異変末期に消えたはずの吸血種の気配を感じたレミリアは周りが止めるのを振り切り気配の元へ駆け出した。
そこにいたのは姿を消したはずの妹だった
生に意味はあるのでしょうか?
私は人の生が続いていることに意味があると思う
父祖から子々孫々に至るまで人はある点でみた個の連続体であるとかなんとか
ちょいとルーミアの設定が盛り過ぎ感
私は駆け出した、
まだ日が高いというのに日傘も持たず疾駆する
(咲夜が慌てて止めに来たが関係ない)
帰ってきた彼女だ、彼女に違いない
パチェは否定したが私の運命が彼女の存在を肯定する
その証左にまだ15時になるかどうかの時間なのにこんなにも暗い
嗚呼、愛しき妹
館の周辺を徘徊する紛い物とは違う
彼女はあのような白痴では断じてない
野を越え山を越え森に入った
今までかすかにしていた血気配が濃くなった
私にはわかるこれは人間の血それも複数だ
彼女にはここのルールなど関係ないのだろう
彼女は我々が幻想郷すべてに敵に回したころと何ら変わりない
すべてを喰らう者、すべてを無に帰す者・・・
開けた場所に出た
崩れた鳥居、
崩壊した社、
一面に広がる血の海
そしてその真ん中で佇むのは
「ルーミア!!」
私の叫びに彼女はわずかに反応した。
「姉さん」
彼女は血塗られた大剣を背に真っ赤に染まった頭蓋を持っていた。
「ルーミア、この人間たちは何?戦争はもう終わったのよ今まで何をしていたの?皆死んだわよ心配したんだからねぇ貴女聞いてるの?」
関を切ったように発せられた言の葉は彼女には届いていない
「姉さん、隙間妖怪にあったよ。彼女は現存種の中で原初に近しい存在だ」
ヤクモユカリ・・・忌々しい相手だ。
恐ろしく強かで強力な能力を持っている
だが、
「それが?貴女こそ原初の闇の、その後継、いやそのものと言っていい力を覚醒するに至った存在でしょ」
ルーミアは手にした頭蓋を見つめたまま答える
「あの時覚醒したのはほんの一部の力だけだった。そして私はその力を持って増長した。私は原初の闇ではないしその力すべてを支配下に置いたわけではない。私は最初の闇の連続体だ。どういった意図で私が生まれたのかはわからないしどうすればいいかもわからない。もはや、一族を導くことや世界を作り変えることに何の意味があるのかわからなくなったんだ」
「何を・・・何を言い出すの!?貴女が編成して兵站して立案して遂行して、すべての資産を、皆を、地獄へ突き進めたのよ!!」
レミリアの悲痛な叫びを上げた
「・・・そして皆滅んだ。我々は滅びの運命から逃れられなかった。」
ルーミアはレミリアを見ない
「貴女・・・何も思わないわけ!?眷属だけじゃない文字通り血を分けた血族もいたわ!!」
レミリアは激昂する
「何も感じないわけないでしょ!!私が率いた、私が導いた、私が殺したも同然だ!!」
ここにきて初めてレミリアは正面から彼女を見た
その顔は冷静な妹が見せた初めての顔だった。
「当時、我々吸血種に謎の奇病が流行りだした。人種が繁栄するのとは反対に我々は劣化していった。夫婦の間に子がなせず、たとえ生まれてきたとしても、ただの人間に成り下がっていたこともあった。我々の父祖が築き上げた地位を捨て、自己保存のため新たな環境での立て直しを迫れた」
「覚えているわ、古い血統から消えていったのよね。何千年と続く名家が途絶えていったわ。それだけじゃない、私達のお父様も・・・」
レミリアは視線をそらす
ルーミアは構わず続けた
「父を失った我々は幻想郷を目指した。そこは現代から隔絶された場所、失われたマナが色濃く残る異形種達の理想郷・・・が、理想郷に到達したはずの我々が告げられたのは滅びの運命だった。」
「ええ、たしかに私は見たわ、でも僅かに私たちが生き延びる可能性があったそのために戦った。けれど運命は変えられなかった」
「その通りだ、そしてあの戦争は負けても、たとえ勝てたとしても我々は滅んだはずだ、誰かが奇病の原因に気が付かない限り」
「何よそれ、いったい何だっていうのよ!」
「我々の主食たる人類種の劣化と変異だ」
「そんなことあるわけないわ!?、今も変わらず人の血を啜って生きているのよ!」
「極わずかな劣化が―――、魂の情報である血液を幻想郷の住人と比べた結果、わずかに元居た世界の人種の情報は劣化していた、おそらく遠くない未来彼らの人口は減少しやがては子をなせず途絶えるだろう。そして幻想郷の住人も緩やかに劣化・変異している」
「そんな・・・」
「捕食者たる我々の方が大きく影響を受けたのは悲劇だ。」
「でも、貴女はそれを知ってどうしたの!?なぜ今まで姿を見せなかったの」
「当時私は闇の力を身に着けるのとは反対に吸血種としての力をほとんど失いかけていた。そして戦いの最中に吸血種としての力を使い切り、幻想郷の賢者との衝突を一時的にすべての力を失った。」
「そうだったの・・・貴女によく似た子を湖のほとりで見かけたわ、見た目以外似ても似つかぬ姿だったけれど」
「吸血種としての力と闇の力を失った結果があの姿だ、姉さんが受け入れられないのも解る」
「でも、帰ってきた、貴女は帰ってきた。他の奴らとは違う、主を置いて逝った不忠者どもとも違う」
「苦労かけたね、姉さん、フランは私のことを―――」
心苦しそうにレミリアは口をはさむ
「貴女に関する記憶は消してあるの、講和の条件に貴女の存在の抹消が―――」
ルーミアは肩を竦めながら
「そんなことだろうと思ったよ、隙間も存外臆病と見える、くっくく」
「笑い事じゃないわよ、私たちがどれほど屈辱を味わったかわかって?」
「すまなかった、姉さん。」
ルーミアは今度は目を見て謝った。
妹の意外な反応を見て
「仕方ないわね、この借りはでかいわよ」
「おっと借りを返すのは大変そうだな、どうしようか八雲に気取られる前にこの世界から出ていこうか?それとも私とまた戦争を始めるかい?」
この妹が軽口を叩くのは知っている
けれどもいつだって本気で言っているのだということも知っている
私の選択肢は・・・
原初
世界のはじめ
闇と光ありその合間に隙間が生まれた。
ルーミアは原初の闇の何代かあとの後継機