ジョジョの奇妙な冒険──5人目のDIOの息子──   作:GIOGIO

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第59話 浴衣に下着を付けないのはよくある間違い

小咲「い…一条君…?どうしてここに…?

 

承一郎「小野寺君こそ…」

 

小咲「!それ…恋むすび…?一条君買いに来てたんだ」

 

承一郎「えっ…いや…まぁ…。小野寺君は?小野寺君もコレ買いに来てるのかい…?」

 

小咲「え?………ううん…私は別に…。たまたま人の波に押されて来ちゃっただけで…」

 

二人は手をつないだままだったのを思い出して、パッと手を離した。

 

小咲「…あれ?そういえば千棘ちゃんは?」

 

承一郎「え…あ、いや。さっきまで一緒だったんだけど、この人ゴミではぐれてしまって…」

 

承一郎(…まったく、一人で大丈夫かな彼女)

 

承一郎「…とにかく、この人ゴミから離れようか。これじゃあ彼女の事も捜せないし」

 

小咲「うん」

 

承一郎(…………しかし、恋むすびを買ったとたんに小野寺君と二人きりになれるなんて。これって恋むすびの力…?まさか…ね。千棘さんには悪いけどやっぱり嬉しいっていうか…)

 

承一郎(なんで僕が彼女に悪いなんて思わなきゃあいけないんだ⁉︎)

 

小咲「⁇」

 

小咲(…恋むすびは買えなかったけど一条君と二人きりになれたのはちょっと嬉しいな…。ホントは…もっと一緒にいられたらいいんだけど)

 

その時、承一郎は人とぶつかってしまった。

 

承一郎「わ!すみませ…!」ポロッ

 

その拍子に恋むすびを落としてしまった。

 

小咲「一条君、恋むすび落ちたよ」

 

小咲が落ちた恋むすびを拾った。

 

承一郎「あ、悪い」

 

その時、ブチッと草履の鼻緒が切れてしまっていた。

 

小咲「え…ええ⁉︎草履の鼻緒がいきなり…!」

 

承一郎「おぉ…見事に切れてるね…」

 

このままでは歩けないので、承一郎は小咲をおんぶする事になった。

 

小咲(う…うそぉ……)

 

承一郎「…大丈夫かい?」

 

小咲「うん…。ごっ…ごめんね!重いよね…!さっきわたがし食べちゃったし…!」←?

 

承一郎「いや…全然大丈夫…」

 

小咲(うう…まさかこんな事になるなんて…。すごく嬉しいけど…すごく恥ずかしい…)

 

人ゴミの中から離れた後、承一郎は小咲の草履の鼻緒を直した。

 

承一郎「……よし、ひとまずこれで今日一日歩くぐらいは出来るだろう」

 

小咲「…ありがと」

 

承一郎「…じゃあ僕そろそろ千棘さんを捜しに行かないと」

 

小咲「うん…あれ⁉︎」

 

承一郎「…どうしたの?」

 

小咲「無いの!一条君の恋むすび…」

 

小咲「あ!見て!あそこ!」

 

見ると、ブチ模様の猫が恋むすびをくわえて歩いていた。

 

承一郎「あっ!」

 

承一郎「猫⁉︎こら君、それどこに持ってく気だーー⁉︎」

 

小咲「あ!一条君⁉︎」

 

 

承一郎(くそっ…!せっかく手に入れた恋むすびだぞ…‼︎みすみす失くしてたまるか…!)

 

承一郎(あ!止まった!)

 

そこには万里花がかき氷を持って立っていた。

 

万里花「ハァ…(…せっかく頑張ったのに、恋むすびは売り切れですか…。残念…)」

 

承一郎「橘さーーーーん‼︎!」

 

万里花「え?あら、承一郎様ではありませんか。嬉しいですわこんな日に承一郎様と会え…」

 

承一郎「…いいかい橘さん‼︎そこ動かないでくれないか⁉︎」

 

万里花「え?え?え?」

 

承一郎は万里花の後ろの柵の上に乗っている猫を捕まえるために言っているのだが、万里花はそれに気づいていない。

 

万里花「…まぁ、承一郎様ったら。ようやくあの女から私に乗り換える気になって下さったんですか?私だったらいつでも歓迎…ふぇ?」

 

万里花の言葉を無視して、万里花の肩を掴む承一郎。

 

