ジョジョの奇妙な冒険──5人目のDIOの息子──   作:GIOGIO

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今回も続けてMGSからカズ、登場!


第59話 毒蛇(ヴァイパー)和平(カズ)の会話

昼、屋台『バーガー・ミラーズ』───

 

街の中に一つの屋台が止まっている。

 

屋台の前には何人も人が並び、盛況である。

 

承一郎「…久しぶりだね、カズ」

 

承一郎は客が減った時にを見計らい、店の店主…かつての仲間に声をかけた。

 

ミラー「ボス!久しぶりじゃあないか!」

 

金髪にサングラスをかけている男はあの頃から変わらない調子でかつてのボスに声を返す。

 

承一郎「その名前はやめてくれ。ケミカルバーガーを二つ頼む」

 

ミラー「了解だ、ジョジョ」

 

カズ──傭兵時代にミラーと呼ばれていた男はハンバーガー屋を営んでいた。

 

承一郎「それにしても、この店も結構繁盛してるじゃあないか。前にハンバーガーの一般モニターになっていたジ・エンドがぶっ倒れたのは今では良い思い出だね」

 

ジ・エンドというのは承一郎が中学の頃に率いていた傭兵部隊の一人で、百歳を超えてなお現役の狙撃手である高性能お爺ちゃんだ。

 

ハンバーガー好きでミラーに添加物たっぷりのハンバーガーを試食させられ、ぶっ倒れたのだ。

 

ミラー「ボス、その話はやめてくれ」

 

承一郎「まだあったな。基地(マザーベース)で何度も女兵士達に手を出してそれで口論になって殴り合いしてたな」

 

ミラー「…サウナから出て基地の上で全裸でな」

 

承一郎「そうだね。その後君はフルトン回収装置なんて取り出してさ、『全裸で空の旅はどうだ?ボスゥ!』とか言って襲いかかってきたね」

 

ミラー「その後メチャクチャ怒られたな。悪かったって、反省してるから。ほら、ケミカルバーガーだ」

 

ミラーはケミカルバーガーを渡した。ミラーはこのバーガーを民族解放バーガーと言って世界平和を成すというパクスハンバーガーナ(ハンバーガーによる平和の意味)を豪語していたような…。

 

承一郎「ありがとう…さて。昔話はさておき、君に頼みたい事があるんだ」パサッ…

 

承一郎は写真を見せた。前に車両で承一郎とジョニィに襲いかかってきた男達だ。

 

承一郎「カズ、僕には最近ある財団とツテが出来てね」

 

ミラー「ああ、それなら知ってるぞ」

 

承一郎「さすがだね、カズ」

 

ミラー「SPW財団の情報(インテリジェンス)が結構飛び回ってたよ」

 

ミラーのスタンドは『TOKYO通信』という、情報網に潜り込めるスタンドだ。傭兵時代はその能力を使って世界中から情報を仕入れていた。

 

承一郎「なるほど、副司令の時の手腕は今も健在だね。なら話は早い。君にコイツらの素性を調べてくれないか?」

 

ミラー「…SPW財団が調べているのにか?」

 

承一郎「まぁ確かにSPW財団の情報収集力は素晴らしいと思う。だけど色んな国の政府の内情や情報(インテリジェンス)に深く突っ込むのは出来ないはずだ」

 

承一郎「だからお前に頼んでるんだ。蛇の道は蛇というじゃあないか」

 

ミラー「暗号名(コードネーム)毒蛇(ヴァイパー)の奴が言う台詞じゃあないぞ、ボス?」

 

承一郎「フフッ…オセロットにも同じ事を言われたよ」

 

ミラー「…オセロットにも頼んでいるのか?」

 

オセロットという名前を聞いた途端にミラーは顔をしかめた。

 

承一郎「落ち着いてくれ。まだ仲が悪いのかい?本当に君達は犬猿、いや犬猫の仲だね」

 

ミラーとオセロットは傭兵時代から仲が悪かった。

 

ミラー「…ジョジョ、俺は反対だったんだぞ。オセロットを仲間に入れるのは。EVA(エヴァ)の事もあるしな」

 

EVA(エヴァ)というのは承一郎が傭兵時代の時に白蛇(ホワイト・スネイク)の刺客として送り込まれた女スパイだ。

 

承一郎に敗れ、逆に承一郎にスカウトされて仲間になったのだ。

 

