Prologue
目が覚めたら知らない天井見上げてました。うん、どういうことなの誰か説明して。
私がパニックになっていると、ふととある記憶が甦ってきた。
誰かと話したのか……?誰と?何故?
……駄目だうろ覚えだ、なんかもやがかかって思い出せない…
……ん?これまさかあれか?一時期流行ってた『神様の事故で転生しちゃったぜ☆』ってやつか?
でもそう仮定して考えるとちょっとおかしくね?私、事故で死んだ記憶とかないぞ?普通に一日過ごして寝た記憶あるし。なんなら昨日の夕飯だった大好物のアジの開きの蒲焼きの感想言ってやろうか。旨かった、以上。あ、駄目だ思考が迷走してきた。
現実逃避し始めた思考を一度止め、まぁ考えていても仕方ないかという結論を出し、身体を起こし部屋を見渡す。うむ、結構私好みの部屋だな。
そして、体を適当に動かしてみる。あー……体つきからして5歳か6歳かな?若返ってんのか。日本では小学生に上がるぐらいの年齢だけど……
そこまで考えてはたと気づいた。『そもそも此処は日本なのか?』と。
今のところなんとも言えないが、もし外国だとしたら生憎と私は外国に行ったことなんてないからほとんどの言語は話せない。分かるとしても高校までの簡単な英語くらいだ。それだって流暢に話せる自信なんてないし、そもそも意味がちゃん伝わるのかさえ怪しい。
でもさっき見た時にランドセルは見当たらなかったし小学校にあがる前って可能性も……待てよ、外国の学校って確かランドセル使わないんじゃなかっけ?
前に外国に留学経験がある友人が話していたのを思い出し、思わず頭を抱える。
もしかしなくても、詰んでないか私。
「はー……」
若干甲高くなった声がため息に混じって洩れる。あまり違和感はない。
改めて辺りを見渡す。今度は一つ一つ丁寧に。やっぱりランドセルらしきものはなかった。嫌な予感しかしない……
勉強机らしきものの近くにある窓を開ければ分かるだろうと思った私は座っていたベッドから降り、窓のカーテンをそっと開けた。そして恐る恐る窓の外を見て、絶望した。
歩く人達はどうみても日本人には見えない。どう考えても外国の街並みだ、これは。
今私超絶望した顔してんだろうなぁ……と出来るだけの現実逃避をしながらふと机の上に目を向けると鏡があった。
これでどんな顔になってるのかみてみ――――――………
手に取った手鏡を覗き込んで私はビシリと固まった。どちらかといえば凍りついた。そして、嫌な汗がだらだらと流れ始めた。
ぱっちりと開かれた眼。
ピンク色の頬。
本来微笑んでいるはずの口元は怯えるように少し開いていて。
恐怖と驚愕に染まっているし、髪と眼の色が違うが、間違いない。
「どうして……」
―――