ジョジョの奇妙な冒険──5人目のDIOの息子── 作:GIOGIO
カムシン 戦闘BGM『The Hot Wind Blowing featuring Ferry Corsten』
陽乃「うりゃうりゃうりゃうりゃうりゃぁ!」
陽乃は『アヌビス神』を振るうが、LQ-84iは独自の思考形態から基づく『知性』でそれを避ける。
LQ-84iはマニピュレーターからナイフを数本飛ばす。
陽乃はアヌビス神でナイフを叩き落とすが、数が多すぎる。何本か陽乃に突き刺さりそうになるが、
雪乃「フリージング・ビーム!」
雪乃の『エンジェル・ダスト』が放つフリージング・ビームが残りのナイフを迎撃する。
LQ-84i『厄介だな、その刀…サムの刀と同じタイプのスタンドか』
陽乃「同じタイプ…?どういう事よ?」
LQ-84i『お前達は気がつかなかったのか?さっきの『毒蛇』の持っていた高周波ブレード…あれもスタンドだぞ』
雪乃「…つまり、本体のいないスタンド能力が宿った刀…?」
LQ-84i『そういう事だろうな、まぁ俺には関係のない事だがな』
雪乃「そう…説明ありがとう、子犬さん」
いつの間にか、LQ-84iの脚には氷が張り付いていた。
LQ-84i『こ…これは…』
雪乃「さっきまであなたが話していた途中からよ。あなた、スタンドは知っているらしいけど、スタンドは見えないようね。私の氷は簡単には逃れられないわ」
LQ-84i『そうか…なら溶かすのはどうだ?』ダダダッ!
LQ-84iは高温を帯びたナイフを凍った脚元に突き立てる!
ジュワァッ…!という音と共に周囲の氷が溶けていく。
雪乃「熱で氷を溶かすなんて…すごい考えね」
陽乃「これが『知性』を持った力というわけかしら?」
LQ-84i『そうとも言える。それと、俺には痛みを感じる事がないからかもな。痛みというものを感じてみたいものだ』
カムシン「くらえッ!」
承一郎「くらえといってくらうアホがどこにいるッ!」
承一郎はフェイントを入れてカムシンの攻撃を避けながら攻撃する。
承一郎(ヤツの動きは大振りで単純だ!上手く回り込めば攻撃のチャンスはある!)
承一郎がカムシンの大型ボディの後ろに回り込んで『村雨』で斬ろうとするが、
カムシン「大回転!」
承一郎「何ッ⁉︎」
カムシンの大型ボディが大斧を一回転させた!
承一郎は『ブラッディ・シャドウ』で大斧を回避する。
承一郎「クソッ、なんて無茶苦茶な奴なんだ!あれじゃあ強化外骨格じゃあなくて大型兵器だ!」
カムシン「ハッハッハーーーーッ!どうした犬め、口ほどにもないぞ!」
承一郎「その減らず口、黙らせてやるッ!」
承一郎はカムシンに突っ込む。
カムシン「喰らいやがれ!」
カムシンが纏う大型強化外骨格がその手に持った斧をジャンプしながら承一郎に振り下ろす!
承一郎「くっ!」
承一郎は『村雨』でガードするが、あまりのデカさとパワーでガードした後に後ろに飛ばされてしまう。
斧はそのまま地面に突き刺さり、地面が隆起する。
承一郎はすぐに隆起した岩に隠れる。
カムシン「どこにいった!出てこい!」
八幡『なんだ?あいつもしかして俺達の場所が分からないのか?』
承一郎(あいつ、もしかしてあのバカデカいボディだけしか強化していないのか?赤外線センサーを搭載していない?)
カムシン「ちょこまかと生意気な犬め!」
ジョニィ(自分でやって何を言ってるんだ?)
