例えば、組み分け帽子が性急じゃなくて。   作:つぶあんちゃん

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子どもは親にそっくり

謎の屋敷しもべ妖精から襲来を受けたハリーだったが、夏休みはそれ以外特に変わったことはなかった。

 

夏休みの後半、ハリーはロンの家『隠れ穴』に遊びに行った。ロンは自身のボロくて狭い家にコンプレックスを抱いていたようだが、長年シリウスとアンの3人で暮らしていたハリーには大家族というのはとても新鮮で羨ましいことだった。

『隠れ穴』に居る時に今年の教科書リストが届いたので、ハリーもウィーズリー一家と共にダイアゴン横丁に連れていってもらうことにした。向こうではハーマイオニーとも会うことになっていた。

 

ダイアゴン横丁は夏休みということもあり、どこもかしこも人でごった返していた。

ハーマイオニーの両親はダイアゴン横丁に来るのは初めてらしく、物珍しそうにキョロキョロとしていた。

 

「ねえ、ハリー! このあと残りの教科書買ってもらうのよ! 一緒に来て!」

 

晴れて9月から入学するジニーは、ハリーの手を引っ張った。

憧れのホグワーツにとうとう入学できるということで、ジニーはずっと興奮状態だ。

 

「まるで貴方がお兄ちゃんみたいね、ハリー?」

 

ハーマイオニーはその様子にクスクスと笑った。

『隠れ穴』に来てすぐはハリーに会う度に真っ赤な顔をしていたジニーだが、ハリーがそれを面白がって構ったため、今ではすっかり彼に慣れていた。ずっとジニーはハリーの後をくっついて回り、まるで子犬のように懐いている。

ハーマイオニーの言葉に、ロンはちょっと面白くなさそうに鼻を鳴らした。

 

「…まあ、僕たちも教科書買わないとだしね。 皆で一緒に行こうか」

 

「そうね。 でも、本のほとんどがギルデロイ・ロックハートのものよ」

 

「多分新しい『闇の魔術に対する防衛術』の教師は魔女だぜ。 それも熱狂的なファンだな」

 

ロンは自身の家庭の出費を考慮してか、少し忌々しげに言った。ロックハートの本のせいで、ジニーの新しい教科書は半分くらい中古品なのだ。

 

「ハリー、あなたはこの人の本読んだことある?」

 

「ない。 でも、シャルが昔『雪男とゆっくり1年』読んでたよ。 現実に起きたこととは思えないって言ってたけど…」

 

ハリーの言葉は最後まで続かなかった。フローリシュ・アンド・ブロッツ書店に着いたものの、そこには人だかりが出来ていたからだ。

こんなに混んでいるのは初めて見た。

 

書店の窓にはでかでかとした横断幕が掲げられている。

 

『サイン会 ギルデロイ・ロックハート 自伝「私はマジックだ」』

 

人集りの殆どはウィーズリー夫人くらいの年齢の魔女だった。

 

ハリー、ロン、ハーマイオニー、そしてジニーは急いで本を選ぶと、列に並んだ。

 

ロックハートの座る机の周りには、自分自身の大きな写真がこれでもかというくらい貼られ、写真はひっきりなしにウインクを振りまいている。本物のロックハートは瞳の色とぴったりの忘れな草のローブを着て、波打つ髪に三角帽を小粋な角度で被っている。人気ぶりからも窺えるように、確かにハンサムだ。

 

日刊預言者新聞のカメラマンが、ロックハートが白い歯を見せる度にカシャリと音を立てていた。

 

ふとこちらをロックハートが見た。と次の瞬間、その目を大きく見開いた。

 

「あなたは、ハリー・ポッターではありませんか!」

 

その声にざわついていた店内は静かになり、人垣はハリーを中心にぱっくりと割れた。

 

有名人に名を覚えられていたのが嬉しかったのか、ハリーは自ら一歩前に出た。

ロックハートはハリーの手を引き正面に出すと、カメラの正面で握手をして見せた。

 

「さあ、ハリー。 にっこり笑って! 明日は、君と私で一面大見出し記事ですよ」

 

