ジョジョの奇妙な冒険──5人目のDIOの息子──   作:GIOGIO

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承一郎達はなぜ襲われ、なぜ信乃達は死ななければならなかったのか?

第0章の謎に迫る。


第76話 ステファノのオブスキュラその③

承一郎(雰囲気が変わった…何か違うッ!)

 

ステファノ「行けッ、『オブスキュラ』ッ‼︎」

 

オブスキュラ『GYAAAAAAAHHHHHHH(ギャアアアアアアアアアアアアアア)ッ‼︎』バキンッ!

 

オブスキュラは万里花の手錠の拘束を引きちぎり、承一郎に向かって突進してくる!

 

万里花「承一郎様ッ!」

 

ブォンッ!

 

CB『オラァッ!』ガシィッ!

 

承一郎の『クリスタル・ボーン』は蹴りを受け止める。

 

ズシュッ!ズシュッ!

 

CB『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ‼︎』ドガガガッ!

 

襲いかかってくる金属の槍を捌ききるも、

 

ステファノ「フンッ!」ダッ!

 

その間を縫うようにステファノがナイフを持ち突撃する!

 

承一郎「何ッ⁉︎」

 

スタンド攻撃の最中に自身が攻撃を仕掛けるのは承一郎もやる戦闘方法だが、まさか殺人鬼がやるとは思わなかった。

 

承一郎(この男、ただの変態殺人鬼ではないッ!)

 

ステファノ「君はッ!僕のッ!芸術のッ!犠牲になるんだッ!」ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスゥッ!

 

ステファノがナイフで承一郎を滅多刺しにする!

 

承一郎「ぐうううッ‼︎」

 

万里花「承一郎様ッ!」ズギュンッ!

 

SD『ハァッ!』

 

『スロー・ダンサー』の拳がステファノに叩き込もうとするが、

 

ステファノ「君は少し静かにしたまえッ!」

 

オブスキュラ『GYIEEEEEEEEEEEE(ギィイイイイイイイイイイイイ)ッ‼︎』

 

万里花「きゃあああああああっ‼︎」

 

オブスキュラの二本の足による蹴りに吹っ飛ばされてしまう。

 

万里花「くっ…!やはり私のパワーでは…ハッ!」

 

キュイイイン…!

 

オブスキュラ『君はもう黙っていたまえ』

 

パシャッ!

 

万里花はシャッターを切られ、キューブの形をした歪みの中に閉じ込められてしまった。

 

承一郎「橘さんッ!」

 

ステファノ「彼女には大人しくしてもらおうか。…しかし、僕のオブスキュラをで生きているものを拘束出来るのは少しの間だけ…とりあえず、動けないようにしよう」スチャ…

 

そしてステファノが取り出したのは拳銃──サクラであった。警察官を殺害した際に持っていたものだ。それをステファノは構え、

 

ダァン!ダァン!と万里花の足に一発ずつ弾丸をブチ込む。そして固定が解除させる。

 

万里花「ああ…きゃあああああああっ‼︎」

 

承一郎「や…野郎ッ‼︎」

 

ステファノ「何、彼女の能力は少し厄介なのでね。君との戦いに手を出してもらいたくなかったのだよ」

 

承一郎「野郎…そこまでして、何を求める⁉︎」

 

ステファノ「遺体(・・)だよ、とある聖人の遺体(・・・・・)さ」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

承一郎「何…ッ⁉︎」

 

ステファノ「曰く、『決して朽ち果てる事無く存在し続け、所有する国は1000年間の栄光と繁栄が約束される』っていう眉唾ゴクリものの品みたいだね」

 

承一郎「何を…言っているんだ…?遺体なんてものはなおさら、僕は持ってすらいないぞッ‼︎」

 

ステファノ「何か勘違いしているようだね…。遺体は、ただあるものではない。選ばれた人間の中に入り込み、スタンド能力を開花させたりもするのだよ」

 

承一郎「‼︎?」

 

ステファノ「まさか…知らないうちに体の中に入り込んだ(・・・・・)のか…?道理で何も知らないわけだ」

 

承一郎「知らない…うちに…?(だがいつだ…?僕がそんなものを見落とすハズが…いやまて、見落とした(・・・・・)…だって…⁉︎)」

 

最初に承一郎へ刺客が放たれたのは中学一年の頃だ。マイク・Oというスタンド使いに罠に貶められ、親友信乃と仲間を喪ったあの凄惨な事件。承一郎が後に毒蛇(ヴァイパー)と呼ばれるようになったグラウンド・ゼロ。

 

あの時、承一郎はマイク・Oと手下達を全滅、そしてサムエル・ホドリゲスとお互いに腕を斬り落とすという痛み分けに終わった。記憶はそこまでだ。その後は倒れてしまい、詳細は義父・一征に聞いただけだった。

 

あの時だけ自分がどうなったのかぼんやりとしか覚えていない。だがもし、あの時に遺体が入り込んで(・・・・・)いたら?斬り落とされた腕がいつの間にか再生したのも頷ける。

 

承一郎(もし、僕の斬り落とされた左腕の急激な再生が、遺体の力だとしたら…?)

 

だとしたらなんという事だ。なぜなら信乃達は、

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドド

 

 

 

 

 

 

 

 

 

理由もなく(・・・・・)、殺されたのだ。

 

マイク・O達は遺体が体に入り込む()に襲撃して来たのだ。だとしたら、彼らの死は一体なんだったのだろうか?

