とある魔術と超能力者   作:和菓子

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食蜂さん登場回。タイトルの酷いセンスは仕様です。
ほぼ全ての方があらすじに燦然と輝く食蜂躁祈の文字にほいほい釣られて一話で絶望したことでしょう。兎にも角にも、みさきち登場です。
……ただしキャラ崩壊。一番重要なタグをつけ忘れた駄作者の責任です。誠に申し訳ありません。今さらながらタグ追加しときます。
捏造設定も登場、本作の精神系能力は生体電気を操ってる設定です。サイコメトリ? アーキコエナイ。
それに伴い食蜂さんも魔改造。理系じゃない作者の理屈ではこじつけどころか破綻しちゃってるかもしれません(自分でも分からないレベル)が、とにかく魔改造。本作で最も改造崩壊してるのは彼女かもしれません。
では、以上作者の図々しい押しつけにお気をつけてお暇を潰しちゃってください。



1-2.ハートの女王は愉しげに笑う

 七月十七日、常盤台中学の一角にあるテラス。そのテーブルの一つに百合花は座っていた。柔らかな風が彼女の頬を撫で、初夏の暑さを和らげる。

 彼女は山積みになっていた生徒会の仕事をようやく片付け、休憩をとっているところだった。そんな彼女の前でティーカップを傾ける少女が一人。

 白い円卓を挟んだ向かい側に腰掛けているのは、常盤台中学最大派閥の主、常盤台の女王にして序列第五位の超能力者、『心理掌握(メンタルアウト)食蜂(しょくほう)操祈(みさき)。腰まである金糸の様に細く柔らかな髪を風に揺らし、星が輝く琥珀色の瞳には楽しげな色を浮かべていた。彼女は長い脚を組んで椅子に座り、優雅に紅茶を味わっている。

 不意に、食蜂が百合花に視線を向けた。瞳の星が僅かに瞬く。

 一方で、視線を向けられた少女はというと、にこにこと蕩けた笑みを浮かべながらケーキを口に運んでいた。美味しそうに紅茶を飲む彼女が食蜂の視線に気付いているかどうかも怪しい。食蜂の眉がピクリと跳ねる。

 ため息をついて、食蜂は百合花の背後に控える少女へと視線を向けた。

 少女と目が合う。彼女は生徒会の書記兼会計兼庶務兼百合花の世話係兼エトセトラ、と忙しい少女であった。まあ、全て本人が希望したことであるし、彼女がいるおかげで生徒会の動きは大分スムーズになっている。去年二人だけの生徒会で過労死寸前まで行った彼女達としては大助かりなので、特に何も言うことはなかった。

 銀縁眼鏡を輝かせ、少女は諦めろと言わんばかりに首を振る。それに合わせて、一つに括ったダークブラウンの髪が犬の尻尾のように揺れた。

 食蜂の表情が険しくなる。役立たず、そう目で語っていた。

 それに少女が無言で返す。この状態の百合花様は手に負えません。諦めてください、と言葉もないにも関わらず一言一句正確に食蜂へと叩き返す。能力も使ってないのにお前らソレどうやってんだ。

 お前が行け、いや貴方が行ってくださいと火花が散りながらも、長い沈黙のあと。

「……はぁ」

 美人と形容して差しつかえない顔立ちを苦笑に和らげ、食蜂が口を開く。

「……百合花さんって、ホントに紅茶とケーキが好きなのねぇ」

 やや呆れたような声色だった。真っ白なホイップクリームに赤いイチゴのコントラストが眩しいショートケーキをパクパクと平らげる百合花。食蜂は頬杖をついてそれを見つめていた。

 食蜂の視線に気づいたのか。フォークを置いて、名残惜しげにケーキを見つめながらも百合花が声を発する。この奔放な少女も、流石にケーキを頬張りながら話す、という暴挙に出ない程度には常識を持ち合わせているらしかった。

「うん、ケーキと紅茶で三食過ごしてもいいくらいには好きだよ」

「……」

 食蜂が俯く。

 三食ケーキ(かんみじごく)を想像して、不覚にも食蜂は口元を押さえてしまった。残念ながら彼女に三食をケーキと紅茶で過ごすことは無理なようだ、過ごしたくもないだろうが。

