ジョジョの奇妙な冒険──5人目のDIOの息子──   作:GIOGIO

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前回までのジョジョの奇妙な冒険ッ!

聖なる遺体として一体化した並行世界の八幡とチーム黄金の風と共に大統領暗殺を阻止するためにパキスタンの基地へ向かう承一郎達。

しかしその先で待っていたのは多脚歩行戦車メタルギア・エクセルサスとそれに搭乗するアームストロングだった。

エクセルサスを破壊した承一郎だが、まさかのアームストロング本人が圧倒的なパワーを発揮して承一郎に襲いかかり、信乃の形見である『村雨』をヘシ折ってしまう!

失意のあまり戦意消失してしまった承一郎に代わりジョニィが戦う事になり、アームストロングの理想を知る。

ジョニィは弱者を踏みにじる理想に異を唱えてアームストロングに立ち向かう!


…大変遅くなってしまい、すみません汗


It Has To Be This Way(最後にはこうなると決まっている)その①

アームストロング「俺を黙らせてみろ、他の奴らのように!」

 

奴──アームストロングはその筋肉隆々の右腕を振りかぶる。俺はそれを空手の外受けで軌道をズラしてそこから奴の顎に掌底を叩き込む。

 

空手とかは集英組(ウチ)で仕込まれた技だ。竜の奴…容赦なく打ち込んできやがるんだよな…。俺達にCQCを教えたオセロットはザ・ボス──母に教わったらしい。なんだかんだで俺達は『受け継いでいる』んだと感じる。

 

アームストロングは掌底で顔を上に向いたが特にダメージはなく、左ストレートを放つ。今度は内受けで軌道をズラし、その勢いを利用して右肘を叩き込む。

 

アームストロングは少し怯みつつも、某ヤサイ人みたいに力を溜める。これはッ!

 

俺は急いでバク転して距離を取った瞬間に俺の顔面スレスレに衝撃波が発生する!やれやれ、本当に某マーベルコミックで出てくるような奴だな。出て来る作品間違えているんじゃあないか?

 

だが、八幡から聞いた『ザ・オーガ』はこんな衝撃波なんて放てるとは聞いてない。俺はすでにこいつの肉体の秘密を理解した。

 

こいつはクレイトロニクス(微小な自己組織化ロボットが互いに連携して機能的な要素になる機械)技術を用いた、サンダウナー達とは別系統のサイボーグだ。しかも硬化するナノマシンもあるのだろう。

 

ナノマシンとスタンド能力による相乗効果、だからあの『村雨』を掴みヘシ折る事も可能だったのだ。しかもサイボーグには電力をパワーに変換する能力がある。さっきの衝撃波もおそらくその類のものだろう。

 

電力が尽きるまで退却戦を仕掛けたいが奴はバカデカイエクセルサスの電力を吸収した。おそらく戦いで当分電力は尽きないだろう。

 

だが、ここで倒れるわけにはいかない。俺は負けたらこの脳筋野郎は世界を某モヒカンが跋扈する世紀末に創り上げる。それだけは阻止しなければならない。絶対に!

 

ジョニィ「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ‼︎」

 

俺は雷を帯びた拳のラッシュを叩き込む。

 

アームストロング「フン、生温い!」

 

だが野郎はケロリとしてやがる。こいつ、承太郎さんの『スタープラチナ』や八幡の『ザ・ジェムストーン』でもタメ張れるんじゃあないか?

 

俺は左手を奴の顎に向けて伸ばし、右手を俺のボディから顎のラインをカバーするようにして半身になる。空手の組手の構えだ。

 

アームストロングが右ストレートを放つ。俺はそれを鉄拳ならぬ骨拳のカウンターの逆突きで合わせる。そこからさらに右足に鎧を纏わせてのサソリ蹴りを放つ。

 

アームストロング「ブン殴る!」

 

アームストロングは左右の腕を振るい、そこから蹴りを放つ。俺はそれを骨装甲付きの腕で次々と剥げていく装甲を作り直しながら捌く。そこからさらに一発拳が放たれる。

 

ジョニィ「WRYYYY(ウリャァァァァ)ッ‼︎」

 

俺はそれに右拳でぶつける!だが、

 

ベギィッ!

