せっかくモードレッドに憑依したんだから遠坂凛ちゃん助けちゃおうぜ!   作:主(ぬし)

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誤字修整をしてくださる方々に感謝!!助かります!!


6話

‡凛ちゃんサイド‡

 

 

私はアーチャーのことを誤解していた。『弓使い(アーチャー)』のクラスとして顕現したからには、当然、それに即した戦い方を”強制”されるのだと思い込んでいた。

昨晩、モードレッドについてお父様が遺した西洋の図鑑で調べてみたけれど、およそ弓矢の扱いに優れていたという伝承は見当たらなかった。それ故、背負う大剣クラレントは果たして彼女のクラス適性を阻害するのではないかと疑っていた。せっかくの円卓の騎士の一角(モードレッド)を、もっとも相応しかったはずの『騎士(セイバー)』として召喚できなかった自分の不手際を密かに嘆いていた。

だけど、それは全て杞憂だった。こうして実際に彼女が戦う様子を目にして、私は認識をガラリと改めた。

 

「ちぃっ!」

 

ランサーの鋭い舌打ちが耳朶に滑り込む。それは彼にとって紛れもなく苦戦(・・)の証しだった。

アーチャーのバトルスタイルは、彼女の攻撃的な存在感(シルエット)とは正反対に、とても堅実だった。ガツッ!と思わず首を竦める衝撃音が鳴り響く。けれど、それはアーチャーにとっては予想していたことで、ランサーは予想していないことだった。槍兵が何度目かもわからない歯噛みをして犬歯を剥き出す。アーチャーが鎧の腕部を盾代わりにして槍の一撃を絶妙な角度で受け払ったのだ。その俊敏な動作はまるで猫化動物のようで、重厚な全身甲冑(フルアーマー)に身を包んでいるとは信じられないほど素早かった。鋼鉄に弾かれた銃弾のようにランサーの長大な槍の先端があらぬ方向に向く。

 

「はあっ!」

「くッ!」

 

朱槍の動きが乱れた隙を狙って繰り出されたクラレントの目にも留まらぬ横薙ぎをランサーが半身をひねって危なげに回避する。ランサーも手強い。

 

「おい!てめぇ、本当に弓使い(アーチャー)かよ!」

 

肩甲骨を覆う分厚い僧帽筋が当人の苦々しい感情を表すように歪む。私のような素人にもランサーの置かれた状況が一目で理解できた───攻めあぐねている(・・・・・・・・)

 

「アーチャーだとも」

 

冷静に応じるアーチャーは、しかしクラレントを下段に持ちつつ、ランサーに対して鎧の肩当てを突き出すようにして防御偏重の構えを取る。まさに質実剛健といった王道的な剣士の姿は、到底弓使い(アーチャー)のイメージと乖離していた。そのスタミナと守備を優先したバトルスタイルは、控えめに見てもランサーにとって相性悪く思えた。おそらく、アーチャーがその勝ち気な見た目に即して「オラオラァ!」と守りを捨てた攻撃偏重スタイルで食って掛かっていたら、ランサーは我が意を得たりと返す刀でカウンターを放っていただろう。

だけど、そうはならなかった。今、カウンターに恐れを抱いているのはランサーの方だ。ほとんど鎧らしいものを装備していないランサーは一撃が命取りになるけれど、全身鎧のアーチャーはそうではない。さらに、彼女の頑丈な鎧と巧みな守備を破るためにどうしても大振りにならざるを得ない長槍のランサーは、己のスタミナ切れの心配もしなければならなくなる。

 

「なんてこと……!」

 

最強格だと畏怖していた敵サーヴァントが───あれほど恐ろしく見えていたランサーが───私のサーヴァントに対して、攻めあぐねている!互角以上に戦えている!

 

「アーチャー、アンタ……凄いじゃない!!」

 

私は先ほどまでと180度違う感情に打ち震えていた。これは武者震いだ。アーチャーは間違いなく強い。クラス適性のハンデすらハンデになっていない。私は当たり(・・・)を引いたのだ!これならきっと、最優のセイバークラスにだって負けない。どんな姿のセイバーが現れようと、もう私は驚きもしないに違いない!




前話にて、別の拙作のキャラクターとの関連性を仄めかす描写をしました。ちょっとだけ悩みましたが、「自分が書きたいように書こう」と開き直ってしまいました。不快まで行かなくても頭にハテナが浮かんだ人がいるに違いないので、素直にその人には謝りたいです。申し訳ない。こういう作者の自己満足みたいな内輪ネタって没入感が冷める原因だというのは重々承知したうえでの開き直りでした。このシリーズにおいてはもう同じ描写はしませんので、許してください!なんでもしますから!
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