幼女戦記 〜旗を高く掲げよ〜   作:猫敷

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13話がひと段落したので、ちょっとした日常篇?です。


閑話:ターニャの日常1 前半

『朝の控え、昼の回付』

 

 国家保安本部の朝は早い。早い、というより、眠っている時間が短いだけだ。夜が終わり切る前から灯りが点き、誰かがタイプを打ち、誰かが封緘を乾かし、誰かが自分の失策を机の下に押し込んでから出勤する。立派な組織には立派な理念があるらしいが、現実に一日を動かしているのは、たいていインクの染みた指と、睡眠の足りていない人間の胆力である。

 

 そして、その事実は、別に国家保安本部に限った話ではない。

 

 薄い眠りの底から意識を引き上げられたターニャは、しばらく目を閉じたまま天井の方向を睨んでいた。睨んでどうにかなるものではない。分かっている。分かっているが、人間、理性だけで朝を迎えられるほど完成された生き物ではないのだ。

 

 目覚まし時計が鳴る前に目が覚めた、という事実それ自体は良い。問題は、その理由が、規則正しい生活習慣の成果ではなく、今日中に片付けるべき案件の一覧が睡眠中も頭の片隅を離れなかったからだという点にある。

 

(何でこうなる!?)

 

 内心でだけ吐き捨てて、ターニャは布団から上半身を起こした。暖房は入っているが、寒いものは寒い。ベルリンの朝は、善良な市民にも勤勉な官僚にも等しく冷たい。まして、寝起きの体温を奪う空気は、肩書に敬意を払うような気の利いた性質を持っていない。

 

 床に足を下ろした瞬間、ひやりとした感触が足裏を刺した。小さな体はこういう時に損だ、と毎朝のように思う。熱を失うのが早い。布団の暖かさも、湯気の立つ飲み物も、成人男性の体格を前提に作られた生活の中では、いちいち自分で取りにいかなければならない。誰も運んではくれない。運ばせる気もないが。

 

 寝台脇の椅子に畳んで置かれていた寝間着の上着を脱ぎ、用意していたシャツへ袖を通す。動作に迷いはない。迷う余地がない、という方が正確だった。今日の予定は昨夜のうちに組み直してある。組み直したということは、つまり、昨夜の時点で既に破綻の芽が見えていたということでもある。

 

 身支度を整えながら、机の端に置いてあった手帳を開いた。

 

 午前。国家保安本部内部の回付滞留案件確認。第四局からの照会二件。第七局経由の資料整理一件。親衛隊全国指導者ヒムラー個人幕僚部への提出控えの修正版確認。護衛配置の見直しに関する文書への署名。昼前に陸軍側との輸送調整の短時間面談。午後。後方監視班の報告抜けの差し戻し。夕刻に補佐官“EVA”からの提出物確認。夜には――見なかったことにしたいほど面倒な予定が二つほど載っている。

 

 手帳を閉じる。

 

 閉じたところで予定は消えない。現実は書類より頑固だ。

 

 コート掛けの脇に吊ってある黒服へ視線を向ける。時代の流れとして、親衛隊全体の制服運用は既に移り変わっている。黒一色を日常の装いとして無邪気に振り回せる時期ではない。だが、ターニャに限っては例外が許されていた。許されていた、というより、周囲がそこへ理由を与えてしまった結果である。

 

 象徴だの威光だの、そういう曖昧な言葉は嫌いだ。嫌いだが、効くから使われる。そして、効くなら使われる以上、使われる側にも管理責任が発生する。

 

 襟を整え、袖口を確認し、銀色の留め具の位置を指先で直す。鏡に映る姿は相変わらず幼い。幼いが、そこへ制服が載ると、周囲の反応は年齢より先に権限を見るようになる。便利な現象だ。気に入っているわけではない。便利なだけである。

 

 髪をまとめて帽子を手に取ったところで、控えめなノックが入った。

 

「失礼します」

 

 返事を待つ間が短い。相手は決まっている。ターニャは時計を見てから、どうぞ、とだけ答えた。

 

 扉が開き、セレブリャコーフが入ってくる。いつも通り、過不足のない身なりだった。朝早い時間帯でも襟元は整っているし、手袋は片方ずつ順に外す。急いでいても雑な動きが少ない。実務担当としては非常にありがたい性質である。

 

 彼女は扉を閉めると、左手に持っていた小さな盆を机に置いた。湯気の立つカップと、薄く切られた黒パンが二枚、それにバターが少し。

 

「朝食をお持ちしました。本部の食堂は今日は補給車両の遅れで品目が少なく、選択肢がありません」

 

「十分だ。量があるだけましだな」

 

