昨夜、疲れ果てて泥のように眠ってしまったシャルロットは朝早くに目が覚めた。
一瞬ここがどこだか分からずに混乱したが、銀色の刺繍が施された緑の掛け布団を見て全てを思い出す。
起床の時間まで少し時間があったが、シャルロットは周りの皆を起こさないようベットを抜け出した。
談話室は静まり返り、湖を通して柔らかな朝日がほんのりと入っている。
スリザリンの談話室は、湖の下の地下牢に位置するため、どうしても暗いイメージを持たれがちであるが、そんなことはない。
荒削りのゴツゴツした石で囲まれた談話室はむしろ温かみがあって落ち着くし、明かりの全てが緑と銀色のランプで出来ているのも洒落ている。シャルロットは既にここが気に入り始めていた。
窓に押し寄せる水音は心休まるし、まるで小さなアクアリウムのようだ。
誰もいない談話室でゆっくりすることも考えた。が、せっかくなので廊下に出てみることにした。
石の扉を開けて、ひんやりとした地下牢の廊下に出る。
すると、廊下に黒髪の男性が歩いてるのを見つけた。
あの人は。
「レギュラスおじ様・・・じゃなくて、ブラック先生!」
「気をつけなさい、プリンス。 公私の区別は付けなければいけないよ」
シャルロットが駆け寄ると、レギュラスは有無を言わさない厳しい口調で諭した。
ゴーストさえ彷徨いていない早朝だというのに、既にレギュラスはぱりっとしたローブを着ている。
「ごめんなさい」
シャルロットは素直に謝った。するとレギュラスは、まるで少女のような華奢な手をぽんとシャルロットの頭に置いた。
「・・・とは言え、今はまだ誰も起きていません。 私の部屋でコーヒーでも1杯いかがです、
シャルロットは、ぱあっと顔を輝かせた。
「えぇ、もちろん!」
「おいで」
レギュラスに導かれ、談話室の近くに位置する彼の部屋へと入った。
テーブルと2つの椅子。シンプルなベットに、整頓された本棚。最低限の日用品。
物が少なくこざっぱりとした部屋は、レギュラスの性格そのままに思えた。
部屋の中は、コーヒー豆の匂いで満たされている。シャルロットは胸いっぱいに吸い込んだ。
「入学おめでとう、シャルロット。 君がスリザリンに入ってくれて嬉しいです」
レギュラスは淹れたてのコーヒーをシャルロットの前に置いた。
ミルクと砂糖をたっぷり入れて、コーヒーを飲むシャルロットを見てレギュラスは柔らかく笑った。
「えぇ。パパと同じグリフィンドールも悪くなかったけど・・・スリザリンの談話室はとても素敵だわ」
「セブルスも、スリザリンの素質はあったんです。 組み分け帽子はスリザリンにしようとして、すんでのところでグリフィンドールに変えたらしいけれど」
レギュラスの言葉から、セブルスもスリザリンに入ってほしかったと思っていることが窺えた。
「ダリアお祖母様は元気にしているのかな? 暫くご挨拶に行ってませんが・・・」
「えぇ、元気よ。 今は屋敷にメアリーしかいないから寂しい思いをしてないといいけれど」
1年のほとんどをホグワーツで過ごすレギュラスだが、未だに休暇はプリンス家の別邸で過ごしている。
シリウスと違い、気品があってスリザリン出身のレギュラスはダリアのお気に入りだった。
シャルロットは知る由のないことだが、レギュラスは深く深くプリンス家に恩義を感じている。
もともと一度落としたはずの命だった。信奉していた闇の帝王に失望し離反し、そして因縁を解く間もないままに彼は消えた。途方に暮れていたレギュラスに居場所を与えたのは、ダリアであり、セブルスであり、そしてレギュラスが何者であったかを知らない
その感謝の気持ちに、今も変わりはない。
「そうですか。 暇が出来たら、プリンス家に行ってみます。 ・・・シャルロットはどの授業が楽しみなの?」
「もちろん、魔法薬よ!」
すると、レギュラスは少し申し訳なさそうな顔をした。