 

ジョニィ「ぐおおおおおッ!」

 

こいつ、マジで硬すぎるッ!拳が砕けるとはいつぞやの再現だよ!

 

奴はまた力を溜める。また衝撃波か!俺は後方に跳んで回避しようとするが、

 

アームストロング「ハァッ!」

 

ジョニィ「なっ⁉︎」

 

さっきよりも一際大きな衝撃波が発生する!

 

ジョニィ「がはぁっ……‼︎ぐっ…ゴプッ!」

 

エクセルサスの胴体部に叩きつけられた俺は起き上がるが、吐血してしまう。クソッ、内臓までやられたか!

 

このまま何度もあの衝撃波を食らっていたらこっちが保たない。一気に短期決戦を仕掛けるしかない!

 

ジョニィ「うおおおおおおおッ、無駄ァッ!」

 

砕けた拳を再生させ雷を帯びてアームストロングの腹に殴りつける。野郎は平然としてやがる。

 

ジョニィ「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ‼︎」

 

拳を装甲ごと破損しても修復しつつひたすらラッシュをブチかます。

 

ジョニィ「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄WRYYYYYYYYYYYYYYYYY(ウリィィィィィィィィィィィィィィィィィィ)ッ‼︎」

 

さらにそこに『ブラッディ・シャドウ』を加えてのダブルラッシュを叩き込む。

 

ジョニィ「無駄ァッ!」

 

俺は波紋入り諸手突きを放つ!しかし奴は少し後ずさるだけだった。

 

ジョニィ「クソッ、これだけ殴っても無傷だと…」

 

アームストロング「ハハハハハッ!あらゆる衝撃に対して一瞬で硬化するナノマシンとスタンド能力の相乗効果ッ!」ビリィ!

 

奴は自分のシャツを破り言い放つ。その胸には一際盛り上がった筋肉の筋が。その心臓部から肉体がズズッ…と黒く硬化する。

 

そして野郎は拳をエクセルサスの胴体部に叩き込む。嘘だろ、『村雨』でも手こずったあの装甲を素手で凹ませやがった…。

 

アームストロング「便利なものだろう、承一郎?いや、今はジョニィの方か?」

 

ジョニィ「無駄ァッ!」

 

俺は構わずアームストロングに殴り込むが、奴は黒く硬化して全然効いてない。

 

アームストロング「こそばゆい!」

 

アームストロングの拳が俺の腹に食い込み、吹っ飛ばされる!

 

ジョニィ「ぐっ…!」

 

アームストロング「終わらせてやる」

 

奴は俺に馬乗りになり、拳のラッシュを胸に叩き込む!

 

アームストロング「死ね!死ね!」

 

ジョニィ「ぐおっ!うおおおおッ!」

 

ボロボロになって剥げていく骨の装甲を作り続けるが、間に合わない!

 

アームストロング「死にやがれ!」

 

最後の一発が放たれ、

 

ドグォォォォーーーーーーz____________ンッ‼︎

 

エクセルサスがバラバラに粉砕される。そして俺は…

 

 

 

 

 

ジョニィ「────ゴボッ!」

 

心臓にぽっかりと穴が空いていた。

 

クソッ、まさか二度も心臓に穴が空くなんてな…!急いで穴を修復しなくては…!

 

俺は血の塊を吐き出して心臓に力を注ぐ。早くしなければ、手遅れになる!

 

アームストロング「おや、まだ死なんとはな」

 

アームストロングが俺に向かってやって来る。早く、早く心臓を再生させなければ…!

 

ジョルノ「『ゴールド・エクスペリエンス』ッ!」

 

突然、アームストロングの体に黄金の拳が叩き込まれる!

 

ジョルノ「感覚だけが暴走する」

 

ミスタ「いけッ、『セックス・ピストルズ』!」

 

感覚だけが暴走するアームストロングに弾丸が命中する!

 

ジョルノ兄さんは俺の体を掴んで退避する。八幡が俺の能力で飛ばしてくれたのか!

