ラストダンスは終わらない   作:紳士イ級

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034.『視察』【艦娘視点】

 佐藤元帥を出迎えるべく、私達七人の艦娘は鎮守府正門にて横一列に並び、待機していた。

 正直に言えばこんなにも大人数で出迎える意味も無いので誰か遠慮をしてくれないだろうかと思ったのだが、誰もそんな事を言い出す気配が無かった。

 特に長門さん、加賀さん、磯風の三人は、佐藤元帥に熱意を伝えるのであれば私しかいないとすら思っているような節がある。

 

 ――それにしても、妙な空気だ。

 

 なんというか、こう……私も含めて、ここにいる誰もが牽制し合っているというか。

 龍驤さんと那智さんは一歩引いているような気がするが、性格的にこの場から去ってはくれないだろう。

 やけに空気がぴりぴりと張り詰めていると感じているのは私だけだろうか。

 私がそんな謎の危うさを感じていると、磯風がちらりと全員に目を向けて、口を開いた。

 

「それにしても、人数が多すぎるのではないか。誰か戻ってはどうだろうか」

 

 駄目だ、わかってはいたけれど、この子空気読めていない。

 磯風が口を開いた瞬間、私には更に空気が張り詰める音が確実に聞こえた。

 ギロリ、と那智さんが磯風を横目に睨みつけながら返事をする。

 

「貴様が戻ったらどうだ。大体、何で貴様がここにいるのだ」

「この磯風は司令の片腕のようなものだからな。司令が鎮守府を去る可能性があると聞いてしまっては、この場を離れるわけにもいくまい」

 

 さも当然のように磯風がそう言った瞬間、私も含めた全員のこめかみに血管が浮き出たような気がした。

 苛立ちを何とか噛み潰したような声で、那智さんが言葉を続ける。

 

「聞き捨てならんな……いつから貴様があの男の片腕になった……!」

「フッ、私は昨夜、司令に忠誠を込めた秋刀魚を焼いた。あの後、谷風に言われてもう一度作り、味見をしてみたのだが……焼き焦げてとても食えたものではなかった。あんなものを口にするなど、正気の沙汰では無い。しかし、司令は表情ひとつ変えずにあれを全て食したのだ。それが何を意味するのか……考えるまでもあるまい。忠誠が……そう、この磯風の忠誠が込められていたからこそ、あんな不味いものを綺麗さっぱり平らげたのだ。あんなにも余すところ無く忠誠を受け取られてしまってはな……フフッ、応えぬわけにはいくまい」

 

 照れ臭そうに鼻の下を人差し指で擦りながらそう言った磯風を見て、那智さんは鼻で笑って言葉を返したのだった。

 

「フン、それならばゴーヤ酒をふるまった潜水艦もあの男の片腕だな。奴は貴様も含めて全ての艦娘と真剣に、そして平等に向かい合っただけだ。その程度の事で特別視されたと舞い上がるとは片腹痛い」

「何だと……⁉ それならば那智、貴様は何故ここにいるのだ。先の出撃前はあんなにも司令に否定的だったくせに!」

 

 私から言わせれば那智さんも磯風も似たような経緯で提督を信頼しているのだから、それこそ似たようなものであった。

 磯風の主張を一蹴した那智さんの言葉が正しい事は明らかなのだが、自分は特別視されていると勘違いをした磯風の気持ちも実はわからないでもない。

 後に話を聞いた事だが、とても食べられたものではない黒焦げの秋刀魚を文句も言わずに完食してくれるには、何か理由があるはずだ、それは私が忠誠を込めたからだ、それほどまでに私は特別な存在なのだ、と舞い上がってしまってもおかしい事では無いと思う。

 特に、ここ一年間でぞんざいに扱われていた子であればあるほどに、そう思い込んでしまっても仕方が無いだろう。

 

 磯風は那智さんに対する態度を見ても分かる通り、誰に対しても堂々とした態度で接する。

 頑固で不器用で実直な性格だから、人を見てその態度を変える事が出来ない。

 提督に対してもそうなのだから、前提督に気に入られるわけが無かった。

 そんな磯風の全てを提督は受け入れてくれたのだ。初めて手料理を振舞うからには不安もあったであろう。

 その喜びは如何ばかりか。想像に難くない。

 ここまで磯風が不器用ながらも積極的に、提督という一人の人間に固執しているのを、私は今まで見た事が無い。

 

 ……つまり、磯風がそうであるならば、性格のよく似た那智さんにも当てはまるという事なのだが。

 

 磯風と那智さんの視線の間に火花が散った。

 

「この那智は貴様と違って艦隊司令部と話し合うのも一度や二度では無いからな。私がこの場を離れるわけにはいかん」

「艦隊司令部と激しくやり合った貴女がいると、逆に話がこじれないかしら」

「加賀、貴様……! ならば貴様も同様だろう!」

 

 私から言わせれば加賀さんも似たようなものであった。

 一か月前――あまりにも無謀な指揮により大切な仲間を失い、ついに私達が我慢の限界を迎えたその時に、真っ先に執務室へ向かい前提督を批判したのは那智さんだ。

 それに続くように加賀さんや磯風などが声を上げ、長門さんと私が中心となり皆の意見をまとめた結果、私達は提督に逆らい、艦隊司令部へ直談判した。

 話し合いの場で、那智さん等は前提督だけではなく、艦隊司令部の責任をも糾弾したのだ。

 那智さんは激しく、加賀さんは淡々と叱責した。

 それは正論ではあったのだが、今にして思えば、艦隊司令部が私達を危険視する決定的な行いであったのかもしれない。

 

 ……そういう意味では、ここに集まっている面子は非常に危ういような気がする。

 

 那智さんと加賀さんの視線の間に火花が散った。

 

「私は横須賀鎮守府の空母代表としてここにいるわ。そして提督の領域を深く理解できている数少ない艦娘としての自覚もあるもの。私がここを離れるわけにはいかないわ」

「いや、司令官の事を理解できとる空母代表ならうちがおるんやけど……」

「そうね。確かに役割が被っているわね。私がいるから貴女は戻ってもいいと思うわ」

「……ほっほぉ~? 言うてくれるやないか……!」

 

 ……なんだか、変な流れになってきているような気がする。

 確かにさっきから空気が張り詰めていたとはいえ、加賀さんの挑発に龍驤さんが乗ってしまうなど、滅多にある事では無い。

 あまりそういう事を気にしていない風に見えてはいたが、実は龍驤さんも提督の理解者として、そして空母組のまとめ役としてのプライドがあるのだろうか……。

 そろそろいい加減にしてもらおうかと私が声をかけようとした瞬間、神通さんが口を開いた。

 

「皆さん、落ち着いて下さい。確かに、こう人数が多すぎては佐藤元帥に圧迫感を感じさせてしまうかもしれません。ここは誰かが身を引くという事で……」

「そもそも軽巡ならば大淀がいるのだから、神通が身を引けば良いのでは無いか?」

 

