ジョジョの奇妙な冒険──5人目のDIOの息子──   作:GIOGIO

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第63話 拳よりビンタの方が痛い

文化祭本番も間近にせまり、演劇の練習も本格的になってきた──

 

集「…よーし、じゃあもっかい最初から行ってみよーかー」

 

承一郎「…おおジュリエット…‼︎僕の瞳にはもはや君しか映らない──…‼︎」

 

万里花「まぁ嬉しい…!私もですわロミオ様。早速結婚致しましょう‼︎」

 

集「はいカット〜〜〜」パチン!

 

承一郎「…ちょっと橘さん‼︎君何回邪魔すれば気が済むんだい…‼︎」

 

万里花「まぁ…!邪魔だなんてとんでもないですわ。私だってジュリエットの代役なんです。しっかり練習しておきませんと…」

 

承一郎「…だからって小野寺君の練習に割り込んでこないでくれ。しかもセリフも全然違うだろう。この話は対立している両家の跡継ぎ同士が愛し合ってるけど結婚できない、結ばれないっていう悲劇なんだよ」

 

万里花「まぁ!それはまさしく今の私達のような…‼︎?でもご安心下さい承一郎様…‼︎私達は両家公認ですので承一郎様さえその気になれば…」

 

承一郎「だから人前でそういう事を堂々と言わないでくれ‼︎」

 

主に男子からのブーイングが半端ではない。

 

鶫「…おい貴様、いい加減にしろよ。何度も言うがそいつはお嬢の恋人で…」

 

万里花「あら、今はそんな事関係ないではありませんか。だって彼女はジュリエットではないんですから♡」

 

…そう、劇の練習が進んでいく最中、承一郎と千棘はと言うと……先日の口論以来一切口も利いていないのが現状だ…。

 

女子1「…最近桐崎さん元気ないよねー」

 

女子2「桐崎さんならまっ先にジュリエットやりたがると思ったのに…」

 

承一郎「(…まったく、なんなんだ彼女は…。…もう何を考えてるのかさっぱり分からない…。…いけない、彼女の事はもう考えないんだった。僕は劇に集中…)ん?」

 

承一郎は木の上に何かいる事に気づき、振り向くと…

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

なんかメガネがいた。

 

承一郎(うわっ‼︎?)

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

承一郎(…しゅ、集中集中…!)

 

 

キング・クリムゾン‼︎

 

 

集「…よ〜し、今日の所は練習はここまでにしよーぜ!出演者は全員集まってくれ!」

 

集が練習を切り上げ、皆を呼んだ。

 

承一郎「…どうしたんだい集?何か打ち合わせでもするのかい?」

 

集「いやいや承一郎君、打ち合わせよかよっぽど大事な話だぜ?」

 

承一郎「え?」

 

集「お楽しみの衣装合わせだ」

 

承一郎「おお…すごい…‼︎これ本当に手作りなのかい…⁉︎」

 

承一郎は衣装の出来前に感嘆の声を上げる。

 

集「いかにも、作ったのはウチの手芸部員なんだが材料・素材集めにはオレも一役買ってるんだぜ?」

 

承一郎「…すごいこだわり様だね…」

 

集「他にも劇に必要な本格的な照明、カーテン・足場・パネルなどオレの人脈を総動員して搬入済みだ!なんたってオレのプロデュースする劇だからな!なんとしても成功させてやるぜ⁉︎」

 

承一郎「…君の人脈ってどうなってるんだ」

 

承一郎が集の人脈に疑問を感じていると…

 

ぐ…ぐぐぐ…パチン‼︎ピシッ‼︎

 

何かが承一郎の頭に当たった。それはボタンだった。

 

承一郎「……?」

 

ボタンが飛来してきたのは女子の着替え室だった。

 

女子3「…どうしよう、つぐみちゃんの服胸が留まんないんだけど」

 

女子4「…なんで?採寸はしたんでしょ…?まさかこの短い期間に…?」

 

女子4「…ええい仕方ない‼︎おっぱい増量よ増量…‼︎もっと盛って盛って‼︎」

 

鶫「そんな事大声で言わないで下さい‼︎」

 

ジョニィ(…何やってんだあいつら…)

 

万里花「え〜〜‼︎なぜ私の衣装が無いのですかぁ〜⁉︎」

 

女子5「だって橘ちゃん代役だもん。丈は寺ちゃんに合わせるよ」

 

承一郎(‼︎…小野寺君の衣装…⁉︎ど…どんな…)

 

シャッ‼︎

 

そこにはジュリエットの衣装を着た小咲がいた。

 

小咲「!………一条君…」

 

承一郎(か…かわいい…‼︎!すごい似合ってる…‼︎)

 

小咲「……えへへ…似合うかな…」

 

承一郎「あ…ああ…!その…!よく…似合ってると思うよ…?」

 

小咲「えへへ…ありがと…。…一条君も似合ってる。カッコイイよ」

 

承一郎「え⁉︎はは…そうかい…?」

 

小咲(…うん、ホントに…)

 

承一郎(それにしてもよく出来た衣装だなぁ。凝ってるというか…。…これ、彼女が着たらどんな───)

 

承一郎(…おい‼︎!?なんで僕がそんな事考えなきゃあならないいけないんだ‼︎どうでもいいだろう彼女の事は。何考えてるんだマジで…‼︎?)

