「アイドル嫌いの俺」の妹がアイドルになりました。 作:黒須レイク
とある運命の日
春、心機一転新しい生活が始まる季節。
高校二年生の始業式に向かう途中の公園。周りを見回すと新しい制服だからだろうかはしゃいでいる学生たち、朝からあわただしそうにしているサラリーマンの男、仲良さそうに歩いているおじいさんとおばあさん。
「なんというか毎年の光景だなぁ」
「私たちも将来あのおじいちゃんたちみたいになりたいですね」
「あのなぁ...」
俺の言葉に反応したのは双子の妹卯月だった。
「何度も言うようだけど俺たち双子の兄妹だからな」
「そうですよ。だからずっと一緒です」
「さいですか」
俺の言葉は受け入れてもらえなかったらしい。
「あっそろそろ駅ですねじゃあお兄ちゃん行ってきます」
「あいよ行ってらっしゃい」
「いってきます!」
笑顔で去っていった妹を見ながら俺の妹はやっぱりかわいいなと思いつつ俺も学校へ急いだ。
簡単に挨拶をかわし席に着くと隣に座っている幼馴染の神谷奈緒に話しかけられた。
「おはよー、春花」
「おー奈緒かおはようまた一年よろしくな」
「おう。よろしくな」
奈緒とこぶしをあわせる。奈緒とは小学校からの腐れ縁で昔はよく卯月と三人で遊んだもんだ。
「そういえば今日も卯月を駅まで送っていったのか?」
奈緒に聞かれる。
「あぁ、そりゃ大事な妹だからな駅まで送るさ」
「相変わらずシスコンだな。どーせ卯月の方もなんかいつまでも一緒みたいなこと言ってたんだろ?」
「俺はシスコンではないけど卯月に関してはなぜわかったし。もしかして奈緒ってエスパー?」
「そんなわけないだろ!」
「相変わらず良いツッコミをお持ちで」
「普段から春花たちと関わってたらな」
「そんなにつっこむところあるかなぁ?」
「あるよ!そういうところだよ!」
奈緒がぜぇぜぇと息を整えている。なんでもつっこんでくれるから奈緒であそ...奈緒と遊ぶのは本当に楽しいな。
「今...失礼なこと考えただろ...」
「そんなことないぞ。息を整えている奈緒はかわいいなって」
「あーもーそういうこというなよ!恥ずかしいだろ!」
奈緒がそっぽ向いてしまった。ちょっとやりすぎちゃったかな。
「奈緒、すまん調子に乗りすぎたってなんかおごるからさ、なっ」
「パフェ...」
「ん?」
「駅前の喫茶店のイチゴパフェ」
「わかったよ。それで手を打とう」
「うん」
奈緒が嬉しそうにこっちを振り向いて微笑んだ。
ここで一つ皆様にお話ししておこう俺の妹島村卯月は俺が言うのもなんだがブラコンである。
すっごいブラコンである。幼馴染の奈緒も知っているくらいである。
そんな卯月が別の学校に行ったのは理由がある。それは......
それは私が「アイドル」になりたいからです。アイドルになるために私は断腸の思いでお兄ちゃんから離れたのです。でも...今になってその決意が揺らいできています。もう何年も養成所で頑張ってきたけど全くオーディションに合格する兆しはない。この前の346プロ?のオーディションもどうやら落ちていたみたいだし。
「私、アイドルになれないのかなあ」
そう口に出したら本当に道は閉ざされてしまうようで。
「島村卯月!頑張ります!」
そう自分を鼓舞しながら養成所に向かった。
奈緒にパフェをおごり途中まで一緒に帰った後少し回り道をして帰ろうかと唐突に思いついたので歩いていると花屋を見つけた。どうやらFlower Shop SHIBUYA という名前らしい。
「どうせならリビングに飾る花でも見るか」そう思い花屋に入ることにした。入ってみると少し不愛想なような女の子が店番をしていた。いろんな花を見ているとなかなか面白いものがあり見入ってしまっていた。結構時間がたっていたようで
「どうかしました?」
と店番をしていた女の子に話しかけられてしまった。
「いや最初はリビングに飾る花でもと思って店に入ったんだけど見てるとなかなか面白くてね。」
「へぇ男の人でそういう人って珍しいですね」
「そうかな?って店員さん相手になれなれしくすみません。」
「いいですよ。私の学校の先輩みたいですし。」
「えっ?」
確かによくみるとお店のエプロンの下の制服は同じ学校のものだった。
「私は渋谷凜です。よろしくお願いします。先輩。」
「俺は島村春花だ。よろしく。ってそんなことはおいといてごめん何かリビングに飾るようなものを頼める?」
「かしこまりました。」
そのあと俺は花を買い帰路へと向かうのだった。
家に帰ってスマホで時間をつぶしぼーっとしていると玄関から「ただいまー!」っと卯月の声がしたので玄関に向かった。そこには案の定卯月がたっていた。
「卯月おかえ...「おにいちゃん!」..ん?」
なにか卯月がそわそわしている。まさかっ!彼氏でもできたのか?いやでも卯月はブラコンだしいやでも俺からそろそろ卒業してもらわないとまずいか?そんなことを考えていると卯月から
「私...私アイドルになれたよ!」卯月は満面の笑みでこう言った。