長い撮影が終わると、ロックハートは今年の『闇の魔術に対する防衛術』の教師は自分であることを発表した。

そして、いかにもハリーが長らくロックハートのファンであったような物言いをした。最初は調子に乗っていたハリーだが、だんだんとその表情が曇る。

 

「ラッキーじゃないか。 ロックハートの全著書もらえるなんて」

 

漸くロックハートに離してもらえたハリーに、ロンはニヤニヤと言った。

 

「最初は悪い気分はしなかったけど…何かだしに使われたみたいでムカついた」

 

ハリーはげんなりしていた。

未だ、モリーや他の中年魔女たちはロックハートに黄色い悲鳴を浴びせている。

 

「君はロックハートに興味ないの?」

 

「そうね。 少なくとも彼は私のタイプじゃないわ」

 

人混みを抜けて店を出ると、ハリーがハーマイオニーに訊いた。すると、彼女はあっさりそう答えた。

 

「へえ。 そういえば、今まで聞いたことなかったな。 君の好きなタイプってどんな人なの?」

 

ハリーのその言葉に、ハーマイオニーの脳裏に1人の男性が浮かんだ。

 

すっきりした目元に鼻筋。さらりとした黒髪に、まるで美術品のような美しい手。…そうだ。彼はその手で自分を危険から守り、目をそっと覆って--。

 

「おい、ハリー。 ハーマイオニーに限って好きなタイプとかないだろ。 あいつは本が恋人なんだから」

 

ロンのからかうような言葉で、ハーマイオニーは物思いから抜けた。

今自分は、一体誰を思い浮かべていた?

 

「し、失礼ね! あなたには言われたくないわよ、ロン!」

 

ロンとハーマイオニーが口論をしていると、背後から気取ったような聞きなれた声がした。

 

「相変わらず有名人じゃないか、ハリー・ブラックくん」

 

振り返ると、プラチナブロンドの髪に相も変わらず青白い顔。ドラコ・マルフォイがニヤッと笑った。隣りにはシャルロットもいる。

ロンがドラコの顔を見て、小さく舌打ちをした。

 

「ドラコじゃないか! シャルも! 君たちも来てたのかい?」

 

ハリーが2人に抱きつく。

ドラコとシャルロットは既にたくさんの荷物を抱えていた。

 

「あぁ。 セブルスおじ様は忙しいからね。 父上がシャルも一緒に買い物に連れてきたんだよ」

 

ドラコとシャルの後ろには、ルシウスもいた。

 

「これから父上に競技用の箒を買ってもらう予定なんだ」

 

「えっ、ずるい! 君は僕とお揃いのニンバス2000あるじゃないか! 抜け駆けする気かい?」

 

むくれたハリーに、ドラコは自慢げにニヤニヤ笑う。

 

「もう…そんな何個も箒持ってたって仕方ないじゃない」

 

シャルロットは呆れたようにそう言うと、言葉を続けた。

 

「でも、ハリー。 あなたに会えてよかったわ。 もしかしたら、汽車の日まで会えないかと思ったもの」

 

「今日は君も誘おうと思ったんだけど。 シリウスおじ様に聞いたら、君がその…ウィーズリーの元に居ると聞いてね。 大丈夫かい? まともなもの食べさせてもらってたかい?」

 

「どういう意味だよ、マルフォイ!」

 

またしても一触即発の2人に、ハリー、ハーマイオニー、シャルロットはやれやれと呆れた。こういうのを犬猿の仲と呼ぶのだっけ。

 

「えっと…ルシウスおじさん、お久しぶりです」

 

ハリーがルシウスに話しかけると、ロンは信じられないという顔をした。

 

「…ハリー、君の交友関係に口出しする気はないがね。 君は仮にも(・・・)ブラック家だろう? そのような連中と一緒に居るのは感心しないね」

 

ルシウスは侮蔑的にロンを見やりながら言った。

思わずハリーが何かを言い返そうとしたその時。

 

「おーい、みんな。 無事に教科書は買えたかね?」

 