 げんなりとした表情で食蜂が顔を上げると、今度は別の試練が転がっていた。百合花の後方に控える少女である。

 全力で顔を逸らし、百合花の後ろで何か形容しがたいモノを発しながら猛烈な勢いでメモをとる少女を食蜂は見なかったことにした。彼女が視線を戻すと、いつの間にか百合花はケーキをパクつく作業へと戻っている。

 相変わらずの少女だ。食蜂は再び苦笑を零す。後ろの少女も手を止めてクスリと笑っていた。

「まぁいいわぁ。それはさておき、報告があるんだけどいいかしら、会長サマ?」

 弛緩した雰囲気が、食蜂の声によって張りつめたものへと変わる。百合花はティーカップをテーブルに置き、黒い瞳を食蜂へ向けた。

「何? 副会長さん」

 常盤台中学生徒会副会長、食蜂操祈。

 極めて優秀な情報収集能力を持つ百合花の懐刀である。彼女の有する能力は先ほど記した通り『心理掌握(メンタルアウト)』、学園都市最高位の精神系能力だ。記憶の読心(サイコメトリ)人格の洗脳(マリオネッテ)念話(テレパス)・想いの消去・意志の増幅・思考の再現・感情の移植などなど精神に関する事なら何でもできるこの力。彼女の優れた情報収集能力の要がこの能力だった。

「近頃、能力者による犯罪が多発してるよのねぇ」

「能力者の犯罪?」

 百合花が不審げに繰り返す。犯罪に使える程の能力を持っているのならば十分学園都市のエリートだと言える。ちょっとした悪戯ならともかく、そんな人間がそう簡単に犯罪を犯すだろうか。そんな疑問の表情だった。

「ええ、以前の数倍の頻度で起こってるわぁ。うちの子達も何人か被害にあっているみたいよぉ」

 ピクリと、食蜂の言葉に眉を吊り上げる。

「いつ頃からかは分かる?」

「ちょっと待っててねぇ」

 食蜂が手元に置かれたノートパソコンを開き、淀みのない手付きで操作していく。数秒後、彼女はディスプレイを百合花のほうへ向けた。

「一ヶ月程前を境に急激に増加傾向にあるわねぇ。……どう思う?」

「ここまで急激な変化……作為的なものかもしれないね」

 画面に映る棒グラフを睨みつつ、百合花が自分の考えを述べていく。一日ごとに細かく記された青い棒は確かに、一ヶ月前のそれと比べ軽く三倍以上の高さでグラフ中に屹立していた。

「何にせよ、現状では何とも言えないかな」

「そうねえ、で、どうするのお?」

 にやにやとした笑みを浮かべ、食蜂が楽しげな声で問い掛けた。

「当然、動くさ。操祈、悪いけど原因の調査頼める?」

「勿論よお」

 待ってましたと言わんばかりに食蜂が頷く。この類いの事件は彼女にとって最高の娯楽なのだ。

 一方、百合花の言葉は純粋に常盤台生が被害を受けていることを憂えてのものだった。本来ならばこれは警備員(アンチスキル)風紀委員(ジャッジメント)の仕事なのだが、常盤台の生徒が被害を受けている以上は放っておけない。百合花は躊躇せず越権行為を宣言した。

「じゃ、何か分かったら連絡するわあ」

 ノートパソコンを抱え、食蜂が席を立つ。自室で本格的に調査に入るつもりなのだろう。彼女の部屋にはレベル5の財力を存分に発揮して買い揃えた最新鋭の機器が備え付けられていた。

 そんな食蜂の趣味の一つがクラッキングだ。読心や洗脳などある一定の挙動でしか生体電気を操作できない他の精神系能力者と違い、食蜂の『心理掌握』は極めて繊細で複雑な人間の生体電気を自由自在に操る。機械を弄る程度造作も無い。