 ターニャは帽子を置き、カップへ手を伸ばした。熱い。指先に伝わる温度だけで機嫌が少し持ち直す。人間味というものがあるとすれば、結局はこういう程度のことなのだろう。壮大な理想や崇高な使命ではなく、朝一番の熱い飲み物の有無で、その日の忍耐力がわずかに変わる。文明は偉大だ。

 

 セレブリャコーフは机の端へ視線を落とした。

 

「本日の回付物は先に分類してあります。至急扱いが六件、午前中で間に合うものが四件、今日中なら差し支えないものが九件です」

 

「多いな」

 

「はい。ですが、昨日の時点よりは減っています」

 

「比較対象がおかしい」

 

 淡々と返すと、セレブリャコーフはほんの少しだけ目を伏せた。笑ったわけではない。ただ、否定もしなかった。副官としての分別がある。

 

 ターニャはパンを一枚手に取った。硬い。いや、硬いというより、軍や官庁まわりで出るパンとしては標準的なのだろう。自分の身体が小さいせいで、噛む動作が一段手間に感じるだけだ。

 

 バターを薄く塗る。薄くなるのは倹約精神ではない。量が少ないからだ。

 

「第四局の照会二件ですが、片方は人員名簿の整合確認です。もう片方は地方支局からの拘束報告の書式不備に関する照会でした」

 

「後者は差し戻しでいい。書式を直して再提出させろ。例外を作ると次が増える」

 

「承知しました。前者は」

 

「名簿の元データをどこが持っている」

 

「第七局の控えと、こちらの記録班の写しが一致していません」

 

「なら、まず控えの作成日を見ろ。新旧が混ざっているだけなら人手を使う価値がない。作成日が同じで内容がずれているなら、その時点で担当欄を洗え」

 

「すぐ回します」

 

 そう言ってから、セレブリャコーフは一拍だけ置いた。

 

「それと、護衛配置の見直し案ですが、昨夜遅くに再修正が入りました。警戒度引き上げの根拠として、外部からの断片的な情報が添付されています」

 

「断片的、か。便利な言葉だ」

 

「はい。明確な暗殺計画と断定できる内容ではありません。ただ、要人扱いの基準に照らせば、増員自体は文書上可能です」

 

 ターニャはパンを口に運びながら、机へ置かれた控えへ手を伸ばした。護衛の件は、彼女自身の趣味で増えているわけではない。むしろ逆だ。視線が増える。動線が固まる。気楽に歩けなくなる。ろくなことがない。

 

 だが、こちらの都合だけで配置を減らせるほど、この組織は優しくない。一度「必要」と書かれたものは、「不要」にするために余計な紙が増える。

 

 控えの一枚目を見て、ターニャは眉間をわずかに寄せた。言葉遣いが曖昧だった。危険の水準が曖昧なのではない。文書の書き方が怠慢なのだ。

 

「これを書いた担当は誰だ」

 

「警備班の補助官です。決裁欄はまだ空いています」

 

「書き直しだ。『情報あり』では何の足しにもならない。伝聞なのか、観測なのか、過去事例との一致なのか、それとも単に誰かの不安なのか、区別して出させろ」

 

「はい」

 

「増員自体を止めるつもりはない。ただし、理由は整えろ。曖昧なまま私の署名欄へ持ってくるな」

 

「承知しました」

 

 セレブリャコーフは控えを引き取り、別の束へ差し替えた。動きが速い。速いが、机上を乱さない。実にありがたい。

 

 ターニャはカップを持ち上げた。苦い。苦いが、温かいだけで価値がある。上等な豆を求めるほど贅沢な育ちではないし、今の自分の立場で重要なのは味覚の満足ではなく覚醒の速度だ。そう考えて飲み下す辺り、人間味があるのかないのか、自分でも判断に困る。

 

「本部食堂の補給遅延は何だ」

 

「小麦粉と燃料の搬入順が後ろへ回ったようです。昨夜、別件の優先輸送が入った影響かと」

 

「別件とは」

 

「陸軍向けの部材、それと港湾経由の積み替え関連だそうです。詳細は食堂の担当には来ていませんでした」

 

 ターニャは小さく息を吐いた。朝食のパンが硬い理由にまで輸送の優先順位が顔を出す。壮大な国家運営も、末端へ届く時にはパンの厚みやコーヒーの薄さに変換される。これを政治だの戦略だのと飾り立ててもいいが、現場にいる人間からすれば、結局は食えるかどうかの話に過ぎない。

 

「昼までに輸送表の控えを回せ。食堂の件でなくていい。今日会う陸軍側に一言入れる」

 

「面談の時間を少し広げますか」

 

「不要だ。短く済ませる。こちらが長く話せば向こうも長くなる」

 

「はい」

 

 パンを食べ終え、ターニャは手元のナプキンで指先を軽く拭った。セレブリャコーフは、残りの書類を時刻順に並べ替えながら、必要最低限の補足だけを付けていく。無駄がない。二人きりのこういう時間は、外向きの会議よりよほど仕事が進む。