承一郎「…いいかい?じっとしてよね…」

 

万里花「え…、や…でも承一郎様それは…。色々その飛ばかし過ぎでは…」

 

押して押して押しまくる万里花だが、押されるのは逆に弱い。

 

万里花「え…ウソ本当に…?いえ私は嬉しいのですけど…でも…」

 

承一郎は猫を捕まえる事に集中していて、話を聞いてない。

 

万里花「〜〜‼︎ダ…ダメばい…!」

 

承一郎「はいだらァー‼︎」

 

承一郎は猫へ手を伸ばすが、猫は飛んでこれを避ける。

 

承一郎「くそ!しくじったか!待てーー‼︎」ダッ!

 

万里花「…………へ…?」

 

 

鶫(…ハァ、せっかく並んだのに恋むすびとやらは買えずじまいか…)

 

鶫は射的屋で銃を持っていた。

 

鶫(まぁ別に必要ないのだがな…!別に誰か想い人がいるわけでもナシ…!)パンッ‼︎

 

鶫は銃を撃つが、景品に当たらない。

 

鶫(くそっ…!なんだこのオンボロ銃は…‼︎実銃ならば一発で…‼︎)

 

その時、後ろから謎の衝撃が襲った。

 

鶫「ふぐっ⁉︎」ドグッ‼︎

 

猫は恋むすびを落としたのだが、鶫は気づいていない。

 

鶫(なんだ…⁉︎猫…⁉︎)

 

承一郎「鶫さん‼︎」

 

鶫「…なんだ貴様か。一体何の用…」

 

承一郎「今こっちにブチ模様の猫が来なかったかい⁉︎」

 

鶫「ば?ああ、それなら今あっちに…」

 

承一郎「そうか!ありがとう!」

 

承一郎は銃を貸してもらい、

 

ズパンッ‼︎

 

と跳弾で景品であるキャラメルを落とした。

 

承一郎「はい、情報提供料」

 

承一郎はキャラメルを鶫に渡し、

 

承一郎「待てーー‼︎」

 

猫の追跡を開始した。

 

承一郎「逃がしはせんぞーー‼︎」

 

 

承一郎は恋むすびを追っていたが、やがて見失ってしまった。

 

承一郎(…確かこっちに飛んでったよね…。くそっ…なんでこんな面倒な…。千棘さんも捜さなきゃあならないのに…)

 

?「…ねぇ、もしかしてこれあんたの?」

 

承一郎「えっ‼︎あ、そうです‼︎どうもありが…」

 

その人物は、浴衣を着た千棘だった。

 

千棘「………何よ。…これあんたがさっき買ってた奴でしょ?ったく、持ち物の管理ぐらいしっかりなさいよね」

 

承一郎「君…いつの間に着替えて…」

 

千棘「さっき急ぎでクロードに持ってこさせたの」

 

承一郎「なんで急に…」

 

千棘「別にいいでしょ?ちょっと興味があっただけよ。でも試しに着てみたものの、どーなのコレ?帯はキツイし歩きにくいし。なんで皆こんなの着たがるんだろ。それに自分じゃあ似合ってんのかも分かんないし…」

 

承一郎「………いや…、似合ってるんじゃあないのかい…?結構…」

 

千棘「……あ、そう…(また来年も着てみよーかしら)ん?」

 

千棘はある看板を見つけた。

 

千棘(…恋むすび?ああ、さっきのやつか。良縁に恵まれます…ね。ったく、こんなの信じちゃって子供ねぇ…)

 

その看板には、恋むすびを男性が女性に渡すと求婚を意味すると書いてあった。

 

千棘(……ふ〜ん、そんな意味もあるんだ。プロポーズねぇ…あいつにそんな相手が現れるとは思えないけど…)

 

承一郎(…まったく、なんとか合流出来たものの、なんだよ急に浴衣って。ズルイだろう後出しとか…。…ん?ズルイって何がだろう。…まぁそれは置いといて)

 

承一郎(この恋むすびせっかく手に入れたけど、やっぱり男が持つのも似合わないよな。こうゆうのは女の子が持つものっていうか…。それに千棘(彼女)にも迷惑かけたし…)

 

承一郎「…ねぇ千棘さん」

 

千棘「何?」

 

承一郎「…これあげるよ」

 

承一郎は恋むすびを千棘に渡した。

 

