ジョジョの奇妙な冒険──5人目のDIOの息子──   作:GIOGIO

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皆喜べッ!万里花のスタンド能力のお披露目だッ‼︎

…はい、すみません遅くなりまして(泣)

今回は有名な某ホラーゲームのキャラを使わせていただきました。それでは、どうぞ!


第73話 死の瞬間を切り取る芸術家

万里花「承一郎様、ちょっとよろしいですか?」

 

承一郎「僕かい?ああ、大丈夫だよ。何か話でも?」

 

万里花「ええ、そうですの。父がお話があるらしいのですが…どうやらある事件の協力をお願いしたいみたいで…」

 

承一郎「最近起こっている連続殺人事件の事かい?分かった、今日君の家でいいかい?」

 

万里花「ええ、ありがとうございますわ」

 

千棘「承一郎、何の話をしてるの?」

 

承一郎「ああ、橘さんの親父さんから協力の要請があってね…」

 

万里花「今日、承一郎様が私の家に来てもらうのですわ!」

 

千棘「ちょっと待ちなさいよ、なんか変な事しないでしょうね⁉︎」

 

承一郎「しないしない!絶対しないって!」

 

 

橘家───

 

巌「済まないな、今日は君に頼みたい事があって来てもらったんだ」

 

承一郎「いえ、お構いなく。それで、要件とは…?」

 

巌「まずはこれを見てくれ」パサッ…

 

テーブルに置かれたものは写真だった。それにはある男が撃たれて絶命した瞬間の写真だった。

 

承一郎「この写真は…?」

 

巌「ある殺害現場にあった写真だ。何か気づく事はあるか?」

 

承一郎「…男性が脳天に弾丸をブチ込まれて絶命していますね…。…これは、絶命した瞬間(・・・・・・)の写真ですか?」

 

巌「そうだ、しかも飛び散る脳漿すらも鮮明に映し出されている。この事件現場は、これと同じ死の瞬間(・・・・)展示(・・)されている」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

承一郎「…今なんて?」

 

巌「言葉通りの意味だ。この現場はまるでついさっき死んだかのような死の瞬間が保存(・・)されている。他の現場でも同じような現象が起きている。そんな事が出来るのをオレは一つしか知らない」

 

承一郎「…『スタンド能力』」

 

巌「その通りだ。だがスタンド能力は秘匿されているものだ。いきなり未知の能力を持つ殺人鬼が夜な夜な殺人を繰り返していると知ったらパニックが起こる。だから能力の事は隠していたのだが…」

 

承一郎「その報復として、この警察官が殺害された…」

 

その男は警察官だった。おそらく凶器の銃は彼が携帯していたものを奪い取ったものだと思われる。

 

巌「ああ…そこでだ。君に犯人の捜査、そして出来れば確保を頼みたい。確保が難しい場合は…」

 

承一郎「分かってます、後始末はこっちでよろしいですか?」

 

巌「ああ、よろしく頼む。それと…君にもう一人仕事の相棒がいるんだ…反対したんだが…」

 

万里花「承一郎様ーーーーッ‼︎」バンッ‼︎

 

承一郎「た、橘さん⁉︎」

 

万里花「はい、今回承一郎様と一緒に捜査をする事になりましたわ!」

 

承一郎「…巌さん、いくらなんでも危険過ぎます。橘さんがいくら言っても、同伴は許可しかねます」

 

巌「オレもそう言ったんだが…」

 

万里花「警察はスタンド能力に対応出来ずに捜査は難航するばかり、スタンド使いの皆さんも忙しいご様子、ならば私も協力しますわ!」

 

承一郎「危険過ぎる!もし何かあったら…」

 

万里花「その時は、承一郎様が守ってくれますよね?」

 

承一郎「…はぁ、しょうがない。だけど自分の身は自分で守れるのかい?」

 

万里花「あら、私も『スタンド能力』は持っていますわよ」ズギュンッ!

 

突然、万里花の手から手錠が出現する!