 

ジョルノ「無茶をするね君は!」

 

ミスタ「そうだな、なんで俺達を帰したんだ?」

 

BS(ブラッディ・シャドウ)(ジョニィ)『…すみません、最後はこっちの世界の人間として俺だけで終わらせたかったんです』

 

胸に風穴が空いて喋る事が出来ずに俺はスタンド越しで話す。

 

BS『クソッ、「村雨」をヘシ折るなんて…。奴は皆さんが戦った「ザ・オーガ」よりもナノマシンでさらにパワーアップしています』

 

ジョルノ兄さんは適当な物で俺の心臓を作り、応急処置を施す。

 

アームストロング「個人で敵わないなら、全員でくるか?良いだろう。お前にはそれがお似合いだ。フン、恨むのなら(・・・・・)自分を恨むんだな(・・・・・・・・)自分の無力さを(・・・・・・・)

お前は何も守れないのだ(・・・・・・・・・・・)自分の身さえもな(・・・・・・・・)!」

 

ジョニィ「なっ…⁉︎」

 

それ(・・)は…!その言葉(・・・・)は…!

 

アームストロング「お前は知っているはずだ、この言葉を。我が部下、『マイク・O』をかつて殺したお前はな」

 

ジョニィ「こいつッ…!」

 

アームストロング「そう、俺があの時お前達の始末を命じたのだ。『奴』に指示されてだがな。お前だけが生き残るとは、奇妙な話だな」

 

こいつがッ…!俺達の始末を命じただと…!だとしたら、こいつがあの事件の黒幕ッ…!

 

アームストロング「部下の不祥事は上司であった俺が責任を持って始末しなければな」

 

奴はゆっくりと、しかし確実な足取りで俺に近づいてくる。

 

──こいつを、絶対に赦すな──

 

次の瞬間、視界にノイズが入り…

 

 

 

 

 

 

──ここは…どこだ…?──

 

薄暗い、研究室のようだ。俺の周りには何かガラス管が覆い、液体が埋め尽くしている。口には…酸素を供給するマスクが。

 

そして、そのガラス管の外側には二人の男女が。

 

──おかしい、俺はこの二人を知っている(・・・・・)──

 

奥からさらに男がやってくる。

 

男1『─────』

 

男2『─────』

 

女『─────』

 

会話は聞き取れない。何を話しているのか分からない。でも、

 

──こいつらは、赦してはいけない──

 

なぜか、そう思った。なぜなのだろう、それは分からない。だがそう直感した。

 

メリ…メリィ…

 

男1『─────!』

 

男が叫ぶ。額から角が生える。

 

こいつらが元凶だ。こいつらが、いや、今やってきた男が母を殺した犯人だ。

 

怒りが、憎悪が、目の前の世界をドス黒い真紅の色に染まっていく──

 

 

急に視界が元に戻り、倒れている皆とゆっくりと近づいてくるアームストロングの姿が見えた。

 

ジョニィ「──制御(リミッター)、70%解除」

 

今、俺がやる事はただ一つ。あいつ(・・・)が立ち上がる時間を作ってやる事だ。

 

ジョニィ「──闇破る雷光(ブレイク・ダーク・サンダー)発動…身体損傷度、許容範囲内。全て平常(オールグリーン)

 

バチィッ!と体が雷を浴びる。

 

アームストロングの言った通りだ。俺達は出来損ないだ。人として決められた寿命を持ちながら再生するという矛盾した肉体。不老ではない不死、それは人の数倍も老いるスピードが速いという事。

 

でも、それでも。俺は、俺達は。母が愛した、皆がいる世界を守る。

 

八幡『その力は、反動が伴うだろう?何分持つ?』

 

ジョニィ『八幡止めるな、まだ大丈夫だ。コレ(・・)を使えるのが1分だけなんだ。その間にそこのバカを起こしてくれ』

 

八幡『出来るんだったら、お前が終わらせたらどうだ?』

 

ジョニィ『俺は居候なもんでね。決着をつける権利があるのは本来の持ち主である承一郎だ。まぁ追い込めるところまでやってやるさ』

 

俺は全身に雷を帯びて立ち上がる。

 

八幡『承一郎が起きるまで持たせろ。そして反動の方は俺が何とかしてやる。万全の状態でお前らとジョルノ達を奴に送り届けてやるさ』

 

