守りたいもの   作:行方不明者X

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46.Waterfall探索①

【Lily】

 

博士と計画について最終調整をし、空間を抜け出す。すると、丁度サンズがショートカットを使ったのか、目の前に現れた。

 

「うぉっ!?………あぁ、なんだ、サンズか……」

「へへ、驚いたか?」

「そりゃね……」

 

知っているのと実際やられるのじゃ話が違うしな……

ふと、フリスクが居ないことに気付き、辺りを見回す。

 

「あれ、妹は?」

「……あぁ、すまん、置いてきた」

「おい。……そこまで遠い距離じゃないから良いけどさ……」

 

飄々とした様子で言い放ったサンズを思わずジト目で見る。

 

「まぁ、待ってれば来るだろうし、ここで大人しく待ってるかな」

 

そう言って私はエコーフラワーの隣にリュックを置き、壁に寄りかかる。そして、目を閉じてこの後の事を思案する。

 

………確か、次の部屋は滝の裏にチュチュが置いてある部屋があった筈。まずはそこに行って回収して……あー、滝で思い出したけど水で濡れるな。一応持ってきた大きいビニール袋被ってけば濡れないか……?そもそも、川の深さがどれくらいかにもよるんだよな……ゲームではフリスクの足元ぐらいな感じだったんだけど……どうなるんだ……?

 

「……お姉ちゃん!」

 

フリスクの声が聞こえ、目を開ける。すると、フリスクが私を見上げていた。

 

「おぉ、お帰りフリスク。デートはどうだった?」

「それ本人がいる前で聞く……?」

 

私が訊ねると、フリスクは怪訝そうな顔をする。……ごめんて、悪気はなかったんだよ。

 

「……楽しかったよ」

「ん、そっか。なら良かった」

 

返答してくれたフリスクの頭をなで、リュックを持つ。

 

「さてと、行くか」

「うん」

 

フリスクの横に並び、サンズの前を通りすぎる。……一瞬、彼の目が『監視してるぜ』と言わんばかりに光ったような気がした。

――――――――――――――――――――

 

「おぉ……」

 

ドドドドドド、と滝の水が流れていく音がする。…結構迫力あんな。

 

「ボックス嫌いがボックスの説明を書くんだ……」

 

私が滝に圧巻されている内にフリスクはボックスの隣の看板を読んだらしく、独り言のように呟く。その呟きで我に返った私は、リュックからビニール袋を取り出す。

 

「…お姉ちゃん、何それ?」

「ん?見ての通りビニール袋さ。これ被っておけば、水飛沫がかからないでしょ?」

「なるほど……」

 

私の説明に納得したように頷くフリスク。それを見てから、私はリュックを背負い直し、ビニール袋を頭から被る。……靴とタイツはもうしょうがない、諦めよう。

 

「さて、どっちからいく?」

「んー……下は何もなさそうだし……そのまま行っちゃう」

「分かった」

 

フリスクの決定に従い、私は川に足を突っ込む。……あ、案外冷たくない。あと浅い。

 

「どう?」

「浅いしあんま冷たくないよ、丁度いい感じ」

 

フリスクに感じたことを話すと、フリスクも恐る恐る川に足を踏み入れる。冷たくないことに安心したのか、ちゃぷちゃぷと水を蹴って遊びだす。かわいい。

 

「………?」

 

ふと、穴が空いている辺りに違和感を感じて見つめると、微妙に色が違うことに気付く。……此処で合ってたか。よかった。

 

「フリスク、あそこ、なんかあるみたいだよ?」

「え?何処?」

 

フリスクに指差して教えると、じっと見つめてからぽつりと、

 

「……穴、かな?」

 

と、呟いた。

 

「多分ね。……行ってみる?」

「うん」

 

フリスクが頷くのを確認し、私はフリスクの手を引いて、流れてくる岩から守りながら穴の元へと進む。………そこまで進みにくくはないな。

水の中にいる感触を確かめながら進み、穴の元へと辿り着く。……あ、やっぱり色が違う。

 

「えいっ」

 

ビニールから腕を出し、滝の中に腕を突っ込む。すると、そこだけ水が勝手に別れて、ぽっかりと空いた穴が姿を見せた。……ビニール、要らなかったな。

 

「……入るか」

「うん」

 

フリスクの手を引いたまま、中に入り込む。入ってすぐが地面になっていて、そこで水からあがる。……あー、気持ち悪い感触が……

 

ビニールを取って、地面におろしたリュックにしまう。……なんか使い時が来るといいんだけど。

 

「……お姉ちゃーん」

「ん?どした?」

「これ……」

 

リュックにビニール袋をしまっている内に探索を終えたらしいフリスクが、古くなって若干色が褪せているチュチュを身につけていた。………あ、ちゃんとズボンは穿いてるよ?

 

「………とっても似合うしかわいいんだけど、どしたそれ」

「奥に落ちてたよ」

 

取り敢えず素直な感想を述べてから聞くと、フリスクはゲームでチュチュが落ちていた辺りを指差す。

 

「そっか……」

 

……ごめんね、借りるよ

そう心の中で四人目の子に謝り、私はフリスクに笑顔を向ける。

 

「あとは何にもなさそう?」

「うん」

「じゃあ、行こっか」

 

再びフリスクの手を引いて、私達は先に進み始めた。


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