守りたいもの   作:行方不明者X

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3.Ruins探索①

【Lily】

 

トリエルさんの後についてフリスクと一緒に部屋を移動した私は、部屋に入ったくらいのところでフリスクが立ち止まっている事に気がついて振り返った。

 

「どしたフリスク、急に立ち止まって」

「………ねぇお姉ちゃん、あれなんだろう?」

「え、何かあるの?」

「うん、あそこの落ち葉の前」

「?」

 

私何も見えないんだけど……

 

目を擦ってから目を凝らしてみると、薄くぼんやりと光っているものがフリスクの目線の高さぐらいのところに浮かんでいるのが見えた。ゲームで丁度セーブポイントがあったあたりに。

 

………あれってまさかセーブポイントか?なんで私にも(凄いぼんやりとだけど)見えるようになってんの?

 

「あー、あの光?私超ぼんやりとしか見えないんだけど……」

「え?ぼく結構はっきり見えるよ?」

「そうなの?」

 

首を縦にふるフリスク。どうやらフリスクにははっきりと見えているもよう。

……やっぱり主人公だからか?それともPlayerに影響されて見えるようになってんのか?

 

「……えいっ」

「ちょっ!?」

 

いつの間に近づいたのか、セーブポイントの近くにいたフリスクがちょん、とセーブポイントを突っついた。

 

「何やってんの…」

「ごめんなさい、ちょっと気になっちゃって……でも、なんか画面みたいなのが出てきたよ?」

 

そういったフリスクが指差す先には何もなかった。

……多分、『空っぽ』って書いてあるセーブデータがあるんだろうな。

 

「………ごめん、私には何も見えないや」

「そっか……」

 

ちょっとしゅんとした後、フリスクは画面があるであろう空間に手を伸ばし、何かを押した。

……セーブをしたんだろうか。

 

「なんかセーブって書いてあるところ押したんだけど……何も起こらないね」

「何も起こらないほうがいいよ」

 

まるでゲームみたいだね、とフリスクはちょっと笑って言った。

…その通りだからなんも言えないんだよなぁ

 

「二人とも、どうしたの?」

 

私達がついてきていないことに気づいたトリエルさんが奥から顔を出した。

 

「あ、ママ、あの「いえ、なんでもないですよ、トリエルさん。今行きます」

 

フリスクがセーブポイントについて話そうとしたのを遮って笑みを作る。

 

「そう?ならいいのだけれど……早くいらっしゃい」

「はーい」

 

不満そうに頬をふくらますフリスクの手を繋いで、私は奥の部屋に向かった。

 

―――――――――――――――――――――

 

部屋を移動すると、そこにはゲームでも見たことのあるあの仕掛けがあった。

 

……確かそこの壁画に『賢い奴もバカな奴も真ん中は通らない(意訳)』みたいなことが書いてあって、それがヒントになってるんだっけか。

 

「新しい家にようこそ、我が子たち。ルインズの歩き方を教えてあげるわね」

 

そういうとトリエルさんはゲームであったように周りのボタンを押してレバーを下げた。

 

「ルインズにはパズルがたくさんあるの。昔ながらの気晴らしと鍵の合わせ技ね。

部屋を進むには、パズルを解かないといけないの。よく見て慣れていってね。」

 

はーい、とフリスクと一緒に返事をする。その返事ににっこりと微笑んでからトリエルさんは次の部屋に移動した。

 

――――――――――――――――――――――

 

次の部屋は、確かレバーの部屋だったはず。

 

そう考えていると、トリエルさんが説明を始めた。

 

「ここを進んでいくには、いくつかスイッチを押すのよ。……心配しないで、私がスイッチに印をつけておいたわ」

 

一瞬フリスクの顔が不安そうに崩れたからか、トリエルさんは安心させるようにそういった。

………フリスクの表情はゲームの時は分からなかったけど、ゲームだったときも不安そうにしていたのかな?

トリエルさんが部屋の奥に行ってしまったのをみて、フリスクは謎解きを始めた。

 

「………ねぇお姉ちゃん、『Zキー』って何?」

 

おっとメタワードが来た。そっか、看板に書いてあるんだっけか。

 

「さぁ……?私もわかんないや」

 

取り敢えずすっとぼけておく。いやぁ、孤児院にパソコンなくてよかったよ。

 

そっかと言ってフリスクは他のレバーを調べに行く。私はその隙にリュックをおろしてトリエルさんに見えないように気をつけてカッターを取り出してポケットに滑り込ませる。

何かあったときにリュック入ってたら意味ないからね。

 

リュックを改めて背負った時、がこんと音がした。音がした方を見てみると、フリスクがちょっと誇らしそうに胸を張っていた。どうやら私がカッターを取り出そうとしているうちに解いてしまったらしい。

 

「もしかしなくても私の助け要らなかった系?」

「うん、一人で解けたよ!」

「おー、そっかー」

 

褒めて褒めてと抱きついてくるフリスクの頭を撫でておく。めっちゃ可愛い。

 

「よくできました!お利口さんね、我が子よ」

 

にっこりとまた微笑むトリエルさん。私が含まれてないのはしゃーない。何もしてないしね。

 

「さあ、次の部屋に行きましょうか」


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