海を護る存在「海上自衛隊」
ある日、深海棲艦に遭遇し、戦闘になったイージス艦「こんごう改」
だが彼らは深海棲艦の前には無に等しかった。
そんな中彼らが目にしたのは____

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注意事項
本編に登場する「こんごう改」は対深海棲艦用に改修を受けた艦艇です。実在する「こんごう」とは装備が大きく異なる架空艦艇です。そこはご了承ください。(土下座

主は海自の知識低いので、専門用語などを減らしたり間違えてるかもです。


海を護る存在

俺が彼女達を見たのは、暑い夏の日だったと思う____

 

「深海共だ!総員戦闘準備!」

俺は、海上自衛隊、イージス艦「こんごう改」の乗組員として沿岸の警備をしていた。

その目的は、「深海棲艦による侵略の阻止」だった。今や国家が恐れるようになった謎の武装生命体。

だが俺が乗ってる船はただのイージス艦ではない。

 

対深海棲艦用防衛イージス艦「こんごう改」

 

海自がロシアからのミサイル攻撃に対応するためにアメリカから提供してもらったイージス艦「こんごう」を対深海棲艦用に改造したもの。

ただ、海自による深海棲艦の撃破例は極めて少ない。ましてや、元々が対空特化型かつ旧型の艦艇であるこいつは、深海棲艦への攻撃で戦果をまだ出せていない。

 

作戦指揮を行うCIC内は大荒れだった。

砲手の俺は、127mm砲の操作盤の前に座り指示を待った。

 

「ミサイルを所定座標へ集中!ハープーン15を一斉発射、時間だけでも稼ぐぞ!」

だが早々に指示は来ない。ある種の最終手段のようなものだからだ。

 

その時だった

 

「敵発砲!砲弾30!本艦右舷側に向かって攻撃です!」

 

「甲板上の乗員は至急退避!CIWS起動!撃ち落とせ!」

 

CIWSの唸るような銃声と20mm弾の空薬莢が落ちる金属音が響く。

 

「砲弾25破壊!五発来ます!」

 

「対ショック姿勢!」

 

 

その直後、砲弾が直撃した。

右舷側のレーダー、CIWSやハープーンが全て破壊された。

どうしたらあの小型な砲弾でここまでの威力になるのだろうか。

 

「状況報告!」

艦長が怒鳴る。

 

「う、右舷側全武装無効化。レーダーも破損。ケガ人はなし。」

 

「魚雷は!」

 

「ダメです!機能しません!」

 

「まだ全部がダメになったわけじゃない!127mm砲、弾薬装填で待機、全セル展開!飽和攻撃だ!!」

 

「了解、全セル解放、ハープーン発射!!」

 

無数のミサイルが深海棲艦めがけ飛んでいく。

 

「着弾確認!」

 

「やったか?」

 

これで倒せるなら苦労はしない。

 

「敵、障壁展開。ダメです!」

 

「どうすれば…」

艦長がボヤいた

 

「クソ!」

 

俺はヤケになり、指示が来てないのに砲を撃った。

 

「砲手!発砲指示は出てないぞ!」

 

「艦長、このままやられたいんですか!足掻けるだけ足掻かないでどうするんですか!」

 

画面に向き直り、照準を合わせ撃ちまくる。

 

「今ここで守らないでどうするんですか!自衛隊は、国民を守る仕事です!」

 

「おい!そろそろ砲身がオーバーヒートするぞ!」

 

隣にいた同期が叫ぶ

 

しばらくするとオーバーヒートで砲撃を強制中止させられた。

赤くなった砲身がカメラに映る。

「ダメージ微小。クソ!」

 

俺はそのまま操作盤を叩いた。

 

CIC内に沈黙が広がる。

 

「え、外部通信要請!」

 

通信担当が声を出す。

 

「繋げ」

はい。と返事をし、通信を繋ぐ。

 

"やほー!深雪様だよー、聞こえてるかな?,,

 

聞こえてきたのは少女の声だった。

全員がざわめく。

 

「こちらイージス艦「こんごう改」艦長だ。何者だ。」

 

"失礼した。今のは気にしないでくれ。こちら横須賀鎮守府第一艦隊。駆逐艦「響」だ。貴艦の救援に来た。,,

 

凛とした声で答えた。

 

「横須賀.....まさか、君らは噂に聞く艦娘か?」

艦長が問いかける。

 

"外を見るといい。,,

 

「そういえば、外の乗員が騒がしい…」

 

モニターに映ったのは、海の上を颯爽と進む少女の姿だった。

 

これには全員が驚いた。

 

"見えるかな?,,

 

カメラの存在を知ってたのか、カメラに向かって銀髪の少女が手を振る。

 

「あぁ、見えてる。」

 

"よく頑張ってくれた。あとは任せてくれ。,,

 

そう残すと響と名乗った艦娘は速度を上げ深海棲艦に向かっていった。後に続いて艦娘がカメラに映る。映る度こちらに敬礼をしてきた。

 

 

 

 

「赤城、攻撃隊発艦。あとは私につづいて砲雷撃戦。」

 

 

あっという間に深海棲艦を叩きのめしていった。

 

「す、すげぇ....」

俺も思わず声を出してしまうほど驚いていた。

 

 

"こちら響。戦闘終了。貴艦をうちに案内しよう、護衛する。,,

 

 

「.....ありがとう。」

艦長の声には心から感謝する気持ちが伝わった。

 

