ジョジョの奇妙な冒険──5人目のDIOの息子──   作:GIOGIO

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前回までのジョジョの奇妙な冒険ッ!

万里花と共に猟奇的連続殺人鬼のスタンド使いを逮捕する任務についた承一郎。

なかなか足取りがつかめずにいた中、ついにスタンド使いの男、ステファノがその正体を現した!

ステファノを追う承一郎と万里花だが、追い詰めた先で行われた大量殺人を防げなかった。

承一郎の中にあるものを求めているステファノ。それに対し、承一郎と万里花は怒りを露わにして挑む!

それではどうぞ!


第75話 ステファノのオブスキュラその②

ステファノ「君達の死は芸術になる」

 

ステファノはカメラとナイフを手に取る。

 

ステファノ「そろそろサインを入れるとしよう」

 

承一郎「橘さん、行くよ!」

 

万里花「ええ、私がサポートにまわりますわ!」

 

ステファノは青い陽炎のように消えて承一郎の側に出現し、ナイフを刺そうとする!

 

ステファノ「フッ!」

 

承一郎「セイッ!」

 

しかし承一郎は蛇のような動きでステファノの腕を掴み、CQCで投げ飛ばす!

 

ステファノ「くっ!」ズギュンッ!

 

オブスキュラ『GYAAAAAAAHHHHHHH(ギャアアアアアアアアアアアアアア)ッ‼︎』

 

ステファノの『オブスキュラ』は奇声を発しながら三本の足でドタドタと近づいて来る。

 

ステファノ「見ろ、オブスキュラがダンスをしているぞッ!」

 

承一郎「これをダンスとは言い難いな!」

 

オブスキュラの頭部のスプリングカメラが承一郎に向けられる。しかし、

 

ジャララララララッ!ギシッ!

 

万里花「『スロー・ダンサー』ッ!」グイッ!

 

万里花が頭部を手錠でグルグル巻きにして引っ張り、オブスキュラの頭部をグインッ!承一郎から逸らす。そこへ

 

承一郎「『クリスタル・ボーン』ッ!」ズギュンッ!

 

CB『オラァッ!』ドゴドゴォッ!

 

クリスタル・ボーンの拳がオブスキュラの胴体にクリーンヒットするが…

 

承一郎「くっ、かなりタフなスタンドだな…あまりきいてない!」

 

オブスキュラは大して効いた様子はなく、頭部を縛り付ける手錠を逆に引っ張る!

 

万里花「なっ…!私のパワーでは少し厳しいですわ!」ジリッ…

 

手錠の鎖を引っ張りながら、オブスキュラは万里花へシャッターを切ろうとする。

 

CB『ウオリャアッ!』ベキィッ!

 

そこへ承一郎はアッパーカットでオブスキュラの頭部を凹ませるくらいに殴り飛ばした。さらに手錠の鎖を手刀で切断し、万里花を連れてステファノに見えないように壁へ退避する。

 

承一郎「気をつけて橘さん、奴のスタンドはなかなか頑丈だ」

 

万里花「申し訳ありませんわ。ですが、長所には必ず短所もあります。どこかに必ず弱点が存在するハズですわ」

 

承一郎「同感だ…だが、どこからか…見られてる(・・・・・)ッ!」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

承一郎が背後に振り返ると、そこにはナイフを振りかぶるステファノが!

 

承一郎「何ッ⁉︎」

 

ステファノ「ハッ!」ビシュッ!

 

投郷されたナイフは万里花に目掛けて飛んでいくが、

 

万里花「きゃっ!」カキィンッ!

 

万里花が咄嗟に出した手錠に激突して威力が殺されて弾かれる。

 

ステファノ「惜しい惜しい、運は誰にだって味方するさ…一度は」

 

そう言ってまたステファノは消える。

 

承一郎「クソッ、おかしい…さっき奴が襲いかかって来たのは元いた場所の反対側からだ。気づかないハズがない!それに、壁に阻まれているのになんで場所を特定された(・・・・・)…?」

 

万里花「承一郎様、おそらくずっと見られてると思った方がよろしいかと。狂気に満ちた視線がまだ続いていますわ」

 

承一郎「ああ、多分どこに行っても奴に見られてる。という事は奴の作品である目を攻撃すれば…とぅ!『ダァン!』関係ねーわ」

 

壁に掛かっている目の写真に発砲しても効果はないようだ。

 

万里花「彼の写真が創り出した場所だからだと思われますわ。そしてあの瞬間移動、何度も移動は可能でしょうけど移動出来る範囲は限定されているでしょう」

 

承一郎「さらに攻撃する時は必ず姿を見せるハズ…」

 

ステファノ「素晴らしい洞察力だ。だが目に見えないものから逃げるのは不可能ッ!」

 

ダァンッ!