「お父さんの授業を楽しみにしているのに申し訳ないですが・・・セブルスが忙しくてね。 初回の魔法薬の教師は私なのですよ」
「あら、そうだったの。 でも、レギュラスおじ様の授業も楽しみだわ」
これは本心だった。
時計を見ると、もう起床の時間だ。何も書き置きをしていないので、ベットの中に自分が居なかったら皆が驚くだろう。
「さあ、そろそろ談話室に帰りなさい」
レギュラスにも促され、部屋を出た。
寝室に戻ると、皆寝ぼけ眼でローブに着替えていた。
寝起きが悪いらしくベットにかじりつくミリセントを、パンジーが無理矢理起こしている。
「あ、シャル! どこ行ってたのさ。今探しに行こうとしてたんだよ」
ダフネが欠伸を噛み殺しながら言った。
「目が覚めちゃったから、ちょっと散歩に」
特別扱いされてると思われるのは嫌なので、レギュラスと会ったことは伏せた。
「ちょっと2人とも! 呑気に話してる暇があるなら、ミリセント起こすの手伝いなさいよ!」
パンジーが泣きそうな声で言った。
魔法薬の教室は同じく地下牢に位置している。
所狭しと色々な瓶が並ぶその部屋は、薬品保存のためか窓がなく暗い印象を受けた。
敵対するグリフィンドールとの合同授業ということで、多くの生徒がギスギスとしている。そんな中で、もちろん例外も居た。
「おはよう、ドラコ。 シャル。 君たちと寮が離れて残念だな」
ローブを着崩して赤と金のネクタイを緩く締めたハリー・ブラックは、ドラコとシャルを見つけるとヒラヒラと手を振った。
「ハリー、だらしないぞ。なんだ、そのローブの着方は。 ブラック家らしく身嗜みはしっかりしろよ」
「分かってないなぁ。 これがお洒落なんだよ。 で、スリザリンはどう?」
「うん、静かで落ち着いていて悪くないね。まあ君はグリフィンドールだと思ってたよ。シリウスおじ様も大喜びだろ」
組み分けの時はあんなに拗ねてたくせに。
シャルロットは喉までその言葉が出かかったが、ドラコの名誉のために黙ってあげることにした。
「それ言ったら、シャルの
「大喜びだったわよ。 セレスに手紙持たせたら、すぐに返ってきたわ」
楽しく談笑をする3人を、ロンは気に入らなそうに見つめ、パンジーとミリセントも眉を吊り上げている。
とは言え、ハリーも養子とは言えブラック家の息子。冷静に考えれば、純血の名家同士が仲良いのはそんなにおかしなことではないのである・・・が、やはり寮の因縁は深い。
ふとシャルロットは、見覚えのある女の子が前の端っこの席に1人で座っているのを見つけた。
「おはよう、ハーマイオニー。 昨日はよく眠れた?」
「あ、あら。シャル・・・おはよう」
本を読んでいたようで、ハーマイオニーは少し驚いたようだった。
ちらりと本の内容を盗み見ると、2年生の教科書。マグル育ちなのに、もうここまで勉強してるなんて。
この子には負けたくないなと、シャルロットの中でプライドに火がついた。
もう少しハーマイオニーと話したかったが、ちょうど扉が開きレギュラスが入ってきたのでシャルロットは席に戻った。
「おい。 やめろよ、マグル生まれと仲良くするのなんて」
ドラコがこそっとシャルロットに耳打ちした。
「あら、何で? 彼女はきっと、とても頭がいいわよ」
さらにドラコは何か言おうとしたが、既にレギュラスが来ていたため何も言わなかった。
「申し訳ないが、初日からスネイプ先生は都合が悪いらしいので、本日の授業は私が受け持ちます。 早速教科書を開いて」
素っ気なくレギュラスは言い放った。
慌てて皆はパラパラとページを捲る。が、グリフィンドールの後ろの方の席からクスクスと笑う声が聞こえた。
「ハリー・ブラック。 いつまで友人と喋っているのですか。 それほど余裕なら、アスフォルデの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか答えてもらいましょう」
