ジョジョの奇妙な冒険──5人目のDIOの息子──   作:GIOGIO

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長らくお待たせして申し訳ありません。

中間テスト期間中でして、あまり時間がかかりすぎて…(汗)次回から第4章です!

それではどうぞ!


第61話 海辺での想い その②

小咲「キスしてもいい…?」

 

千棘(え………今、なんて言ったの?まさか…)

 

小咲が少し無言の後、抱いたのは

 

小咲(今私なんて言った‼︎?)ブアッ

 

羞恥心だった。

 

小咲(ウソ…‼︎何今の…‼︎今のは頭に浮かんだだけ…‼︎?それとも口に出した…⁉︎出した気がする…‼︎どうしよう私…‼︎なんて事…‼︎!)

 

あまりの恥ずかしさに手で顔をおさえる小咲。

 

小咲(どうしよう…!だってすごく良い雰囲気だったから…!色々妄想がふくらんじゃって…つい…ポロッと…!どうしよう、絶対変な子だって思われた…‼︎)

 

小咲(突然…キス…なんて絶対引かれた…。一条君、なんでさっきからずっとしゃべんないんだろ…)

 

小咲は承一郎の方を振り向くと…

 

承一郎「ハッ…!」ビクンッ…‼︎

 

承一郎は、寝ていた。

 

承一郎「んん…あれ、僕今寝てたのか…?ごめん、海風が気持ちよくて…(さっきまでこんな心地いい風吹いてなかったんだけどな…)」

 

小咲「………………」

 

承一郎「なんかしゃべってた?」

 

小咲「……いえ、特に何も…」

 

承一郎「…?そうかい…?」

 

小咲「…じゃあ一条君、私先に皆のとこ戻ってるから一条君も後から来てね」

 

小咲は立ち上がって承一郎に言った。

 

承一郎「え?いや…なら僕も…」

 

小咲は承一郎の返事を聞かず、走り去って行った。

 

承一郎「…………⁇な…なんだ…?」

 

ジョニィ(…さっき、小咲の後ろに佇んでいた(ヴィジョン)…あれは『スタンド』だ)

 

ジョニィは小咲の背後に佇んでいた守護霊のようなものを確認していた。

 

ジョニィ(まさか、俺に矢が刺さった時に引き抜こうとして矢で傷が出来たのか…?いや、ありえる。徐倫さんもそうだったらしいしな)

 

ジョニィ(しかし…どういう能力なんだ?まったく分からない…)

 

承一郎(ん?どうしたんだい?)

 

ジョニィ(いや、なんでもない。それにしても…お前、惜しかったな)

 

承一郎(え?何が?)

 

千棘(…さっきのは私の聞き間違い…?だってまさか…小咲ちゃんがあんな事言うなんて…。だってあんな真剣な雰囲気で…まさか…)

 

千棘(『キムチでもいい?』なんて…。もっと真剣な話をしてるかと思ったのに…どんな会話してたんだだろ…)

 

千棘よ、さすがにそれはない。どうやら心地よい海風は小咲の言葉を聞かせないように吹いたようだ。

 

千棘(でもそうとしか聞こえなかったしなぁ。それ以外の言葉には…う〜ん…ちょっと想像つかないわね。小咲ちゃん意外と辛党だったのね)

 

 

キング・クリムゾン‼︎

 

 

海、二日目───

 

千棘(……あーあ…何やってんだろあたし…。なんで…あいつと話し辛くなっちゃったんだろ…。ついこないだまでは…いつも通りのハズだったのに…)

 

るり「…なんで昨日一条君と一緒に帰って来なかったのよ…」

 

小咲「いや、それは…。…あ、千棘ちゃん!」

 

小咲「…どうかしたの?昨日から全然無いみたいだけど」

 

千棘「…小咲ちゃん」

 

小咲「私で良かったら相談とか…。一条君とケンカとかしたの…?」

 

千棘「う〜ん…ケンカはいつもの事なんだけど」

 