 磯風のその言葉に、神通さんが改二状態のような表情に変貌した。

 もう磯風には黙っていてほしかった。

 この場において唯一の良心と成りえた龍驤さんと神通さんが鬼と化した今、横須賀鎮守府正門前は静かなる戦場、完全なる修羅場と化した。

 交わされる言葉が熱を帯びて行くのとは対照的に、周囲の空気が完全に冷え込んでしまっていた。

 もう今にも全員が艤装を具現化し、殴り合いでも始めてしまうのではないかというほどだ。

 そんな中、皆のやり取りをじっと聞いていた長門さんが、小さく溜息をついて一喝したのだった。

 

「まったく……いい加減にしろ! 佐藤元帥を迎え入れる気があるのか! このまま騒ぐなら大淀とこの長門以外は引っ込んでもらっていてもいいんだぞ!」

 

 横須賀鎮守府のリーダー格である長門さんの一喝に、五人は言葉を飲み込んだ。

 昨夜から忘れかけていたが、一応この人は艦娘達のまとめ役を務める超弩級戦艦。

 癖の強い横須賀鎮守府の艦娘達を長年まとめ上げて来たカリスマの持ち主なのだ。

 長門さんは全員の顔を一人ひとり確認するように目を向けながら言葉を続ける。

 

「先ほどから聞いていれば提督の片腕の座を巡って意地になっているようだが……そんな無意味な争いは止めろ。時間の無駄だ。提督の右腕は大淀である事は疑いようが無いだろう」

 

 えっ、な、何でそんな事を……。

 私を巻き込まないでほしいと思いつつも、実を言えばちょっと嬉しいのは内緒だ。

 

「……まぁ、異論は無いな」

「私達よりも明らかに深く信頼されているわね」

「この磯風もそれだけは認めざるを得ないな……」

「せやな。資材管理も一任されとるし」

「先日の勝利も、一足先に提督の思考へ至った大淀さんの功績が大きいですからね」

 

 長門さんの言葉に全員がうぅむと唸ってしまったので、思わずドヤ顔が出てしまいそうになるのをグッと堪える。

 流石は横須賀鎮守府のリーダー格、長門さんだ。もはや一触即発であった状況を一言で収めてしまった。

 昨夜からこの人の頭は大丈夫だろうかと心配だったが、そう、やはり肝心な時にはビシッと決めてくれるのだ、この人は。

 後は私が「そんな事は無いですよ、提督は艦娘全員を平等に大切に思っておられます」とでも言えば万事解決だ。

 そう考えて私が声を発しようとした瞬間、長門さんは満足そうに頷きながら言葉を続けたのだった。

 

「提督の右腕には知力に長けた大淀。ならば左腕はと言うと、そう体力だ。知力体力時の運と言うからな……つまり残る提督の片腕はこの長門を置いて他は無い。この話は終わりだ」

 

 昨日から特におかしくなっているこの人の頭を信頼した私が馬鹿だった。

 長門さんが仕事は終わったと言わんばかりの表情で口を閉じた瞬間、何かの火蓋が切られる音がした。

 

「何が知力体力時の運だ! それでは奴が運しか取り柄の無い男のようではないか!」

「戦艦脳のくせに難しい言葉を使おうとするから恥をかくねん! しかもそこまで難しくも無いわ!」

「だ、誰が戦艦脳だ⁉ 龍驤お前、戦艦は皆頭が残念とでも言いたいのか⁉ 大淀と並ぶ艦隊の頭脳、霧島を見ろ!」

「自称やないか! 鎮守府随一の脳筋やアイツは! 大淀との共通点は眼鏡しか無いわ!」

 

「頭にきました。言っておくけれど、長門相手なら私も負ける気はしないわ」

「なんや、やけに自信たっぷりやん。秘策でもあるんか?」

「えぇ。アウトレンジで決めたいわね」

「パクリやないか! 聞いた事あるわそれ! 何ドヤ顔で後輩の真似してんねん⁉」

「五航戦の子なんかと一緒にしないで」

「やかましいわ!」

 

「超弩級戦艦のくせに自身に有利な体力勝負に持ち込もうとは……フッ、この磯風も苦笑を禁じ得ん。少しは恥を知ったらどうだ」

「ぐうッ……⁉」

「せやせや! もっと言ったれ磯風!」

「しかし体力とはある意味燃費の良さとも取れる……ならば燃費と武勲を併せ持つ駆逐艦、この磯風で決まりでは無いだろうか」

「キミも少しは恥を知れや!」

 

「……あの、体力もとい戦闘力と言うのでしたら、この場から去る者を決めるにちょうどいい案を思いついたのですが」

「……神通の言う通りだな。この那智もここまで言われては引く気はさらさら無い」

「いいだろう……この磯風が相手になってやろう。たとえ貴様らが相手でも容赦なぞしない」

「なんやなんや、まぁうちもこういうのは嫌いじゃあ無いでぇ? 一石二鳥、っちゅー事やな」

「ここは譲れません……鎧袖一触よ」

「フフフ……どうやらこのビッグセブンの力、思い出させてやる必要があるようだな」

 

 嗚呼。私は空を仰ぎ見て心の中でそう漏らした。

 佐藤元帥を出迎えなければならないというのに、何故こんな事になってしまったのか。

 神通さんや那智さん、龍驤さんまでもが、何故こんなにも冷静さを失ってまで、大人げなく提督の片腕の座にこだわっているのだろうか。

 その理由が推測できているのは、おそらくこの場では私だけであろう。

 何故なら私にも、つい昨夜、身に覚えがある事だからだ。

 

 これは果たして艦としての(さが)なのか。

 それとも娘としての(さが)なのか――。

 

 私達は(ふね)であるからなのか、『誰を乗せたか』更に言うなれば『誰と共に戦ったか』という事をとても重要視する性質があるのだと思う。

 天皇陛下に乗艦して頂く御召艦という名誉もある。

 誰と共に戦ったか、と語るに一番わかりやすいのは、飛龍だろうか。

 先の大戦で共に戦い、共に沈んだ第二航空戦隊司令官、山口多聞提督の事を今でもよく口にするらしい。

 そしてこの時代においても、山口多聞提督と言えば飛龍、飛龍と言えば山口多聞提督というイメージが強く伝わっているという。

 優れた提督の艦として名を挙げられる事はとても光栄な事なのだと私も思う。

 

 横須賀鎮守府の艦娘達を束ねるリーダーシップを持つ長門さん。

 数多くの旗艦を務めた実績を持ち、艦隊の統率力ならば妙高さんにも引けを取らない那智さん。

 艦娘としての戦歴はベテランの域にあり、良識ある年長者として鳳翔さんと共に空母達をまとめる龍驤さん。

 常に冷静沈着、人一倍の激情を持ちながらもそれは決して表に出さない加賀さん。

 いつもフリーダムな姉と妹に挟まれて戦闘時以外は大人しく引っ込み思案だが、その落ち着きはどんな激戦の最中でも揺るがない神通さん。

 駆逐艦の中では成熟した心身を持ち、その実力に裏打ちされた自信と武勲を誇る磯風。

 そしてこの私。

 

 ここに集まった艦娘の面子は、常日頃はいつもクールに振舞っており、普段であればこのような事に熱くなったりはしない。

 決して、断じて、そんな事は無かったはずだ。

 

 あくまでも私の推測に過ぎないが、おそらくこれは、やはり提督が桁外れに型破りな優れた御方であった事が原因なのだろう。

 あの提督の右腕と言えば、腹心と言えば、懐刀と言えば――そこに自分の名が欲しいと思う気持ちは、艦であるならば当然のものなのかもしれない。

 だが、それでもここまで執着するのは少しおかしいような気がする。

 