 

 ふと、セレブリャコーフが机の端を見た。

 

「帽子の内側ですが、縫い目が少し緩んでいます。後ほど、控え室で直させますか」

 

 ターニャは帽子を手に取り、内側を指でなぞった。確かに糸がわずかに浮いている。気付いていなかった。こういう細部の崩れは、見つかる時にはくだらない相手に見つかる。

 

「目立つか」

 

「近くで見れば分かります。今すぐ困るほどではありませんが、このまま使い続けると広がります」

 

「分かった。昼前に五分取れれば回す」

 

「針と糸はこちらで用意します」

 

「お前がやるのか」

 

「兵站に頼むほどの話でもありませんので」

 

 ターニャは一瞬だけセレブリャコーフの顔を見た。相手は至って真面目である。副官として書類も動線も調えるのが仕事だ。帽子の縫い目ひとつで威信が削れるなら、その管理も職務のうち、という理屈なのだろう。

 

 合理的ではある。合理的ではあるが。

 

「少尉」

 

「はい」

 

「お前の仕事は増やしたくないんだが」

 

 口から出た言葉に、自分でわずかに驚いた。驚いたが、撤回するほどのものではない。セレブリャコーフも、ほんの少しだけ目を瞬かせた後、すぐに平静を取り戻す。

 

「ありがとうございます。ただ、増える仕事と減らせる仕事の区別は付いています。これは後者です」

 

「そうか」

 

「はい」

 

 それ以上は続けなかった。続けると変に情緒が混じる。混じらせるつもりはない。ただ、彼女が過不足なく働いている事実は認めているし、その働きで自分の一日が持っていることも分かっている。認識と感傷は別物だ。

 

 朝食を終え、残りのコーヒーを飲み切ると、体の内側にようやく熱が回ってきた。これで人間の形になる。少なくとも、書類の山へ殴りかかる程度の理性は取り戻した。

 

 部屋を出る前に、ターニャは机上を一瞥した。持ち出す束、置いていく束、戻した時点で再確認する束。順序を間違えると今日一日の歯車が狂う。国家保安本部のような組織において、最初の一枚の置き場所は、そのまま数時間後の混乱に直結する。

 

 扉の前で手袋をはめ、帽子を被る。

 

「行くぞ」

 

「はい」

 

 廊下へ出ると、空気が一段冷たかった。石造りの建物は、温めるより冷える方が得意らしい。遠くでタイプライターの音が連なっている。靴音が交差し、封筒を抱えた職員が足早に通り過ぎる。立ち止まっている者が少ないのは良いことだ。暇な官僚は余計な提案をする。

 

 護衛が二名、一定距離を保って後方へ付いた。増員案がまだ決裁前でも、最低限の配置は常にある。視線が増えるのは好ましくないが、慣れた。慣れたというより、気にする価値が薄れた。

 

 廊下の途中、記録班の若い女職員が両腕いっぱいに綴じ紐の束を抱えて角を曲がってきた。危ない、と思うより早く、彼女の片側の束が崩れる。紙が散る寸前で、ターニャは一歩踏み出して上から押さえた。手袋越しに、紙の端が指先へざらついて当たる。

 

「止まれ」

 

 短く言うと、相手は飛び上がるように足を止めた。慌てた表情で息を詰める。

 

「も、申し訳ありません」

 

「謝罪は後でいい。束ごと床へ置け。今の持ち方では角を曲がるたびに落とす」

 

「は、はい」

 

 彼女がしゃがみ込む間に、ターニャは崩れかけた綴じ紐の位置を直し、上から支えた。記録班の書類が床へ散らばると、それだけで後続の照合が面倒になる。助けたのは慈悲ではなく、今日の自分の仕事量を守るためだ。

 

 だが、女職員は床へ束を置いてから、目を丸くしたままこちらを見上げた。

 

「デグレチャフ少佐、失礼いたしました。お手を煩わせて――」

 

「次からは二回に分けて運べ。急ぎでも落としたら余計に遅れる」

 

「はい」

 

「どこの分だ」

 

「第七局からの移管控えです」

 

「ならなおさらだ。欠けると後で泣くのはお前だぞ」

 

 女職員は顔を引き締め、深く頷いた。若い。だが、若い職員が全員使えないわけでもない。使えないのは年齢ではなく、手順を軽んじる者だ。今の反応なら、次は少し慎重になるだろう。

 

 ターニャは手を離し、進みかけてから、ふと足を止めた。

 

「指は切っていないか」

 

 自分でも余計な一言だと思った。紙で切った傷は地味に痛む。書類仕事の人間には案外厄介だ。だが、確認した以上は言い切るしかない。

 

