ジョジョの奇妙な冒険──5人目のDIOの息子──   作:GIOGIO

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毒蛇(ヴァイパー)始まりの場所(グラウンド・ゼロ)

夜、マザーベース───

 

カズ「お前ら!今日は寿司だ!どんどん食えよ!」

 

カズの言葉と共に一斉に我先にとスタッフ達が寿司を食べ始める。

 

スタッフ達「あっ!お前、俺の取ったな!」「早い者勝ちだろ!」「あーっ!俺の大トロがぁ〜っ!」「はっ、腹がぁ〜!」

 

承一郎「…すみませんね、今日はスタッフ達に寿司を食わせる約束をしていて。皆さんのは別にありますからどうぞ」

 

僕は空間を使って食堂(という名の戦場)から寿司を持ってくる。

 

陽乃「あ、ありがとう…」

 

雪乃「あの中に入っていく勇気はないわ…」

 

ジョニィ「まぁ、手の焼ける連中だがオレの事を慕ってくれている。物心ついた時から本当の親がいなかったオレにとってこいつらは家族みたいなものだ」

 

オレは承一郎と入れ替わって電子タバコを吸う。本当はキューバ産の葉巻が吸いたいんだがしょうがない。

 

ジョルノ「タバコを吸うと体に悪いよ、ジョニィ」

 

ジョニィ「電子タバコだ、問題ない。それに吸血鬼に健康もクソもないと思うが?」

 

ジョルノ「それもそうだね」

 

その時だった。

 

『汚れ無き光が闇夜を貫いて この瞬間が永遠だと 今 命が叫んでる ほら こころの奥にいつも君が映るよ 守るべき真実をただ 抱いてゆくんだ 〜♪』

 

急に着メロの曲が鳴り、

 

ジョニィ「…ん?」

 

オレはスマホを見ると、どうやら千棘かららしい。

 

ジョニィ「…千棘からか。嫌な予感がするな…承一郎、パスだ」

 

承一郎「えっ⁉︎急に替わられても…。はぁ…もしも『バカもやしィ〜〜〜〜〜〜ッ‼︎!』」

 

僕が通話ボタンを押した瞬間、スピーカーモードでもないのにとんでもない音量がマザーベース中に響いた。

 

千棘『ちょっとあんた!今日は急に倒れて起きたと思ったら急にいなくなってどういうつもり⁉︎明日はデートの予定があるでしょうが‼︎』

 

あまりの音量に辺りがシィーンと静かになる。

 

承一郎「…千棘さん、いきなり大声で叫ばないでくれ。鼓膜が破れそうだよ、まったく…」

 

千棘『それはこっちのセリフよ!まったく…どれだけ心配したと思ってるのよ…』ボソッ

 

承一郎「ん?何か言った?」

 

千棘『何も言ってないわよ!…それで?一応言い訳を聞いておくわ』

 

承一郎「ちょっとね…仕事の依頼が来ちゃってね。数日学校休むかも」

 

千棘『…ふーん…頑張りなさいよ』

 

承一郎「ああ、もちろんだ。それじゃあね」

 

僕は電話を切った。

 

承一郎「…なんだい皆、その顔は」

 

僕が周りを見ると皆ニヤニヤとしていた。

 

ジョルノ「承一郎…青春してるな」

 

トリッシュ「ホントね、彼女さん向こうの世界で見たけど、いいカップルじゃあないの?」

 

カズ「ボスゥ、ニセの恋人って聞いたが随分と仲が良いらしいなぁ?」

 

カズよ、お前はいつから近所のゴシップ好きおばさんになったんだ。

 

承一郎「なんだいカズ、ちょっとムカつくなその顔。別に千棘さんは友人だよ」

 

カズ「寿司じゃあなくて…赤飯の方が良かったかな?ボスゥ!」

 

承一郎「…コォォォォ…」

 

カズ「待ってくれボス俺が悪かったから波紋疾走はやめてくれ、頼むこの通り!」

 

僕が波紋の呼吸を練るとカズは見事な土下座を披露した。

 

承一郎「許して欲しい?」

 

カズ「許して下さい!」

 

大人の威厳はどこに言った。

 

カズ「とっくのとうに風となって消えたんだ」

 

承一郎「サラッと心を読むんじゃあない…。そうだね、許してあげてもいいかな?」

 

カズ「本当か?なら「だが断る」ええっ⁉︎」

 

承一郎「仙道波紋波紋疾走(オーバードライブ)ッ!」バチィッ!

