ジョジョの奇妙な冒険──5人目のDIOの息子──   作:GIOGIO

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戦えなかった者からのささやかな償い

ドルザエフ『どうした、ミストラル⁉︎バイタルサインが消えかけている!』

 

ミストラルのバラバラになった破片の中から声が聞こえる。無線機からドルザエフが話しかけているようだ。

 

ミストラル『負けたわ…これが…殉死というものね…』

 

ドルザエフ『なんだと⁉︎』

 

ミストラル『悪くないわ…理想のために死ぬのは…』

 

ドルザエフ『待て、死ぬな!』

 

ミストラル『ごめんなさい…あいつを倒せなくて…』

 

ドルザエフ『謝って済むか!俺はどうなる⁉︎』

 

ミストラル『でも…私には分かる…。あなたが…負けるはずは、無い…』

 

ミストラルはドルザエフではない、誰かに言っているのだ。おそらくミストラルが言っていた『あなたの知らない人』なのだろう。

 

ドルザエフ『何を言っている⁉︎』

 

ミストラル『心から愛してる(Je t'aime de mon coeur)…』

 

ここにいない誰かに愛の言葉を囁いて、ミストラルはこの世から永久退場した。

 

ドルザエフ『ジュ、ジュテーム?ミストラル…お前…』

 

まずはこの勘違い野郎をどうにかするかと承一郎は無線機を取った。

 

承一郎「あんたの事じゃあないと思うぞ、多分」

 

承一郎は無線機を取ってドルザエフに言った。

 

ドルザエフ『貴様!よくも彼女を!血に飢えた殺人鬼め!』

 

承一郎「どの口がそれを言う?あんたの負けだ、投降しろ」

 

ドルザエフ『ハッハッハッハッハハ、頭を使えよ!』

 

ドルザエフはムカつく笑い方で承一郎をバカにする。

 

承一郎「なんだと?」

 

ドルザエフ『ハッハッハッハッハハ…誰が投降などするか!まだ最後の手段がある』

 

承一郎「…まさか⁉︎」

 

承一郎はプラントの方へ向かう。

 

ドルザエフ『このプラントはロシアの金で作られたアブハジアへの手綱、こいつをぶっ飛ばせばどうなる?』

 

承一郎が見たプラントには、ドルザエフが立っていた。

 

ドルザエフ「我が理想のために!さらば!(Прощайте)

 

ドルザエフの宣言と共に、起爆スイッチが押される。

 

承一郎「…『止めろ!』なんて言うと思っていたのか?だとしたらあんた、相当おめでたいぞ」

 

ダァンッ!ドバッ!

 

だが、それは一発の銃弾がドルザエフの親指を吹き飛ばす事によって防がれた。

 

ドルザエフ「がああぁぁああぁぁああぁぁああ⁉︎」

 

ドルザエフは悲鳴をあげながらも反対の腕でスイッチを押そうとするが、

 

雪乃「フリージング・ビーム!」

 

雪乃のフリージングビームがドルザエフの腕と足を凍らせる。

 

雪乃「作戦は成功ね。私の『エンジェル・ダスト』で爆弾を冷却したわ。これで起爆は出来ないハズよ」

 

承一郎「上出来です。後の処理はこちらに任せて下さい。爆発物のスペシャリストがウチにはいるんでね」

 

ミスタ「さすがだな承一郎。いい作戦だったぜ」

 

ドルザエフ「クソッ!いったいどういう事だ⁉︎」

 

承一郎「僕達は二手に別れて行動していたんだ。ミストラルは絶対に僕達の行く手を阻む。だから二手に別れて僕がミストラルを、二人にはあんたの尾行をお願いしたんだ」

 

ミスタ「お前はミストラルが倒されたらプラントを道連れに自爆する事は予想されていた。俺達はそれの阻止を、承一郎はミストラルの排除を担当していたんだぜ」

 

ミストラルがドルザエフにこっちが三人だって言っていないかは賭けだったが、上手く事が進んた。

 

雪乃「私は爆発物を冷却出来るからそれも担当していたのよ。適材適所ってやつかしら?」

 

承一郎「とりあえず、これで任務は完了です。ドルザエフは後でICPO(国際刑事警察機構)に引き渡して一件落着ですね。カズ、ピークォドをLZへ」

 

カズ『了解!』

 

 

マザーベース───

承一郎「お疲れ様でした、今日は休んで下さい。明日も次の任務がありますので」

 

陽乃「じゃあ雪乃ちゃん、早速お風呂行こうよ!サウナもあるって!」

 

トリッシュ「そうね、留美ちゃんもお風呂に入りましょ?」

 

承一郎「ああ、なら分からない事があったらエヴァに聞いて下さい。多分彼女も今は風呂に入っていると思うので」

 