カムシンの斧が周りの岩を砕いているが、承一郎はその間にカムシンの後ろに回り込む。
承一郎は跳躍、カムシンのボディの上に乗る。
カムシン「んっ⁉︎」
承一郎「お前が下で、僕が上だ!」
承一郎は上から『村雨』をボディの中にいるカムシンに突き刺す。
カムシン「ぐあぁぁああぁぁあああっ‼︎」
承一郎は飛び退きざまにカムシンのボディに水圧カッターを叩き込む。
カムシン「ぐぉっ!」
承一郎「迸れ、『村雨』ッ!」
『村雨』の水圧カッターがボディに襲いかかるが、カムシンはそれに耐えながら向かってくる。
カムシン「フルパワー!」
カムシンは刃先がチェーンソーのようになっている大型斧を振り下ろす。承一郎は『村雨』で受け止める!
承一郎「ぐぅぅっ…!うおおおおおっ‼︎」
承一郎は『村雨』の水圧カッターを一瞬だけ勢いよく迸らせて斧をはじき返し、カムシンのボディを転倒させる。
承一郎「はあああああっ‼︎」
スパァァァン…ッ‼︎
承一郎は『村雨』で斧を持つ右腕の部分を切断する!
カムシン「ちょこまかと生意気な犬め!」
カムシンの左手が承一郎を捕らえようとするが、
承一郎「セイッ!」
承一郎は『村雨』本体を左手に当たるのと同時に水圧カッターを発動させ、二段斬りで左手の指の部分を切断!(←刀版二重の極み?)そして、
承一郎「
スパァァァン…ッ‼︎
左腕を切断した!
カムシン「この俺が…負ける事など…」
カムシンは動揺するが、承一郎はそれを無視してカムシンの腹に『村雨』を突き刺す!
カムシン「ぐああぁぁあああぁぁああ‼︎」
『村雨』の水圧カッターがカムシンの腹を吹き飛ばし、カムシンを纏っていたボディから引き離す!
承一郎はカムシンを空中に放り投げる。
カムシン「やめろォッ!」
承一郎「斬ッ!」
承一郎は『村雨』の水圧カッターで射程距離を伸ばし、カムシンを滅多斬りにする!
承一郎「奪ッ!」ガシィッ!
承一郎は跳躍、バラバラになったカムシンの心臓部分を右手で掴み着地し、グシャァッ!と心臓を握り潰す!
カムシン『なんてこった…』
バラバラになったカムシンの体がボトボトッ!と地面に落ちる。
カムシン『この俺が、野良犬ごときに…』
カムシンの声が無線機越しに聞こえる。サイボーグ兵はボディが破壊されても脳が破壊されない限りは保護機構により一定時間は生存可能なのだ。
生と死の境界が曖昧な兵士達。僕と似てるな、と承一郎は思った。
承一郎「あんたが咬ませ犬だったな」
カムシン『上手い事…言いやがって…』
プルルルル!と別に無線が鳴る。
ジョルノ『承一郎、任務達成だ』
承一郎「さすが兄さん、僕の方は刺客が来たけど撃退に成功、陽乃さん達と合流して
ジョルノ『了解、LZで待ってるよ』
承一郎「了解、『毒蛇』アウト」
カムシン『犬め…この国の自由より…自らの自由を取るか…?』
承一郎「自由は押し付けるものではない。勝ち取るものだ」
カムシン『クソ…虱たかりの…犬畜生が…』
ボンッ!ボォン!とバラバラだった体が爆発する。
カムシン達の雇い主、『デスペラード社』に所属するサイボーグ兵達は、ボディは大破すると機密保持のために自爆する。
承知の上で契約して戦っているサイボーグ兵達だが、悲哀を感じるものがある。
承一郎「さて、そろそろ陽乃さん達と合流しないと…」
LQ-84i『なぜだ?なぜ先ほどより
LQ-84iは自分のチェーンソーのパワーとスピードにだんだんと追いつき、それ以上になる陽乃に違和感を覚えた。
陽乃「教えてあげるわ、私のスタンド『アヌビス神』は闘えば闘うほど相手の動きを記憶して強くなっていくスタンドなのよ」
LQ-84i『何ッ…⁉︎』
陽乃「それより、私だけ相手にしてていいの?」
LQ-84i『ハッ!』
雪乃「うりゃうりゃうりゃうりゃうりゃぁ!」
雪乃の『エンジェル・ダスト』のラッシュが炸裂し、LQ-84iは氷漬けの状態になってしまった。
LQ-84i『ぐっ!お前、遠距離型ではないのか…⁉︎』
雪乃「私のスタンド『エンジェル・ダスト』はどちらかと言うと近距離型よ。さっきのフリージング・ビームから判断したんでしょうけど、甘かったわね」
LQ-84i『くっ!』
LQ-84iは尻尾のマニピュレーターからナイフを取り出そうとするが、
陽乃「させないわ!」スパァン!