 女職員は戸惑いながらも手を見た。

 

「だ、大丈夫です」

 

「ならいい。運び終えたら回付箱の前を詰まらせるな」

 

「はい、ありがとうございます」

 

 ターニャは何も返さず歩き出した。横を歩くセレブリャコーフが、半歩遅れて付いてくる。数歩進んだところで、彼女が低く言った。

 

「記録班の者、しばらく前に異動してきた職員です」

 

「そうか」

 

「名前を控えておきますか」

 

「不要だ。今日の時点ではそこまでの話ではない」

 

「承知しました」

 

 名前を覚える余裕がない、という意味でもある。覚えないわけではない。必要が生じれば控えを見ればいい。感傷的な親切ではなく、仕事の流れに支障が出る前に止めただけだ。それで十分だろう。

 

 執務室へ入ると、既に暖房が入っていた。だが、紙の多い部屋は独特の乾いた冷え方をする。暖かいのに指先は冷たい。火に近い場所だけが温い。人間より書類が優先される部屋というものは、そういう妙な気候を持つ。

 

 机上には朝の回付物が整然と並べられていた。整然と並んでいるだけで好感が持てる。整っていない机は、それだけで管理能力の証拠として不利だ。偏見だと言われても困る。偏見ではなく経験則である。

 

 最初の束を開く。拘束報告の書式不備。嫌な予感は外れず、日付の表記が欄ごとに違っていた。担当者は統一という概念をどこへ置いてきたのか。押収物一覧には記載漏れがあり、拘束時刻の欄はインクが滲んで読みにくい。地方支局は時折、現場の忙しさを免罪符にして最低限の形式まで削ってくる。理解はする。理解はするが、許容はしない。

 

 赤鉛筆を手に取り、差し戻し箇所へ印を付ける。

 

 時刻表記を統一しろ。押収物欄を再記載。拘束理由の記述を簡略化せず、事実のみで書け。添付控えの番号を本票へ転記。担当署名を明確に。

 

 書きながら、文面は短くなる。余計な修辞は不要だ。直せば済む。

 

 次。名簿の整合確認。こちらは面倒だった。作成日が違うというだけなら放っておけたのに、同日付の二つの控えで三名分の役職表記が異なっている。しかも、その三名が偶然同じ部署に固まっているとなると、単純な転記ミスより一段嫌な匂いがした。

 

「少尉」

 

「はい」

 

「この三名の担当経路を洗え。更新指示がどこから出たか、口頭処理の有無も確認だ」

 

「第七局にも当たりますか」

 

「先にこちらの記録班だ。身内の杜撰さを外へ押しつけるな。こちらで原因が出なければ向こうへ回せ」

 

「了解しました」

 

 淡々と会話を重ねながら、ターニャは二件、三件と処理を進める。手が止まるのは、内容が難しいからではない。書いた人間の頭の中を逆算しないと何が言いたいのか分からない文書に当たった時だけだ。

 

 十時前、補佐官“EVA”が音もなく部屋へ入ってきた。足音が軽いのではない。入ってくる瞬間に周囲の注意が滑るような奇妙さがある。意図しているのか、生来そうなのか、今でも判断が付かない。

 

 今日のEVAは灰色のファイルを一冊だけ抱えていた。表情は変わらない。扉の近くで一度止まり、机の前まで歩いてくる。

 

「更新分」

 

 短い。

 

 ターニャは赤鉛筆を置き、ファイルを受け取った。表紙を開く。中には監視対象の移動履歴と、提出漏れの一覧、それに小さな付箋が一枚。

 

「欠落、二件」

 

 EVAが言う。

 

「どこだ」

 

「時刻欄と、同行者」

 

「原因は」

 

「不明」

 

 EVAの返答はそこで止まる。止まるが、無責任ではない。分からないものを分からないまま出す。その代わり、抜けがあることだけは先に知らせる。そこが彼女の仕事なのだろう。

 

 ターニャはページをめくった。確かに二箇所、欄が空いている。書かなかったのか、書けなかったのか、それとも書いたものが落ちたのか。そこまではまだ分からない。

 

「前回と同型か」

 

「一件だけ」

 

「もう一件は」

 

「別経路」

 

「そうか」

 

 EVAは頷きもしない。ただ立っている。必要なことだけ机上へ置き、それ以上は広げない。扱いづらいが、使い道はある。

 

「記録班へ照合を回す。関連する控えはお前の方でも保持しておけ」

 

「保持済み」

 

「分かった」

 

「以上」

 

 それだけ言って、EVAは下がった。入ってきた時と同じように、出ていく瞬間も空気がずれる。扉が閉まる音まで小さい。

 

 セレブリャコーフが横から補足した。

 

「昨日の夜にも一度、同種の提出があったそうです」

 