 そうなると、やはり年頃の娘としての姿を与えられたが故の性質なのか。

 私達の『艦』の部分が提督の能力に惹かれているとするならば、『娘』の部分は提督の人間性に惹かれているのだろうか。

 提督が容姿端麗だからだろうか。慈愛に満ちた方だからだろうか。

 

 もしくはこれは、『艦娘』だから故の、人間には決して分かり得ない複雑な感情なのか。

 

 この場で私だけが冷静でいられるのは、提督が艦娘を平等に見ている事を十分に理解できているから――ではない。

 香取さんに教えられ、そして提督に言葉を頂いて、私は真の意味で提督の右腕なのだと、他の艦娘達よりも一歩先を行っているのだと実感できているからこそ、冷静でいられるのだろう。

 結局はそれがあるからこそ、この争いを高みの見物が出来ているのだ。

 私も優越感に支えられているだけであり、提督にとっての特別でありたいという独占欲からは逃れられていない。

 あの方の艦として、そして部下として振舞わねばならないのに、当の私達が公私混同してしまっている事は認めざるを得ない。

 

 昨夜、私も鹿島に勝手に嫉妬して、一人で塞ぎこんでしまいそうになっていた。

 だから、現在ぎゃあぎゃあと揉めている六人を止める資格など私には無いのだと思う。

 しかしそろそろ頭を冷やしてもらわねばならない。

 私は一計を案じて、不意に声を上げた。

 

「あっ! 皆さんっ、佐藤元帥が来ました!」

 

 私が慌てた様子でそう言うと、殺気を撒き散らしながら威嚇し合っていた六人は、反射的とでも言うべき速度で一斉に元の配置へと戻った。

 一糸乱れぬ七人の単横陣を作り、そして気合を入れる為か、仕切りたがりの磯風が大きく声を上げる。

 

「――さぁ、佐藤元帥に我々の熱意を届けるぞ! 磯風に続け!」

「ここは譲れません。一航戦、出撃します」

「いいだろう、ビッグセブンの力、侮るなよ! ――『長門』!」

「出るぞ! 怖じ気づく者は残っておれ! ――『那智』!」

「さぁ仕切るでぇ! いってみよう! ――『龍驤』!」

「各艦、突撃用意……行きましょう! 『神通』――」

 

「『改二』ッ‼」

 

 掛け声と共に六人に艤装が展開されたので、私は反射的に隣に立つ長門さんの右頬に思いっきり拳を叩きこんだ。

 右手首を痛めた……昨日金剛が言っていたように本当に硬い……!

 私が手首を押さえて悶絶していると、無意識の行動だったのか、はっと気が付いたように、六人は騒ぎ始める。

 

「……はっ⁉ し、しまったッ! お、お前達も何故艤装を⁉」

「長門ッ! 明らかに貴様から同時改二の流れになっていたぞッ⁉ 貴様に釣られてしまったではないかッ!」

「いやまず同時改二てなんやねん⁉」

「貴様も改二を発動しているではないか!」

「そ、それはそのー……同時改二の流れやったし……」

「哀れね。だからその同時改二とは何なのかしら」

「う、うちもわからんけど確実にあんねん! 戦場ではそういう流れが!」

「陸の上で改二を発動するとは……フッ、笑ってる内にやめような」

「いやキミらも艤装出とるからね⁉ ちゅーかそもそも流れ作ったのキミや!」

「わ、私とした事が……長門さん達の檄が明らかに強敵と戦う時のものだったから反射的に……す、すみません」

「じ、神通まで私のせいにするつもりか⁉ ずるいぞ!」

「長門の檄は戦場で嫌と言うほど身に沁みついてるから、反射的に艤装を展開してしまったとしても不思議では無いわね」

「身体が覚えてしまっているからな」

「そもそも我らが釣られていなければ長門だけが艤装を広げていただろう」

「ち、違うんだ! おそらくこれは昨日から遠征に行きたいという欲求が溜まっていたせいで無意識に」

 

「いいから一刻も早く艤装引っ込めて下さいッ! 特に長門さんは資材が勿体無いんですよ! 叛意があると思われたらどうするんですかッ⁉ もう全員大人しくしといて下さいッ!」

 

 私が怒りのままに一喝すると、六人は慌てて艤装を解除した。

 那智さんと加賀さん、磯風は長門さんにジト目を向けており、その長門さんは私に何か言いたそうな目を向けておろおろとしている。

 龍驤さんは少し恥ずかしそうに、「あはは……」などと言いながらぽりぽりと頬を掻いて視線を逸らす。

 神通さんは耳の先まで顔を真っ赤にして、「大変申し訳ありません……」と肩を小さくしながら恥ずかしそうに呟いていた。

 私は怒りと呆れに肩を震わせながらもなんとか堪える。

 

 この人達が冷静さを失い正常な判断ができなくなった原因は、提督にもあるような気がする……!

 何故だかはわからないが、そんな気がする……!

 提督を想うあまり、頭がおかしくなる経験は私にもある……!

 提督の領域を思い出せ……失敗を責めるな……! 次に繫げなければ……!

 だから、怒るな、怒るな……何とか堪えろ……!

 

 私は大きく深呼吸をして、顔を引きつらせながら何とか口角を上げた。

 

「当初の予定通り、佐藤元帥は私が応対します。皆さんは熱意を届けるのはいいですが、言葉には気を付けて、いえ、できれば黙っていて下さいね……!」

「りょ、了解……」

 

 私は再び前を向き、大きく溜息をついて考える。

 おそらくこれは提督があのような御方であるが故に起きた事だ。

 もしも私の予想が事実であるならば――提督が只者では無かったのならば、提督の片腕となりたいと考えるのは彼女達だけでは無いだろう。

 いや、たとえそうでなくとも、提督の特別になりたいと考えるのはおかしな話では無い。

 ここにはいない全ての艦娘に、そうなる素質は十分にある。

 何故ならば、私達は艦であり娘であり艦娘だからだ。

 理由はそれだけで十分だ。

 

 だが、そうなった時、提督はそれを上手く収める事が出来るのであろうか。

 艦であるが故の、娘であるが故の、そして艦娘であるが故の複雑な独占欲を受け止める事が出来るのであろうか。

 それだけの器が、提督にはあるのだろうか――。

 

 今度こそ本当に、佐藤元帥を乗せているであろう車の姿が確認できたので、私はそれ以上考える事を止めたのだった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 ――おかしい。

 佐藤元帥を乗せているであろう車が鎮守府正門正面、私達から少し離れた位置に停められてからすでに数分が経過している。

 だというのに、何故か佐藤元帥が降りてくる気配が一向に見られないのである。

 

 私達は七人横並びになり、直立不動の姿勢を保っていた。

 視線も逸らさず、真剣な表情を保ったままに、脳内だけが困惑している。

 私だけでなく、他の六人もそれぞれ思考を巡らせていることだろう。

 

 親艦娘派であり、特にこの横須賀鎮守府とは長い付き合いになる佐藤元帥が、このような意味深な行動を取る事など今まで無かった。

 やはり、一か月前の確執が尾を引いているのであろうか――。

 