 

 

 

__その後、彼女達の母港、横須賀鎮守府に寄港し、艦の修理を受けていた。

 

 

その間、俺は鎮守府の敷地を散歩していた。

 

「ここで休むか…」

 

波止場のような場所を見つけ、足を出して座り込む。

静かな波の音が心地良い。

 

「おや、先客がいたようだ。」

 

「君は確か...」

 

振り返ると、響と名乗ったあの時の艦娘がいた。

 

「隣、いいかい?」

 

「あぁ、いいぞ。」

 

彼女は俺の隣に座ると、懐から小さな箱を取り出した。それが何か俺にはすぐわかった。

 

「なぁ、煙草....吸うのか?」

 

年端もいかない少女が目の前で煙草を吸おうとしてたらそうなる。

 

「うん。」

 

「吸って大丈夫なのか?」

 

「艦娘だからね、体に影響は出ない。君も吸うかい?」

 

箱から一本取り出して差し出してきた。

 

「じゃあ貰おう。」

 

煙草を受け取ると響がマッチ箱を投げてきた。

 

「ライターは持ってない。」

 

「ありがとう。大丈夫だ。」

慣れない手つきで煙草に火をつける。

マッチ箱を響に返し、夕焼けに染まる海を眺めながらゆっくりと吸った。

 

「ふーっ…君は、あの船の乗組員かい?」

 

煙を吐きながら響が問いかけてきた。

 

「あぁ、砲手を担当している。」

 

「じゃあ、撃ちまくってたのは君だったのかい?」

微笑し、からかうような口調で聞いてきた。

 

「艦長が暗いことぼやいてムキになった。」

ふーっと煙を吐き出す。

 

「ははっ、そうか。でもいい腕だった。私達が戦ってた時奴らは手負いだった。君の砲撃のおかげだよ。」

 

「やめてくれ。俺の性にあわない。」

 

「本当さ。」

 

俺も響もしばらく黙って海を眺めながら煙草を吸った。

 

「なぁ。」

 

「?なんだい?」

 

「君は、怖くないのか?いつか死ぬかもしれないって思ったことは?」

 

「しょっちゅうさ。それを紛らわすのも含めて吸ってるからね。」

 

「俺も、死ぬのが怖い。あんなデカイ船乗ってても思う。」

 

今日の戦いを通して改めて実感した。

 

「でもね、私にはやらなければいけないことがある。君達を、この海を護ること、それが果たせるまで死ぬ気は無い。」

 

その時俺は、自分の隣にいるのが少女とは思えなかった。まるで幾多の修羅場をくぐった兵士のように感じた。

 

「俺だってこの海を護ることが仕事さ。俺だってそれが果たせるまで死ぬ気は無い。」

 

「ははっ、そうだね。そうじゃなきゃ自衛官は務まらないさ。」

 

いつの間にか二人共煙草が短くなっていた。

 

「さ、戻ろうか。君達の宿泊場所まで案内するよ。」

 

「ありがとう。」

 

どれほど時間が経っただろうか。辺りはすっかり暗くなり始めていた。

 

俺は煙草を地面に落とし足で踏み、火を消した。

響も同じようにやった。

 

「あ、そうだ。よければうちで司令官として働かないかい?入るまでが地獄だと思うけどね。」

 

響が思い出したように俺に聞いてきた。

 

「いいや、やめておく。俺はこの仕事に誇りを持ってる。それが奴らにとってどれだけ弱い存在であろうとだ。危なくなったら、また君達の力を借りるさ。」

 

「そうか、よかった。いや、ここで君が「入る」とか言ったら殴り倒して艦長に引き渡そうと思ってたからね。」

 

くすくすと笑っていた。どうやらさっきのは俺を試したらしい。

 

「ははっ、そうだったのか。一杯食わされたな。」

 

「ほら、もう少しで到着だ。」

 

目を凝らすと、外で集まって談笑する同僚達が見えた。

 

「ここまでで大丈夫だ。女の子に連れてこられたなんて知られたら笑いものさ。」

 

「そうか、じゃあここでさよならだ。」

 

別れ際に彼女と握手をし、終えるとそのまま走って戻った。

 

 

 

 

 

___翌日、修理が完了し、自分達の基地に戻ることになった。

俺は命令違反の罰として朝から甲板を掃除していた。

掃除だけで済んでるのは艦長の優しさからだろう。

朝の涼しい気温と潮風が心地良い。

 

「ふぅ。」

 

一通り終えると、端の手すりに寄りかかり蒼く広がる海を眺めていた。

すると、見慣れた銀髪の少女が見えた。響だ。

 

「また君か、よく会うね。」

 

「出撃か?」

 

「近海警備だ。それと....」

 

懐から煙草とマッチ箱を投げてきた。

 

「それをあげるよ。昨日姉妹にバレてね、しばらく禁煙なんだ。」

 

「ありがとう。貰っとくよ。」

 

「そろそろ行くよ。またいつか。」

 

「あぁ、気を付けろよ。」

 

手を振り合うと、響は速度を上げ水平線の向こうに消えた。

 

「艦娘、か....」

 

彼女を見て思った。

今もこの海の何処かで彼女達は海を護るため戦っているのだろう。

そして、この終わりなき戦いに終止符を打てる、最後の「希望」なのだと。

 

「またいつか、会えるといいな。」

 

水平線の先に敬礼をすると、俺はモップを片手に艦内へ踵を返した。


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