 

承一郎「ッ!」

 

ジャラララララララッ‼︎カシンッ‼︎

 

突然現れた手錠が承一郎の手にはめられた。

 

承一郎「これは…手錠?」

 

万里花「これが私のスタンド、『スロー・ダンサー』ですわ」

 

承一郎は動こうとするが、いつもより動きが鈍い。

 

承一郎「これは…を『動き』を遅くする能力…?」

 

万里花「その通りですわ。手錠で取り締まる事で動きを『鈍く』する事が出来ますの」

 

承一郎「なるほど…分かったよ。では巌さん、橘さんと捜査を開始します」

 

巌「ああ、よろしく頼む。まず現場を見れば分かるハズだ。場所はある空き家だ」

 

承一郎「了解しました。橘さん、行こう」

 

万里花「はい!」

 

巌「頼んだぞ…」

 

 

某空き家───

 

承一郎「…そういえば君はいつスタンド能力を?」

 

万里花「私はこの街に来てからですわ。承一郎様は?」

 

承一郎「僕は中学の頃に能力だけが発現してて、明確な像になって現れたのは今年の春過ぎかな」

 

ジョニィ『…やはりこの街にはスタンドが息を潜めているみたいだな』

 

承一郎「ここが現場か…確か巌さんは見れば分かると…」

 

万里花「鑑識に頼んでそのままにしてもらいましたが…これは酷いですわね」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

周りの空気とは明らかに違うキューブの形をした歪みの中に、その被害者である警察官はいた。この音楽は…確か『弦楽セレナーデ』の第一楽章だ。外から音が漏れない程度の音量になっている。

 

五灯ソケットに照らされたその脳を突き破った弾丸も、そこから飛び散る脳漿と血も、恐怖に歪んだ顔一つ一つがハッキリと鮮明に見える。しかもその光景にはこの場所とは無縁といえる花びらなどで彩られていた。そして、そのまま倒れる前にまるでビデオテープのように同じ光景が繰り返されている。正直言って悪趣味だ。

 

承一郎は捜査資料をスマホで調べるが、毛髪や指紋といった手がかりはないようだ。

 

承一郎「おそらく芸術家気取りの奴みたいだね。展示されているとはこういう事か」

 

万里花「犯人はこの死の瞬間という作品を大衆に見せたかったようですわ。承一郎様、この能力をどう思いますか?」

 

承一郎「…推測だけど、犯人が殺害したとされる現場にその被害者の死の瞬間を写した写真があった事から、犯人は写真に何かしらの執着があると考えられる。スタンド能力は自分の精神や執着しているものによって変わる。だから…」

 

万里花「犯人はカメラに基づくような能力を…?」

 

承一郎「ああ、よく見てくれ。この歪んだ空間はちょうどある形を成している。カメラで撮られた時の空間配置とピッタリ一致している」

 

承一郎は写真の光景と同じ場所に立って指で四角いフレームを作る。すると、それがピッタリと空間の歪みの境界線と一致した。

 

万里花「さすが承一郎様、素晴らしい洞察力ですわ!」

 

承一郎「あくまで推測さ…さて、次は第一発見者に話を聞こう」

 

 

空き家に隣接する家───

 

マイラ「どうも、お茶です」

 

空き家の隣にある家の家族が第一発見者だった。カステヤノス家の妻、マイラが承一郎達にお茶を用意してくれた。

 

承一郎「ありがとうございます」

 

マイラはお辞儀をして部屋から出て行った。

 

セバスチャン「どうも、セバスチャン・カステヤノスだ」

 

改めて第一発見者のセバスチャン・カステヤノスは自己紹介をする。

 

承一郎「S県警の一条警部と申します。今日は事件の話を伺いに来ました」

 

万里花「同じくS県警橘警部補ですわ。どうかご協力のほどよろしくお願いしますわ」

 

二人は偽装された警察手帳を見せる。

 

セバスチャン「もちろんだ。あんなのを作った犯人がまだウロついてるとしたら妻と娘が不安で夜も眠れない。協力させてもらうさ」

 

承一郎「それにしても、日本語お上手ですね。どのくらい日本に?」

 