ジョニィ『陽乃さん達もか!?奴は危険だ!』

 

八幡『お前、やっぱりパッショーネや陽乃さんを甘くみているよ。特に陽乃さん。陽乃さんを交えた俺やジョジョの三人がなんて言われてるか知ってるか?』

 

ジョニィ『なに?』

 

八幡『性悪トリオ。因みに陽乃さん単独では魔王と呼ばれるまである』

 

ジョニィ『嘘だろ……』

 

おいおい、誰かこいつのストッパーになる人はいないのか?徐倫さん達はまだ分かるが…

 

ジョニィ『性悪コンビの片割れは静・ジョースター以外にもいたんだな。舐めてたよ、陽乃さんを。任せたぞ、八幡』

 

八幡『ああ』

 

 

アームストロング「…ん?ほぅ、やっと立ち上がったか。どこからでもかかってくる──がぁッ⁉︎」

 

いきなりアームストロングが吹き飛ぶ。その元いた場所には俺が立っていた。

 

ジョニィ「兄さん。まだやらせて下さい。八幡が場を整えてくれるそうです!」

 

陽乃「へえ?出来るの?君達に?」

 

陽乃さんが口端を吊り上げながら訊ねる。

その目は全てを見透かすように薄笑いを浮かべている。

 

改めて見てみると……底が知れないな……お前や静・ジョースターと似た者同士……いや、下手をしたらそれ以上に性格が悪い……なんて人を侮っていたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ジョニィ「──『血の亡霊(ブラッディ・ファントム)』」

 

勝利のボス(VICBOSS)は、ここに高らかに勝利を宣言する。

 

雪乃「…ジョニィ…?」

 

ミスタ「遅かったじゃあないか…」

 

ジョニィ「…すまない皆、待たせたな」

 

ジョルノ「…ホントに君は待たせてくれるね」

 

ジョニィ「…後は俺に任せてくれ」

 

俺はそう告げ、アームストロングが吹き飛んだ場所へ音の速さで移動する。

 

 

 

音速、それは光速の次に速い速度。

 

血の亡霊(ブラッディ・ファントム)は肉体操作の技で最強の切り札だ。波紋の呼吸と吸血鬼の体質によるドーピング、闇を破る雷光(ブレイク・ダーク・サンダー)で体に送られる電気信号の高速化にスタンドを重ね、無理矢理100%の痛覚抑制を行いさらに脳の制限(リミッター)を解除したりする事で速度(スピード)を追求した結果、音速の動きを可能にした絶技だ。

 

その余りの威力に戦闘班プラットフォームが無駄に一つ海の藻屑になったのは『不可能を可能にする男』としてスタッフ達が酒の肴にしていたのはいい思い出だ。

 

ただし、その反動は余りにも大きい。制限時間が過ぎると痛覚抑制が解除され全身に想像を絶する痛みが全身を駆け巡る。元々、制限時間内は制限を外す事によってあらゆる筋繊維がズタボロになり、骨も全身粉砕骨折、立つ事すらも不可能になる事を行っているのだ。

 

向こうの世界での四年前の八幡達との戦いでこれを使わなかったのはこの技は集団戦には向いてなく、音速の動きだと力の加減が難しいからだ。

 

それを無理矢理痛覚抑制で痛みによる反射を抑えているのだ。ハイリスク・ハイリターンとはよく言ったものだと苦笑してしまう。

 

制限時間はたった1分。1分以内に敵を倒さなければならない代わりに圧倒的な速度を手にする事が出来る。

 

ジョニィ(1分以内ッ!1分以内にこいつを殺すッ!)

 

バチバチと全身に雷を迸らせ、俺は起き上がるアームストロングへ走る、いや跳ぶ(・・)

 

光速より遥かに劣ると侮る事なかれ。秒速約340m、つまりジェット機並みの速さの拳が正面衝突するのだ。

 

一発一発の拳が円錐状の衝撃波を発生させながらアームストロングの体に叩き込まれる。

 

アームストロング「ぐぅっ⁉︎」

 

ジョニィ「あんたの弱点はな、アームストロング。硬化能力が心臓から広がる事と…」

 

ドガガガガッ!スパァンッ!

