守りたいもの   作:行方不明者X

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※お気に入りが300人越え……夢ですかね?

*作者は決意に満たされた。


35.Snowdinの街②

【Lily】

 

すれ違った黄緑色っぽい体毛の兎のお姉さんに会釈し、私は目立っていたツリーへと近づいていく。……これ、確かギフトロットへの謝罪の為に始まったんだっけな。

そう思い出しながらプレゼントの箱を置こうとしている水色の熊のようなモンスターに話しかける。

 

「……あの、すみません」

「なんだい?……おや、見かけない顔だね。新入りさんかな?」

「あはは、はい、そんなものです。よろしくお願いします」

「こちらこそ」

 

あ、このモンスター結構おっとりした喋り方だ。あと優しい声だな。

話して若干心がほっこりしたところで、本題に入る。

 

「ところで、一つお聞きしたいんですけど、この木とプレゼントは一体何ですか?」

「あぁ、これかい?昔ね、心ない若者たちが地元の木のような角を持つモンスターに飾りをつけて嫌がらせしてたんだ。そのモンスターの機嫌を直すために、皆が贈り物を渡し始めた。今じゃそれが伝統になって、飾られた木の下にプレゼントを置いているんだよ」

「へぇ、そうなんですね……」

 

本題を問うと、ゲームで聞いた時と同じ内容の答えが返ってくる。……嫌がらせした下手人取っ捕まえて謝らせた方が手っ取り早いと思うのは私だけだろうか。

 

「ありがとうございました、ではまた」

「うん、じゃあね」

 

彼とお礼を言って別れ、木をじっと見る。……すげぇ丹精込めて飾り付けられてんな。あ、マジで『サンタ』からのプレゼントもあるわ。……『サタン』じゃないだろうなと一瞬疑ったのは内緒。

木から離れ、前を見ると、フリスクがモンスターキッドに話しかけていた。……あ、リアルで見ると目がくりくりしてて可愛いな、あの子。

 

「……あ、お姉ちゃん」

 

私が近づいたのに気がついたのか、フリスクが手を振りながら駆けてきて、そのまま抱きついてくる。

 

「熊さんとのお話終わった?」

「終わったよー」

 

見上げてくるフリスクの頬に指を押し当てる。……あっ、もっちもちだ可愛い。

 

「なぁ、お前のねぇちゃんなのか?」

 

興味を持ったらしいモンスターキッドが同じく駆けて来てフリスクに問いかけてくる。その問いかけにフリスクは私から離れてコクリと頷いた。……身長はフリスクよりちょっと小さいくらいか。

 

「初めまして、私はこの子の姉のリリー。よろしくね少年」

 

一言そう言って彼の頭を撫でる。彼はきょとんとしてから、目を気持ち良さそうに細めた。可愛いなおい。

 

「……オマエも子供、なんだよな?」

 

撫でるのをやめると、モンスターキッド君は私を見てそう言った。……まぁこの身長だしストライプ着てても子供には見えないわな……

 

「んー、ギリギリ成人してないからまだ子供だね!」

「そうなのか……?」

 

え、外国の法律では普通に成人だろって?日本の法律では成人してないからセーフ。……そこ、屁理屈とか言うな。私は前世から日本人だからそっちの法律を優先したいんだよ。

 

「…それに、中にはシマシマをお洒落で着るやつもいるかもしれないよ?」

「えー?」

 

まぁ地上じゃマジでそうだからね、うん。

 

「……お姉ちゃん、行こう」

 

ちょっと頬を膨れさせながらフリスクが私の手を引っ張る。……あ、もしかして私がモンスターキッド君に構ってたから嫉妬したのかな?かわいいなぁもう!

 

「うん、そうだね。……じゃあね」

「お、おう……」

 

手を振ってモンスターキッド君と別れ、グリルビーズの前に立っている茶色い熊のモンスターと話しかけにいく。……結構お洒落な雰囲気だな、この店。

 

「この町に町長は居ない。だが何か問題が発生すると、スケルトンが魚の女性に報告するのだよ。なあああああんて政治的!」

 

……あ、そういえばここでも寿司ネキフラグ立ってたか。

魚の女性と聞いてフリスクは首を傾げていたが、私はアンダインの事だと理解する。というかなんだその叫び声。

 

話はそれだけだと分かると、フリスクはグリルビーズの扉を開ける。……あれ、これもしかして目的が図書館だってこと忘れてる?

まぁいっかと思考を切り替え、フリスクの後に続いて私も中に入った。


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