 

カズ「ひでぶっ‼︎」

 

笑いが広がった。

 

 

オセロット「…ボス、ここにいたのか」

 

夜のマザーベース、司令部のプラットホームで夜風に当たっていた。

 

承一郎「オセロットか。寿司は堪能出来たかい?」

 

オセロット「ええ、おかげさまで」

 

承一郎「それは良かった」

 

オセロット「任務…受けたんですね。…やはり信乃の事もありますか?」

 

承一郎「…そうだね、それが大半かな。サムエル・ホドリゲス…彼との決着は着けないと…」

 

オセロット「ソレ(・・)を持って行くんですか?珍しい…あまり使わなかったでしょう?」

 

承一郎「彼との決着を着けるならコレ(・・)は必要さ」

 

僕は持っていた刀を鞘から抜いて言った。その刀からは青白い輝きを放っていた。

 

承一郎「この高周波ブレード『村雨』は…」

 

僕は月明かりの下でそう言った。

 

 

翌日、マザーベース───

 

承一郎「…さてと、とりあえず皆さんの目的は僕の体に入った八幡の魂…でいいんですよね?」

 

ジョルノ「ああ、そうなんだ」

 

承一郎「なら僕から八幡の魂を引き抜けるかもしれませんよ?」

 

ミスタ「何?本当かよ承一郎?」

 

承一郎「ええ、ザ・ソロー、入ってくれ」

 

ドアから眼鏡をかけた長身の男が入ってきた。

 

ザ・ソロー「ボス、お呼びで?」

 

承一郎「ああ、僕の体に入った八幡の魂を引き抜いてくれないか?」

 

ザ・ソロー「お安い御用です」

 

ザ・ソローがそう言うと、彼の体からオーラのようなものを帯びる。あれはスタンドエネルギーによって現れるオーラだ。

 

ザ・ソロー「『悲しみ(ザ・ソロー)』!」

 

ザ・ソローは僕の体を掴む。

 

承一郎「それじゃあよろしく」

 

ザ・ソロー「分かりました…ハッ!」ズズズ…

 

八幡『おおっ…承一郎の体から…俺が…』

 

僕の体から、八幡の魂がうっすらと浮かび上がり、体の半分が露わになった。しかし…

 

承一郎「痛ァッ⁉︎うおおおっ⁉︎」ズズズ…

 

八幡の魂と一緒に、なぜか僕とジョニィの魂まで飛び出てしまった。

 

ジョニィ『ソロー!魂の引き抜きを止めろッ!俺達まで抜けてしまうッ!』

 

ザ・ソロー「り、了解!」

 

ザ・ソローは魂を僕の体に戻した。

 

承一郎「はぁ…はぁ…今のは…一体…」

 

ザ・ソロー「分かりません。しかしボスの体に入り込んだ聖なる遺体がボスの体と一体化してしまったからではないでしょうか?今までにない現象ですが…」

 

承一郎「…骨折り損の…くたびれもうけってわけか…骨だけに…」

 

陽乃「承一郎、大丈夫?」

 

承一郎「大丈夫です…。ソローの能力は見ての通り『魂への干渉』が出来るんです。それによって魂を掴む事が可能なんです」

 

ハッキリ言ってしまうと、彼の能力は『アトゥム神』の上位互換の能力だ。魂を掴み、嘘を見抜き、さらには死んだ人間の魂を降霊出来る。

 

ザ・ソロー「すみませんボス、私が不甲斐ないばかりに」

 

承一郎「いいんだソロー、これは例外中の例外だ。どうしようもない事なんだよ。ありがとう、元の配置に戻ってくれ」

 

ザ・ソロー「了解!」

 

ソローはドアから外に出て行った。

 

