その冒険に挑むぼくらへのプレゼントが、《手鏡》。
ぼくは周囲を見渡した。さっきまで美男美女の群れだったのに、一瞬にして、平凡な雑踏と化している。
ぼくらのアバターは《手鏡》によって、壊されてしまった。
正確に言うのであれば、アバターが現実の顔そっくりになってしまったのだ。それがこの仮想現実でのデスゲームを、より現実として強く認識させる要素となっている。
「セン!」
ぼくは名前を呼ばれ、声の方を振り向く。スノウと思しき女の子が手を振ってぼくの方へと走ってきていた。
「……スノウ、だよな?」
ぼくは自信がなくて疑問形を投げかける。
さっきまで一緒にいた『スノウ』よりも肌が白く、左目に泣きぼくろが一つ。顔の雰囲気も、パーツそれぞれはほぼ同じだが、先程の美少女と言うよりは、美人な印象だ。
スノウははっと気がついたように両手で顔を覆い、その後すぐにえいやっと外した。らしくないコミカルな行動に思わず笑ってしまう。
「……女性の顔に文句を言うのは、関心しないぞ」
「ぼく、何も言ってないんだけど」
まあ、とりあえず。
「まずは合流できてよかった」
「ええ、そうね……。でも、センは、本当にそのまんまね」
スノウはぼくを見ると、少し笑んだ。
個人的にはちょっと違う部分もあるような気がしているのだけど。
「少し、移動しようか。ここだといつパニックに巻き込まれるかわかったもんじゃない」
ぼくはスノウに提案する。スノウがうなずき、ぼくとスノウは、広場を抜け出した。
《はじまりの街》には各種施設が揃っている。ぼくらが向かったのは、大通りに面した喫茶店だった。
NPCの店員に、先程の狩りで手に入れた《コル》という通過を渡すと、冷たい飲み物が出てくる。仮想現実なので本当にそういうわけではないのだろうが、のどが渇いていたので、ぼくは一気に飲み干してしまった。
「なんだか良い飲みっぷりだけど……これから、どうしようか」
スノウは軽口を交えながらため息をついた。彼女は他のプレイヤーたちと違って随分と落ち着いている。それは、ぼくも同じだ。やはり知っている誰かが居ると言うだけで心強い。
ぼくは少し考えてから、答える。
「大きくは、二択。この場所で事件の解決を待つか、ゲームクリアを目指して攻略を始めるか。どっちもリスクは大きいと思う」
「リスク?」
聞き返してきたスノウに、ぼくは頷いた。
「攻略するにしても、ゲームオーバーで死んでしまうリスクが有る。待つにしても、あんまり長い期間だと栄養失調で死ぬ。……スノウは、一人暮らし?」
「いえ、実家で暮らしているわ」
「だとしたら、とりあえずは安心だ。入院すれば点滴なりで数年は生きながらえられる」
「……君は?」
「一人暮らしだ。けど、学校に友だちもいるし、実家にいる弟は、ぼくがSAOを購入するということも知っている。一万人のプレイヤーがリアルに戻らない大事件だ。ニュースになるし、そうしたら必ず部屋に来てくれる」
確証があるわけではない。恐らく、一週間だ。飲まず食わずでいるなら死ぬまで一週間。それまでに見つけてもらえなければ、それで死ぬ。
その不安はあるけど、それを今スノウに伝えてもしょうがない。
「一応、ふたりとも数年間は待ってても死ぬことは無さそうだね。……スノウは、どうする」
スノウは顎に手を当て、考える素振りを見せると、険しい顔をした。
「……私は、攻略しようかな。恐怖にかられてここでゆっくり死んでいったら、きっと後悔するから」
「そうか……」
ぼくは少し逡巡する。攻略に参加するか、しないか。そもそも死なないようにすることが絶対であることを考えると、一つの可能性が湧き上がってくる。
可能性とはつまり、悪人の存在。
一種のサバイバル空間と化したこの世界で、全員が全員、正気を保ち続けてルールに則った行動をするとは思えない。
より強い装備を、より大きな経験値を……。攻略に必要なリソースを、もしくは、このデスゲームでの安全を求めてプレイヤー同士が争い始めるなんてことは容易に予想出来る。
ならば、ぼくの採る行動も一択だ。
「じゃあ、ぼくもついていこう」
より早く決断し、このゲームの攻略をスタートして、自分の身を守るだけの力を着けること。
「良いの? 死ぬかもしれないわ」
スノウは確認の問いかけをぼくに投げかける。ぼくは「大丈夫」と返して続ける。
「ぼくは死ぬほどの無茶はしない。スノウも、死ぬ気は無いんだろう?」
彼女は、微笑んだ。
「ええ、勿論。……絶対に、生きて帰りましょう」
「ああ……」
打算的に考えると、右も左も分からないデスゲームの最序盤で彼女のような存在を味方につけられたのはかなりのアドバンテージだ。
アドバンテージ。そう。少なくともこの時は彼女に対してそういう認識を持っていた。
ぼくの人生を大きく変えた《ソードアート・オンライン》。一人の狂った科学者が作った世界でぼくは、彼女は、静かに戦い始めた。