 

ただ純粋に怒りが、憎しみが込み上げてきた。承一郎は角が生えてきそうになるのを必死に堪えつつステファノを睨む。

 

承一郎「…いいだろう。あんたには、絶対に喋ってもらうぞッ‼︎その情報をッ‼︎」

 

ステファノ「君のスタンドで僕を倒す事は不可能だな、何か隠しているようだが…使わないと勝てないよ」

 

そんな中、万里花は二人を見つめていた。

 

万里花(くっ…!私は…足手まといになるためにここに来たわけではありませんわッ‼︎彼を倒す為に一瞬、隙が出来れば…!)

 

そう、彼女もただお遊びとしてこの戦いに同行したわけではない。自分が、そして何より承一郎が住むこの街を守る為に戦っているのだ。

 

万里花(警視総監の娘としてッ!そして、承一郎様と共に戦う者として、ここで黙って見ているわけにはいきませんわッ‼︎)

 

万里花「くっ…!」ズリ…ズリ…

 

彼女はゆっくりと這いずって承一郎とステファノのいる反対方向に移動する。

 

ステファノ「…フン、どうやら彼女は君を置いて逃げる腰抜けのようだね」

 

承一郎「(…!なるほど、なら僕は一瞬の隙を突ければ…!)カズ、アレ(・・)の用意、お願い出来るかい?」ボソッ

 

承一郎は万里花の行動の意図を理解して、ミラーに指示を出す。

 

カズ『いつでも可能だ、ボス』

 

ステファノ「さぁ、大人しく僕の作品になるといいッ‼︎」

 

オブスキュラ『GYAAAAAAAHHHHHHH(ギャアアアアアアアアアアアアアア)ッ‼︎』ドバババッ!

 

CB『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ‼︎』ドガガガッ!

 

オブスキュラの蹴りの猛攻を、クリスタル・ボーンはラッシュで防ぐ。しかし、

 

承一郎(クソッ!こいつ、さっきより攻撃が強烈になっているだとッ⁉︎)

 

そう、攻撃がさらに強くなっているのだ。

 

承一郎(だがあんたの敗因は…彼女を腰抜け呼ばわりした事だッ‼︎)スッ…

 

承一郎は人差し指と中指を立ててステファノに向ける。ステファノはそれに気を取られた。

 

承一郎「BAN(バン)ッ‼︎」

 

承一郎が声を出した瞬間、

 

『テーレーレー♪テーレーレーレーレー♪レレーレー♪』

 

ステファノのスマホが鳴ったのだ。

 

ステファノ「なっ⁉︎」

 

承一郎「へぇ、着信音が『弦楽セレナーデ』とは筋金入りのチャイコフスキーファンだな!カズのスタンド、『TOKYO通信』によって、すでにあんたの電話番号は調べさせてもらった!そして、その番号にかけた!ところでいいのかい?隙だらけだぜ?」グイッ!

 

承一郎は持っていたものをグッと引っ張る!それは手錠だった。さっきの一瞬に万里花が承一郎の元に投げ飛ばしたものだ。

 

ステファノ「ハッ⁉︎」

 

ステファノが振り返った瞬間、万里花が手錠に引っ張られて飛ぶようにステファノに突撃していた!

 

万里花「『スロー・ダンサー』ッ‼︎」

 

SD『ハァァァッ!』ドゴドゴドゴォッ!

 

『スロー・ダンサー』の拳が、ステファノの体に突き刺さる!

 

ステファノ「ぐぅぅっ…!だがそれだけでは僕は「知ってますわ。でも、これならどうですの?」なっ?」

 

万里花「私の手錠(カフス)は…」

 

SD『すでにあなたの体を拘束していますわッ‼︎」

 

スロー・ダンサーは飛んだ際にすでに出現させた手錠を引き寄せ、

 

ジャラララララッ‼︎ギシィッ!

 

ステファノを拘束する。

 

ステファノ「がぁっ…!」

 

万里花「本来ならそのまま首を締めて気絶させるのですが…必要ありませんわね」

 

承一郎「ああ…君はもう、休んでいてくれ」

 

ステファノ「ハッ!」

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドド

 

承一郎「さて…再起不能になってもらおうかッ‼︎」

 

CB『おおおおおッ、オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ‼︎』ドゴドゴドゴドゴドゴドゴォッ!

 

ステファノ「ぐあああああああああああっ‼︎」

 

クリスタル・ボーンのラッシュを正面から叩き込まれ、ステファノは倒れた。

 

ステファノ「…ああ……まだ、作りたいものがあったのに…」

 

承一郎「…まだ意識があるとは、恐れ入るよまったく」

 

ステファノ「ぼ…僕を見ろ、僕は最高傑作だろう…」

 

ステファノの右目はかつては白かったであろう部分が黒く染まり、ヒビのようなものが顔に走ってまるで悪魔のようだった。

 

ステファノ「記録しないと…カメラさえあれば…カメラは…?」

 

ステファノはうわごとのようにつぶやき、そのまま意識を失った。

 

承一郎は万里花の元へ行く。

 

承一郎「すまない橘さん、大丈夫かい?」

 

万里花「ええ、足を撃たれましたが問題ありません…承一郎様ッ!」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

ステファノ「…まだ時間はある…」

 

なんと、ステファノが上半身を起こし、カメラを手に取っていたのだ。

 

ステファノ「一枚…最後の写真を…」

 

ステファノはカメラを承一郎に向け、フレームの中に収める。承一郎は振り返り、

 

ダァンッ!

 

銃声が鳴り響いた。

 

承一郎の銃がステファノのシャッターを押す指の動きより先に火を吹き、ステファノの眉間へ弾丸が命中した。

 

ステファノはカメラを落とし、ゆっくりと倒れた。

 

こうして、殺人鬼との死闘は終幕した。

 

 

<=to be continued=


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