オセロット「…でボス、どうするつもりだ?どうせなら今回の任務の協力をしてもらうってのはどうだ?」

 

承一郎「う〜ん、どうするか…皆さんはそれでいいですか?」

 

ジョルノ「大丈夫だよ。君には前に助けてもらったからね、これくらい手伝わせてくれ」

 

ミスタ「そうだぜ。最初は敵同士だったがお前も『アーシス』の母体となった『水晶十字軍(クリスタル・クルセイダーズ)』の仲間なんだぜ?」

 

陽乃「それにあなたともう一回勝負をしたいしね」

 

承一郎「…そうですか、それではよろしくお願いします。改めて自己紹介を。集英組次期組長兼このマザーベース、『水晶の牙(クリスタル・ファング)』総司令官の一条承一郎です」

 

僕は改めて自己紹介した。

 

 

承一郎「今回の任務はとある麻薬組織の壊滅です。けれどそれを遂行するには問題点があります」

 

ミスタ「というと?」

 

承一郎「その麻薬組織を警護しているPMC、『デスペラード・エンフォースメント』です。このPMCの特徴はサイボーグ兵です」

 

陽乃「サイボーグ?強化外骨格とか?」

 

承一郎「ええ、それもありますがほぼ全身がサイボーグ化されています。紛争への介入だけでなく麻薬の取引、人身売買などにも手を染めているまさに無法者。しかし奇妙な点があるんです」

 

ジョルノ「奇妙な点?」

 

承一郎「はい、資金が豊富すぎるんですよ。ただの無法者の集まりじゃあない。何か裏があります」

 

オセロット「ボス、依頼人クライアントの身元が判明した。個人の説明は省くが、この依頼人軍のハト派らしい」

 

カズ「それとボス、最近軍のタカ派がその麻薬組織とPMCに癒着の疑いがある」

 

承一郎「なるほど、タカ派との癒着の証拠を隠蔽するためにPMCが警護しているのか」

 

オセロット「そうだな。だがそうなるとタカ派の連中は下手な真似は出来ないハズだ。今回はサイボーグ兵だけだと思ってくれ」

 

ミスタ「承一郎よぉ、サイボーグ兵ってどんだけ強いんだ?」

 

承一郎「そうですね、波紋の戦士と屍生人ゾンビを足して二で割ったような感じです。主な武器は高周波ブレード、これです」スラァッ!

 

僕が高周波ブレード『村雨』を鞘から抜く。

 

雪乃「これが…」

 

八幡『材木座が喜びそうだな』

 

承一郎「一振りで鉄もバターのように切断出来る業物です。高周波ブレードの斬れ味はそのベースになっている刀によりますね」

 

陽乃「あれ?じゃああの時はなんで使わなかったの?」

 

承一郎「あの時は突然あっちの世界に連れて来られたので持ってきてなかったんですよ。だから『クリスタル・ボーン』の骨で造った物で戦ってたんです」

 

陽乃「へぇ…」

 

承一郎「とにかく、今日は現地のボリビアに到着、作戦を練り、その後麻薬カルテルのボスを始末。後はウチのスタッフ達に任せるという形でいいですか?」

 

ミスタ「ああ、俺達は全然問題ないぜ」

 

ジョルノ「それでジョニィ、これからどうするんだい?」

 

ジョニィ「まずは麻薬組織と敵対している反乱軍とコンタクトを取る。中学の三年間は世界中の汚れ仕事(ウエットワーク)に介入していたからな。政府にも反乱軍にもコネがある」

 

バラバラバラ…!とローター音を出しながらピークォドが降りてくる。

 

承一郎「今回はちょっと人数が多いので少し機体を変えます。いつものピークォドよりも大きめのやつで行きましょう」

 

機体は代わってもピークォドという名は役割の通称だ。だから名は変わらない。

 

僕達(+DD)は順番に乗り込んで行く。

 

承一郎「よしピークォド、飛ばしてくれ」

 

ピークォド「了解、上昇開始!」

 

DD「ワン!」

 

DDは操縦席の隣の席に行儀よく座る。

 

承一郎「すみませんね、ちょっと散らかしてて」

 