 

そこから音速のラッシュが炸裂、蹴りでさらに吹き飛ばされる。

 

ジョニィ「たとえ一瞬で硬化するといっても音速(秒速約340m)以上のスピードで硬化で防ぎきるのは不可能だという事だ!」

 

瞬時に吹き飛んだアームストロングの背後に移動、顎を蹴り上げて空中に吹っ飛ばす。そのまま跳躍、アームストロングへ突っ込む。

 

アームストロング(いくら圧倒的に速いといっても動きは突っ込むだけで単調…!そこを突けば…!)

 

ジョニィ(…とか考えてるだろうがそれは弱点じゃあない。逆にいいんだ(・・・・・・)、これが!)

 

アームストロングは吹っ飛ばされながらも俺が突っ込むであろう場所に拳を振るう。悪くはない作戦だ、だがな!

 

ジョニィ「俺の能力を忘れるとは何事だッ!WRYYYYYYYYY(ウリィィィィィィィィィ)ッ!『ブラッディ・シャドウ』ッ!」

 

影が俺の前方に出現、そのまま俺は空間を飛んでアームストロングの背後から出現する。

 

ジョニィ「無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!」

 

ズドドドドォッ!

 

ジョニィ「どうしたッ!衝撃波を放つ事すら忘れたかッ!」

 

アームストロングは俺の言葉で思い出したように力を溜める。

 

アームストロング「ハァッ!」

 

ジョニィ「バカめ、すでにそれについては対策済みよッ!」

 

俺は音速の拳を衝撃波へ放つ。するとアームストロングが発生させた衝撃波が消える。

 

アームストロング「何ッ⁉︎」

 

ジョニィ「それを俺に何度も見せた時点ですでに凡策なんだよッ!無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!」

 

そのまま俺の拳がアームストロングの体に撃ち込まれ、地面に叩きつけられる。

 

 

 

〜承一郎side〜

 

 

僕はゆっくりとその瞼を開ける。一体、今の光景は…?

 

八幡『よぉ、新兵以下。気分はどうだ?』

 

承一郎『新兵以下だと…?』

 

八幡『違うのか?刀が一本、折れた。ただそれだけだ。それで茫然自失か?』

 

承一郎『ただそれだけだと?村雨は信乃の…』

 

八幡『俺がレクイエムを使った時、材木座と由比ヶ浜を失った』

 

承一郎『!!』

 

八幡『放っておけば、あのまま全滅だった』

 

承一郎『……』

 

八幡『お前は言ったよな?何故お前を呼ばなかったって。何が出来たんだ?あの時の状況で、こんな脆いお前が。お前がいたとしても、結局俺はレクイエムを使うしかなかったんだよ』

 

承一郎『僕だったら…』

 

八幡『何が出来る?誰が信じられるか。何かを失って…敵の前で棒立ち。新兵がかかるような病気に陥ったお前を……誰がお前を信じられるんだ?答えてみろ。ツェペリさんを失ったジョナサンは?シーザーや花京院を失ったジョセフは?アヴドゥルとイギーを失ったポルナレフさんは?シゲチーさんや辻彩さんを失った仗助は?ナランチャさん、ブチャラティさん、アバッキオさんを失ったジョルノは!F・Fさんやウェザーを失った徐倫は!みんな前に進んだ!少なくとも敵の前で棒立ちなんてしてなかったぞ!お前はホントにジョースターか⁉︎』

 

承一郎『……』

 

僕は答えられなかった。

 

八幡『今はジョニィがアームストロングと戦っているのに本来の体の持ち主であるお前はここでただ突っ立ってるだけなのか?それならそれで構わん。いっそ、ジョニィが今後は一条承一郎として生き、お前は一生影で震えていろ。奉仕部は飢えている癖に魚が調理されて差し出されて来るのを待っている奴に手を差しのべない。ただ冷たい目で嗤いながら、飢え死ぬのを見ているだけだ。魚を食べながらな』

 

八幡『選べ。ただのモンキーとして飢え死ぬか、ジョースターとして自分で魚を取るか』

 

八幡から凄まじい殺気が放たれる。

 