ジョルノ「…それにしても、風呂やサウナまであるなんてね」

 

ミスタ「まるで宿泊施設だな。よくこれだけの組織を創ったもんだぜ」

 

承一郎「ここは元々廃棄されていた海洋プラントだったんですけど、プラントの所有国の任務の報酬として貰った物を改修したんです」

 

?『ほぅ、興味深い話だな』

 

急に機械音かかった声が上から聞こえてきた。

 

承一郎「やぁ、どうだいウルフ?新たしいボディの調子は?」

 

麻薬組織のボス暗殺時に陽乃に破壊、承一郎に回収されたLQ-84iのAI部分は、クリスタル・ファングの研究開発班によって新しいボディが与えられていた。

 

ブレードウルフ(以下ウルフ)『悪くない。さすがはVICBOSSの部隊、デスペラード社に勝るとも劣らない技術力だ』

 

ウルフは司令部プラットフォームの上部から跳躍、ガシャン!という音を立てて着地する。

 

承一郎「そうか、ウチは無人機の開発は進んでないけどそれは良かった。遠隔での操作や意識の消去は不可能にしてあるよ」

 

ウルフ『この俺に新しいボディだけではなく自由まで与えてくれて感謝する』

 

承一郎「僕に解放してくれと頼んだのは陽乃さんだ。僕は頼まれてやっただけさ。礼なら後で陽乃さんに」

 

ウルフ『了解した』

 

承一郎「それに、自由は押し付けるものでも与えられるものでもない。勝ち取るものさ…ようこそ、天国の外側(アウター・ヘブン)へ」

 

ウルフはプラットフォームを歩いていった。

 

ジョルノ「…驚いた、いいのかい?あのまま放っておいて」

 

承一郎「大丈夫ですよ、彼には知性がある。この海で囲まれた基地で下手な真似はしないと思います。僕は彼はそんな事をしないと信頼しています。それに…浪犬(ウルフドッグ)の世話は山猫(オセロット)の担当です。…まぁDDと同じく子供達のマスコットになるのは目に見えてるけど…」

 

ウルフ『毒蛇!助けてくれ!』

 

噂をすれば影というか…ウルフは子供達に色々といじられているのは…気のせいか?隣でDDもほっぺぐにぐにされてたり肉球もふもふされている…。

 

子供達「あ!ぼすだー!」「ぼすー!おすしおいしかったー!」

 

内心自分もやりたいと思うのを堪えながら承一郎は無邪気な子供達に手を振る。

 

子供達全員が少年兵や戦争孤児だ。親を殺され、勉強にまともに受けられない環境の子供達をここでは保護、生きるための知識などを教えている。

 

承一郎「そういえばそっちの世界は大変な戦いがあったみたいですね…すみません、戦いがあったのを気付かずに…。僕も戦っていたら八幡も今のようにならずに済んだと思うと…」

 

ジョルノ「…承一郎、多くの戦場を渡り歩いた君なら分かるだろう?そんなIF(もしも)なんて考えたって無駄だという事を」

 

承一郎「はい…ですが、悔しいんです…。仲間達が戦っているのにも気付かず過ごしていた事が…!」ギュッ!

 

悔しさと共に承一郎の拳に力が入り、皮を突き破り血が出ていた。

 

承一郎「…すみません、少し夜風に当たっていきます」

 

コツコツという音を立てながらプラットフォームを歩く。

 

承一郎『…八幡、後で君に体を貸そう』

 

八幡『いいのか?承一郎』

 

承一郎『僕は君を助けられなかった。だから、それくらいさせてくれ。言っておくが、僕の体だから一線は超えるなよ?』

 

八幡『…ありがとう』

 

承一郎「決戦の場に立たなかった僕からの…せめてもの償いさ」

 

承一郎はそう言いながら葉巻を咥えて火を点けた。

 

 

〜八幡side〜

 

よぉ、何気にこっち(GIOGIO)側で初めて俺視点になった八幡だ。←メメタァ!

 

承一郎『君っていつもメタいよね?』

 

気にするな。いつもの事だ。さて、久しぶり皆と話したいしな。

 

俺は早速あいつらの所へ向かう。海風が心地いい。

 

承一郎『ついでにサービスだ。持ってけ泥棒』

 

歩きながら承一郎()の体を骨が覆う。覆われた姿は…

 

八幡「俺の…姿に」

 

そう、魂が砕ける前の姿になった。手鏡を見ると、懐かしの我が腐り目が。あれ?それほど懐かしくないはずだよな?なんか二日くらいしか経過してないはずなのにもう2、3ヶ月は経っているような…。←メメタァ!

