艦隊これくしょん 艦娘たちと提督の話   作:しゅーがく

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※注意 今回は端島鎮守府艦隊司令部所属 航空母艦 瑞鶴の瑞鶴航空隊艦戦隊一番機付きの妖精の視点で話を書いています。



第12話  提督と司令官 その4

 私は端島鎮守府艦隊司令部所属 航空母艦瑞鶴 瑞鶴航空隊所属 艦戦隊一番機付き妖精。名前は教えない。瑞鶴さんが建造されてからずっと一緒に戦ってきた私は、今日も単機・ロッテ・飛行隊規模での技量向上を目的に訓練を始めていた。

瑞鶴さんは実に意欲的だと思う。先輩である加賀さんに突っかかっては、色々な意味の入り混じった言葉を糧に航空隊の練度を上げようと勉強しては実践し、私たちと一緒にあれやこれやと考える。昨日も夜遅くに艤装に集まり、格納庫で会議をしたものだ。こういう機動を相手が取った場合の対処、周りはどう動くべきか、標的にされた場合の離脱はどうするか等々。

今日はそれを実践に移すべくして、愛機の零戦二一型に搭乗する。

 零戦二一型もかなり長く乗っているが、かなりの愛着がある。零戦の最初期型である艦載能力がない零戦一一型に着艦装置を取り付けたものではあるが、それでも20mm機関砲の威力は凄まじいの一言に尽きる。被弾させれば一撃。翼に大穴を開けるか、発動機に当てて止めるか、燃料タンクに当てて爆発させるか、コクピットに当てるか……どれも被弾すればただじゃな済まない被害を与えることが出来る。機首にある7.7mmも装弾数が多いので、零戦の継戦能力を伸ばしている。素晴らしい艦載機だ。

 ただ、気になることがある。それは何年か前、横須賀鎮守府と合同でアメリカに行った時の戦闘記録が残っていたのだ。それを資料室で見つけた瑞鶴さんは、私たちにそれを見せたのだ。

そこには、詳細な戦闘記録と航空戦に関する報告が綴られていた。そこで気になったところがあった。横須賀鎮守府から派遣されてきた空母の艦載機は零戦二一型や九九艦爆、九七艦攻ではなかった。真意を確かめようにも手段が無いから、いつか来るであろうチャンスの時に聞いてみようと思う。そこから得た情報で瑞鶴さんと一緒に、また作戦会議だ。

 

『あー、あー。聞こえる? 今日は昨日の実践。相手は翔鶴姉に頼んであるから翔鶴航空隊よ。気を抜かないでね』

 

 搭乗員妖精が待機している部屋で、全員がスピーカーから聞こえてくる瑞鶴さんの声に耳を傾ける。

これから実戦形式の訓練が始まるのだ。

 刹那、艦内にサイレンが鳴り響き、状況が伝声管から艦内全体に流れ始める。

 

『偵察機より入電。敵編隊接近。迎撃隊は速やかに出撃せよ。繰り返す。敵編隊接近。迎撃隊は速やかに出撃せよ』

 

 ザッと室内にいる艦戦隊の妖精たちが立ち上がり、甲板へと駆け足で出て行く。私は艦戦隊で隊長機をしているので、そのまま甲板には行かずに戦闘指揮所に走り込んで状況を頭に叩き込む。

そのまますぐに戦闘指揮所を飛び出し、甲板に出て艦橋横に置いてある黒板を使い、隊員妖精たちに状況説明を行うのだ。速やかに。

 

「敵編隊は艦首2時方向、高度1200m、距離12000、数36。艦戦隊はこれを迎撃。高度を2000まで上げてから攻撃だ」

 

 妖精たちは頷き、エレベーターから次々と出てくる自分の機体に散っていく。

私も自分の機体に向かい、コクピットに滑り込んだ。そのまま発艦準備を済ませて命令が下るのを待つ。そうこうしていると、甲板作業員のうちの発艦指示妖精が身振り手振りで発艦する命令を伝えてくる。私はそれに従い、発動機出力を上げて離陸速度まで一気に速度を上げて発艦。

揚力を得るために開いているフラップの位置を確認し、ランディングギアを格納。速度が乗ったらフラップを閉じ、次々と飛び立つ後続の先頭で隊を集合させる。ここまでに7分は掛かっている。速く編隊を組み、上昇しないと迎撃に間に合わない。私はすぐに無線で上がってきている機体に命令を下す。

 

「各飛行隊は菱形陣形を形成し、編隊陣形はV字。長機は先頭だ」

 