承一郎『……今の僕はお前の足元にもいないんだな…僕の方が強いはずなのに。強いではなく、怖い。何があったんだ?お前は……』

 

八幡『さぁな。平行世界を渡り歩けばわかる。苛つく事や呆れることばかりだ。お前が別の世界の戦う一条楽と会えば分かるかもな』

 

なるほど、八幡も向こうの四年の間に数々の修羅場をくぐり抜けたようだ。

 

八幡『で、どうするんだ?俺はどっちでもいいんだぜ、ジョニィの頼みだ。決着をつける権利があるのは本来の体の持ち主であるお前だってよ…。あいつは甘いな、お前に。俺だったらさっさと切り捨てているぞ』

 

承一郎『…彼は前に言っていたんだ。「俺達は未来のために戦うんだ」って…彼は僕よりも母を殺した世界を呪っているはずなのに…』

 

僕はゆっくり起き上がる。

 

承一郎『…ありがとう八幡、君も甘いと思うけどね?』

 

八幡『抜かせ。それでどうする?』

 

承一郎『僕にやらせてくれ……』

 

ジョニィは圧倒的なスピードでアームストロングをタコ殴りにしている。

 

八幡『あんな技があったとはな…あれがお前達が戦っていた切り札か?』

 

承一郎『…狂った世界の規範(ドグマ)さ。ジョニィは奴を追い詰めている。だけど1分の間だけだ。奴が電力の消費を覚悟しての耐久戦になったらヤバイ。どうにか出来るのか?アームストロングを…』

 

八幡『まぁな。見ていろ』

 

 

〜ジョニィside〜

 

 

ジョニィ「おおおおおおッ!」

 

あと少し!あと少しで全てが終わる!

 

ジョニィ「無駄ァッ!」

 

拳が叩き込まれるが…

 

ガキィンッ!と音を立ててアームストロングは白い人工血液を流しながらも全身を黒く硬化してガードする。

 

アームストロング「確かに速い…圧倒的だ。まさに(DIO)の子、しかしだ。多少は防げなくてもこう全身を硬化し続ければお前は自滅する。音速の動きだ、何かしらのデミリットがあるはずだ。それに制限時間(タイムリミット)もだ。あとどれくらいで終わる?」

 

野郎、電力の消費を覚悟で全身を硬化し続けるとは…多少はダメージは入るがこれなら制限時間が来てしまう。

 

なら一撃必殺をお見舞いしよう。俺は距離を置いて、右手に手刀を構える。バチバチィッ!と腕に雷が収束する。要はアレだ、○鳥だ、雷○だ。

 

ジョニィ「食らえ、そして死ね!」バチィッ!

 

アームストロング「いいだろう、これで終わりだ!」ボォッ!

 

アームストロングも右拳に炎を纏い、思い切り振りかぶり、走り出す。

 

雷と炎が、衝突する。

 

永遠に思われた一瞬の拮抗が終わり、俺の手刀の突きが奴の拳の甲を斬り裂いてズレ、奴の拳は俺の頭を掠め、俺の手刀は奴の腹に命中する!

 

アームストロング「ぐおおおおおッ!」

 

突きの勢いでアームストロングは吹き飛ばされる。止まった俺は…

 

ジョニィ「ぐぅぅっ…!がああっ…!」

 

痛覚抑制が解除され、今まで溜めていたツケの痛みを味わっていた。全てがかき混ぜられるような苦痛が体の感覚を埋め尽くす。

 

…まだ、耐えられる。こんなもの、癒える事のない幻肢痛(ファントム・ペイン)に比べれば…。

 

 

 

 

 

アームストロング「ぐっ…めだか○ックスにNARUT○とは…パクリすぎだろう」←メメタァ!

 

野郎、やはり防御に全力を出して突きを防いだか…!

 

ジョニィ「二次創作って時点ですでに誰かの作品から着想を得て創られた模造品(オマージュ)だって知らないのか?というかお前ホントに出る作品間違えているぞ。お前どちらかというとハルクやらアヴェンジャーズと戦う(ヴィラン)だろう。しかも武装色の覇気に火拳銃(レッドホーク)、挙句の果てに北斗剛掌波だぞ?お前こそパクリすぎだっつーの。集英社が黙ってないぞ?」←メメタァ!

