【Lily】
腕の調子を確かめるために、腕を動かしながら歩く。
……うん、違和感はないな。大丈夫そうだ。
さて、次のエリアは……あぁ、パズルか。
雪を踏み締めて次のエリアに踏みいる。……確か仕組みはバツ印を丸印に変えて、スイッチを押すんだっけな?
「お姉ちゃん、このパズル、このバツを丸に変えてスイッチを押せばいいんだって」
「あ、そういう仕組みなんだね」
看板に近づいていったフリスクが、看板の内容を教えてくれた。……解き方間違えてなくてよかったよ。
そう思いながら私はフリスクと反対側のバツ印の前に移動する。……乗ったら丸に変わるって、どういう仕組みなんだろうか。重量が感知できる仕組みになってるのか?
「……あ」
移動する途中、針山の向こうでパピルスがこちらに背を向けて立っているのを見つけた。……身長高いなぁと思いながら、足元にあるバツ印を踏む。バツ印が一瞬で赤い丸印に変わった。
「おー……こんな風に変わるのね…」
「面白いね!」
フリスクはそう笑顔で言って足元のバツ印を踏み、スイッチを踏んだ。
カチッ
という音がして、丸印が緑色に変わった。後ろを振り返ると、針山が引っ込んで通れるようになっていた。
音が聞こえたのか、パズルを解いた事に気付いたパピルスが振り返り、驚いた顔をみせる。
「何!?俺様の罠を避けたのか!?」
「うん、ちゃんと解いたよ」
パピルスの言葉に頷く。
「まぁいい、一つ聞きたいことがあるのだが……」
何?と言わんばかりにフリスクが首を傾げる。
「俺様のスパゲッティは残したのか???」
アッ、超答え辛い質問がキターと思いながらフリスクと顔を見合わせる。……マジでどう答えようかこれ……
フリスクは少し考えた後、小さく首を縦に振った。
「ホントか!?」
ぱぁっと顔を明るくするパピルスに胸が罪悪感でいっぱいになる。……ごめんよパピルス…
「うわーぉ……今まで俺様の料理を味わった者はいなかった……」
まぁそりゃ今まで会った人間私達だけだしね……と思いながら黙って話を聞く。
「だが!!心配するな人間!俺様、マスターシェフのパピルスが……お前たちのためにどんなパスタでも作ってやるぞ!!ヘッヘッヘッヘッヘッヘッニェッ!!」
そう言ってパピルスは背を向けて去っていった。…バリエーション豊富やなその笑い方。
フリスクを見ると、少しきょとんとした顔でパピルスを見送り、彼の姿が見えなくなった辺りで、私の方を見て嬉しそうににっこりと微笑んだ。
「『ぼくたちのために』、だって。嬉しい!」
「…そうだね」
フリスクはルンルンと鼻歌を歌いそうなくらい上機嫌で先に進む。私はその姿に和みつつ、フリスクが優しい性格に育った事に安堵する。……頑張って愛した甲斐があったよ。
「お姉ちゃーん!行こう!」
満面の笑顔のフリスクに急かされ、私はフリスクを追いかけた。