ハーマイオニーがピンと手を挙げた。
1年生で習う内容のものではないのに、大したものだ。シャルロットも負けじと手を挙げた。
ハリーはちょっと悔しそうに黙っていた。
「ブラックは分からないようだね。 それでは、ミス・プリンス」
「はい、生ける屍の水薬です」
「素晴らしい。 スリザリンに5点」
レギュラスは満足そうに、頷いた。
スリザリンの生徒もシャルロットを羨望の眼差しで見つめた。
「では、ブラック。 ベゾアール石を見つける際、どこを探せばいいかわかりますか」
「いいえ、わかりません。ブラック先生」
ハリーが『ブラック先生』というところに皮肉を込めて言う。関係上は叔父にあたるというのに、ハリーはシリウスの影響もあってかレギュラスを嫌っていた。
「それでは・・・・・・ミス・グレンジャー?この問題が分かるというのですか?」
レギュラスは少し驚いたように、グレンジャーを指名した。
ハーマイオニーは嬉しそうに立ち上がる。
「はい、ブラック先生! ベゾアール石は山羊の胃の中から見つかります」
「・・・合っています。 グリフィンドールに5点。 それではミスター・ブラック、最後にもう1つ。 モンクスフードとウルフスベーンの違いは?」
またしても、シャルロットとハーマイオニーが手を挙げた。
ハリーは黙っている。
「わからないようだね。それでは・・・次はミス・プリンス」
「両方とも同じものです、ブラック先生」
「素晴らしい。 スリザリンに再び5点。 ハリー・ブラック、出来もしないのに騒ぐのは迷惑です。 グリフィンドール10点減点。 次からは出て行ってもらうのでそのつもりで」
ハリーはプライドを傷つけられたらしく、レギュラスを睨みつけた。
その一方でハーマイオニーはせっかく自分が点を稼いだのに、ハリーが減点されたので嫌な顔をしていた。
その後は、おできを治す薬という簡単な調合に取り組んだ。
2人1組だったため、シャルロットはダフネと組んだ。まともに調合できてない組が多かったが、シャルロットの作った薬は完璧だったためダフネにとても感謝された。
時間が余ったたため、ドラコとノットの薬を見てあげていると、突如爆発が起こった。
どうやらグリフィンドールの机らしい。
「何をしているのです、ロングボトム! ああ、大鍋を火から下ろさないうちに山嵐の針を入れましたね?」
ネビル・ロングボトム。
汽車の中でヒキガエルを探していた子だ。可哀想なことに、もろに薬を被ったらしく顔が酷いことになっている。
レギュラスは杖を振って、周りに零れた薬を取り除いた。
「ブラック、君は隣りで見ていたのにこれを注意しなかったのですか? なかなか素敵な性格をしていますね。 …彼を医務室に連れて行きなさい。 グリフィンドール5点減点」
レギュラスがハリーと目を合わせずに言う。
ハリーは何か言い返そうとする素振りを見せたが、ネビルを医務室に連れていく方が先だと判断したらしい。レギュラスをもう一度睨むと、ネビルを連れて部屋を出ていった。
「うーん、今のはちょっと理不尽かしらね」
「もう少し仲良くできないものか? 全く・・・ハリーも子どもだな」
ドラコは大人びた口調で偉そうに答えた。
魔法薬の後の午後は、授業が入っていない。
あちらこちらで漸く1週間が終わったことに、ほっとしている1年生が多かった。
セブルスの影響で魔法薬こそ完璧にこなせたものの、他の授業はまちまちだった。
特に変身術のマッチを針に変える魔法は、もう少しで上手く行きそうだったが結局色しか変えられなかった。
図書館にでも行ってみようか。
そんなことを考えながら昼ご飯のミートパイを咀嚼していると、後ろから肩を叩かれた。
「やぁ。ハグリッドにお茶に誘われてるんだけど、シャルもどう?」