 前提督による艦娘の扱い方や鎮守府運営の方針は、生来の性格もあるだろうが、艦娘兵器派と呼ばれる派閥に属するものだった。

 佐藤元帥の考えとは異なる派閥であるが、艦隊司令部も一枚岩では無いという事であろう。

 横須賀鎮守府の惨状に佐藤元帥が一年近く気付く事が出来なかったのは、その艦娘兵器派によって事実が巧みに隠されていたからであったらしい。

 事実、戦艦と正規空母を基幹とした強力な艦隊を用いる前提督の方針はそれなりに戦果を上げられていた。

 私達の疲労が積み重なるにつれて作戦通りにいかない事が多くなったが、上手くいった部分のみ報告し、不都合な結果や私達の扱いについては握り潰されていた。

 多忙な佐藤元帥が、私達がどのような扱いをされていたのかを知ったのは、ほんの一か月前――疲弊しきった横須賀鎮守府の総力を挙げた迎撃作戦で、握り潰す事が出来ないほどの大惨敗を喫してからだった。

 

 私達が常日頃から疲労困憊していなければ、前提督の事を信頼できていたならば、失われる事は無かったであろうその代償はあまりにも大きかった。

 私などとは違い、この国に生きる者ならば誰もがその存在と名を知っているとすら言われる――この国の名を冠した彼女を失ったという事実は、あまりにも大きかったのだ。

 

 もしかすると、彼女はそれを考えて、あえて自ら沈む道を選んだのかもしれない。

 勿論、彼女が敵を引き付けて一人奮戦する事で他の艦娘達が命からがら逃げ切れたという状況でもあったのだが、彼女を沈めてしまったという事実は、私達だけではなくこの国をも動かす大事件だ。

 私達だけがいくら声を上げても握り潰されてしまう。

 しかし、彼女を沈めたという隠し切れない大失態により、艦隊司令部はこの国全体から非難を浴びる――それくらいしなければ、私達の状況は変わらない。

 今、冷静に考えてみれば、あの彼女ならば、そう考えてもおかしくは無いような気がする。

 

 そんな事に頭が回らなかった一か月前。

 横須賀鎮守府へ視察に訪れた佐藤元帥に対して、私達は怒りや悲しみ、後悔と無念、感情の全てをぶつけてしまった。

 佐藤元帥に非は無いと理解できていても、艦隊司令部という組織への感情が溢れ出して止まらなかった。

 そんな私達に対して、佐藤元帥はかける言葉、そして返す言葉が無かったのであろう。

 最初に済まなかった、と深く頭を下げてからは、私達一人ひとりの声に静かに耳を傾けるばかりだった。

 それすらも、あの時の私達には淡々と事務的な対応をされているようにしか受け取る事ができなかった。

 

 今にして思えば、一番泣きたかったのは佐藤元帥であった事だろう。

 私達を救えなかった自分に、怒り悲しむ資格は無いのだと、必死に堪えていたのかもしれない。

 

 何しろ、まだ私が艦娘として現れていない時から、佐藤元帥は艦娘達をまとめて戦ってきたのだ。

 まだ妖精さんと意思疎通が出来るという『提督の資質』なるものが判明していない頃から、『提督の資質』を持たないにも関わらず、突然の深海棲艦の襲来と艦娘の発見に困惑する世間の中で、未だ謎の多い艦娘達を率先してまとめ上げ、戦ってきた御方だ。

 しかし『提督の資質』を持たないが故に艦娘の本来の性能を発揮できず、それが原因で、娘のように可愛がっていた大切な艦娘を失ってしまった経験を持つのだと、鳳翔さんから聞いた事がある。

 もう二度と同じ過ちを犯すまいと、佐藤元帥はその後数年をかけて、自身の経験等を元に提督達の指針となる教科書を執筆したのだとか。

 

 艦娘を失う事の辛さを、佐藤元帥は私達と同様によく理解できているのだ。

 今更ながらそう考えると――実に、気まずい。

 

 佐藤元帥とはそれ以来、実に一か月ぶりに顔を合わせる事となる。

 もしや、佐藤元帥も私達と顔を合わせる事を気まずく思っているのだろうか。

 この一か月間、なかなか新しい提督が着任しなかった事で、私達は何度も艦隊司令部に催促し、最後には諦めてしまった。

 もはや艦隊司令部にも新しい提督にも、何も期待はしていなかったが、ようやく着任した提督は、私達の想像を遥かに超越する何かだった。

 きっとそれには佐藤元帥が関わっているのだと、私の勘が告げている。

 

 親艦娘派の佐藤元帥が一か月間をかけてようやく横須賀鎮守府に着任させる事が出来た、才気と慈愛に溢れた若き提督。

 おそらくは、佐藤元帥が車からすぐに降りてこない事にも、提督の存在が絡んでいるのだろう。

 長門さん達が発する熱気による汗をぐいと拭うと、ようやく車の後部座席のドアが開き、佐藤元帥が姿を現した。

 

 私達は一糸乱れず敬礼し――そして、敬礼を返した佐藤元帥の表情を見て、のぼせそうだった頭が一瞬にして冷えたのを感じた。

 

「出迎え、ありがとう」

「はっ」

 

 私達全員を一瞥した佐藤元帥のその真剣な表情には、一言で言うなれば警戒の色が浮き出ていた。

 まるで、私達の前で油断は出来ない、と一挙手一投足にさえ気を配っているかのような、そんな雰囲気が本能的に感じられた。

 おそらくそれは私だけではなかっただろう。

 この場の全員が気を引き締め直す音が聞こえたような気がした。

 

 佐藤元帥が口にする言葉。私達が口にする言葉。

 一言たりとも、油断は出来ない。

 

「報告書に目を通したよ。大変な戦いだったようだ。この国にとって前代未聞の危機だった……本当にありがとう」

 

 始めに佐藤元帥が口にしたのは、私達への労いの言葉であった。

 勿論、我ながら認めてしまう程の大戦果だ。元帥自らそう言って頂けることはとても嬉しく光栄な事なのだが、今はそれよりも、提督に関する情報を引き出したかった。

 しかし、ひとつ言葉を間違えてしまうと、最悪の結果を招きかねない。

 私はこの場に控えている六人を代表しているのだ。

 言葉を発す時には慎重にならねば……。

 

「はっ、光栄です。しかし、今回の深海側の作戦は私達にも予想のできないものでした。私達は提督の指揮に従っただけに過ぎません」

 

 考えた結果、私が口にしたのは紛れもない事実であった。

 それと同時に、提督の功績を話題に上げる。

 ここから提督について話を広げるのは、不自然では無いはずだ。

 

 佐藤元帥の返事を待ってから改めて問おうと考えていたが――佐藤元帥は返事を返さなかった。

 いや、明らかに、私の返事に対して考え込んでいた。

 どういう事だろうか……私の返事に何か考え込むような事があっただろうか。

 私はただ事実を口にしただけだというのに――やはり、私達の一言一句さえも警戒されているという事だろうか。

 そう、例えば、報告書の内容に虚偽が無いか。一か月前のように、提督に叛意を抱いていないか。

 直接私達の顔を確かめて、目は泳いでいないか、声色に不自然な点が無いか……。

 

