ジョジョの奇妙な冒険──5人目のDIOの息子── 作:GIOGIO
少年は戦う。親友の夢のために。
マイク・O「お前ら、早く弾を替えろ!」
男達は一斉に火薬が湿気って使い物にならなくなった弾丸を入れ替えようとするが、
信乃「甘い!迸れ!『村雨』ッ!」スパァァァン!
信乃の『村雨』による水圧カッターが銃を切断する方が早かった。
承一郎達はしゃがんでそれを回避した。
信乃「その首、もらったッ!」
『村雨』の水圧カッターがマイク・Oの首に迫るが、
?「あらよっと!」ボォッ!
ジュワァァァァ…!と水圧カッターと突然現れた炎が衝突し、蒸発する音が聞こえた。
?「マイク・Oさんよ、ここは俺が引き受けようか?」
マイク・O「…そうだな、ここはお前に任せる世界だ。『ジェットストリーム・サム』」
信乃「させるかッ!」
信乃はマイク・Oに向かって斬りかかろうとするが、
サム「ふっ!」
それを遮ってサムが信乃に刀を振るう。信乃は村雨で受け取め、続けて振るわれた横薙ぎの一撃をバク転で避けた。
サム「無視は困るな」
承一郎「信乃…」
信乃「ええ、この男…他の奴とはレベルが違う。はっきり言って強い」
承一郎「…信乃、僕達はマイク・Oを倒す。君はこの男を…」
信乃「若…気をつけて」
承一郎「分かってる」
承一郎達はマイク・Oを追う。
サム「さて、手合わせ願おうか…」
信乃「いいでしょう。あなた…名は?」
サム「サム、サムエル・ホドリゲスだ」
信乃「そうか、僕は犬塚信乃だ。…いざ、参る!」
承一郎達はビルの中に逃げたマイク・Oを追うが、信乃がサムと戦っているので火薬が湿気る事がないのをいい事に男達が銃を乱射しているのを遮蔽物で防いでいる。
ヤクザ「坊っちゃん、このままじゃあジリ貧ですぜ!」
承一郎「分かってる!あそこのタンクを撃て!」
ヤクザ「ヘイ!」ダァン!
組員はタンクに弾丸を放つ。すると、タンクは着火して、
ドグォォォォン!
という爆発と共に男達が吹っ飛んだ。
承一郎「よし、行くぞ!コンタクト!12時の方向、サブマシンガン!」
ヤクザ「了解!」ダァン!
男「ぎゃああ!」
承一郎の指示で次々と男達を倒す。
ヤクザ「坊っちゃん、あのスタンド能力…」
承一郎「ああ、何かヤバイ感じがする」
承一郎達が進むと、アヒル形のバルーンアートの群れがビルを埋め尽くしていた。
承一郎「皆気をつけて!さっきあの男は金属を風船のように膨らませていた!つまり…」
マイク・O「この世界は私の能力の世界だ」
マイク・Oは風船の群れの中から姿を現した。
承一郎は銃をマイク・Oに向けるが、
ズドォォン!
と上からブリキ製のシャッターが承一郎の腕を切断した。
マイク・O「『チューブラー・ベルズ』…このビルの窓の雨戸に使われている『ブリキ製のシャッター』を、すでに全て空中に飛ばしていた世界…………………この場所の全ての金属を飛ばしてやるぞ」
承一郎「ぐぅぅ…ッ‼︎」
マイク・O「我が『チューブラー・ベルズ』は防御シールドにして、お前達へのギロチン処刑の世界を兼ねたッ‼︎」
ヤクザ達「「坊っちゃん‼︎」」
承一郎「騒ぐんじゃあないッ!これくらいすぐに治す!皆は物陰に隠れて!」
承一郎はすぐに切断した腕を吸血鬼の再生能力でくっつける。
承一郎「こいつの風船…金属に戻った時のエネルギーで僕達に攻撃するッ!近くにある風船を全て割る!」スチャ!
承一郎は懐からナイフを取り出し、
承一郎「ハァッ!」ビシュッ!
ナイフは精密なコントロールで近くの風船を割るが、それと同時にブリキ製のシャッターが承一郎に襲いかかる。
承一郎「うおッ‼︎」
承一郎は能力が解除されたシャッターの陰に隠れ、防ごうとするが、数が多すぎる。
承一郎「ヤバイッ‼︎」バッ!