 

ついでに言うと荒木先生は『進化』だ。『パクリ』ではない。異論は認めん。

 

八幡『おい、急にメタ発言多くなってきたぞ?』

 

ジョニィ『気にすんな。で、どうだ?あのバカは起きたかよ?』

 

承一郎『君が頑張っている以上何が何でも立ち上がらないとね』

 

ジョニィ『やれやれ、最後の大トリで復活かよ…お前はホントに待たせてくれる。八幡、悪いな。失望しちまったか?』

 

八幡『まったくだ。それも切り札はそれか。提案するぞ。これが終わったら平行世界を渡り歩け。ノーリスクでそれが出来る奴がごまんといるぞ?ブラッディ・シャドウみたいな能力もな。お前の暴走もそこで何とかなるかもな。さて……依頼は半分終わった。残りの依頼を果たす。お膳立てが終わるまで俺と代われ。ジョニィ』

 

ジョニィ「なに!方法はあるのか!?八幡!じゃあ、頼んだぜ!八幡!」

 

八幡は俺と入れ替わって肉体を支配する。

 

八幡「コォォォォォォォ………」

 

なるほど、僕やジョニィレベルの波紋では無理でも八幡の波紋ならば……それも吸血鬼に影響力を及ぼさない方法で可能なのか。

 

ジョセフさんやツェペリさんの転生者の技術と八幡の吸血鬼としての経験、僕の特異な体がミックスされて初めて出来る芸当だ!

 

アームストロング「貴様……ジョニィでも承一郎でもないな……」

 

場を支配する八幡の殺気に充てられるアームストロング。

 

ジョルノ「出てきたね?八幡。そろそろ痺れを切らす頃だと思ったよ」

 

八幡「まぁな。まぁ、ここは俺に任せろ。ジョルノ達の出番は最後の最後だ」

 

八幡はアームストロングに向けて足を進める。

 

アームストロング「誰だ?貴様は」

 

八幡「誰だは無いだろう?お待ちかねの奴が(ポン!)登場したのによ」

 

アームストロング「グッ!」

 

さりげなく会話をしながら、何でも無い風に拳銃を発砲した。攻撃する意志を一切見せない攻撃。

 

素早く動いた訳でもない。だが、世の中どういった攻撃が一番怖いか……。こういった攻撃だ。このタイミングは無いだろう?という攻撃。実はそういった攻撃こそ対処が難しい。

 

八幡「DIO……訳あって別の世界から魂だけが流れて来た。それを承一郎が拾い、体を共有している」

 

ジョルノ「僕達はその世界から彼を回収しに来ただけだ。もっとも、お前を放置する気は無いけれどね」

 

陽乃「この世界にもわたしや雪乃ちゃん、八幡くんもいるんでしょ?だったら始末しないとね?八幡くん?わかっていると思うけど、モード変更だよ?」

 

八幡「了解ですよ。アイツの対処法ですね?」

 

陽乃「劣化も良いとこだけどね♪」

 

アームストロング「ほざけっ!」

 

テレフォンパンチが襲ってくる。

 

八幡「承一郎、ジョニィ、見ていろ。こういう脳筋はこう対処する!ザ・ジェムストーン!」

 

アームストロングはその筋肉隆々の右腕を振りかぶる。八幡はそれを空手の外受けで軌道をズラしてそこから奴の顎に掌底を叩き込む。ここまではジョニィと同じ。違うのはここからだ。生身かスタンドかの違いはあるが、生身でもやることは変わらない。

 

掌底を振り抜くのではなく、顎に当てたまま首を後ろに反らせる。日本拳法首返し。八幡は更にアレンジを加え、相手の顔に張り付けた指先を目玉に突き入れる。

 

アームストロング「ギァアアアアア!」

 

だが、まだ終わりじゃあない。完全に首を反らされ、海老反りになっている奴の腕を反対の腕で手首返しをしながら一歩前に踏み出し、大外刈りの要領で奴の軸足を刈る。もちろん、全体重を顎に置いている手に加えて頭から落とすように(しかもガラクタの角に向けて)する。