 ――何という事だ。つまり、提督と顔を合わせ話す事だけでなく、私達艦娘の様子を直接見極める事も目的だと考えれば、佐藤元帥の妙な様子にも納得が出来る。

 

 勿論、私達にそのような気は無いのだから堂々としていれば良いのだが……ここまで警戒されるとなると、やはり佐藤元帥の提督への扱いが只事では無い。

 それは佐藤元帥の考えなのだろうか。それとも、更に上の――。

 

 その時、考え込んでいた様子の佐藤元帥は、考えを切り替えるように私に目を向けて、こう言ったのだった。

 

「神堂提督は今、何をしているのかな」

「――はっ……?」

 

 私は思わず間抜けな声を漏らしてしまった。

 佐藤元帥の問いへの答えはすぐに用意できた。提督は現在、甘味処間宮で眠っております、という事だ。

 だが、それでも私が答えを返す事が出来なかったのは、『提督』の前に、聞き慣れぬ言葉が付いてきていたからである。

 それが何を意味するかも瞬時に理解できたが、それでもなお、私は臨機応変に対応する事が出来なかった。

 それは、私だけではなく、他の六人もそうであっただろう。

 

 そんな私達に佐藤元帥がどのような反応を示したかと言うと――これもまた予想外のものであった。

 佐藤元帥は、明らかに失態を犯したかのような、「しまった」とでも思っていそうな表情を、反射的に浮かべていたのだ。

 一瞬、互いに脳内を整理するように息をついて、佐藤元帥は確かめるように、私にこう問いかけた。

 

「神堂提督……神堂貞男提督。彼の名前だよ。彼はまさか……名乗って、いなかったのかな?」

「はっ……はい。そう言えば、提督はまだ名乗られておりませんでした。自己紹介では、過去の経歴等に関しても一切……」

 

 そう、これもまた事実だ。

 故に私達が驚いてしまった事もおかしな事では無い。

 だが、あんなにも心優しく有能な提督が、実は私達に名前を教えてすらいなかったという事実に、私は頭から冷水を浴びせられたような気持ちになった。

 深海棲艦の夜間強襲に、艦娘達との顔合わせ。提督にとって慌ただしい二日間であっただろうが、それでも、名乗る事すら忘れるという事が有り得るだろうか。

 否。それはつまり、提督は意図的に、私達に対して自身の情報を隠していたという事になる。

 そして、ついうっかり提督の名前を口にしてしまった佐藤元帥が、大きな失態でも犯したかのような表情を浮かべている。

 

 それが意味する事は、一体――。

 

「しまったな……彼が口にしていなかったのならば、これは私が口にしていい事では無かった。それで、神堂提督は何処に」

 

 佐藤元帥は話を変えるかのように、そう口にした。

 提督が口にしていなかったのならば、それは元帥でさえも口にしていい事では無かった――⁉

 どういう事だ。提督の名前すらも、本人の許可が無ければ、たとえ元帥でも口にする事が許されていないという事か。

 い、いや。ここで考えすぎてはいけない。

 不審に思われる前に、とりあえず、返事をする事が優先だ。

 

「は、はっ。昨夜、提督と金剛の歓迎会兼祝勝会を行いまして、提督は私達一人ひとりに真摯に向き合っておりました。それゆえに酒を大量に呑んでしまい、今もまだ眠っております」

「ほう、歓迎会を」

 

 佐藤元帥はそう短く答えて、再び何やら考えている様子だった。

 それに合わせて、私も思考をフル回転させる。

 まるで佐藤元帥と将棋盤を挟んで対局しているような気分である。

 その表情から思考は読めないが……私達が提督を歓迎したという事実は、決して悪い方向には行かないだろう。

 私達が提督に叛意を抱いているなどという事は有り得ない事だと伝わってくれれば幸いだ。

 

 ……いや、自分達の事ばかり考えていたが、ここはむしろ、通常であれば提督が一喝される場面にも見える。

 何しろ、もう昼も間近の時間だ。

 たとえ大戦果を上げ、艦娘達と親睦を深める為と言っても、艦娘達が起きているというのに上官たる提督が未だに眠りこけているという事は、果たして許される事なのであろうか。

 いや、艦隊司令部に属する者として、そして一人の大人として、社会人として、艦娘を率いる者として、決して許される事では無い。

 佐藤元帥が私の言葉を聞いて、叩き起こしに向かったとしてもむしろ当然の事だ。

 い、いけない! 提督は私達の事を想うが故に酔いつぶれて――な、何とか説得しなくては!

 私が慌てて佐藤元帥に声をかけようとするよりも先に、佐藤元帥が口を開いた。

 

「わかった。彼が目覚めるまで無理に起こさなくても良い。とりあえず応接室で待つ事にするよ」

 

 ――思考が、一瞬止まってしまった。

 

「はっ……⁉ お、起こさずともよろしいのですか⁉」

「うん。約束も無しに訪れたのは私だからね」

 

 佐藤元帥はそう言って、鎮守府の中へと歩を進めた。

 呆気に取られていた私達であったが、私は慌てて佐藤元帥の隣に付く。

 他の六人も顔を見合わせて、私達から少し距離を取って、その後ろに付いて行く。

 

 歩いている間も佐藤元帥は何かを考え込んでいる様子であったが、私達もそれどころでは無かった。

 互いに長考し、戦局は膠着状態にあるように思われる。

 わからない。わからない。一体何が起こっているというのだろう。

 この時間まで眠っている提督を、元帥の方が譲歩して待つ、と……佐藤元帥ははっきりとそう言った。

 艦娘との親睦を図る為という理由があるからか。それとも、大戦果を上げた功績で大目に見たのだろうか。

 いや、それはそれ、これはこれでは無いだろうか。

 規律に厳しい軍がそのような特別扱いをするという事が有り得るだろうか。

 

 もしもそうだとするならば、佐藤元帥が提督に対して一目置いているという事は、もはや疑いようの無い事実であろう。

 いや、そんなレベルの話では無いのかもしれない。

 あの艦隊指揮能力に対して一目置く程度であるならば、名前すらも伏せねばならない理由としては弱い。

 そうと考えるならば……やはり、家柄、だろうか……。

 例えば名家の御子息であるだとか……そう考えれば、不自然な点にも一応の納得がいく。

 

 そうなると、初めて人間に逆らった兵器の集まる横須賀鎮守府に、そのような方を放り込むという事は……危ぶまれても仕方の無い事であろう。

 できるならすぐにでも横須賀鎮守府から異動させたいと考えていてもおかしくは無い。

 最悪の事態が脳裏をよぎり、それを振り切るように私は心中で大きく首を振った。

 

 不意に、佐藤元帥は首を後ろに向けて、背後の長門さん達に向けて声をかけた。

 

「こんなに錚々たる面子に出迎えてもらえるのは光栄だが、一体どうしたというのかね」

 

 瞬間、長門さんの目が「我らの出番だ! 征くぞ! 気を開放しろ! 破ァーーッ‼」と叫んでいた。

 一言も発していないのに眼光がうるさかった。

 それに呼応するかのように、他の皆から発せられる熱意……というよりも圧力のような何かが、勢いを増す。

 長門さん達の周りの景色がゆらゆらと揺らめいて見えるが、少し熱気を放ちすぎでは無いだろうか……。

 佐藤元帥に熱意を伝える為に彼女達はここにいるのだから、ようやく出番が訪れたことで張り切っているのはわからないでも無いが……。

 