千棘「…ねぇ、小咲ちゃん」

 

小咲「…ん?」

 

千棘「これは私の話じゃあないんだけど…」

 

小咲「えーと、つまり……その千棘ちゃんの友達はそのある人の前では急に胸がドキドキしたり、苦しくなったりして前みたいに普通に話せなくなった…って事?」

 

二人は砂浜でハイクオリティーな建造物を建てていた。というか世界遺産を作っているような…。

 

千棘「…うん、最近急にそうなっちゃったみたいでさ、自分でもよく分かんないんだって」

 

小咲「…ふーん(それってつぐみさんの事かな)、んー…それは端的に申し上げますと…」

 

千棘「ん、何?」

 

小咲「恋ではないかと思われます」

 

千棘「ブゥ‼︎?なっ…こ…ここここ恋ィ…‼︎?」

 

小咲「うん…そうだと思うけど…。え?千棘ちゃんはそう思わない?最初普通だったのに最近急になら…多分そういう事だと…」

 

千棘「う〜ん…恋…かぁ…」

 

千棘(恋…⁇恋って…!でも確かにそれなら色々合点がいくかも…?…ううん!ありえないわよそんな事…!)

 

そんな中、小咲はそんな千棘を見て笑みを浮かべていた。

 

千棘「…?小咲ちゃん…?」

 

小咲「あ、ゴメン。……もしかして10年前もこうして二人で話しながら遊んだりしたのかなって…」

 

千棘「…え?」

 

小咲「ほら、千棘ちゃんのお父さんが言ってたんでしょ?私と千棘ちゃんと一条君が昔一緒にいたって。…最近は少し分かる気がするの。千棘ちゃんと話してると少しだけ懐かしい気持ちになるというか…。昔もきっとこうして遊んでたんだろうなって」

 

千棘「…うん!私もそんな気がする…!」

 

小咲「…またいつでも相談してね」

 

千棘「ありがと!今度お礼にキムチ贈るね!」

 

小咲「…キムチ?」

 

千棘(…は〜、楽しかった。つい話し込んでしまったわ。やっぱり小咲ちゃんは良い人ね。でも…恋…かぁ…。そんな事ってあるかしら…。だってよりにもよってあんなもやしに…。そりゃ最近は悪いやつだと思ってないけど、恋って事はつまり私があいつの事好きってこ…)

 

千棘「…あ〜〜〜〜無い無い無い無い‼︎やっぱありえないわよそんな事…‼︎何考えてんのよ私は無いったら無〜〜〜い‼︎!」

 

千棘「はぁ…(…そのハズなのに……どうしてこんなにドキドキするんだろう────…)」

 

 

キング・クリムゾン‼︎

 

 

集「お、ついたついた。やっぱ最後は花火だよなぁ〜」

 

万里花「…私、こういう花火初めてで…」

 

集「あれ?桐崎さんは?さっきまでいたのに」

 

承一郎「え?彼女またいなくなったのかい?」

 

小咲「……私捜してくる…!」

 

承一郎「いいよ小野寺君。僕が行くから」

 

承一郎(…まったく、何やってるんだあの子。昨日から変だとは思ってたけど…)あ」

 

千棘は、岩場で線香花火を点けていた。

 

 

千棘(…うう〜、ダメだ…。一緒にその場にいるだけでも緊張しちゃう)

 

千棘「ああ〜!こんなんじゃあダメだ…‼︎これじゃあこの先恋人のフリなんてやってけないでしょ⁉︎平常心よ平常心‼︎落ちつくのよ私…‼︎」

 

千棘(…この線香が落ちなかったら私の勝ち…。落ちなかったら恋じゃあない…。落ちたら恋………かもしれない…。無心…無心よ私…)

 

承一郎「こんな所で何やってるんだい君は」

 

急に声をかけられ、千棘は驚いて動いてしまい線香花火の火が落ちてしまった。

 