「聞いていない」

 

「その時点では項目が揃っていたため、朝一でまとめる判断をしたとのことでした」

 

「判断は間違っていない。結果だけ後で見せろ」

 

「はい」

 

 ターニャはEVAのファイルを脇へ置いた。こういう細かな欠落は、放置すると後で面倒になる。しかし、今この場で掘り始めると午前全体が潰れる。優先順位を間違える方が害は大きい。

 

 赤鉛筆を握り直したところで、今度は電話が鳴った。古い機種特有の硬い音だ。セレブリャコーフが受ける。

 

「はい。……はい、こちらです。……少々お待ちください」

 

 受話器を押さえて、彼女が言った。

 

「陸軍側です。面談時間を五分前倒しできるかと」

 

「理由は」

 

「先方の次の予定が詰まっているようです」

 

「前倒しで構わない。こちらは変えない」

 

 受話器が戻り、短い応答が交わされる。要件はそれだけだった。こういう連絡が短く済む時点で、相手はまだまともである。面倒なのは、時間変更に理由と感情を付け足してくる連中だ。

 

 残りの書類を片付け、机上の束を入れ替えていく。十一時前には、朝の差し戻し指示の半分が出た。半分しか、と言うべきか、半分も、と言うべきか。判断に迷う程度には量が多い。

 

 その頃には、ターニャの言葉はさらに短くなっていた。焦りが外へ漏れる時、自分は怒鳴るより先に語数が減る。分かっている。分かっているから、余計に腹立たしい。

 

(こんな程度の整形で時間を食うな)

 

 内心でだけ毒づき、署名欄の下へ小さく印を入れる。別の控えへ回し、また戻し、別の束へ差し込む。紙の上で一日が削れていく。誰かの勇敢さも、誰かの悲嘆も、こうして最終的には欄の埋まり具合に変換される。そういう時代だし、そういう組織だ。そして、自分はその中心にいる。

 

 人間味があるかどうかで言えば、たぶん、こういう時に少し嫌になる程度にはあるのだろう。嫌になっても手は止めないのだから、救いがない。

 

 面談の時間になり、ターニャは必要な控えだけを持って小会議室へ移動した。セレブリャコーフが半歩後ろで付く。護衛は廊下の手前で位置をずらし、会議室前の動線だけ確保する。目立たないようにしているつもりなのだろうが、立っているだけで目立つ人種というものはいる。まあ、それで威嚇になるなら役目は果たしている。

 

 会議室に入ると、先方は既に来ていた。レルゲンだった。陸軍の参謀として、現実と数字を持ってくる男である。彼の良いところは、嫌味があっても論点までは崩さないことだ。悪いところは、その嫌味がだいたい当たっていることだろう。

 

 彼は椅子に腰掛けたまま、ターニャを見ると眉をわずかに動かした。

 

「時間通りか。珍しいな」

 

「前倒しの要請を受けただけです。私の美徳ではありません」

 

「自己評価が正確で助かる」

 

 いつもの応酬だ。長引かせる気はない。ターニャは席へ着き、持ってきた控えを机へ置いた。

 

「本題へ入ります。今朝の食堂補給遅延の件で、輸送枠の再調整が現場の末端へ波及しています。軍需優先自体に異論はありません。ただ、後方勤務の最低限まで削ると、こちらの処理速度に影響が出る」

 

 レルゲンは鼻で笑うような息を吐いた。

 

「陸軍の兵站へ、パンが硬いと苦情を言いに来たわけではあるまい」

 

「言いに来たのは、硬さではなく、優先順位の乱れです。食堂の話は結果に過ぎません。搬入表の下流で同様の遅れが出ているなら、今日のうちに他部署でも詰まりが出る」

 

「根拠は」

 

「今朝の時点で、燃料、小麦粉、雑材、それぞれ別経路で遅れが発生している。単発ではなく、積み替え側の順序に圧がかかっていると見ます」

 

 控えを一枚、机の中央へ滑らせた。レルゲンは視線だけで内容を追う。数字を読むのが速い。

 

「……ふむ。港湾経由の便だな」

 

「はい」

 

「こちらも把握はしている。ただ、優先順位の変更は昨日夜に入った。末端の連絡が遅れた可能性はある」

 

「可能性では困ります。午前中に差し替えが必要です」

 

「言うのは簡単だ」

 

「書くのはそちらの仕事でしょう」

 

 レルゲンがこちらを見た。刺すような視線だったが、ターニャは受け流した。長くやるつもりはない。

 

「本日中に、便別の扱いだけでも明文化してください。全体の組み替えが無理でも、何を優先し、何を後ろへ回したかが見えれば、こちらで回避策を組めます」

 

「そこまで出す義務は陸軍にはない」

 

「なら、結果責任はそちらで引き受けてください。こちらは遅れた記録を残します」

 

