ジョジョの奇妙な冒険──5人目のDIOの息子── 作:GIOGIO
?「待っていたわ、毒蛇ヴァイパー」
プラントの屋上、そこで待っていたのは承一郎に投げキッスをしてきた女だった。
承一郎「…ドルザエフはどこだ?」
承一郎はあえて言われたのを無視して質問する。
?「つれないわね。レディより男を選ぶの?」
承一郎「デスペラードの指揮官、ミストラルだな?」
ミストラル「あら、あなたほどの男に知ってもらえるなんて光栄ね。その通り、私はミストラル。フランスに吹く冷たい突風…」
ミストラルを象徴するかのような冷たい風が吹いた。
ミストラル「あなたの事は聞いているわ。四年前にあらゆる内戦に突如現れて傭兵達を圧倒的なカリスマで纏め上げた傭兵の王。そして『堕ちた英雄』ザ・ボスの息子…」
承一郎「母を侮辱するな。それだけは許さない」
承一郎の中では侮辱というものは一番の禁句タブーだ。よりによって母である理那の事は絶対に。
ミストラル「私はアルジェリア生まれよ、フランス人の血も半分入ってる」
承一郎「ほぅ?」
ミストラル「アルジェリアでは90年代に内戦が起こった。どう?似てないかしら私達」
承一郎「あんたになにが…」
ミストラル「私は、家族も何もかも失った」
承一郎「……」
ミストラル「ぶち殺してやったわ…犯人をね。それで気付いたの、私にも人殺しの才能があるって事にね」
承一郎はミストラルを自分と重ね合わせていた。母を、親友を殺した黒幕を殺したら、復讐を果たしたら、その後何が残るのだろうか。
承一郎は守るべき人達と出会えたから今こうしてここに立てているが、何も残らなかったら…彼女のように復讐の矛先を世界に向けていたかもしれない。
彼女ミストラルは、承一郎の未来の可能性の一つかもしれないと、そう思ってしまった。
ミストラル「この仕事PMCは天職だった。イラクでもアフガンでも大勢殺した」
承一郎「自慢げに話す事か?」
ミストラル「ただの事実よ。…でもね、退屈だったの」
ミストラルはコートを脱いで、サイボーグのボディをあらわにする。
承一郎は別に興味はないがカズが『すごい巨乳だな!』と無線から騒いでいる。カズよ、少しは自重しろ。
ミストラル「私の前で敵は自動的に死んでいく。身の危険と感じた事もない。それに、私には目的もなかった」
ミストラルの後ろのパイプから丸い胴体に三本の腕が生えたような無人兵器、仔月光の群れが現れた。
ミストラル「ただ仕事として敵を殺すだけ。使命に殉じている敵が羨ましいくらい。そんな時あの人に出会った」
仔月光の一機が後ろから襲いかかってくるが、承一郎は振り向かずに仔月光を『村雨』で斬る。
承一郎「…誰の事だ?」
ミストラル「あなたの知らない人。彼が理想をくれた…理想というものは心地よいものね」
ミストラルが斬られた仔月光を撫でる。
ミストラル「…あなたは?理想はあるの?」
承一郎の理想、それはとっくに決まっていた。彼女達に出会い、あの日常を守りたいと思った。そして…
承一郎「僕は…弱者を守る」
ミストラルは仔月光の三本の腕の内二本を両手で持った。
ミストラル「下らない」
そして、もう一本を足で踏み付けて腕を引きちぎった。
ミストラル「理想ね」
仔月光が取られた腕の箇所からスパークをあげる。
承一郎「…そのために敵に容赦はしない。あんたみたいな女でもな」
ミストラル「…ふーん」
ミストラルは仔月光の丸い胴体を踏み付け、砕いた。
ミストラル「失望したわ、毒蛇」
承一郎「そいつは光栄だ」
ミストラル「仕方ないわね、我が理想のために死んでもらう!」
ミストラルが仔月光の腕を繋ぎ合わせ、一つにする。
仔月光達がミストラルの体にまとわりつき、自分のアームを引き抜き、ミストラルの背中にマウントしていく。
そして、ミストラルは千手観音や女郎蜘蛛のようにアームが何本も付いていた。
承一郎は『村雨』を抜刀した構える。
ミストラルが太腿のナイフをアームに持たせると、アームが次々と他のアームへ渡していき、ミストラルが持つ仔月光の腕を繋ぎ合わせたポールウェポン、エトランゼが掴んだ。
ミストラル「おいで、坊や!」
BGM『A Stronger I Remain』
ミストラルのエトランゼが承一郎へ迫るが、承一郎はそれを凌ぐ。途端に仔月光達が襲いかかるが、承一郎が次々に斬っていく。
承一郎「シッ!」
承一郎は横に回り込み、ミストラルを斬ろうとするが、
ガシィッ!と背中にマウントされたアームが白刃取りをする!