セバスチャン「そうだな、もう五年になる。娘のリリーが生まれてからこっちに移住して来た」

 

承一郎「なるほど…ところで事件について詳しくご説明を」

 

セバスチャン「ああ、あれは…」

 

 

数日前───

 

その夜、カステヤノス家の三人は外食から帰ってきた時に発見したらしい。

 

リリー『ねぇパパ、肩車して!』

 

セバスチャン『ああ、いいともリリー』

 

マイラ『あらあら、リリーったらパパに甘えてばっかりね』

 

リリー『うん、大きくなったらパパのお嫁さんになるの!』

 

セバスチャン『ハハ、嬉しいな』

 

リリー『…ねぇパパ、あそこの家の扉開いてるよ?』

 

肩車されて一番高い位置を見渡せたリリーが隣の空き家の扉が開いている事に気づいた。

 

マイラ『おかしいわね、あそこは随分空き家のハズよ?』

 

セバスチャン『…何か嫌な予感がする。リリー、ちょっとごめんよ。マイラ、先にリリーと一緒に戻ってくれ』

 

マイラ『ええ…気をつけて』

 

セバスチャン『おい!誰かいるのか?』

 

玄関から入り、リビングの奥へ進んでダイニングへと進む、惨劇を発見した。

 

セバスチャン『おい、なんだこれは…』

 

 

承一郎「…それで殺害現場を目撃したのですね?何か他に気づいた事はありますか?」

 

セバスチャン「後は…そうだな、俺は元刑事だったが、それでもあれはかつてない程に猟奇的だった。それとあの歪み…中に入る(・・・・)事が出来たんだ」

 

承一郎「中に入る(・・・・)?それは考えつかなかったな…それから?」

 

セバスチャン「あの中は…死んだ警察官の悲鳴が聞こえたんだ…。気が狂いそうだった…あれを『作品』とのたまい作る犯人は…まさしく怪物(モンスター)だ」

 

承一郎「…同意見です。犯人は僕達が絶対に捕まえます。これ以上街の皆さんを危険に晒すのを絶対に阻止してみせます」

 

セバスチャン「…ありがとう、あんたのような警察官がいてくれたら街は安泰だな」

 

承一郎「恐縮です。それでは何か思い出したらこちらにご連絡下さい」

 

セバスチャン「ああ、分かった」

 

 

万里花「幸せそうなご家庭でしたわね」

 

承一郎「そうだね。ああいう日常を守るために僕は警察官になりたいんだ」

 

万里花「まぁ!それは素晴らしいですわ!なら今すぐ私と結婚して幸せな家庭を築きましょう!」

 

承一郎「なんで君は話がそっち方面に向かうんだ…。とにかく、カステヤノスさんの言った事を確かめよう」

 

 

再び某空き家───

 

承一郎「さて、カステヤノスさんの言った事を確かめよう」

 

承一郎は歪みの中に手を伸ばす。するとズブズブ…と手が空間の中に入り込む。

 

承一郎「うっ…」

 

万里花「承一郎様、大丈夫ですか?」

 

承一郎「ああ、だが二日酔いみたいな気持ち悪さだ…」

 

万里花「あら、承一郎様は二日酔いをした事が?」

 

承一郎「い、いや、例えの話さ。それより…これは確かにカステヤノスさんの言った事がよく分かる」

 

警察官『ぐぅあぁぁああぁぁああああ…‼︎』

 

被害者である警察官の悲鳴が加わると、さらに猟奇的だった。まるで死のオーケストラだ。

 

承一郎「…ふぅ、後は巌さんに頼んで過去の事件から共通点を調べよう。犯人の殺害傾向が見えてくるハズだ」

 

キング・クリムゾン‼︎

 

あれから数日、犯人への足取りは全く掴めていない。

 

承一郎「…ここまで手がかりが出ないとなると、犯人は驚くべき知能犯だ。だが過去の事件傾向を調べるとそろそろ奴は何か動くハズ…」

 

万里花「そうですわね。流されていた曲『弦楽セレナーデ』を調べても何も出ませんでしたし…」

 

承一郎「共通点は20代の男女、死因はナイフ、警察官は持っていた銃、たまに落下死の途中のままループされているのまで…五灯ソケットの方は?」

 

万里花「今はなんとも…カメラの方はブランド物ですわ。ですがこれだけではどうしようも…『ピッ!』あらお父様、何かありましたか…え?犯人から写真が⁉︎」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

承一郎「なんだとッ…⁉︎」

 

巌『ああ、今写真とそれに添付されていたメッセージを送るぞ』

 

ピピッ!