 

承一郎は千棘が近づいている事に気づいて隠れた。

 

承一郎(なんで僕が隠れなきゃならないんだ。くそっ…釈然としない。態度悪いのは彼女の方なのに…)

 

 

数日後───

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

またなんかいる。あのメガネがナイフを持ってこっちを見てる。よく警備員に見つからないなと感心してしまう。

 

ガラッと承一郎は窓に開けた。

 

クロード「ん?」

 

そしてそのまま…

 

承一郎「…バルスッ‼︎」ドスゥッ!

 

目潰しの呪文を唱えた。その呪文(という名の物理的な攻撃)はメガネをブチ破り、目に直撃した。

 

クロード「目がぁ‼︎目がぁ〜‼︎」ドサッ!

 

メガネは目を抑えて窓から落下した。効果は抜群だ!

 

承一郎「……なぁ!千棘さん…!」

 

承一郎は廊下にいた千棘に声をかけた。

 

千棘「何?」

 

承一郎「何じゃあないよ、そろそろヤバイって…!限界だ‼︎あのメガネ、さすがにかなり僕達の事怪しんでる…(まぁ元々怪しんでるけど)。そろそろ仲よさそうな所の一つでも見せとかないと…」

 

承一郎「ウチのもんも僕達が最近会ってない事心配してるし…君の君が進まない事は分かってるけど、せめてあいつが見てる間ぐらい…」

 

千棘「……嫌。あんたと仲よさそーに恋人のフリなんて、もう出来ない」

 

承一郎「…いいかげんにしてくれ‼︎いつまでも意地張ってわがまま言ってるんじゃあない‼︎これは僕達二人だけの問題じゃあないんだ、忘れたのかい⁉︎僕達が仲悪いのがバレたらまた家の奴らが戦争始めるかもしれない…!そうなったら…‼︎」

 

千棘「うるっさいわね‼︎嫌なもんは嫌なのよ!」

 

承一郎「………どうしてそこまでつっぱねるんだ」

 

千棘「…私は今、あんたと関わりたくない。話したくもないし一緒にもいたくない」

 

承一郎「………だからジュリエットも断ったのかい…?」

 

千棘「………そうよ…。私が出るならあんたと一緒に主役演る事になったでしょ?それが嫌だった。だから断ったの」

 

千棘「あんたとロミオとジュリエットなんてまっぴらゴメン…‼︎恋人役?恋人のフリ…⁉︎私達ただの赤の他人でしょ…⁉︎」

 

千棘「家とか…事情とか…そんなのもう関係ない…‼︎あんたの事なんかもう知らない…‼︎」

 

承一郎(な………なんだよソレ。赤の他人…?まっぴらゴメン…?なんで僕…そんな事言われなきゃならないんだ…。君は…ずっと僕の事そんな風に思ってたのか…?)

 

承一郎(──…僕は、僕は君に──…恋人のフリする事になったり…昔会った事があるって分かったり、何て言ったらいいのかよく分からないけど、つながり…みたいなものを感じてたつもりだったのに──…)

 

承一郎(最近は君も、そう思ってくれてるんじゃあないかって…)

 

承一郎「…あーそうかい。よく分かったよ、赤の他人ね。僕と君の間にはなんにも無かった、そういう事だな?」

 

承一郎「君と一緒にいて楽しくなんて一切なかったし、仲良くなんてなってないし、君と一緒に何かした思い出とか、全部全部『ニセモノ』だったわけだ」

 

承一郎「きっと十年前の思い出も、親父さんの勘違いかなんかだったんじゃあないか?」

 

千棘「!」

 

承一郎「…少なくとも僕達が約束の相手って事はないだろう。今の僕達がこんななのに昔上手くいってたなんて思えないし…」

 

承一郎「…このニセの恋人も、もう止めにしよう。元々僕達がやらなきゃならない義務なんてないんだし、ちゃんと事情を話せば親父達もきっと分かってくれ──」

 

次の瞬間、

 

パンッ

 

という音と共に承一郎の頰に衝撃が走った。

 

承一郎「え…」

 

そして少し後からビンタされた事に気づいた。

 

周りから音が全て消えて、皆が承一郎と千棘を見た。

 

千棘は振り返り、立ち去って行った。

 

小咲「…………い……一条君…?」

 

承一郎「………悪い小野寺君、ちょっとはずす…」

 

そう言って承一郎は振り返り、歩く。

 

小咲「え…でも…」

 

承一郎(……………わけ…分からない…。正直、千棘(彼女)に殴られるのにはもう慣れてた。なのに…)

 

承一郎「…くそ…ビンタの方が、痛いじゃあないか」ポタ…ポタ…

 

承一郎の握られた拳からは血が出ていた。

 

千棘に対する怒りからではない。千棘を理解出来ない自分に対して怒っていた。

 

ジョニィ(承一郎…)

 

 

校舎の外で、千棘は校舎の壁を殴っていた。

 

千棘(バカ…!バカ…!もやしのバカ…!バカ…‼︎…わたしのバカ…)

 

千棘「…あたしだって…‼︎」

 

……文化祭までの数日は飛ぶように過ぎ、承一郎達の間に流れる空気は最悪のまま、文化祭当日──




次回、文化祭本番スタート!

構想どうしようかまだ迷ってますけど、頑張ります!

それではまた次回!

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