 

頭から二人分の体重を顎に乗せられ、腕関節を極めつつ、頭から落ちる投げ。加えて落下と同時に更に目を抉るおまけ付きだ。

 

アームストロング「グアアアアアア!目が!目がぁぁぁぁぁぁ!」

 

八幡「はい♪一回死亡。弱いな、お前」

 

ついでに決まったままの腕を更に捻り、そのままボッキリとへし折る。八幡は大して自分の力を入れていないこと。死に体になっていたアームストロングの体に一工夫しただけだ。

 

ジョニィ『つえぇ……普通ならこれで終わってる…』

 

承一郎『しかも相手の力を利用して複数の攻撃を僅かな動作でやっている…それも躊躇いなく…これが今の八幡…』

 

自分の力が通用しないなら、敵の力を利用する。それが八幡の戦い方か!

 

アームストロング「き、貴様ぁ……」

 

電力を使って回復したアームストロング。ヨロヨロと立ち上がるアームストロングは先ほど同様に左ストレート。それもジョニィ同様に軸をずらした後に……

 

ゴスッ!

 

膝で金的を食らわし、下ろす足でアームストロングの足を踏みつける。そしてアームストロングの脇を潜りつつ再び手首を極める。肘を相手ののどにかけ、八幡は素早く背後に回って奴の軸足を八幡の太ももの上に乗せる。再び死に体になったアームストロングの喉から落ちるように自分ごと倒れ込む。

 

倒れたと同時に二人分の体重を乗せたエルボードロップが喉に落ちる。八幡はすぐさま後方回転の要領で立ち上がる。

 

八幡「二度死亡。もう止めといた方が良くね?サンドバッグにしかならんわ。まだマネキンの方が練習になる」

 

承一郎『更に敵の心を抉り込む口の悪さ……』

 

ジョニィ『俺達の苦戦は一体……』

 

八幡「テレフォンパンチの隙だらけ。苦戦する方が間抜けだろ。何で投げねぇんだよ。何で急所攻撃一発で満足してるんだよ。ここまでやれよ。いや、マジで」

 

承一郎&ジョニィ『『マジでこえぇ……最初の不意討ちと良い、この殺意高い投げ技といい、普段のアレはマジで遊びだったんだな……こいつは』』

 

さて……大分回復してきたか?

 

八幡「つまらん。お得意の衝撃波も対処法はパッと考え付く限り、3パターンあるしな。このまま俺がやっても構わんが、やるべき人間は魂だけの存在がやることじゃあない。後は承一郎とアーシスのパッショーネ組がやるさ」

 

そう言って八幡は倒れて動けないままのアームストロングから距離を取る。

 

八幡「モード、ガンズ・アンド・ローゼズ!」

 

八幡は指を掲げて吠える!

 

八幡「アーシス、スクランブル!決めろ!パッショーネ!雪ノ下姉妹!承一郎!」

 

八幡は叫び、僕にコントロールを返した。

 

 

<=to be continued=




あれ、八幡の世界に登場した『ザ・オーガ』ってアームストロングが元ネタだったんだけどな…。こんなにボコボコに…汗

平塚の方がもう少しまともだったな…(遠い目)

まぁ気にせずにオリジナル技のコーナー!


オリジナル技プロフィール

ブラッディ・ファントム

吸血鬼の肉体操作の中で最強の切り札。波紋の呼吸と吸血鬼の体質によるドーピング、闇を破る雷光(ブレイク・ダーク・サンダー)で体に送られる電気信号の高速化にスタンドを重ね、無理矢理100%の痛覚抑制を行いさらに脳の制限(リミッター)を解除したりする事で速度(スピード)を追求した結果、音速の動きを可能にした絶技。

制限時間の1分を過ぎると痛覚抑制などが一斉に解除されて全身に想像を絶する痛みが駆け巡る。骨も全身粉砕骨折になるがそれは『クリスタル・ボーン』で治すので問題なし。

技の元ネタはめだかボックスの黒神ファントムより。


次回、『It Has To Be This Way(最後にはこうなると決まっている)その②』

もう一つの因縁に、終止符を。

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