振り返ると、ハリーと・・・少し複雑そうな顔をしたロンが居た。大方スリザリンの奴と過ごすのは嫌だけど、シャルロットはまだマシだしハリーの幼馴染なら仕方がない。そんなところだろうか。
「楽しそうね。ぜひ行くわ」
「そう来なくちゃ! ドラコも行くだろ?」
ハリーの言葉に、今度はロンが露骨に嫌な顔をした。
ドラコも食事の手を止めて、ロンを一瞥する。
「・・・いや、遠慮するよ。 僕はあまりハグリッドには好かれてないみたいだし。 それに父上の耳に入ったら叱られるからな」
本人は飄々と答えていたが、シャルロットにはドラコの言葉が寂しいものに思えた。
「そんなことない。 ハグリッドは、ドラコのことをよく知らないだけなんだ。 ・・・ただ、ドラコのパパが怒るなら仕方ないね」
ハリーもドラコを気遣ってか無理強いはしなかった。
ドラコと分かれたハリー、ロン、シャルロット一行は玄関ホールを出ると中庭へ出た。歩いてる間中、ハリーとロンはずっとレギュラスの悪口を言っていたのでシャルロットは少し居心地が悪かった。
「まあ、でもレギュラス先生は代理だろ。 セブルスおじ・・・いや、スネイプ先生はグリフィンドールだから贔屓してくれるよ」
シャルロットはうっかり『セブルスおじさん』と呼びそうになったハリーを軽く小突いた。有難いことに、ロンは全然気付いていないようだ。
「ハリーもブラックだし、ブラック先生もブラックだし紛らわしいなぁ」
ロンがぼやいた。
ちなみにハリーの認識は甘く、セブルスは魔法薬に関しては身内贔屓は一切しない人だと、彼が改めて理解するのはもう少し後の話である。
ハグリッドとはブラック邸に遊びに来た時に会ったことは何度もあるが、家へ行くのは初めてだ。
ハグリッドの家は禁断の森のすぐ近くに建っていた。
畑に囲まれた小さな家は、牧歌的だった。
木で出来た扉をノックすると、中からガリガリと引っ掻く音がした。
「こら、ファング。やめんか!退がれ!」
ハグリッドは大きなボアーハウンド犬の首輪を押さえながら、3人を部屋に招き入れた。
部屋の中はキジやらハムがぶら下がり、火にかかったヤカンがカタカタと楽しげな音を立てている。そして、何よりベッドの大きさにシャルロットは驚いた。
「やぁ、ハグリッド。こっちはロンだよ」
ハリーが紹介した。
「その赤毛はウィーズリー家の子だな。 おまえさんとこの双子の兄弟を森から追っ払うのに俺は人生の半分を費しているようなもんだ! ほら、シャルも座ってくつろいでくれや!」
ロックケーキは歯が欠けるほど固かったが、3人は美味しそうな振りをした。シャルロットは温かい紅茶を飲みながら、ハリーが授業のことを話しているのを聞いていた。ファングが構ってほしそうに、シャルロットの足を鼻でつつく。
「そういえばさ、ハグリッドは4階の廊下に何があるか知ってる? 僕、そのうち夜中探検に行ってみようかなぁ」
和やかなお茶会だったが、ハリーが4階の右側の廊下の話をすると、ハグリッドが動揺したようにお茶をこぼした。
「そんなことしちゃいけねぇ!」
あまりの大声に、シャルロットやロンを始めファングまでピクリとした。
「・・・え? もしかして、ハグリッド本当にあそこに何があるか知ってるの? ねぇ、教えて教えて!」
ハリーが眼鏡の奥で目をキラキラと輝かせて、身を乗り出した。
その時、まるで示し合わせたかのようにティーポットカバーの下から一枚の紙がひらりと落ちた。
どうやら、新聞記事の切り抜きらしい。題名は『グリンゴッツ、侵入される!!』とあった。
ハリーは宝物を見つけた少年のように、悪戯っぽく笑った。
「ハグリッド、普段新聞なんて読まないよね? ねぇ、もしかしてこの盗まれた物と4階の廊下って何か関係があるの?」
ハグリッドは何も答えなかった。
レギュラスは眉間の皺をとんとんと指で叩いた。