 一拍の沈黙が落ちた。レルゲンは椅子へ深く体重を預け、指で机を一度だけ叩いた。感情的な男ではない。だからこそ、腹を立てても動きは小さい。

 

「相変わらず嫌な言い方をする」

 

「事実確認です」

 

「分かった。便別の優先順位だけ切り出して送る。午後二時までだ」

 

「受領先は国家保安本部の記録班と、私の机へ控えを一通」

 

「欲張るな」

 

「控えがないと後で消えます」

 

「消さない」

 

「消える前提で組むのが私の仕事です」

 

 レルゲンは苦々しい顔で、しかし否定はしなかった。話はそこで決着した。必要なやり取りは終わりだ。ターニャはそこで控えを引き戻し、別の一枚を出した。

 

「もう一点。こちらの名簿照合で、陸軍側から出た人員記載と食い違う箇所がある。三名だけだが、今日中に更新指示の有無を確認したい」

 

「どの所属だ」

 

「後方監視に付いた連絡班です」

 

 レルゲンは紙を見るなり、眉を寄せた。

 

「これはおかしいな。二名は配置転換済みのはずだ」

 

「こちらには未反映です」

 

「なら、向こうが遅い」

 

「断定はまだ早い。経路だけ下さい」

 

「分かった」

 

 そこまでで十分だった。会議というより、要件の引き渡しに近い。ターニャは椅子から立ち上がる。レルゲンもそれ以上引き延ばさなかった。

 

 退室の直前、彼がぼそりと呟いた。

 

「デグレチャフ」

 

 ターニャは振り向いた。

 

「何でしょう」

 

「食堂の件だが」

 

「はい」

 

「昼を抜くと、午後の口数がさらに減る。補給の改善前に、自分の方を先にどうにかしろ」

 

 余計な一言だった。だが、陸軍の参謀にしては珍しく、悪意の薄い指摘でもあった。

 

 ターニャはほんのわずかに目を細めた。

 

「ご忠告、感謝します。中佐も、机上の数字だけで一日を過ごせる年齢ではないでしょう」

 

「余計な世話だ」

 

「お互い様です」

 

 会議室を出ると、セレブリャコーフが無言で付いてきた。廊下を少し進んだところで、彼女が低く言う。

 

「今の件、昼食の時間を確保しますか」

 

「五分で食えるものなら」

 

「食堂は混みます」

 

「なら、ここへ持ってこさせろ」

 

「分かりました」

 

 それだけで話が通るのは助かる。副官とはかくあるべし、と思う一方で、自分がここまで世話を焼かれる立場になっていることへ複雑な気分もある。だが、誇りで空腹は埋まらない。ここで意地を張るのは愚かだ。

 

 執務室へ戻る途中、帽子の縫い目の話を思い出した。昼前に五分、と言ったが、現実にはその五分すら惜しい。しかし、放っておけば悪化する種類の問題もある。

 

 部屋へ戻ると、セレブリャコーフが引き出しから小さな裁縫道具を出していた。用意が良すぎる。

 

「本当に持っていたのか」

 

「必要になるかと思っていました」

 

「私の帽子の縫い目が外れることを予見していたと?」

 

「いえ。ボタン、袖口、手袋のほつれは頻度が高いので」

 

「妙に生活感のある備えだな」

 

「現場で困らないための準備です」

 

 正論だった。ターニャは椅子へ座り直し、帽子を外して机へ置いた。セレブリャコーフが針を通す。指先が器用だ。なるほど、これなら兵站へ回すまでもない。

 

 彼女が作業している間、ターニャは差し戻しの返答を一件読んだ。書式不備を指摘した地方支局からの再提出である。内容はまだ荒いが、先ほどよりはましだった。人間、締切と差し戻しが揃うと少しだけ成長する。

 

「動かないでいただけますか」

 

 セレブリャコーフが言う。

 

「帽子だぞ」

 

「縫い目がずれます」

 

「……そうか」

 

 おとなしくするしかない。自分の帽子を副官が縫っている間、机上で書類を読んでいるという光景は、客観的にはだいぶ妙だろう。だが、この建物の中ではもっと妙な光景が毎日発生している。今さらである。

 

 針が内側を小さく行き来する。近くで見ると、セレブリャコーフの睫毛は意外に長い。そんなことに気付くのは、距離が近いせいだろう。普段、彼女の顔をこんな角度で見ることは少ない。

 

「少尉」

 

「はい」

 

「お前、こういうのはどこで覚えた」

 

「家です」

 

「家」

 

「母が厳しかったので。制服は自分で整えろ、と」

 

「いい教育だ」

 

「当時はそう思いませんでした」

 

 少しだけ、声が柔らかくなった気がした。ほんの一瞬だが。ターニャは書類から目を上げずに言った。

 