 彼女はそんな能力を悪用して学園都市の各所に愉快犯的にクラッキングを仕掛けて回る最高に性質の悪いクラッカー(ちょうのうりょくしゃ)なのだった。

 いそいそと歩き出す食蜂に百合花が声を掛ける。

「……操祈、風紀委員や警備員へのハッキングは控えてね。さっきのも風紀委員のデータベースにハッキングしたでしょ」

 これ以上目をつけられると面倒だから。そう言って百合花は軽く目を細めた。ただでさえ二人の行動は越権行為なのだ。過度に刺激するのは望むところではない。

「ノンノン、ハッキングじゃあなくってえ、クラッキングなんだゾ☆」

 言いながら、食蜂が人差し指を立てて左右に振る。何かこだわりがあるらしい。

 彼女は悪びれたそぶりも見せずに笑った。クラッキングとやらを控えるつもりはないようだ。

「……操祈?」

 百合花の視線が一層険しくなる。

「だってつっつくと面白いんだものお。特に風紀委員は凄い人がいるのよお」

 食蜂が無邪気に笑う。

 お気に入りの玩具を自慢する子供のようだった。いつもの人を喰ったような常盤台の女王はどこにもいない。

「それはもう何度も聞いたよ……」

「ホントに凄いんだからぁ。どんなに慎重に侵入しても必ず見つかっちゃうし、撒くのも大変なのよぉー」

 うんざりした様子の百合花に構わず、キラキラと瞳の星を輝かせて食蜂が言った。要するに、彼女は何度も風紀委員にクラッキングを繰り返し、ある人物をおちょくって遊んでいるらしい。食蜂はそれを楽しんでいるようだが、付き合わされているほうからしたら堪ったものではないだろう。百合花は名前も知らないその人物に向かって心のなかで頭を下げた。

「ったく。ともかく頼んだよ、原因が掴めたら私も動くから」

 小さくため息をつき、彼女が立ち上がる。

 食蜂の横を通り過ぎ、

「この程度朝飯前だろうけど、手は抜かないよーに」

 悪戯好きの子供を(たしな)めるように、笑んだ。

 そのまま、百合花はテラスの屋根の下を出て校門のほうへと向かった。太陽の眩しい日射しが彼女を照らす。食蜂に会釈して、それに少女が影のように付き従った。

 それを見送り、食蜂はしばらく屋根の作る真っ黒な影の中に立ちつくしていたが、

「ええ、分かってるわよぉ」

 百合花の姿が見えなくなった後、食蜂は苦笑を浮かべ、

「オシゴト、ですものねぇ」

 (こら)えきれなくなったかのように、クスクスと愉しげに笑った。

 

 

 

 食蜂とのお茶会を終えた百合花は、賑やかな大通りを歩きながら今日の予定を考えていた。日はまだ高く、門限まではまだまだ余裕がある。寮に直帰する選択肢は存在しないとばかりに飛びだした百合花は確実にどこかの第三位の影響を受けていた。きょろきょろと辺りを見渡す、さて、どこに行くべきだろうか。

 百合花の答えは一つだった。

「ケーキ食べに行こう。場所は……ファミレスでいっか、たまには」

 先ほどのお茶会で食べた極上の逸品には遠く及ばないだろうが、そこがいいのだ。たまには安っぽい味の紅茶を飲みながら甘ったるいケーキを味わうのも一興だろう、たまには。

 そう結論付けた百合花は、早速お目当ての店を探すべく歩き出した。

 適当な店を見つけ、入る。そこで、

「あんたは私のママか!」

 店員の案内に従って席に向かう途中、聞き慣れた声が耳に入った。

「あれ? 御坂さん」

 思わず声に出してしまった。しまったと口を塞ぐがもう遅い。声を聞いて、何故か席から立ち上がっていた美琴がグルリ! と効果音が聞こえそうな勢いで振り返る。彼女の正面に腰掛ける初春の肩がビクゥゥッ! と跳ねた。

「ゆり、風見さんじゃない、えと、良かったらこっち来ない?」

 美琴はここぞとばかりに百合花を自分達の席に誘う。昨日も含め、今まで何度もはぐらかされてきたが、今日こそは彼女がよそよそしくなった理由を聞き出さねば。

 美琴が鼻息を荒くする。これには百合花も焦った。

「え!? いや、でも、初春さんに悪いし……」

 美琴の向かいに座る初春飾利の方をチラチラと見る。美琴と気まずい雰囲気になっている百合花としては、視線の先の頭がお花畑な少女が断ってくれることを祈るしかなかった。

 だが、その想いは儚く散った。

「私は全然構いませんよ」

 百合花の願いを嘲笑うかのようないい笑顔で、初春が告げる。

 初春の快い承諾は、風見百合花にとって死刑宣告に等しかった。

(やばい、逃げられない)