 

放たれた弾丸はステファノがいた場所を素通りする。

 

オブスキュラ『カメラに笑顔を見せてくれ…』

 

キュイイイン…!

 

承一郎「橘さん、壁に隠れろッ!」

 

パシャッ!

 

二人は壁に隠れ、死のシャッターから脱出する。

 

オブスキュラ『じっとしていろッ!』

 

承一郎「あんまり撮られるのは好きじゃあなくてね…いくぞッ!」

 

承一郎はオブスキュラに攻撃を仕掛けようとするが…

 

ズブズブ…ッ!

 

承一郎「な、何ィーーッ⁉︎動きが…ッ⁉︎スタンドの動きさえも…ッ!」

 

ステファノ「ハハッ!君達には避けられたが、そこは写真に収められたッ!空間の時間がスローになる(トラップ)さッ!」ビシュッ!

 

ドスゥッ!

 

ステファノのナイフをスローになっている承一郎に防げるわけがなく突き刺さる!

 

承一郎「ぐうっ‼︎」

 

万里花「承一郎様ッ!」ジャラララッ!

 

ガシッ!グインッ!

 

万里花の手錠が承一郎の手首にはまり、それを引っ張る事で空間から脱出させる。

 

万里花「大丈夫ですか⁉︎」

 

承一郎「ああ、すぐ治す!だが…こいつ、自分の能力を人を殺しながら研究してやがったな…ッ!」

 

ステファノ「当たり前だ。芸術に必要なのは創作意欲と自由な発想さ。そしてそれにはどう表現出来るか知る必要がある。この能力は素晴らしい!これから僕の作品はさらに進化するッ!」

 

承一郎「それはせいぜい頑張るんだね!ブタ箱の中でさッ!」ダッ!

 

承一郎は波紋の呼吸を練って一気に懐に潜り込む!

 

承一郎「オラァッ!」

 

承一郎の拳はスカッと消えたステファノを捉えられない。

 

承一郎「ナイフを使うのなら、ナイフで勝負してみるかい?」ズリュッ!

 

承一郎の手の皮膚を突き破り、数本の骨が飛び出してナイフの形が形取られる。

 

ビシュッ!

 

承一郎の投げたナイフを再び現れたステファノはオブスキュラでパシャッ!とシャッターに収めて固定する。

 

承一郎「そのスタンドでシャッターを切れるのは一方向のみ…さて、どうやって全方面からの攻撃を防ぐ?」ビシュッ!

 

カキィン!カキィンカキィンッ!

 

承一郎から放たれたナイフはお互いぶつかり軌道を逸らし合いながら、ステファノの全方面を囲うように向かう。

 

ステファノ「『オブスキュラ』ッ!」

 

オブスキュラ『GYIEEEEEEEE(ギィイイイイイイイイ)ッ‼︎』

 

オブスキュラはステファノを覆い隠すように三本の足の真ん中に包む。文字通り暗い部屋(カメラ・オブスキュラ)だ。

 

カララァン…!と乾いた音と共にナイフが全弾床に崩れ落ちる。オブスキュラには少しの裂傷はあるが、大したダメージにはなっていない。

 

承一郎「スタンドが頑丈なのを応用した防ぎ方とは…」

 

ステファノ「あのナイフの曲げ方、実に見事だったよ。しかし、発想が陳腐だね」ポイッ!

 

ステファノは懐からある物を投げる。それは、

 

承一郎「ッ!手榴弾かッ!」

 

空中に舞う手榴弾は爆発した瞬間、

 

パシャッ!

 

と空間ごと収められる。

 

ステファノ「斬新な構図だ!」

 

ダァン!ダァン!