僕はいつも任務時に使っていた荷物をどかして全員が座れる場所をつくる。荷物はミサイルや狙撃銃などといった武器がほとんどだ。

 

承一郎「いつもは僕とDDだけなので広いんですけどね」

 

トリッシュ「ねぇ承一郎、このヘリって探知されたり迎撃されたりしないの?」

 

承一郎「問題ありません。カズの『TOKYO通信』は探知機の情報の上書き、オセロットの『愛国者達の銃(ガンズ・オブ・ザ・パトリオット)』は迎撃ミサイルなどの制御権を奪う事が出来るんです。だからそんな事はありえないし、マザーベースの場所がバレる事はないんです」

 

雪乃「…すごいスタンド能力ね」

 

承一郎「ええ、オセロットとか敵の戦闘ヘリを何機撃墜したか…さて、そろそろ行きますよ」パチン!

 

僕が指を鳴らすと、ピークォドの前に空間が作り出され、その中を進む。そして、空間を繋いでボリビアの空中へ。

 

ボリビア、『毒蛇』の始まりの場所(グラウンド・ゼロ)。信乃や仲間達を喪った場所。

 

留美「…すごい能力だね。八幡は『時を止める』事が出来るけど…」

 

承一郎「八幡の前世、DIOは『世界を支配する』能力だけど、ジョニィの能力は『世界を創り出す』能力なんです。空間の中は一つの世界として成り立っていますから」

 

ピークォド「こちらピークォド、まもなくLZ(ランディングゾーン)到着」

 

承一郎「こちら『毒蛇(ヴァイパー)』了解、そろそろ着きますよ」

 

 

 

ジョニィ「パック・カタリ、久しぶりだな」

 

パック「やぁ友よ、君も元気そうだ」

 

ジョニィ「皆紹介しよう、こちらは四年前ボリビアの麻薬カルテルを潰した時に協力してくれた反乱軍のリーダー、パック・カタリだ」

 

パック「君達が『毒蛇』の言っていたお仲間か?私はここの反乱軍のリーダーをやっているパック・カタリだ。前は世話になったな、『毒蛇』…いや、『勝利のボス(VICBOSS)』か?」

 

承一郎「パック、その呼び名はやめてくれ。普通にジョジョでいい」

 

ミスタ「『VICBOSS』?」

 

パック「ああ、四年前急に現れて私達に革命の協力をしてくれたんだ。その時に広まった『毒蛇(Viper)』のVと勝利(Victory)のVをかけた呼び名さ。戦争の犬(ドッグ・オブ・ウォー)と呼ぶ奴らもいるが、私達にとって彼は英雄みたいなものだ」

 

承一郎「やめてくれ、パック。革命だろうがなんだろうが、銃を一度取れば…暴力に訴えれば皆地獄に落ちる。…僕がやった事はただの人殺しさ。僕は英雄なんかじゃあない。これまでも、これからも」

 

パック「…すまない、私も少し無遠慮だった」

 

承一郎「いや、大丈夫だ。パック、今回も君達の力を借りる事になる。よろしく頼むよ」

 

パック「分かった、他の同志達にも伝えておこう。友よ、私達はあと少しでカルテルのボスを倒せたのだが、そのあと少しのところでPMCのサイボーグ達に阻まれてしまったのだ」

 

承一郎「すごいな…幹部メンバーは全滅、残るはボスただ一人…だからPMCを雇ったのか」

 

パック「そうだ、私達も止めを刺そうとして奴らに手痛い反撃を食らった。生き残った同志達は、『狼』と『巨人』がいたと言っている」

 

承一郎「『狼』と『巨人』か…分かった、あとで調べよう。すまないけど今日はここで滞在しても?」

 

パック「もちろんだ、四年前の恩もある。君達を無下にはしないさ」

 

キング・クリムゾン‼︎…とやりたいが今回はファントム・シガー‼︎

 

ガチャガチャ。カチカチ、シャカシャカ。シュー…カチカチ、キュッキュッ。

 