承一郎はビルの柱の陰に隠れた。しかし、
?『ウウウ〜〜〜〜』
承一郎の柱の近くに何体かの犬の形のバルーンアートが待ち構えていた。
承一郎「なっ…⁉︎」
バブル犬達は承一郎の足に喰いつき、パァン!と割れた。
そして、割れた後の承一郎の足には、長さ30センチほどの釘が何本も突き刺さっていた。
承一郎「ぐぁああぁぁああぁぁあ‼︎」
足の血管に入り、内部から破裂して串刺しにされる痛みは、承一郎の想像を超える痛みだった。
ヤクザ達「坊っちゃん!」「ぐぁああぁぁ‼︎」「がぁっ‼︎」
組員達は承一郎を助けようとするが、バブル犬達や男達の攻撃によって次々と倒れていく。
承一郎「くっ…!やめろ…ッ!やめやがれェーーッ‼︎」
何本も釘が刺さり、筋繊維がズタズタになった足を再生させて無理矢理承一郎は刀で男達やバブル犬を斬り裂き、貫き、屠っていく。
しかし、バブル犬が釘に戻り、刀に突き刺さって折れてしまう。
承一郎「クソッ!クソったれがぁぁーーーーッ‼︎!」
仲間がだんだんと倒れていく中、承一郎は叫んだ。
ビル前は、その場所は信乃とサムの独壇場になっていた。
信乃の水圧カッターとサムの炎を帯びた炎剣が衝突する度に周囲が吹き飛び、他の奴には手出しが出来ない状態だった。
サム「あんた、結構やるな」
信乃「それはどうも!あなたも相当お強い…どこの流派ですか?」
サム「『ホドリゲス新陰流』っつーんだぜ。俺は『裏太刀』だけどな」
信乃「!なるほど…それは手強い」
『裏太刀』──それは殺人剣を意味する。つまりは実戦を想定された剣術なのだ。
信乃「…そういえば聞いた事がある。中南米で重火器で武装したマフィア集団を生身のまま刀一本で殲滅した男がいると…。確かその男の呼び名は…『ジェットストリーム・サム』!」
サム「へぇ、知っているとは光栄だ。俺も知ってるぜ?刀の一振りで敵を100人斬り倒したという男…。確か『村雨の信乃』…お前だな?」
信乃「こちらこそ光栄ですね…だが、この勝負は譲れないッ!」
サム「それはこっちもだ!」
水圧カッターと炎剣の衝突でまた水が蒸発し、大量の水蒸気が発生する。
信乃(だがリーチはこっちの方が勝っている…!これなら…!)
サム「『だがリーチはこっちの方が勝っている…!これなら…!』そう思っていたか?」
水蒸気で何も見えない中、サムが突然そう言った。
信乃「ッ⁉︎」
サム「違うな、ここからだ!焼き尽くせ、『ムラサマ』!」
ゴゥッ!と炎が周囲の水蒸気を更に焼き尽くし、サムの周りの温度が急激に上昇した。
信乃「くっ…!」
サム「そらよっ!」ドゴォォォン!
サムの刀、『ムラサマ』が起こした炎による爆炎の中から、サムが信乃に向かって飛び込んで来た。
信乃「なっ…ッ⁉︎」
サム「ハッ!」ボォッ!
サムの『ムラサマ』の猛攻を信乃は『村雨』で防ぐ。『ムラサマ』の炎は先程よりも大きくなり、『村雨』が帯びている水圧カッターを蒸発させていく。
信乃「ハァァッ!」
しかし、信乃も負けていない。更に『村雨』の水圧カッターが迸り、『ムラサマ』の炎を鎮火させようとする。
サム「やるな…!だがこれで決める…ッ!」
信乃「それはこっちも…ッ!」
二人は同時に間合いを取り、同時に納刀した。居合い斬りによる一騎打ちに勝負に出たのだ。
だが、
ヤクザ達「坊っちゃん!」「ぐぁああぁぁ‼︎」「がぁっ‼︎」
仲間達の悲鳴に信乃は気づいた。
信乃「これはッ…!若…!」
信乃は承一郎達を案じて、集中が切れた。
それをサムは興が逸れたような目で見ていた。
サム「…つまらないな、集中し切れてないお前と一騎打ちをするなんてな」スッ
サムは『ムラサマ』を引き抜かず、そのまま構えを解いた。
信乃「…攻撃しないのですか?私はあなたの敵ですよ?」
サム「お前との戦いが楽しくてな。俺は待ってやるよ、依頼の都合上あんたらに加勢は出来ないけどな。終わったら決着をつけようぜ」
信乃「…恩に着る!」ダッ!
信乃はビルに向かって走った。
承一郎「ヤロォォォ〜〜〜ッ‼︎」ビシュッ!
承一郎はナイフや足に刺さった釘を抜いて男達やバブル犬に投げつける。
承一郎「うぉぉおおぉぉおッ‼︎」ダァン!ダァン!
銃を撃ち込んで、少しでも数を減らしていく。仲間を救う、それだけを考えて敵を倒す。
しかしその努力は虚しく、次々と仲間達が倒れていく。
承一郎「マイク・Oーーーーッ‼︎」
承一郎はマイク・Oに向かって吠える。
マイク・O「フン、恨むのなら自分を恨むんだな!自分の無力さを!お前は何の世界も守れないのだ!自分の身さえもな!」
マイク・Oの前に男達が銃を構え、承一郎に向ける。
マイク・O「おそらく気づいていないとしたら貴様の『体の中』にあるだろう、なら問題ない。貴様を殺し、あのお方の『遺体』を奪い取ればそれで世界は収まる!」
承一郎「くっ…!」
マイク・O「…撃て!」
ダダァン!ダァン!ダダダァン!ダダァン!
銃口から一斉に弾丸が発射する音が炸裂する。承一郎は次の瞬間にくるであろう弾丸の痛みを耐えようと目を瞑った。
だがいつまでも来ない痛みに不審に思い、目を開けた。すると、
信乃「…若……」
多くの弾丸で体を抉られた信乃が、承一郎の目の前に立っていた。
承一郎「…信乃…ッ!」
はい、MGRから『ジェットストリーム・サム』が登場ッ‼︎
取り敢えずスタンド刀、『ムラサマ』のプロフィールだ‼︎
ムラサマ
ステータス
【破壊力-B(鞘のブースト時-A)/スピード-B(鞘のブースト時-A)/射程距離-E/持続力-A/精密動作性-D/成長性-D】
先祖代々サムの家に伝わる村雨と同じタイプのスタンド。炎を帯びて、強力な攻撃を放てる。
鞘は火薬の爆発力を用いてスパイクを打ち出し、スパイクに押し出される形で太刀が飛び出す高速の抜刀を可能にする機構を備えている。
少年は立ち上がる。喪った痛みを乗り越えて、『
次回、『