「今は思うのか」

 

「今は、役に立っています」

 

「なら十分だ」

 

 セレブリャコーフは短く頷き、最後の糸を始末した。

 

「終わりました」

 

 帽子を受け取り、内側を確認する。さっきまで浮いていた縫い目が、きれいに収まっていた。

 

「悪くない」

 

「ありがとうございます」

 

「礼を言うのはこちらだ」

 

 口にしてから、また少し妙な気分になった。今日の自分は余計なことを言いすぎている気がする。いや、余計というほどでもない。これくらいは言って差し支えないはずだ。そう自分に言い聞かせる辺り、やはり少し疲れているのだろう。

 

 十一時半を過ぎ、昼食代わりの簡単な皿が部屋へ運び込まれた。温いスープと、小ぶりのソーセージ、それに芋。食堂で食べるよりは静かだが、豪華さとは縁がない。だが、十分だ。温い汁があるだけで違う。

 

 セレブリャコーフは別の控えを持ったまま、立った位置で報告を続ける。

 

「第七局からの照合ですが、名簿の作成経路に一つ口頭指示が混ざっています。発信元はまだ曖昧です」

 

「曖昧なまま動かすな。文書がないなら、誰が言ったのかを欄で特定しろ」

 

「はい」

 

「食べながらでいい。続けろ」

 

「失礼します。後方監視班の報告抜けは、同じ記録係に集中しています」

 

「怠慢か、能力不足か」

 

「両方の可能性があります。癖としては、時刻欄の記入漏れが多いです」

 

「他の欄は埋まっているのか」

 

「はい。内容理解そのものはできています」

 

「なら、手順の教育不足だ。担当替えより前に、書式の優先順位を叩き込め」

 

「分かりました」

 

 ターニャはスープを口に運びながら、目の前の控えへ視線を落とした。味は薄い。だが空腹には勝てる。人間味のある話をするなら、昼食の薄いスープにきちんと救われている時点で、十分に俗な存在だと認めざるを得ない。

 

 ふと、窓の外に視線が流れた。冬の終わりと春の手前が曖昧に混ざったような空で、陽は出ているのに色が薄い。街は遠くで動いている。人がいて、車が走って、荷が運ばれ、誰かが暮らしている。当たり前のことだ。だが、この建物にいると、その当たり前が時々ひどく遠く感じる。

 

 自分は何をやっているのか、と、たまに思う。

 

 国家の歯車の芯に近い場所で、書類を整え、人の動きを欄へ閉じ込め、遅れや抜けや曖昧さを削っている。それはそれで必要な作業だ。必要だからやっている。やらなければ、もっと雑な誰かがもっと雑にやる。

 

 だが、たまに、ほんのたまにだけ、温いスープの湯気を見ながら、もっと下らないことで一日が終わる生活というものを想像しないでもない。例えば、朝食のパンの硬さにだけ文句を言っていればよいとか、帽子の縫い目を気にしながら出勤すること自体は平穏の証だとか。そういう、取り立てて意味のないことだ。

 

(平穏の定義が安くなったな)

 

 自嘲気味に思って、スプーンを置く。

 

 その時、扉が二度ノックされた。返事を待たずに入ってきたのは、ドクトルだった。相変わらず、芝居の幕が上がった瞬間のような顔をしている男である。白衣ではないが、どこか舞台装置めいた雰囲気が抜けない。

 

「おお、いたか。探したぞ、少佐殿」

 

 ターニャはスープ皿から顔を上げた。

 

「食事中だ。要件を短くしろ。それとわざとらしく殿など付けるな」

 

「短くとはつれないな。私は人類の未来を抱えているんだぞ」

 

「未来は昼食を待てないのか」

 

「待てないから来たとも言える」

 

 ドクトルはそう言って、抱えていた封筒を机へ置いた。封の仕方だけは妙に丁寧だ。こういう男に限って、肝心の中身より封筒の字がきれいだったりする。

 

「試験資材の割当だ。例の件で少し動きがある」

 

 例の件、という曖昧な言い方を許す相手ではない。ターニャは封筒へ手を伸ばしながら言う。

 

「例の件では分からん。何の割当だ」

 

「重水に絡む方だ」

 

 スプーンを持っていた手が止まった。セレブリャコーフも控えから目を上げる。

 

 ドクトルは机の端へ寄り、声をわずかに落とした。

 

「量が足りない。いや、正確には、足りるように見せる報告が先に走っている。現場の連中は夢を語るが、倉庫の数字は夢を支えない」

 

「要件だけ言え」

 

「輸送の優先順位を上げたい。それと、保管状態の確認に、余計な目が入らないよう経路を整えたい」

 

「余計な目、とは誰だ」

 