アーサーが人混みを押し分けて店から出てきた。脇にはグレンジャー夫妻もいる。

人懐こい笑顔も、ルシウスを見つけると瞬く間に引っ込んだ。

 

「…ルシウス。 私の子どもたちに何をしていた?」

 

「これは、これは…アーサー・ウィーズリー」

 

ルシウスはぞっとするような薄笑いを浮かべた。

 

「魔法省はお忙しいらしいですな? あれだけ何度も抜き打ち調査をするとは…当然、残業代は支払われているのでしょうな?」

 

「はて。 後ろめたいことがないなら何度調査をされても困らないはずだが?」

 

ドラコとロンも仲は悪いが、それはたかが子ども同士の喧嘩だ。しかし、ルシウスとアーサーはその比ではなかった。

 

真夏だというのに、冷ややかな空気が流れる。

ルシウスは、アーサーの隣りでハラハラしながら事の成り行きを見守るグレンジャー夫妻を一瞥した。

 

「…このような連中とつるむとは、とことんあなたも落ちるとこまで落ちましたな」

 

「なんだと!?」

 

ルシウスの嘲笑に、とうとうアーサーの堪忍袋の緒が切れた。

アーサーはルシウスに掴みかかった。負けじとルシウスも拳を振り上げる。・・・取っ組み合いの喧嘩だ。

 

ハーマイオニーやシャルロット達、女性陣が悲鳴を上げた。

フレッドとジョージは拳を突き出して父親を応援している。

 

 

「お辞めください、父上!」

「辞めてよ、パパ!」

 

 

先程まで反目し合っていた2人の声が珍しく合致した。

 

「ルシウスおじさん、アーサーおじさん! 落ち着いてよ! やめて!」

 

両方の父親と親交のあるハリーもどうにか止めようとした。しかし大の大人2人の喧嘩である。所詮子どもでは止められない。

 

 

「何をしとるんだ、おまえたち!」

 

 

漸く喧嘩を止めてくれたのはハグリッドだった。荒々しく、2人が引き離される。ルシウスは唇を切り、アーサーは目の上に痣ができていた。

 

「ハ、ハグリッド!」

 

「よぉ! おまえら皆揃って、買い物かい?」

 

ハグリッドは一瞬だけニコッとこちらに笑うと、またしても険しい顔で大人の方を向いた。

 

「一体、いい大人が道の真ん中で何をしとったんだ」

 

「…離してくれたまえ」

 

ルシウスが乱暴にハグリッドの手を振り払う。彼の足元には、ジニーが買ったはずの中古の『変身術入門』が落ちていた。先程の喧騒で落としたのだろう。

ルシウスはそれを掴むと、ジニーの大鍋に投げ入れた。

 

「ふん…君の家ではそれを買うのがやっとのようだ」

 

ジニーは耳まで顔を真っ赤にした。

ルシウスはそう吐き捨てると高級そうなローブの皺を直しながら、さっさとその場を去った。

 

「えーっと…じゃあ、またな。 ハリー」

「ロンとハーマイオニーも…また汽車でね」

 

気まずそうな顔でドラコとシャルロットは早口で言った。そして、慌ててルシウスの後を追いかけて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖マンゴ魔法疾患傷害病院、最上階の特別室。

 

面会時間ギリギリの夜更け。

セブルスは疲れた足取りで、部屋に入るとベッド脇に用意されている椅子にどっかりと座った。

 

部屋には特別な魔法がかかっていて、許可された人しか入れない。

世間の好奇の目を嫌ったプリンス家の意向により、一般人はもちろん聖マンゴでもこの特別室の存在を知る者は少ない。聖28一族でもないプリンス家がこのような破格の待遇を受けられることが出来たのは、ひとえに祖父エルヴィスの無二の親友だったアブラクサス・マルフォイのおかげだろう。

 

一方で、プリンス家の財産はあると言えど特別室の料金は高い。それにシャルロットの学費や将来のための貯金もしなければならない。

そこそこ華やかな暮らしはしているものの、そこまでプリンス家に金銭のゆとりがあるわけではなかった。

 