 結局、彼女は妙な緊張感の中、ろくに味が感じられないケーキと紅茶に加え、どもりまくった美琴の質問攻めを味わう羽目になったのだった。

 

 

「疲れたぁ……」

 ため息を吐きながら、百合花は夕暮れの大通りをとぼとぼと歩く。門限にはまだ間に合うはずだ。

 あの後初春が頼んだジャンボフルーツパフェが来たところで当の本人が黒子に見つかり連れていかれ、その後美琴が初春の忘れていった腕章で風紀委員と間違われ、何故かやる気満々の美琴に百合花が巻き込まれることとなった。

 コンビニのごみ掃除、失敗。

 学生の道案内、失敗。

 子供のラジコン修理、失敗。

 ナンパの仲裁、大失敗。

 殴られる男子生徒の救助、……成功?

 犬が持っていったらしい鞄の探索、なんとか成功。

 ごみ掃除は缶をポイ捨てした学生に美琴がぶちギレ、電撃をお見舞いして風紀委員の先輩に怒られた。

 道案内は地図を見ている間に先輩が解決。

 ラジコン修理は美琴の能力で上手くいったかのように思われたが途中で河に墜落。

 ナンパの仲裁は勘違いだったし、男子生徒は助けた美琴達に悪態をつく始末。

 鞄は美琴が『虚空爆破(グラビトン)事件』の爆弾と盛大に勘違い。方々を探し回った挙げ句噴水にダイブ。美琴はびしょ濡れになってしまった。見ていて思わず同情する程度には散々であった。

 この間ずっと美琴といた百合花は終始緊張しっぱなしだった。初春や風紀委員の先輩が(あいだ)に入っていなかったらさぞや素敵なことになっていただろう。思い出してもうんざりする。百合花は思いっきりため息を吐いて、そんなとき、

「放してください!!」

 不意に、どこか聞き覚えのある声が空気を震わせた。

 切羽詰まった様子の声を聞き、百合花は慌てて声のしたほうへと駆け出す。辿り着いた路地裏では、女の子が一人不良達に囲まれていた。

「何してるの?」

 百合花が不良達に声を掛ける。咎めるような響きを多分に含んでいた。

「ぁ?」

 不良達が不機嫌そうな声を出して振り向く。百合花を見た瞬間、濁った眼が下卑(げび)た色に染まった。

「おいおい、上玉じゃねぇか!」

「何って、ナニに決まってんだろぉ!?」

 男達が好き勝手に喋り始める。彼らからすれば、百合花の登場は哀れな獲物が一匹増えただけに過ぎなかった。

「で、何だお嬢ちゃん。私も混ざりたいです~、てか? ギャハハッ」

 耳障りな笑い声に、百合花が表情を引き攣らせる。

「そんな訳ないでしょ。その女の子を放して欲しいんだけど」

 自然と声がなげやりな調子になった。今日は本当に運がない。彼女には食蜂とのお茶会くらいしか楽しい記憶が見当たらなかった。気まずくてせっかくのケーキの味がよく分からなかったり、美琴の風紀委員活動に半ば強引に参加させられたりで、極めつけは不良の相手だ。ろくなことがない。

 気分はどん底、段々と肩が下がっていくのを百合花は自覚した。

 怯えて泣き叫ぶはずの少女から出たのは呆れたようなため息。それを見て不良の一人、鼻にピアスをしたいかにもな男、が顔を真っ赤にして声を荒げた。

「ああ!? なめてんじゃねーぞ! てめぇは大人しく俺らにヤられりゃいいんだよ!!」

「やだよ」

 怒り心頭といった様子の男に百合花は短く答えた。こんな不良どもにくれてやるほど百合花は自分を安く見ていない。

 それを聞いて、男の顔に青筋が浮かぶ。

「テメェ、この状況が分かってんのか?」

 怒りを圧し殺そうとして失敗したような声だった。今にも爆発せんばかりの激情が、その言葉の端々から感じ取れる。

「スキルアウトが十人、それがどうかした?」

 それに対し、百合花は軽い調子で口を動かす。お前達など眼中にないと言わんばかりのその態度に、男は我慢の限界だった。

「いっぺん痛い目見なきゃ分かんねぇかコラ!!」

「……怪我するよ?」

 純粋な忠告のつもりで放った百合花の言葉は、どうやら挑発と受け取られたらしい。男が真っ直ぐに突っ込んでくる。体格がよく、鍛えてもいるようだ。衝突すれば、百合花の華奢な体はひとたまりもないだろう。だが、