 

承一郎がその空間を撃つが、関係なく素通りする。

 

万里花「これは…爆発が閉じ込められているようですわ!」

 

ステファノ「その通りさ!さぁ、僕の為に血を流せ!」ビシュッ!ビシュッ!

 

カキィン!カキィン!

 

承一郎と万里花はそれぞれスタンドでナイフを弾くが、このままではジリ貧だ。

 

承一郎「橘さん、あのスタンドの足を止められないかな?」

 

万里花「分かりましたわ、ですがあの固定された爆発の中を避けて進むとなると時間のロスが…」

 

承一郎「いいや大丈夫、最近は使わなかったけど…重ねて(・・・)いこう」ダッ!

 

承一郎は走り出す。しかしその先には固定された爆発が。それを承一郎は…

 

承一郎「このまま、走り抜けるッ!」ピキピキ…

 

ドグォォォォン…ッ‼︎

 

ステファノ「なんだと…⁉︎なぜ自分から爆発の中へ…「それは、僕には耐えられるからさ!」なっ⁉︎」

 

承一郎「オラァッ!」

 

ドゴォッ!

 

ステファノ「ぐあっ!」

 

承一郎「骨装甲(ボーン・アーマー)三重武装(トリプルアームド)!」

 

承一郎の体には骨の鎧が三重になって重なっていた。

 

承一郎は基本的に一人の潜入任務(スニーキングミッション)だけだが、たまに銃撃戦になる場合がある。骨の鎧で防げるのは拳銃程度だ。小銃では容易く撃ち抜かれる。だがそれは鎧が一枚だけ(・・・・)の場合だ。

 

質より量、量より質という言葉があるが、承一郎は質と量の両方でカバーしているのだ。最高硬度の鎧を何重にも張り巡らせて波紋でさらに硬質化する。そして吸血鬼の再生能力があれば大抵の場合は対処出来る。

 

ステファノ「くっ、オブスキュラッ!」

 

オブスキュラ『GYIEEEEEEEE…AAAAHHHHッ⁉︎』

 

ドスゥンッ!

 

オブスキュラは立ち上がろうとするが、盛大にずっこける。それもそのはず、オブスキュラの三本の足には手錠がはめられているからだ。

 

手錠についた鎖を握るのは、手錠のドレスを着た女性型のスタンド、スロー・ダンサーだ。

 

万里化「私の『スロー・ダンサー』…パワーはない代わりにスピードには自信がありますのよ。そしてッ!」

 

SD(スロー・ダンサー)『私の手錠は対象の動きを「スロー」にしますの。狙いにくい場所を攻撃するにはピッタリの能力ですわッ!』

 

承一郎「そう、さっきあんたがステージの観客の首が吹っ飛んだところを能力で固定する時…光った(・・・)んだ。負傷して何も見えないハズのその右目がッ!」

 

ステファノ・ヴァレンティーニは右目を戦場で負傷した後からアメリカでひっそりと連続殺人を繰り返した。それを考えるとその負傷した右目がステファノの何か(・・)を変えたのだ。おぞましい何かに。

 

承一郎「スタンドは人の精神エネルギーが形を得たもの…あんたのその歪んだ精神の原因がその右目だとしたら、オブスキュラのカメラはあんたの右目と直結(・・)しているッ!だからあんたは僕達の場所が分かったんだ。僕達が退避した場所をオブスキュラが見ていたからッ!」

 

万里化「だとしたら説明がつきますわ。そして、頑丈なそのスタンドのただ一つの弱点は判明しましたわ!」

 

承一郎「くらえッ!」

 

CB『オラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ‼︎」ドゴドゴドゴドゴドゴドゴォッ‼︎

 

ステファノ「ぐはぁっ…‼︎」

 

クリスタル・ボーンのラッシュがオブスキュラのカメラ部分に炸裂する!

 

ステファノは右目を押さえてよろめくも、ギリギリ堪える。

 

承一郎「……まだ立つとはね、驚いた。気絶させるつもりでやったんだけどな」

 

ステファノ「…嫌気がさしてきた。死ぬ覚悟は出来たか!」

 

ステファノの右目がさらに青く輝く。

 

おぞましき殺人鬼との死闘は、まだ続く。




次回、『ステファノのオブスキュラその③』

ついに第0章の謎に迫る。

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