それでもシャルロットに何一つ不自由はさせず、貴族らしい生活が出来ているのは、やはりセブルスの魔法薬の研究成果に尽きる。

しかしその忙しさで娘に寂しい思いをさせているのは事実であって、去年学期末に保健室で言われた言葉と共に罪悪感が胸を苛んだ。

 

「今年もシャルロットをダイアゴン横丁に連れて行けなかったよ、レイ」

 

ほとんどの子どもが親と買い物をするダイアゴン横丁。シャルロットは、きっと寂しく思っただろう。

 

目の前に横たわるレイチェル・プリンスは何も答えない。ただシューシューと呼吸音だけが部屋にこだまする。

眠りについた当時は肩の長さまでしかなかった髪は、たまに手入れはしていても今では腰まで伸びている。それは彼女がまだ生きていることの証明に他ならず、セブルスはもどかしい焦燥感に狂いそうになる。

 

「レイ…頼むから目を覚ましてくれないか。 思春期の娘は、父親1人では手に負えそうもないのだ」

 

セブルスは寂しそうにくしゃりと笑い、レイチェルの金髪を手で梳いた。

 

保健室の一件以来、セブルスとシャルロットの親子関係は未だギクシャクとしていた。

もともとセブルスの仕事の忙しさもあり、家庭の団欒は少ない方だった。しかし、最近は明らかに娘に避けられていた。

 

シャルロットも今年で12歳になった。

それに去年ホグワーツに行った1年で、世界も広がり大人に近付いたのだろう。反抗期を迎えるのも仕方ないのだろうか。

 

セブルスはレイチェルの頬を撫でるように触れた。とても温かかった。その感触に涙が溢れそうになった。

 

カタン、と扉が開く音がした。

シリウス・ブラックが、黄色と赤の淡い花束を持って部屋に入ってきた。しかしセブルスが居ることに気づくと、足が止まった。

 

「あー…日を改めるか?」

 

セブルスから視線を外し、ちょっとバツが悪そうに彼は言う。

気遣い下手な友人のその態度に、セブルスは柔らかく微笑んだ。

 

「いや、大丈夫だ」

 

セブルスがそう返すと、シリウスは部屋に入り、慣れた手つきで花瓶の花を入れ替えた。

リーマスもそうだか、シリウスもお見舞いに来る度に花束を持ってきてくれる。

 

「…おまえも忙しいだろう。 毎週来なくても大丈夫だぞ」

 

「俺の好きで来てるんだから口出しすんなよ」

 

こんなやり取りをもう何年も続けている。シリウスはセブルスの隣りに椅子を出すと、腰を下ろした。

 

レイチェルが倒れてから、毎週必ずシリウスはお見舞いに来る。

シリウスがレイチェルの一件を負い目に感じているのは気付いている。レイチェルのことだけではなく、ジェームズとリリーの死も。

 

自分が『秘密の守り人』をピーターと代わらなければ--。

 

今でもシリウスがそう後悔してるのは、痛いほど伝わっていた。

 

時間が多少解決してくれたものの、シリウスもまた過去の戦争で酷く傷付き苦しんだ。「お互い、一番しんどい時に子どもたち(ハリーとシャル)に救われたな」と、シリウスは以前酒を飲んだ時に洩らした。確かに忙しい子育ては、悲しみを忘れさせ傷の痛みを癒してはくれた。

 

「…今日も仕事だったのか?」

 

「ああ。今年もシャルに寂しい思いをさせてしまったな」

 

シリウスの質問に、セブルスは呟くように返した。

 

「今日ルシウス・マルフォイにシャルを預けたんだってな?」

 

「そうだが…何故知ってる?」

 

セブルスが驚くと、シリウスは今日ハリーもウィーズリー家と共にダイアゴン横丁へ行っていたことを話して聞かせた。

そして、そこで起こったことも。

 

「なるほど、ルシウスがそんなことを」

 

セブルスは溜息をつくと、眉間をとんとんと叩いた。

 

「ああ。 ハリーも『君もブラック家ならロンと付き合うな』みたいなことを言われたらしくてな、怒っていた」

 