 24機で一個艦戦隊を形成し、3つに分かれて一個飛行隊。、小単位編成(ロッテ)が二個分隊で一個小隊を形成する。

つまり一個飛行隊は二個小隊。艦戦隊で総数六個小隊だ。だが、基本的に戦闘は小単位編成である2機一個分隊で行う。僚機が撃墜された場合は、近くの小単位編成に編入され3機ないし2機で行動する。これが航空戦の基礎中の基礎だが、とても重要なことだ。単機でのシングルコンバットの成績も重要ではあるが、それは編隊を組んでいない場合であって、こういった場合は隊での戦闘が重要視される。

 

『『了解』』

 

 空へと舞い上がった24機の零戦二一型は、それぞれが周囲の警戒をしながら、会敵するであろう空域へと向かっている。

私は頭の中で状況を反芻、整理しながら、僚機ないし艦戦隊を生き残らせる方法を考える。練度を上げていく必要がある。そうしなければ生き残れない。

 

「ッ!!」

 

 瑞鶴さんまであと5kmのところで、私は下方を飛行中の編隊を発見。数は32。

出撃前に戦闘指揮所で受け取った状況と参照すると、こちらに接近中の編隊は36機。電探室のミスを最初に考えたが、あり得ない話でもなければ、あってもおかしくない話でもある。どっちが正しいかなんて分からない。

すぐに迎撃隊の隊員妖精も気付き始め、私に無線を入れてくる。

 

『隊長!! 報告と数が!!』

 

 2番機の妖精だ。言われなくても分っている。速く手を打たないと……。

 

『11時方向!! 敵機4、襲来!!』

 

 しまった!!

 

「第三飛行隊は襲来する敵機を相手しろ!! 第一、第二飛行隊は11時方向の対応に当たれッ!!」

 

『『了解っ!!』』

 

 すぐに命令を飛ばし、編隊の左翼、第三飛行隊が11時方向に回頭。私は操縦桿を左に倒し、発動機の出力を落とす。制限速度を超過して空中分解なんて訓練でやらかしたら大目玉だ。司令官に怒られるか、瑞鶴さんからお小言貰うことになる。もしこの訓練を加賀さんが見ていたら、瑞鶴さんはきっと嫌味を言われる。それは何としてでも避けたい。

 16機の零戦は私と同じように下方旋回しつつ降下態勢に入る。

既に相手の編隊もこちらを察知している頃だ。さっき接敵した4機の零戦はきっと、無線で編隊に迎撃隊の位置と数を報告しているハズ。恐らく、こうして効果している機数もだ。そしてこれは訓練であること。こちらが瑞鶴航空隊で、自分が翔鶴航空隊であることは分かっている。こっちの手の内も知っているし、私たちも翔鶴航空隊の艦攻・艦爆隊の癖も知っている。

身内での訓練ではあるけれど、日々訓練と演習を重ね、時には実戦に参加しながら実力を磨き上げていっている。もしかしたら、今日、翔鶴航空隊で何か新しいことをするかもしれない。そんなことを考えていると、敵編隊と交戦距離に入る。既に視認距離には入っているが、お互いに攻撃はしなかった。離れすぎている相手に機銃を撃ったところで、当たること等ほとんどない。ならば、大人しく接近してくるまで待つのが常識だ。

 

「第一、第二飛行隊は散開(ブレイク)ッ!! 第二飛行隊は芋虫(攻撃隊)の掃除、第一飛行隊は羽虫(護衛)を撃ち落とすぞ!!」

 

 無線で了解の声がいくつも届く。ここからの命令はそれぞれの飛行隊長に譲渡され、私の指揮下には第一飛行隊のみが残る。

既に第二飛行隊長が命令外にならない程度の、追加命令を下しているところだろう。攻撃隊をいかに素早く撃ち落とすか。私もすぐに自分の隊に命令を下す。

こちらは護衛で残っている6機と、早々に終わらせたら第二飛行隊の援護に入る。若しくは戦闘空域から離脱し、周辺警戒だ。今回の場合だと、攻撃隊がこの一隊だけでない可能性を考慮し、数機は空域から離脱させて情報収集に当てるのが良いだろう。

そうと決まれば話が早い。

 

「第一飛行隊は小単位編成に分かれて各個に攻撃ッ!!」

 

『『『『『『『了解ッ!!』』』』』』』

 

 最後までついて来ていた菱形陣形が散開。私の後について来ているのは2番機だけ。相棒だ。

既に乱戦に突入している他の小単位編成は初撃で数機撃墜している。私たちもうかうかしていられない。

 

「囮は私がやる!!」

 

『いつものやつですね!!』

 

「そう!!」

 