「……はっ! 我々の思いを伝えたく……!」

「ほう」

「佐藤元帥。我々はそれだけ本気だという事だ」

 

 言葉には気をつけて下さい、と先に釘を刺していた為か、長門さんと那智さんが短く答えた。

 それを聞いて、佐藤元帥は「そうか」と短く答え、再び前を向いた。

 本気の熱意が伝わったかどうかは定かでは無いが……那智さんや加賀さん、磯風などといった面子がおとなしくしている姿を見て、佐藤元帥が何かを感じ取らない訳が無い。

 佐藤元帥ほど聡明な方であるならば、きっと言葉にせずとも私達艦娘の思いを汲み取って下さるであろう。

 

 最悪の事態を避ける為、なるべく口にする言葉は少ない方が良い。

 特に、提督に関して詮索する事……先ほどからの佐藤元帥の不可解な言動から考えるに、その可能性は非常に高い。

 私達の第一の目的は、提督に、何としてでもこの横須賀鎮守府に残ってもらう事。

 だが、それと同じくらい、提督の事を知りたいと思ってしまっているのも偽る事の出来ない事実だ。

 それを公言した神通さんだけではなく、それは全員に共通する思いであろう。

 那智さんに至っては提督が私達に何か隠しているのではと考えていたし、佐藤元帥の様子を見るにおそらくそれは事実なのだろう。

 

 ……皆の思いを背負い、思い切って勝負に出てみようか。

 私は意を決して、何かを深く考えている様子の佐藤元帥に顔を向けて口を開いた。

 

「あ、あの、佐藤元帥。ひとつ、お訊ねしてもよろしいでしょうか」

「なんだい?」

「提督は……神堂提督は、一体何者なのでしょうか」

 

 予想通りではあったが、佐藤元帥は表情を変えぬままに、数瞬考え込んでしまった。

 私なりに考えた末の問いである。

 佐藤元帥の受け取り方により、提督の家柄もしくは過去の経歴が明らかになるかもしれない。

 いや、明らかにならずとも、何かヒントとなるような情報が得られれば――。

 

 佐藤元帥が考え込んだ末に出した返答は、そんな私の期待を見事に打ち砕くものであった。

 

「悪いが、私の口からは話せない」

「なっ……⁉」

「出来る事なら、今後は彼に対してもなるべく詮索しないでもらいたい。横須賀鎮守府の艦娘全員に周知してもらえるかい」

 

 ――頭の中が、真っ白になった。

 

「は、はっ! 申し訳ありません!」

 

 何とか返事をして、大きく頭を下げた。

 やってしまった。やらかしてしまった……!

 やはり、質問したのは間違いだった。皆の代表を務めておきながら、私はなんて大きな失態を……!

 後ろを歩く皆を振り向いて謝りたい気持ちだったが、佐藤元帥に不審に思われる行動は取れない。

 

 しかしまさか、元帥命令で今後の詮索に関しても潰されるとは……これでは何も情報が得られない……!

 内心大きく狼狽えている私の耳に届いたのは、予想だにしていなかった、佐藤元帥の言葉であった。

 

「私が唯一話せる事は、彼が近頃珍しいほどに愛国心に溢れた青年で、とても君達艦娘の事を大切に思っているという事くらいだ」

 

 提督の事を知りたいという私達の思いを汲み取って頂けたのだろう。

 または、私を不憫に思ったのかもしれない。

 思わぬ佐藤元帥の言葉に、私は気の抜けた返事を返してしまう。

 

「はっ……愛国心と、私達の事を……?」

「うん。三日前かな。横須賀鎮守府の提督となってくれないかと頼む為、私が彼の自宅を訪れた時、私が詳しく説明する前に、彼は二つ返事で了承してくれたんだよ。彼はそれどころでは無かったというのに――」

 

 そこまで言って、佐藤元帥は再び「しまった」とでも言いたげな表情を浮かべて、口を噤んでしまった。

 またもや口を滑らせてしまったのであろう。

 佐藤元帥は再び気を引き締め直すように小さく咳払いをしたのだった。

 

「済まない。少し話し過ぎた」

「……いえ、ありがとうございます」

 

 佐藤元帥の優しさと、うっかり口を滑らせてくれた事に対して、私は心から礼を言った。

 たった一言、二言ではあったが、そこには新たな、重要な、大量の情報が含まれている。

 私は真っ白になった頭を再びフル回転させ、一つ一つ情報を整理する。

 

 まず、佐藤元帥が唯一話せると言った事。

 提督は近頃珍しいほどに愛国心に溢れた青年で、とても私達艦娘の事を大切に思ってくれている、と。

 それはすでに、私達も心で理解できている事実だ。

 提督にとって一番はこの国の平和、そして二番目は私達艦娘。

 言葉通り、ご自分の事は二の次だ。

 他ならぬ元帥からもそのように評されるという事は、提督が艦娘全員をご自分の事よりも大切に思ってくれているのは疑いようの無い事実のようだ。

 いや、元々疑ってはいない。提督の艦娘への慈愛の心が元帥のお墨付きになった、というだけの事である。

 

 むしろ、本題は佐藤元帥が口を滑らせてしまった事。

 

『三日前かな。横須賀鎮守府の提督となってくれないかと頼む為、私が彼の自宅を訪れた時、私が詳しく説明する前に、彼は二つ返事で了承してくれたんだよ』

 

 ……頼んだ? 指示や命令では無く⁉

 お、落ち着こう。冷静に、クールに、一つ一つ整理していこう。

 神堂提督が正式に『提督』となる事が決まったのは、僅か三日前。つまり、着任の前日に急遽決定したという事だ。

 艦隊指揮能力は一朝一夕で身に付くものでは無い。

 そうなると、その時点ですでに艦隊指揮の能力に長けていた事は事実だ。

 艦隊司令部にすでに所属していたという説が濃厚であろう。

 神堂提督はその高い艦隊指揮能力を見込まれて、横須賀鎮守府の提督になる事が決定したという事だろう。

 しかし、それならば艦隊司令部で辞令が降りるのが普通だと思うのだが、何故佐藤元帥はわざわざ提督の自宅へ……自宅⁉

 

 ちょ、ちょっと待って、落ち着こう。

 横須賀鎮守府に提督が不在であったこの一か月間、佐藤元帥が何もしていないわけが無い。

 つまり佐藤元帥はこの一か月間あらゆる手を尽くしたが、打つ手が無かったのではないか。

 考えられるのは、艦隊司令部に提督候補がすでにいなかったか、あるいは、その数少ない提督候補たちが横須賀鎮守府への着任を拒んだか、もしくは、私達が邪推していたように艦娘兵器派等の何かしらの力により、艦隊司令部があえて横須賀鎮守府へ提督を着任させる事を遅らせたか……。

 私達が提督に逆らった兵器として見なされているであろう事を考えれば、どれも有り得る。

 ともあれ、佐藤元帥が三日前に神堂提督の自宅を訪れ、頭を下げて横須賀鎮守府の提督になってくれないかと頼んだのは、最後の手段と考えてよいだろう。

 もしも提督が本来ならば前線に身を置く事が許されないような、それなりの家柄の御子息であるとするならば、最終手段であった事にも頷ける。

 佐藤元帥が詳しく説明する前に提督が二つ返事で了承したというのは、ひとえに提督の愛国心と艦娘愛によるものだろうか……。

 