「彼奴なら言いそうだな」

 

「セブルス、ルシウスとの交流が必要なのは分かる。 でもなぁ、必要以上に関わるのはやめろ。 シャルをあの家に預けるなんて・・・悪い影響になるだけだ」

 

シリウスとて、順調にキャリアを積んできた役人である。学生のまま大人になったのならいざ知らず、社会で円滑に生きていくうえでは好まない人との交流も時には必要だというのはわかる。貴族社会なら特に。

 

しかし、ルシウス・マルフォイは『例のあの人』が消える時まで明確に死喰い人だったのだ。命を奪い合っていた敵陣営同士。それが現実であった。

 

「そうは言ってもな…シャルはナルシッサによく懐いている。 それに我々の子どもはドラコとも仲がいいだろう」

 

「…別にドラコのことは悪く言ってねえよ。 父親の悪いところを受け継いでる気がするが、ハリーのことを大切に思っているのは見てりゃ分かる」

 

シリウスはちょっと気に入らなそうに言った。とことんグリフィンドール気質の彼としては、最大限の譲歩なのだろう。

今更ながらセブルスは、シリウスも変わったなと実感した。

 

「だがな、ルシウス・マルフォイが死喰い人だったのはおまえが一番知ってるんだろう! そんな奴のもとに、大事な娘を預けるな! 忙しかったら俺を頼れよ!」

 

病室にも関わらず、シリウスは声を荒げた。

 

「…そうだな。 ルシウスとの関係を切ることは出来ないが、次からはおまえを頼るよ」

 

セブルスがそう言うと、漸くシリウスの溜飲は下がったらしい。低い声で返事をすると、座ったまま足を組み替えた。

 

シリウスは色々変わった。しかしすぐ感情的になるところは学生の時のままで、セブルスはそれに少し安心する。

 

少しだけ開いてたカーテンの隙間から、薄い月光がベットを照らした。レイチェルの長い金髪が、キラキラと輝いて見える。

 

2人は暫く黙ったまま、ぼんやりとしていた。

 

「…シャルと仲直りはできたか?」

 

先に沈黙を破ったのは、やはりシリウスだった。

セブルスは緩やかに首を振った。

 

「いや…シャルに避けられていてな。 会話も殆どしてない」

 

「まあ、思春期の女の子って難しいよな!」

 

シリウスは、セブルスの背中をバシバシと元気づけるように叩いた。思いのほかそれが力強かったため、セブルスは痛みに顔を顰めた。

昔からシリウスはこうだ。恋愛は百戦錬磨なくせに妙に不器用で、落ち込んでいる自分に彼なりに気遣ってくれる。それなりの乱暴な優しさで。

 

「全く、こういう時こそ母親が必要だな。 とっととレイにも目を覚ましてもらいたいものだ」

 

セブルスは努めて明るく言った。

 

「ところで私の話ばかりになったが…ハリーは元気か? 変わったことはないか?」

 

セブルスの言葉に、シリウスは一瞬屋敷しもべ妖精ドビーのことを話すか逡巡して・・・首を振った。これ以上この親友に心労をかけたくない。

 

「いや、特に何も。 ハリーは最近プレイボーイに磨きがかかってきたぞ。 それこそ、こういう時に母親がいた方がいいんだろうが…」

 

頭を掻きながら苦笑したシリウスに、セブルスは口の端を吊り上げた。

 

「何を言ってる。 おまえなら今でも引く手数多だろうが。 良い女性を紹介しようか?」

 

セブルスの軽口に、シリウスの顔はげっそりとした。

面倒事が嫌いなシリウスは派手に遊んでいるようで特定の相手は殆ど作ったことがないのを、この旧知の友はよく知っていた。

 

「・・・冗談も休み休み言ってくれ」

 

 




レイチェル「正直、病室では静かにしてほしい」

無事(?)に例のブツがジニーの元に渡りました。原作通りですね。
ただいま過去編の文章がおかしかったり描写が足りない場所など加筆修正しております。もちろん物語の大筋は変わってませんのでご了承お願いします。

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