 

それは、天使のような立体作品の写真だった。しかし、着目すべき点はそれが人肉を組み合わせた(・・・・・・・・・)ものである点だ。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

メッセージには『僕の作品を見てくれる観客(オーディエンス)へ、次の作品の展示場所は民営ホールだ』と書かれてある。

 

承一郎「急いでへ向かおう!」

 

万里花「はい!犯人は殺人という作品を見せたがっている…!この情報はデマではないハズですわ!」

 

 

某民営ホール───

 

承一郎「やけに暗いな…ライトを点けながら進もう」カチッ!

 

ライトを点けると廊下一面中に写真が飾られていた。だが、それは目や血だらけの口などといった悪趣味な写真だった。

 

万里花「なんなんですかね?この写真は…」

 

ギョロッ!

 

万里花「ひっ…!」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

たくさんの目が承一郎と万里花を見つめていた(・・・・・・)

 

承一郎「まさか…この写真全部に被害者の魂(・・・・・)が囚われているというのか…ッ!」

 

あり得ない話ではない。ある話によると、大昔の日本人はカメラで撮られた写真があまりにソックリに映る事から『魂を抜かれる』と思い込んでいたらしい。

 

殺される時に魂までもがあの空間に囚われているとしたら…恐ろしい考えだ。想像すらしたくない。

 

バタンッ‼︎

 

承一郎・万里花「「‼︎」」

 

いきなり勢いよく開いた扉へ注意して移動する。すると…

 

万里花「…承一郎様、私、この事件の犯人が人かどうか…分からなくなってきましたわ」

 

承一郎「橘さん…全く同意見だ」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

奥には、白い布を身に纏った男女が天井からぶら下げられてあった。その中央には、さらに一際目立つように『作品』が飾られてあった。

 

腕を何本を繋げられた白い布を纏った女性が空中に浮遊し、それを人肉の人形が何体も周りを囲んでいる。下には、地獄から這い出たような手が何本も伸ばされていた。

 

あまりの悪趣味な光景に絶句していた承一郎だったが、承一郎は波紋の生命探知で背後から近づく存在を感じ取った。

 

承一郎「橘さん…わかっているかい?」

 

万里花「ええ…後ろッ!」

 

バッ!

 

二人は同時に振り向くが、

 

パシャッ‼︎

 

白いフラッシュが、二人を包んだ。

 

 

<=to be continued=




スタンドプロフィール

スロー・ダンサー

本体:橘万里花

ステータス
【破壊力-C/スピード-A/射程距離-C/精密動作性-B/持続力-B/成長性-B】

拘束した対象の動きを『のろく』する手錠を操る。数は無制限に出せるが、10m以上離れたり対象が大きかったりするとその力が弱まる。またロープ代わりにする事も可能。

なぜ手錠かというと、後述のメタ的並行世界の設定もだが、警視総監の娘でありさらに母方の逃げられない宿命を背負っているからである。

この回では人型像は登場しないが、手錠のドレスを身に纏った女性の姿である。

名前の元ネタはボズ・スキャッグスの『Slow Dancer』、能力の元ネタはニセコイのスピンオフ作品『マジカルパティシエ小咲ちゃん‼︎』での万里花の能力『魔法手錠(マジックカフス)』より。

歌詞の和訳で『素敵な夢追い人』というのが万里花にピッタリだと思い決めました。


殺害現場に隣接していたカステヤノス家は犯人と因縁があります。さて、わかる人はいますかね?

次回、『ステファノのオブスキュラその①』

狂気の芸術家、ついに現わる!

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