陽乃がマニピュレーターを切断する。
LQ-84i『や、やめろ…!くうぅぅん…』
陽乃「うりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃあ!」
陽乃の『アヌビス神』がLQ-84iの体を何度も滅多斬りにする!
LQ-84iの体はバラバラになり、地面に落ちた。
LQ-84i『戦闘継続…不可能…』
無線が鳴った。相手はどうやら陽乃がさっき斬ったLQ-84iのようだ。
LQ-84i『奴らは…この国の自由のために…戦うと…。だが…俺に自由は、なかった…。自由とは…何だ…?』
陽乃「AIまで自由を要求するの…?」
二人はLQ-84iに違和感を覚えた。さっきまでの戦闘も自分が望んで行ったものではなかったらしいし、自由を求めていた。
そんな事を考えていると、承一郎がやって来た。
承一郎「よかった、二人共無事ですか?」
陽乃「ええ、大丈夫よ」
雪乃「それにしてもこの世界…ちょっと技術が進み過ぎじゃあないの?」
承一郎「確かにそうかもしれない…この世界だと多分それが異変なのかもしれませんね。とりあえずジョルノ兄さん達がボスの始末を成功したのでLZに移動しましょう!」
雪乃「ええ!」
陽乃「承一郎、その前にちょっといい?」
承一郎「なんですか?」
陽乃「この子…連れて帰ってもいい?」
陽乃が指差した先には、バラバラになったLQ-84iがいた。
承一郎「確か…LQ-84i…でしたっけ?」
陽乃「ええ…この子、ただの人工知能じゃあない。本当の『知性』に近い気がするの。それにこの子には自由はなかった…解放したいのよ」
承一郎「…分かりました。ようこそ、
LQ-84iは承一郎の『ブラッディ・シャドウ』の空間に消えた。その行き先は兵士達の楽園、自由を勝ち取れる場所だ。
承一郎「急ぎましょう、パック達が車を用意しています。それでLZに!」
パック「ジョジョ、急げ!間も無く残党共がこっちに来る!」
承一郎「分かったパック、急いで乗って下さい!」
承一郎達を乗せた車は川沿いに進む。
パック「ありがとうジョジョ、これでボリビアの農家達はコカの葉を作らずに済む!革命は成功だ!」
承一郎「それはよかったな、パック!LZまで頼む、僕達が離脱した後は『水晶の牙』のスタッフ達がサポートと後始末を行うよ」
パック「ありがとう友よ、あんたはやはり
承一郎「…VICBOSSか…」
人を殺して得た呼び名、いや、もう称号と言ってもいいくらいだ。
人殺しが正当化される理由はない。正当化される時代もない。承一郎は自分の功績を残そうとしているんじゃあない。
一時は思ってしまった。母を、親友を殺したこの世界に復讐してやろうと。しかし今はそう思う事はない。
たくさんの人と出会い、語り、恋をして…。自分には守るべきものが出来た。
だから、守り抜く。自分の手が届く範囲でいい。偽善者と呼ばれても、人殺しと呼ばれても。
大切な人を守るためなら、堕ちてやろうと。神を殺し、悪魔に魂を売り渡しても。
ふと物思いにふけっていた承一郎だったが、突然聞こえてきた地響きに意識を現実に戻した。
承一郎「パック!なんだいこれは⁉︎」
パック「分からない、だがこれは…川の方からだッ!」
パックが言った瞬間、突然巨大な黒い塊が水中から飛び出した。
<= to be continued=