 ふと、私の脳内に『三顧の礼』という故事成語が浮かんだ。

 目上の者が格下の者の元を三度も訪れ、礼を尽くしてお願いをするという意味の有名な言葉だ。

 三国志において、後の蜀の初代皇帝こと劉備玄徳が若き天才・諸葛亮孔明を迎え入れる際の逸話が由来である。

 また、この国においては、後の豊臣秀吉こと木下藤吉郎が天才軍師・竹中半兵衛を迎える際の逸話としても知られている。

 提督が二つ返事で快諾した事から佐藤元帥は三度訪れる事は無かったが、もしも提督が留守であったり乗り気で無かったとしても、佐藤元帥は三度、提督の自宅を訪れていたのではないだろうか。

 

 この故事成語は、通常迎え入れる側の懐の大きさを称えるものである。

 つまり、目上の佐藤元帥がまだ二十代であろう提督の自宅へ赴き、頭を下げて礼を尽くし、提督になって貰えるよう頼んだという事実は、佐藤元帥の懐の大きさを表している。

 だが、それと同時に――神堂提督が諸葛亮孔明、そして竹中半兵衛のような、現代まで天才軍師と説き伝えられている偉人と重なって見えたのは、私だけであろうか。

 

『彼はそれどころでは無かったというのに――』

 

 と、佐藤元帥は言葉を続けたが、つまり提督は、高い艦隊指揮能力を有していながら横須賀鎮守府の提督となるどころでは無い事情があったという事だ。

 だがそれに無理を言う形で、佐藤元帥自らが自宅を訪れて頭を下げ、その礼に応え、また、その愛国心と艦娘愛ゆえに、神堂提督は横須賀鎮守府に着任したと考えるのが自然だろう。

 ならば、提督が横須賀鎮守府に構っている場合では無かった理由とは――そこまではまだ読み取れない。

 やはり名家の御子息である可能性が濃厚だろうか……。

 いや、国の中枢で、より重要な役目を任されていたという可能性も……。

 もしくは、その両方――?

 

 おそらく、本心では佐藤元帥も、私達に提督の事を話したいのだ。

 口を滑らせた時の佐藤元帥の目は、まるで自分の事のように誇らしく英雄譚を語る語り部のようであった。

 あの立派な青年の事を艦娘達にも知ってもらいたい、だがそれは許される事では無い。

 佐藤元帥が垣間見せた表情からは、そんな色が読み取れた。

 

 話したいのに、話せない。

 教えたいのに、許されない。

 元帥でさえも従わざるを得ないその力とは、一体――。

 

 いずれにせよ、わかったのは神堂提督が佐藤元帥からも一目置かれる、立派な存在であるという事。

 そんな御方と共にある事は――隣に立つ事は、信頼される事は、片腕となる事は、御召艦とまではいかずとも、とても名誉な事だと太鼓判を押されたようなものだ。

 佐藤元帥は気付いていないだろうが、背後を歩く六人から発せられる気配が明らかに増大したのも、おそらくそれが理由であろう。

 

 その後、佐藤元帥に求められ、私は提督が着任してから昨夜の迎撃作戦までの流れを改めて説明する事になった。

 報告書に記載した内容との整合性を確かめるように、佐藤元帥は注意深く話を聞いていたようだ。

 私が佐藤元帥に状況を説明するのに合わせて、背後から声がする。

 

「フッ、全く大した奴だ……」

「あぁ、胸が熱いな……」

「この磯風が認めただけの事はある……」

「うちが見てきた中でもとびきりの切れ者やで……」

「そうね。流石に気分が高揚します」

「流石は提督です……」

 

 うんうんとドヤ顔で頷いている六人の姿が、振り向かずとも脳裏に映った。

 端的に言って、その……物凄くうざったかった。

 一体何のアピールをしているのだ。もしや私の手助けをしているつもりなのだろうか。

 提督が只者では無い事に太鼓判が押されたからといって、すこし露骨ではないか。

 優れた提督の片腕となりたいという欲望が艦娘の本能なのだとしたら、無理もない事なのかも知れないが……。

 無意識にだろうか、六人は徐々に距離を詰めてきていた。

 発せられている熱気と圧力のせいで背中が焼けるように熱いので、少し離れてほしかった。

 

 

 

 熱意と言うよりも、もはや六人の火の玉となった長門さん達が私達の背中にぴったりと張り付いた辺りで――予想だにしない事が起きた。

 艦娘寮の入り口近くで、一人で歩いている提督とばったり出会ってしまったのである。

 

 提督は私達の姿に気が付くと、佐藤元帥に目を向け――そして、今まで見せた事の無いような朗らかな笑顔と共に、駆け寄ってきたのだった。

 

「佐藤さん! どうしてここに⁉」

 

 佐藤さん⁉ げ、元帥に向かってそんな、知り合いのおじさんのように⁉

 思わず佐藤元帥に目をやると、こちらもまた、まるで安堵したかのような表情を浮かべてそれに答えていた。

 

「おぉっ、神堂くん! 会いたかったよ!」

 

 提督が目の前に駆け寄ってきた辺りで佐藤元帥は私の視線に気が付いたのか、またもや「はっ」と気が付いたような表情になった。

 そして再び真剣な表情を作り、小さく咳払いをしながら、提督にこう言うのだった。

 

「オホン。いや、神堂提督。ここでは佐藤元帥と呼ぶように」

 

 その言葉に、提督も同じく「はっ」とした表情で、私達の姿を見渡した。

 どうやら、佐藤元帥にばかり気が行っており、私達の事は目に入っていなかったらしい。

 状況を察したのか、提督は笑顔を消し去り、普段の凛とした表情で佐藤元帥に頭を下げた。

 

「は、はっ! 申し訳ありません! そ、それで、佐藤元帥は何故ここに……」

「大淀くんの報告書に目を通して、飛んできたんだ」

「あっ……はっ、な、なるほど、そういう事ですか……!」

 

 数瞬前に素を見てしまった為か、二人とも明らかに演技しているのが丸わかりであった。

 つまりお二人は普段「佐藤さん」「神堂くん」と呼び合う仲であるという事。

 談笑と呼ぶにはやけに固く、白々しいお二方の会話であったが、私の脳内はそれどころでは無かった。

 他の六人に目を向けるも、どうやら私と同じ感情を抱いていたようだった。

 提督と佐藤元帥から不意に零れた言葉や表情から、やはり提督が只者では無いらしいと確信が得られたから――では無い。

 

 私は――そして長門さんも、那智さんも、加賀さんも、龍驤さんも、神通さんも、磯風でさえも。

 

 大小の違いはあれど、私達七人はその瞬間、確かに、間違いなく、佐藤元帥に嫉妬した――。

 