「何でも知りたがる連中だよ。制服の色は問わない」

 

 曖昧な言い回しだが、意味は分かる。こういう物資は、研究部門だけで完結するほど世の中が単純ではない。軍も党も、場合によっては保安側も、関心を持つ。持つだけならまだしも、途中で報告経路へ首を突っ込んでくる。

 

 ターニャは封筒の中身を抜き出した。試験資材の現況表。添付欄の数字にざっと目を通す。確かに、申告量と保管量の間に嫌なずれ方が見える。

 

「申告は誰の数字だ」

 

「現場責任者だ」

 

「保管は」

 

「倉庫側」

 

「どっちが正しい」

 

 ドクトルは肩を竦めた。

 

「そこが問題だ。片方は理想を語り、片方は不足を恐れている。科学というのは厄介でね。どちらも自分の方が正確だと思っている」

 

「なら、お前が見に行け」

 

「行きたいのは山々だが、私一人で行くと余計な説明が増える。少し、権限の匂いが欲しい」

 

 ターニャは封筒を閉じた。確かに面倒だ。だが、放置して良い類の面倒でもない。物資の申告と現物がずれ始めた時点で、誰かが途中で都合の良い数字を作っている可能性がある。

 

 ただし、今すぐ食事を切り上げて飛び出すほどでもない。

 

「本日中に現場確認の経路を組む。だが、私が直接行くとは限らん」

 

「冷たいな」

 

「私は親切で動く立場ではない。必要なら行く」

 

「必要だと思うぞ。少なくとも、君が行けば倉庫の連中は嘘をつきにくい」

 

「それは私の人望ではなく制服の問題だ」

 

「結果は同じだ」

 

 嫌な言い方だが、否定はしにくい。ドクトルは人の神経を逆撫でするのが上手い。そのくせ、実務上の勘は案外外さない。

 

「少尉、午後の組み替えだ。後方監視班の差し戻しを一段後ろへ回せ。代わりにこの現況表の経路確認を先に」

 

「承知しました。誰を当てますか」

 

「まず倉庫側の控えを取り寄せる。それで足りなければ同行者を考える」

 

「分かりました」

 

 ドクトルは満足げに頷いた。

 

「話が早くて助かる」

 

「食事中に来るな。次は時間を取れ」

 

「善処しよう。保証はしないが」

 

「なら最初から善処など言うな」

 

 ドクトルは大仰に片手を上げて見せたが、それ以上は粘らずに引き上げた。あの男なりの礼儀なのだろう。必要な時だけ嵐のように来て、言うだけ言って去る。被害の大きい自然現象だと思えば腹も立たない。いや、やはり少し立つ。

 

 扉が閉まると、ターニャは冷めかけたスープを見下ろした。

 

「……少尉」

 

「はい」

 

「今の件、今日中に終わると思うか」

 

「正直に申し上げますと、難しいです」

 

「だろうな」

 

「ですが、入口だけでも押さえれば明日が軽くなります」

 

「気休めとしては上出来だ」

 

 セレブリャコーフは控えへ何か書き込みながら、ふと顔を上げた。

 

「食事、冷めます」

 

 言われて、ターニャは少しだけ肩の力を抜いた。

 

「分かっている」

 

 スプーンを取り直す。温度は落ちていたが、まだ食べられる。人間、熱いものが冷めるくらいの時間で、面倒な案件を一つ二つ抱え込む。だから、せめて皿の中身くらいは最後まで食べておいた方がいい。そうしないと、本当に何のための昼なのか分からなくなる。

 

 窓の外は相変わらず薄い空のままだった。部屋の中では、紙が擦れる音と、控えへペン先が走る音が続く。遠くでは誰かが扉を閉め、どこかでは電話が鳴り、別の廊下ではまた誰かが書類を抱えて走っているのだろう。

 

 国家保安本部の日常は、こうして進む。英雄譚の余地などほとんどない。あるのは、差し戻しの赤い線と、控えの番号と、少し冷めた昼食と、たまに誰かが帽子の縫い目を直してくれる程度の、小さな現実だけだ。

 

 そして、その小さな現実が、思っているよりずっと人間を支えている。

 

 ターニャはスープを飲み終え、皿を置いた。

 

「午後の順を確認する」

 

「はい」

 

 セレブリャコーフが次の束を手に取る。昼は終わる。終われば、また紙の時間だ。

 

 ただ、ほんの少しだけ、さっきより手元の動きは軽かった。理由は分からない。いや、分かっているのかもしれない。熱い飲み物と、きちんとした副官と、短く済む会話と、たまに差し挟まる余計な一言。それくらいで、人間は案外、午後も持つのだ。

 

次に読みたい展開はどちらですか?(※構成上、前後する可能性あり)

  • イギリス戦方面
  • 帝国内政(モレル関連)
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