魔法薬は、困難かつ繊細な分野だ。そのため、才能も出やすく初日の課題から酷い出来の生徒も居れば、ほぼ完璧な生徒も居た。
血筋なのか本人の努力か、シャルロットの出来が素晴らしいのは勿論だが、グレンジャーという苗字の少女もなかなかの出来だった。
レギュラスはブラック家の次男だ。
マグルを排除すべき下等生物だと考えていた時期も、確かにあった。
しかし、未だ自分の中にマグルへの偏見は燻っているものの、教壇に立ち千差万別の生徒と関わるうちにその考えは薄れていた。
不意に、自室の扉がノックされた。
しかし、レギュラスは驚かなかった。この時間に人と会う約束をしていたからだ。
「どうぞ、セブルス」
レギュラスが声をかけると、扉ががちゃりと開いた。杖を一振りして、ウィスキーのボトルとピカピカに磨かれたグラスを2つ取り出した。もう1度杖を降ると、宙に浮いたボトルがトクトクとグラスにウィスキーを注いだ。
「初日から代理を頼んですまなかったな」
「構いませんよ。 学会はどうでした?」
すると、セブルスは眉をしかめてウィスキーの入ったグラスを一気に呷った。
「変わり映えはしないな。 新しい学術の発展より、自分の権力を大切にしてるような奴らばかりだ」
不機嫌そうにセブルスはウィスキーをもう1杯注いだ。
「そっちはどうだった?優秀な生徒は・・・居たか?」
自分の娘を思って少しソワソワするセブルスに、レギュラスは思わずクスリと笑った。それは貴族のような品のある笑い方だった。
「えぇ、シャルが勿論一番ですよ。やはりプリンス家の血筋ですかね」
レギュラスの言葉に、セブルスは思わず破顔した。
魔法薬学のことしか頭にない研究者気質の普段の彼と違う、父親の一面であった。
「そうか。 やはり、シャルが一番か」
「えぇ。 ただ、他にも才能を感じる生徒は何人かいました。 特に・・・グレンジャーという生徒をご存知ですか? マグル生まれのようですが、なかなか良い出来でした」
「あぁ、既に教員の中で有名だ。 ミネルバのマッチを針に変える課題をクリアしたらしいからな」
セブルスは軽く頷いた。
毎年マクゴナガルはこの課題を一年生に課すが、初回で上手く行く生徒は殆どいないのだ。
「それはなかなかですね。 全く・・・それに比べてハリー・ブラックと言ったら。 完全に兄上の良くない影響を受けていますね。憎らしいこと、このうえない」
レギュラスは相当苛付いてるようだったが、セブルスは思わず苦笑してしまった。
自身はまだ授業を行ってないが、教員の間から又聞きしたハリーの噂があまりにもジェームズにそっくりだったからだ。
「・・・聞いていますか、セブルス? ダンブルドアの頼みでなかったら、あんな男のお守りなんてまっぴら御免ですね」
「そんなことは言わないでくれ。 確かにダンブルドアの頼みでもあるが・・・私からの頼みでもあるんだ。 私はホグワーツを空けることが多いからな。 ハリーももちろんだが、シャルのことも見守っていてくれ」
「それはもちろん。私にとっても、シャルは大切な存在ですから。・・・もし、ハリー・ブラックかシャルロット、どちらかしか助からないとしたら私は迷わず後者を選びますよ」
酒が入っているせいか、さらりと過激な発言をしたレギュラスに、セブルスは喜んでいいのか諭すべきか複雑そうな顔をした。が、彼もまた酔っていたので細かいことは気にしないことにした。
「引き続き、クィレルの動向を見張ってくれ。 頼むぞ、レギュラス」
「御意」
どこかで、フクロウがホゥと鳴いた。
風もない穏やかな夜。
2人の男は再び酒を満たすと、チンと音を立ててグラスを交わした。
感想で、スネイプ先生の授業を楽しみにしていた方ごめんなさい( ̄▽ ̄;)
シリウスの死ぬシーンが辛すぎて、録画した不死鳥の騎士団が見れません。