承一郎「なっ…⁉︎」
ミストラル「すごいでしょ?こんな事も出来るのよ?」
他のミストラルのアームが承一郎に掌底を叩き込む。
承一郎「ぐっ!ハァッ!」
承一郎は掌底をくらいながらも水圧カッターで白刃取りをしていたアームを斬って距離を取る。
ミストラル「ハァッ!」
ミストラルのエトランゼを承一郎が防ぐ。そしてそのままギリギリと膠着する。
突如、ミストラルのエトランゼがグニョン!と
承一郎「いっ⁉︎」
ミストラル「フンッ!」
突然の事でバランスを崩した承一郎をミストラルがエトランゼで攻撃するッ!
承一郎「ぐあっ!」
エトランゼはそのまま承一郎の足を
そう、ミストラルのエトランゼは仔月光の人工筋肉アームが複数連結した武器。つまり、さっきのような柔軟な動きも可能なのだ!
ミストラルは承一郎を掴んだエトランゼを振り回す!
承一郎「くっ…!このっ…!」
承一郎は振り回しているエトランゼを切断する。パイプに向かって突っ込む承一郎だが、パイプを掴んでそのまま一回転、
承一郎「スネークキィークッ!」
遠心力を使ってライダーキックをお見舞いする!この掛け声を素でやってのけるのが承一郎である!
ミストラル「ぐあっ!」
ミストラルはキックの威力で吹っ飛ばされる。承一郎はそれを追う。
ミストラルはパイプにしがみつき、承一郎は着地した。
ミストラル「気持ちよくなってきたわ!」
ミストラルはパイプから柱に飛び乗り、側にいた仔月光のアームを引き抜いて斬られたエトランゼに連結させる!
承一郎「なるほど、仔月光がいれば破壊されても換えがきくって事か!」
ミストラル「その通り、私からのプレゼントよ!」
ミストラルは全てのアームが引き抜かれた仔月光達を爆弾として承一郎へ飛ばす。承一郎は一機ずつ切断していく。
ところが、前に集中していた承一郎の背後から、仔月光達が襲いかかる。
承一郎「何ッ⁉︎」
仔月光達は承一郎の体にしがみつき、電撃を浴びせる!
承一郎「ぐあっ!」
承一郎の体に黒い仔月光達が覆い被さり、一斉に電撃を浴びせる。しかし、
承一郎「
承一郎の体が光を放ち、仔月光達に電撃を放った。
八幡『すごいな!なんなんだ?』
ジョニィ『体細胞から発生される生体電気を直列にして放出、放電する技だ。吸血鬼の細胞は人間よりも強力だからな。前に承一郎が「吸血鬼の技でオリジナルの技を作りたい」って言っててよ。最高電圧は60000ボルトだ』
ミストラル「へぇ、面白い技を使うのね」
ミストラルの背中にマウントされたアームがムチのように承一郎の足元に伸び、収縮する事によってミストラルが承一郎に迫る!
承一郎はミストラルの一撃をどうにか防ぎ、距離を取るが、ミストラルのエトランゼがしなり、一気に伸びた。
承一郎「『ブラッディ・シャドウ』ッ!」
承一郎は『ブラッディ・シャドウ』で背後に避けて回り込み、ナイフを投げるが、ミストラルのアームが掴み、逆に投げ返す!
承一郎はそれを弾く。
承一郎「あんたのスタンド能力、
ミストラル「あら、私のスタンド能力が分かったの?それがどうしたの?」
ミストラルのアームが一斉にナイフを構え、投げる。承一郎はそれを避けるが、その先を読んでいたようにミストラルはナイフをアームで投げながら迫る!
ミストラル「こっちよ!」
ミストラルのアームが一気に伸びてパイプを掴み収縮、パイプに突撃する。ミストラルはパイプから降りていく。
承一郎も壊れたパイプからパイプへ飛び乗り、プラント内部へ降りる。
ミストラル「ここに終わりにしてあげるわ!」
仔月光達を従えたミストラルのエトランゼが地面に潜り、承一郎に迫る!
承一郎は回避、仔月光達を斬りながらミストラルへ攻撃する。アームはまた白刃取りを行うとするが、剣速が加速する。
ミストラル「なっ⁉︎」
承一郎はミストラルのアームを『村雨』の水圧カッターで切断する。
ミストラル「これで…終わりよ!」
ミストラルがエトランゼを振りかぶる。承一郎はそれを防ぐ。
『村雨』を滑るようにミストラルへ鍔迫り合いで寄せて、弾きながら柄の部分を顔面にお見舞いする。
ミストラル「くっ…なめるなガキめ!」
ミストラルはエトランゼで承一郎を刺そうとするが、承一郎は目の前のタンクを足で登るように一回転して回避、エトランゼはタンクに突き刺さる。
承一郎「ハァッ!」
承一郎はエトランゼの上に乗り、そのタンクを『村雨』で斬り裂く。そのタンクには液体窒素が入っていたようで、エトランゼを抜こうとしているミストラルを氷漬けにした。
承一郎「斬ッ‼︎」
承一郎は氷漬けになって身動きの取れないミストラルを滅多斬りにする。
最後の一撃によって、ミストラルの体は粉々に粉砕した。