千棘「ちょっ…ええ…⁉︎」

 

承一郎「…?なんだいそのリアクション…」

 

千棘「いやだって…その…なんで私に…⁉︎」

 

承一郎「いや、そりゃあ…(な…なんだ?なんでこの子急にこんな動揺しているんだ?心なしか顔も赤いような…)」

 

ジョニィ(自覚なしっていうのが一番怖いな…)←恋むすびの効能を知っている

 

千棘「ちょっ…いやいや、コレどういうつもりよ。ま…まさか本気じゃあないでしょうね?」

 

承一郎「…え?(なんだ?遠慮してるのか、この子。実は欲しかったのかな…)本気に決まってるだろう」

 

千棘「ええっ…‼︎本気って…ええ…‼︎?」

 

千棘(う…うそ…どういう事何言ってんのこいつ…!本気…本気ってつまりプロポーズって事…⁉︎なんで‼︎?じゃあ…こいつ私の事…⁉︎)

 

承一郎(なんだ…この子そんなに恋むすび欲しかったのか…。まぁこの子も女の子だしなぁ…)

 

ジョニィ(こいつ…マジでもう一人の俺なのか?どんだけ朴念仁なんだ?)

 

千棘「……い、いつから…私の事そういう風に見てたの…?」

 

承一郎「いつから?いや…僕も今の今まで気付かなかったんだけど…」

 

千棘「ええっ‼︎?そんな…とっさの判断で…⁉︎」

 

承一郎「いや…まぁ…?」

 

千棘(そんな…じゃあこいつさっき初めて好きって思った事…⁉︎それでいきなりプロポーズとかする…⁉︎でも恋は突然だっていうしそういうのなのかな…。でも…そんないきなり困るってゆうか…)

 

千棘「…ひあ⁉︎」サッ‼︎

 

妙な声をあげて帯に手を抑えた。

 

承一郎「ん?なんだい?」

 

千棘「……どうしよう、急いで着付けたから帯が緩んで来ちゃった」

 

承一郎「なっ…‼︎なにィ…‼︎?だ…大丈夫かい…。ほら貸して、支えてあげるから」

 

千棘「ちょ…!こっち来ないでよバカ…‼︎わっ…!わっ…!どうしよう、どんどん崩れて来るんだけど…!」

 

帯が緩んでどんどん崩れてしまう。

 

ジョニィ(良い…スゴく良いッ‼︎)

 

承一郎「(何を言ってるんだ君は)あーもう、だから言わんこっちゃない…!結び方まではさすがに知らないけどちゃんと持ってあげるから」

 

千棘「嫌!来ないでよ!私下着も付けてないのに…!」

 

承一郎「ええ⁉︎なんで下着付けてないんだい…⁉︎」

 

千棘「え⁉︎だって浴衣って下着付けないんじゃあないの…⁉︎」

 

承一郎「それよくある間違いだから…‼︎」

 

千棘「ちょっと‼︎あんた今変な妄想してるでしょ‼︎やめてよねこの変態‼︎」

 

承一郎「してないッ‼︎!!」

 

千棘「わー!もう…限界…‼︎」

 

承一郎「あーもう、ちょっと落ち着いて…」

 

承一郎は後ろから千棘の帯を抑えた。

 

千棘「あっこら、触んないでって…!」

 

承一郎「仕方ないだろう、ごちゃごちゃ言わないでくれ」

 

千棘「…ったく、こんな事になるのも皆あんたのせいよ‼︎あんたが突然こんな物渡してくるから…!」

 

承一郎「なんの関係が⁉︎」

 

千棘「こんなの…突然言われたって受け取れないわよ…。その…もうちょっと考えさせて欲しいっていうか…」

 

承一郎「…考えるって何をだい。君さっきから何言って…」

 

そこでようやく承一郎は恋むすびの看板を見つけた。そして帯を離してしまった。

 

承一郎「…違うからね‼︎?」

 

千棘「帯がーー‼︎!」

 

承一郎「僕知らなかっただけだからね‼︎?別にそういう…‼︎変な意味で渡したんじゃあ…」

 

千棘「だーー‼︎もういいから…‼︎こっち見んなっ‼︎!」

 

バキッ‼︎!という音が縁日の夜に響いた。




次回は海です‼︎

眠っちまいそうなスローなスピードで更新します。よろしくお願いします。

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