 それは、提督が私達には決して見せないような笑顔を、佐藤元帥には見せたからか。

 佐藤元帥が、私達の知らない神堂提督の顔を知っているからだろうか。

 那智さんは、私達には隠し事かと苛立ちを覚えている事だろう。

 長門さんは、何故我々には素顔を見せてくれないのだと悩んでいる事だろう。

 艦隊司令部に所属していた以上、僅か二日前に顔を合わせた私達よりも付き合いが長いのは当然だ。

 提督は、私達を導く上官。故に、威厳のある態度を取るように心がけている。公私に区別をつけている。

 ただそれだけのはずなのに。わかっているのに。

 それは艦としての本能か、それとも娘としての本能か、あるいは艦娘であるが故の本能なのか。

 上官としての提督を求めながらも、私達は素顔の提督も求めていた。

 何故、ここまで心がかき乱されるのか、私にはわからなかった。

 

「おや、私が来る事は聞いていなかったのかい?」

「鹿島と羽黒さんに、提督を起こして伝えるようお願いしていたのですが……」

 

 佐藤元帥の問いに、私は横から答えた。

 そう言えば、佐藤元帥の視察を知っていたのならば、先ほどのような反応はしないはずだ。

 私の言葉に続き、提督は「そう言えば、二人は席を外していると聞いておりました」と答えた。

 どうやら入れ違いになってしまったらしい。

 鹿島と羽黒さんが佐藤元帥の視察の連絡を受け、私に相談をしに来た時、提督は目覚めたのだろう。

 そして二人が戻るのを待たずに、甘味処間宮を出たのだ。

 

 提督は気まずそうに、もう一度佐藤元帥に深々と頭を下げた。

 

「も、申し訳ありません……このような見苦しい姿をお見せしてしまい……ちょうど今から、風呂を浴びるところだったのです」

「いや、事情はすでに大淀くんから聞いているよ。気にしなくても良い――」

 

 ――瞬間。佐藤元帥の目に電撃が走るのを私は見逃さなかった。

 

 佐藤元帥は提督の肩にぽんと手を置き、目をぎらつかせながら言葉を続けたのだった。

 

「――いや、流石に酒臭いのは不味いな。寝ぐせもついているし、上官として示しがつかないじゃないか」

「は、はッ! 仰る通りです! 申し訳ありませんッ!」

 

 提督は本気で恥じているのか、大袈裟に頭を下げ続ける。

 佐藤元帥は私に視線を向け、こう問いかけたのだった。

 

「大淀くん、男性用の大浴場は使える状態なのかな」

「は、はい。しばらく使用しておりませんが、常に妖精さんが綺麗に掃除してくれております」

 

「良し。神堂提督、ここの大浴場は使った事があるかい? 入渠施設にあるんだが」

「……はっ? 大浴場、ですか? い、いえ……」

「ちょうど私も汗を流したいと思っていたんだ。男同士、裸の付き合いといこうじゃないか。……積もる話もある事だしね」

「……は、はーッ! 御一緒させて頂きます!」

 

 しまった――!

 この一手は佐藤元帥が仕掛けた策だ。提督も瞬時にそれを理解したのだろう。

 やはり、佐藤元帥は私達の目から離れた所で提督と話す事が目的!

 私は応接室で人払いをする程度だと推測していたが、更に念を入れてきた!

 まさか男湯という文字通り女人禁制の場で密談するとは、予想も出来なかった。

 おそらく、佐藤元帥の表情を見るに、この策は急遽思いついたものであろう。

 つまり、提督の情報を知りたがっている私達の不穏な気配に感づいて――!

 

 提督の身なりを整えるという大義名分もある。

 これを阻止する事は不可能。

 ましてや、脱衣所に忍び込んで聞き耳を立てる事など……そんな出歯亀のような真似、誇り高き艦娘であるこの私達に出来るはずが無い!

 

 佐藤元帥はそこまで理解しているのか、狼狽えている私達に向き直り、余裕のある表情で口を開いた。

 

「そういう訳だ。しばらく彼を借りるよ。君達は外で待機していてくれたまえ」

「……はっ……!」

 

 遠ざかっていくお二方の背中を見送り、私達はただただ茫然と立ち尽くすのみであった。

 慌てて他の六人が私に駆け寄り、輪を作って騒ぎ立ててくる。

 詮索するなとは言われたが――この機を逃しては!

 

「お、おい大淀! どうする⁉ 佐藤元帥がここまでするとは、この長門の目をもってしても見抜けなかった……!」

「さっきから話を聞いていれば、やっぱり司令官は只者じゃあらへん……これは司令官の事を知る千載一遇のチャンスやで!」

「私に名案があるわ。潜水艦の子に先回りしてもらって、湯船の中に隠れてもらいましょう」

「十中八九バレるわ! ちゅーか今全員出撃しとる!」

「廊下か外から聞き耳を立てれば、何とか聞き取れないだろうか……」

「いえ、女湯と造りは同じですから、経験上、那珂ちゃんの歌に匹敵するような大声で無い限りは廊下や外からでは聞こえないでしょう。逆に言えば、脱衣所まで行けば会話程度なら何とか聞き取れるはずです……」

「この磯風に考えがある。この中の誰かが司令の背中を流すという名分で堂々と乱入するのはどうだろうか。私は御免だがな」

「ア、 アホっ! 一番アカンわ! う、うちら一応女の子やし……司令官らも気にするやろ!」

「貴女ならきっと大丈夫よ」

「しばくぞ! 大淀! この加賀(アホ)は放っておいて、何か打つ手は無いんか⁉」

 

「わ、わかってますよ! ピンチはチャンス……男湯という私達の近づけない空間ならば、逆に佐藤元帥も油断する事でしょう……つまり、脱衣所に侵入してあの場の会話を聞き取る事が出来たなら……! で、でも! そんな出歯亀のような恥知らずな真似、誰がすると、いえ、誰が出来ると言うのですか⁉」

 

 私の言葉に、全員黙りこくってしまった。

 神通さんなどは何を想像してしまったのか、顔を真っ赤にして俯いてしまっている。

 聞き耳を立てる為に男湯の脱衣所に忍び込んだ事が提督にバレたならば――考えただけで恥ずかしいし、何よりも恐ろしい。

 

 提督の信頼を得たい私達が、自ら信頼を損なうような真似が出来るはずが無い。

 

 打つ手無しか、と私達全員が諦めかけたその瞬間――おーい、と呼ぶ声と共に背後から駆け寄ってくる足音が聞こえた。

 私達が振り向くと、そこには――。

 

「何よ大淀、珍しいメンバーで……何かあったの?」

「あ、明石っ?」

「ちょっ、ちょっと待ってぇ~! 置いてかないでよぉ!」

「ゆ、夕張!」

「なになに? 何の話ですかぁ?」

「あ、青葉ーッ⁉」




大変お待たせ致しました。
少し長くなってしまったのですが、艦娘視点となります。
次回は久しぶりの提督視点になります。

ついに冬イベが近づいてきましたね。
余談ですが、武蔵建造確率大幅アップ後、我が鎮守府はあえてのビスマルクレシピに挑戦したところ、武蔵が三人着任しました。
ビスマルク姉様は一向に姿を見せてくれません。
大規模イベントとの事なので完走できるかわかりませんが、提督の皆さんお互いに頑張りましょう。

※どうでもいい用語解説
【同時改二】
特撮等における同時変身と同義。
意識していないのに何故か改二発動のタイミングが重なる現象。
熱い展開の際に起こりやすい。

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