承一郎「……なんだい……」

 

千棘「…別に、何もやってないけど…?どうもしないし…」

 

承一郎「…どうもしなくてこんな所に一人でいるわけないだろう君なら。花火もらうよ」

 

千棘「…何よ!知った風な口利かないでくれる…⁉︎あんたに私の何が分かんの⁉︎」

 

承一郎「…いや、分かるだろうそのくらい。まだ数ヶ月だけで、学校でも休日でも毎日のように一緒にいるんだ。そのくらい分かるさ」

 

千棘「…そういうのをやめろ‼︎」バシン‼︎

 

承一郎「痛っ‼︎?なんだいそういうのって…!」

 

千棘「うるさい‼︎」

 

承一郎「理不尽‼︎?」

 

承一郎(〜〜⁇まったく…何を怒ってるんだか…)

 

承一郎「…なにか悩みでもあるのかい。相談に乗ってあげてもいいよ?」

 

千棘「…特に悩みはございませんが」

 

承一郎「…素直じゃあないね君は」

 

千棘「なれなれしくしないでよ…!私達はニセの恋人同士でしょ?だいたいあんた私の事嫌いなんじゃあなかったわけ…?」

 

承一郎「…え?なんだい今さら…。…まぁ別にそうだけど…まぁ最初ほどでは無いっていうか…。…じゃあ君は?今でも僕の事嫌ってるのかい?」

 

千棘「………もちろん嫌いよ…。嫌いも嫌い、嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い、大っっ嫌いよ」

 

承一郎「…そうか、さすがに少しヘコむものがあるな…」

 

千棘「……ねぇ…もしも…」

 

承一郎「ん?」

 

千棘「私達が本当に恋人だったら、私達上手くいってたと思う…?」

 

承一郎「……え…?なっ…何急にわけ分からない事聞いてるんだい君は…!君らしくな…」

 

千棘「…いいから!……答えてよ」

 

承一郎(な…なんなんだ今日の彼女は…!やっぱりいつもと違いすぎるっていうか…何があったんだ…。ってなんで僕もこんな意識しちゃってるんだ‼︎?僕には小野寺君がいるってのに…!なんで彼女相手にこんな緊張してるんだ…⁉︎)

 

承一郎(それに…彼女…こんな顔してたっけ───…)

 

承一郎「………………そ………」

 

承一郎の答えは──

 

承一郎「そんなもの、上手くいくわけないだろう」

 

──NOだった。

 

承一郎「…だいたい君は僕の好みと違い過ぎるしね。がさつだし暴力的だし、かわい気がもないし…」

 

承一郎の言葉が、千棘の心を傷つけていく。本人はそれに気づいていない。

 

いつものようなやり取り。だがそのいつものようなやり取りが、より千棘を傷つける。

 

ジョニィ(おい、承一郎…!)

 

承一郎「どーせ今と同じケンカばっかになると思うよ。そもそも君はもうちょっとおしとやかっていうか、女らしさってものをだね…」

 

ジョニィが見かねて止めようとするがそれでも止まらず、

 

 

 

 

 

千棘「うるっさいわね‼︎わかったからもう黙っててよ‼︎!」

 

ついに千棘の感情が爆発した。

 

承一郎「………え……」

 

千棘は自分が言った言葉に気づき、

 

千棘「……ごめん…」

 

それだけ言うと、走り去ってしまった。

 

承一郎「あっ…ちょっ…!」

 

ジョニィ(おい承一郎!千棘を追いかけろ!)

 

承一郎(えっ?だっていつもと同じようなやり取りだろう?別に大丈夫でしょ?)

 

ジョニィ(…クソッ……)

 

……夏休みが終わるまで、あと一週間と強…。

 

承一郎と千棘はその間、一度も言葉を交わさなかった。

 

 

<=to be continued=




おまけ

ジョニィ(クソッ…これだから朴念仁は……)

承一郎(……?)

次回、『演劇の配役』。

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