ミラー「ボス、俺の能力は知ってるだろう?俺の情報網によるとお前は最近刺客に襲撃されたらしいじゃあないか」

 

承一郎「……だから?」

 

ミラー「だからじゃあないだろうッ!ホワイト・スネイクは一度倒された!なのに、またお前を襲った!エヴァもホワイト・スネイクへ寝返るかもしれないんだぞ!」

 

承一郎「カズ…僕は君にもオセロットにも全幅の信頼を置いている。もちろんエヴァにもだ。敵だった奴を信頼するな、という事かい?だったら君も同じじゃあないか。きりがないぞ」

 

ミラーとの最初の出会いは戦場だった。二人は最初敵同士だったのだ。

 

ミラー「しかしだな…」

 

千棘「おーい、もやしー!」

 

二人は声がする方を振り向いた。そこには千棘がいた。

 

千棘「ハンバーガーまだー?」

 

承一郎「ちょっと待ってて、すぐ終わる」

 

ミラー「誰だあの女の子?すごく可愛いじゃあないか」

 

女たらしであるミラーがまず第一に発した台詞はそれだ。

 

承一郎「見た目だけさ、すぐ殴ってくるんだよ。一応釘を刺すけど、あの子僕の連れだから手は出さないようにね」

 

ミラー「まさか、ボス!あんた付き合っている子がいるのか⁉︎」

 

承一郎「正確には『ニセモノ』の恋人だよ。集英組(ウチ)と敵対する組織のご令嬢さ。街での全面戦争を止めるためのね」

 

ミラー「なるほど…」

 

承一郎「…カズ、僕達はホワイト・スネイクを追っていた。僕の母の死の真相を探るために。本体のプッチは母を殺した奴との繋がりがあったからだ」

 

ミラー「ああ」

 

承一郎「だがホワイト・スネイクの本体であるエンリコ・プッチは倒された事によって母への手がかりが消えてしまった。だからPF(プライペート・フォース)組織『水晶の牙(クリスタル・ファング)』は解散した。ほとんどのメンバーは集英組の構成員となって」

 

ミラー「だがホワイト・スネイクはまたボスを襲った…」

 

承一郎「僕はまた奴を探る。黒幕を突き止める」

 

ミラー「彼女さんはいいのか?あんた好きな子がいるって言ってたじゃあないか」

 

承一郎「…僕は一回地獄に堕ちた。これからさらに地獄の底へ突き進むかもしれない。小野寺(彼女)をそこへ連れて行くなんて僕には出来ない」

 

承一郎はカタギの人間は巻き込まない主義だ。よりによって片想いの女の子を巻き込むなんて論外だ。

 

承一郎「それに、僕はあの頃のままなんだ。…まだ、手が血に染まった鬼なんだ。母の真相を知った時、僕は初めて鬼としてではなく、人として歩き出せるんだ」

 

承一郎の『時』は、母が殺されたと知った時から止まっている。あの頃自分に燃え上がった憎悪は今でも瞳の奥に隠れている。

 

母の決着が着いた時、承一郎の『時』は動き出し、内なる鬼を捨てる事が出来るのだ。

 

承一郎「…君はそれでも僕について来てくれるかい?」

 

ミラー「…俺は初めて会った時、あんたに惹かれたんだ。敵の兵士ですら魅力させ『ボス』と言わせるあんたのカリスマに。『こんな奴についていきたい』って心からそう思ったんだ」

 

承一郎「カズ…」

 

ミラー「それは今も変わらない。俺はあんたが行く所なら天国(ヘブン)でも地獄(ヘル)でもとことん付き合ってやるぜ」

 

承一郎「…ありがとう」

 

ミラー「何をいまさら」

 

承一郎「それと、もし出来たら『遺体』ってキーワードも調べてくれ。これはオセロットにも頼んでいないさ」

 

ミラー「よし、任せてくれボス!」

 

承一郎「また頼むよ、カズ」

 

そう言って承一郎は屋台を後にした。




今回はオセロットに続いてカズの登場回です。

カズは承一郎が組織していたPFの副司令のポジションです。

ジ・エンドがぶっ倒れたってのは中の人繋がりです(MGSVのコードトーカーとMGS3のジ・エンドは同じ人声優)。

エヴァとの話は出すかまだ決めてません。皆さんからのご希望があったら出しますけど…。

オリキャラプロフィールを次回出そうと思います!

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