(遅い、動きも単純だし)

 一瞬で動きを解析した彼女は、相手にならないと結論を下した。

 この程度ならば能力を使うまでもないが舐められても面倒だ。威嚇程度には使っても構わないだろう。そう考えた百合花は能力を発動させた。

 右手を男にかざした。流れる街風を掌握し、手のひらへと集めてゆく。そして、ビュウビュウと暴れるそれを一気に発射した。

 ゴォッ!! と唸りを上げて、風の槍が男の体を突き抜ける。と、言えば何だかすごいように思えるが、要は自然風を束ねて目の前の相手にぶつけただけだ。豪快に吹っ飛んだが命に別状はないだろう、彼女は一応の加減程度は心得ている。

「てめぇ、やりやがったな!」

 仲間をやられて逆上した不良達が一気に突っ込んできた。

(ありゃ、逆効果だったか)

 自然と、ため息が出た。

 何人かは能力を使っている。風の刃に拳大の炎、あたりどころが悪ければ最悪死ぬかもしれない。

(まぁ、当たらなければいいんだけど)

 ひょいひょいと風や炎を躱しながら、囲まれていた少女を巻き込まないよう距離を取る。十分男たちを引き付けた、と確信して百合花は演算を開始した。

 幕引きはやけに呆気ない。空気を圧縮、解放。このたった二つの手順で、周囲に嵐が吹き荒れた。

 圧縮から解放された大気が衝撃波と共に荒れ狂う。目に見えない怪物がのたうち回っているような、台風が意思を持って襲いかかってくるような、凄まじい轟音と衝撃だった。衝撃の余波で、近くにあったダストシューターが大きく揺れる。衝撃波の駆け抜けた跡には、気絶した不良(やられやく)が十人。

「やけにレベルの高い人達だったな……」

 百合花はそれを見下ろして、本日何度目かのため息を吐いた。俯いた少女の下へと駆け寄り声を掛ける。

「大丈夫だった? 痛いとことか――」

 百合花の言葉は、突然彼女に抱きついた少女の泣き声によって遮られた。

「ひぐっ、あ、ありがとう、ございますっ!!」

「……よしよし」

 嗚咽を漏らす少女の黒髪を百合花が優しく撫でる。安心させようと笑顔を浮かべてみたりもした。

 しばらくすると、落ち着いてきたのか、涙を浮かべながらもその少女は顔を上げた。と、意外な人物に百合花が目を丸くする。

「あれ、佐天さん?」

「ふぇ?」

 視線の先では、同じように佐天涙子がポカンと口を開けていた。

 




食蜂さんのキャラ難しい。作者の中の彼女はとにかく「得体の知れない」感じです。シリアスはもちろん、ギャグしてるときも美琴にじゃれてるときも恋愛してるときも、ひたすらに底が知れない。
にこにこと悪意まる出しの笑顔を浮かべながら、その実何も考えてなかったり、その逆だったり。
こんな掴みどころのない感じを随所に盛り込んでいきたいのですが、上手くいかない。未熟ッス。
オリキャラも登場。だんだんと影が薄くなっていったのは、不自然になった感が拭えませんが仕様です。彼女の性格上、喋らせると強制的にギャグになっちゃうので。
個人的にはこういうオリ主もので多数オリキャラが出てくると自分的には読みづらいなー、と思ってしまうわけなのですが、他の方はどうなんでしょう? やっぱうっとおしいかな……
さて! 何はともあれ二話目です。長々とくっちゃべってしまいましたがここらで失礼させていただきます! ……こんな短い話でどうしてあとがきがここまで長くなるのか自分にも謎です。
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