 

承一郎『さぁ、行って来い八幡。一回皆と話して、覚悟を決めろ』

 

八幡「おいおい。勘違いしてるようだが、覚悟を決めた先があれだったんだ。お前でも、あの状況はどうしようもない…ああする以外は方法がなかった。犠牲になったわけじゃあない。全滅よりかはましな結果を取っただけだ。ついでに言えば覚悟を決めるのはお前だこのボケナス!」

 

承一郎『へ?』

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

俺は四年前に自己紹介したときに承一郎が傭兵と言ったときに一兵士だと思っていた。そしたならば総司令と来たものだ。大した奴だと思った……が、とんでも無かった!何で総司令が一兵士の戦いをやってんの!?

 

承一郎『いや、どうも後ろでふんぞり返ってるのはちょっと…』

 

八幡「アホか!今はこの作戦に全力を注いでいるならなおさら全般指揮に力を入れろよ!リアルタイムで情報を加味して戦術練れよ!ふんぞり返ってるだけだと思ってるんじゃあない!むしろ一番責任重いわ!なに責任から逃げてんの!?そりゃ一兵士としては大した戦果だが、司令官としては最低だわ!」

 

ほんと、そこ。指揮官が歩兵をやるとかありえんから。

 

承一郎『ぐぅ!』

 

八幡「まぁ、お前なりに一生懸命だったんだろうが、お前はここの司令官だ。立場に見合った仕事をしろよ?」

 

実際は他にも色々あるんだが…。生きていたから目を瞑ろう…。瞑ってる領域が広すぎるがなぁ!

 

八幡「…明日はジョルノに指揮を執らせろ。そう言うのは一番慣れてるからな」

 

厳しいことを指摘した反省だ。俺も怒られてくるか。

 

陽乃「八幡くん…!」

 

陽乃さんは涙をこぼしながら俺に抱きついてくる。そして顔を近づけるが、俺は制する。

 

八幡「待ってくれ、陽乃さん。この体は承一郎のなんだ。外見は骨の鎧の応用らしい。だからキスはアウトだ」

 

それに、俺の一番はいろはだ。元に戻ったときはまずはいろはとだ…。

 

陽乃「ホントに…ホントに八幡くんなのね…?」

 

ボロボロと涙が溢れる陽乃さんの頭を撫でる。おいおい。魔王はるのんはどこへ行ったんだよ。

 

けど…助けてくれてありがとう……。それしか感謝の言葉が浮かばない。

 

ミスタ「承一郎のやつ、ホントに粋な奴だな。さすがジョルノの弟だ」

 

ジョルノ「そうだね。世界は違えど、彼は僕の弟だよ。だけど八幡…彼は…」

 

八幡「ああ。わかってる。明日の総指揮はお前に任せるように進言した」

 

ジョルノ「僕がやるのは普通の用兵だよ。それにスタンドの力を加味させたものだけど良いのかい?」

 

八幡「まあな。とんでもないものを飼っているわ…。だから闘争本能を抑えられずにあんな戦術をやってるんだろ?明日は…俺がやる」

 

そう言われている承一郎とジョニィは精神世界で眠っている。お前の本物に囲まれている幸せな夢でも見ていれば良い。

 

そして…承一郎達が嫌な思いをしたんだ。俺も約束を果たさなければフェアじゃあない。

 

八幡「ジョルノ…陽乃さん…皆…済まなかった」

 

これだけは言っておかなければならない。だが、ジョルノは首を振る。

 

ジョルノ「それは僕たちだけに言うことじゃあない。君は知らないだろうけど、君の魂の欠片が飛んでいった先々では戦いが起こっているようだ。その言葉は本体に戻った君が全員に対して言う言葉だろう。もちろん、彼と彼の本物に対してもね」

 

それは了解だが、あの予言には先があった…だと?

 

ジョルノ「君が飛んでいった5つの世界にはそれぞれ異変が発生する。そこでは僕たちの力が必要となるらしい。こんな戦いはどこでも始まっているんだ。ゲリラの真似事をする事になるとは思わなかったけどね」

 

八幡「しょっちゅうだろ。芥子畑に対して正規軍の振りをしてゲリラを仕掛けるのは。無意味に用兵術や一般戦術が身に付いたわ。それに5つの世界でもドンパチねぇ…。ここはマジでドンパチ始めるし」

 

だからこの世界にはジョルノや陽乃さん達しかいないのか。

 

異変……ねぇ。承一郎の闇とその原因……。

 

だったら、その闇は俺がある程度持とう。さて、明日は俺がドンパチだ。鋭気を養うか。

 

 

<= to be continued=




おまけ

承一郎・ジョニィ「「zzz……」」

八幡「それにしても死んでるように眠るなこいつら」

承一郎「…ディオォッ‼︎」

八幡「⁉︎」

ジョニィ「ジョジョォッ‼︎」

八幡「⁉︎」

承一郎・ジョニィ「「zzz……」」

八幡「なんだったんだ…?」

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