 右斜め後方を飛行している僚機とも散開。私は同じ飛行隊の背後についていた敵機を捉える。胴体のマーキングでは長機ではないが、飛行隊長だ。その機体が追っている味方を、別の角度から攻撃しようとしているのが僚機だ。現在の突入角ならやはり背後に付いている機を狙い、離脱。もし討ち損じても、僚機が尻拭いをするはずだ。もし一撃だったならば、僚機が敵の僚機を狙う。恐らく急旋回をして被弾面積の広い面を狙うはず。もしそうなったとしたら、私のするべきことはただ1つ。僚機に攻撃させないこと。周囲警戒をし、敵機が接近中なら攻撃だ。

 

「ぐうぅぅ!!」

 

 全身に襲い掛かるGに耐えながら、私は撃鉄を落とす。既に照準器には敵機が捉えられている。真ん中だ。

刹那、機体が揺れる。攻撃だ。翼内と機首にある固定武装が火を噴き、高温の鉄の塊が光を発しながら空に一本の線を描く。

 

「これで良い!!」

 

 チラッと右斜め上に僚機が見える。襲撃にはもってこいの位置取りだ。

 

『敵機撃墜!!』

 

「すぐに散開!!」

 

『よっしゃ!!』

 

 僚機が私の前方を飛んでいた敵機を撃墜したので、そのまま離脱。他の敵機に狙いを定めていく。

 護衛戦闘機隊との乱戦は20分に及び、瑞鶴航空隊の被害は被撃墜9、被弾11。ほぼ全機が損害を与えられて終わる結果に至った。

翔鶴航空隊も護衛戦闘機隊は全て撃墜し、攻撃隊の9割を撃墜。瑞鶴さんまで到達したのは1機だけだった。これにも一応、艦載機銃の訓練ということで、対空砲火の中を九七艦攻が魚雷投下を行うが、投下手前で撃墜判定。結局、母艦に被害は無しという結果に収まった。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

 撃墜判定を受けた艦載機は既に収容が済んでおり、最後まで飛んでいた私や僚機、その他数機は遅れて母艦に着艦する。もう着艦も慣れたもので、失敗することは無くなった。

着艦装置にワイヤーをひっかけ、急制動。発動機出力を落とし、最終的にはプロペラの回転も止める。計器を確認して、残燃料も確認。残弾もおおよその数は覚えているので、そのまま手元の紙に書き写して降りる準備をする。

 既に乗艦整備妖精が待機しており、私は相手に紙を手渡しする。

 

「はいこれ」

 

「ありがとう。あとお疲れ様」

 

「うん」

 

 それぞれに担当の整備妖精が付いている訳では無いが、整備妖精がどの機体を整備するかは個人が決めることらしい。私の機体も、今紙を渡した妖精がよくやってくれる。

 甲板からすぐに今回の訓練に参加していた航空妖精が集まる部屋へと足を向ける。

最低限やらなければならないことを済ませてからでないといけない。なので急ぐ必要はなく、私も歩いて艦内を移動していた。その間、艦内配置の妖精たちの会話が耳に時々入ってくることがある。その内容は、今日の夕食のことや他愛もない噂話がほとんどだが、今日に限っては違う。噂話ではあるが、信憑性が高く、私としても気になるないようだったからだ。

 

「今日来てる横須賀の提督。甲板配置の子が言ってたんだけど、見学で外に来ているみたいだよ」

 

「ほんとに~? 横須賀って忙しいって聞いたけど、何かあったのかな?」

 

 ここで黒い話が出てこない辺り、流石妖精といったところだろうか。私も黒い方を疑っていないので、自分が妖精であることを同時に自覚した訳だけど。

立ち止まって詳しい話を聞いても良いんだけど、流石にそれは不味いので目的の部屋に向かって歩き続ける。

 道中、噂の話は聞こえてきたが、どれも同じような内容だったので、後半は聞き流していた。もう部屋に到着しているので、頭を切り替えないといけない。

ここには今回参加した航空妖精と瑞鶴さんがいる筈だ。私も気を張って、今回の反省と改善点を議論しないといけないな。そう考えながら、私は部屋へと入っていった。

 




 最近忙しいのと、ゲームにお熱なのであまり書けていません(汗)
違和感を持つ方も多いと思いますが、これくらいが本来の更新頻度だと思うんです。苦しい言い訳ですけどね。
一番最初から読んでいただいている方からすると、かなり期間を開けたと思われると思います。上記のようなことになっていますので、ご容赦を。

 今回は提督視点ではない視点で書きました。伊勢の時然り今回然り、時々このように別視点での話を挟むと思います。その際は前書きをよくお読みください。
今回は本文に書いてありましたが、伊勢の時のように書いてないことの方が多くなると思います。

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