夜のセーフハウス、作戦計画を練った結果、決行は明日の早朝に行われる事になった。ジョルノ兄さん達は疲れもあって眠ろうとしていたのだけれど、ミスタさんが床に座って金属音を立てて何かをしていた。

 

僕は外に出て葉巻を吸っていた。やっぱり葉巻はキューバ産が一番だ。

 

雪乃「ミスタさん?」

 

僕は葉巻を吸っていると、中にいる雪乃さん達の声が聞こえてきた。

 

ミスタ「あ?ああ、わりぃ。起こしちまったか?」

 

雪乃「それは良いのですけれど、何をなさってるんですか?」

 

ミスタ「ああ、銃の整備さ。商売道具だからな。毎日の手入れは欠かせねぇんだ。ここのところ酷使してるしよ」

 

雪乃「そうなんですか。こんな暗闇の中でですか?」

 

ミスタ「もう二十年も毎日分解して整備している銃なんだぜ?目を瞑っていたって整備はできるさ」

 

そう言いながらミスタさんは手際よく銃を整備している。ブラシを使い、ウエスで拭き取り、油を塗る。

 

ミスタ「ん?」

 

ミスタさんが何かに気が付いてしげしげと部品を点検する。どうやらバネのようだ。

 

雪乃「どうしたんですか?」

 

ミスタ「………いや、引き金のバネがとうとうダメになっちまったらしい。あんま交換とかしたくねぇんだけどよぉ。まぁ、こりゃ仕方ねぇや」

 

ミスタさんがバックから何かを取り出す。

 

雪乃「それは?」

 

ミスタ「分解してある予備の銃さ。これのバネで応急処置をする」

 

予備の銃があるのならそっちを使えば良いのではないのか?と思う人間もいるだろうが、実は違う。

 

ミスタ「予備の銃は不慮の事故とかで銃を無くしたり、急な破損とかですぐに直せない場合用に持っているだけさ」

 

雪乃「同じ銃に見えますけど……」

 

ミスタ「同じ会社の同じ型式の銃だぜ。だけど、違う銃だ」

 

確かにそうだ。いつもと違う物を使うと、戦場では支障をきたす時がある。

 

ミスタ「学生のお前なら、ペンで例えた方が分かりやすいかもな。全く同じシャーペンでも普段使っているシャーペンと、別のシャーペンでは使い心地が違うって場合がないか?」

 

ミスタさんは組み立てながら答える。

 

実に分かりやすい例えだ。同じシャーペンでも指の馴染み方が違うから、違和感があるものだ。

 

雪乃「分かりやすいです。指の馴染み方が違って字がおかしくなった気がしますもの」

 

ミスタ「銃も同じだぜ。いや、ペン以上に馴染みって言うのが如実に出るんだよ。全く同じ照準をしても銃ごとにクセがあるからな」

 

カチッ!パチン!カチッ!パチン!

 

喋りながらミスタさんは空射ちを始める。

 

ミスタ「………引き金が重くなりすぎてるな。イヤなタイミングでバネがいかれちまいやがった。出来れば馴染むまで試射したかったんだがよぉ」

 

雪乃「そんなに違うんですか?」

 

ミスタ「引き金の重さはバカに出来ねぇんだぜ?かかる力が違うってことは馴染んだタイミングで撃てねぇし、何より手に余計な力がはいっちまう。バネの一本にしても照準に狂いが出るもんなんだよ。特に毎日使っている物だとその違和感は大きいんだぜ?それを体に染み込ませる為に試射をするんだ」

 

承一郎「なら前にもらった銃の部品ならどうですか?」

 

外で葉巻を吸い終わった僕は中に戻って言った。

 

ミスタ「あれは俺の感覚からだと四年も手にしていない銃だ。当時のクセと今のクセじゃあまるで違う。それだったら予備銃の方がまだ今の銃に近い。ち……何発か試射したいぜ」

 

そして、夜が明けていく。




今回ボリビアの反乱軍のリーダー、パック・カタリの元ネタは『ゴーストリコン・ワイルドランズ』の反乱軍リーダーからです。

次回、『残虐性を持たない無人機』と『砂漠の嵐』その①

コラボ第2弾初の戦いが、始まる。

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