「エクスペリアームス!」
放たれた赤い閃光は真っ直ぐと、セブルスの元へ向かっていった。しかし、彼の元に辿り着く前にそれは杖のひと振りで防がれた。
「ステューピファイ!」
ハリーの呪文は、またしてもプロテゴを使うまでもなく弾かれる。有効打が打てないことに焦ったハリーは連続で呪文を唱えた。
「エクスペリアームス! ステューピファイ!」
「エクスペリアームス」
しかし、連続で呪文を打ったことにより、未熟なハリーには隙ができた。
そんなハリーに、鮮やかな武装解除呪文が直撃する。腕からするりと杖が離れ、セブルスの空いている手にそれは収まった。
「ゲームセットだな」
セブルスの言葉を合図に、尻をついていたハリーはのろのろと立ち上がり、そして杖を受け取る。
「もうちょっと手加減してよ」
「しているだろうが。 第一、水中の生き物は手加減はしてくれんぞ」
第二の課題まであと1週間もない。
卵の謎に関しては、第一の課題のすぐあとセブルスの部屋で開けてみた途端彼に「ああ、これはマーミッシュ語だな」と言われ、謎が解けてしまった。
「マーミッシュ語?」
キーキーと甲高い悲鳴をあげる卵をハリーは耳を抑えながら慌てて蓋をした。
「水中人の話す言葉だ。 あまり知られていないがな。 水中で聞いてみるといい。 …監督生の大きな風呂に入れるよう許可証を書いてやろう」
この時煙突飛行ネットワークで暖炉から頭だけお邪魔していたシリウスから言わせれば、「セブルスは時々博識すぎて気持ちわりぃ」とのこと。
鰓昆布をセブルスが当日までに用意してくれることになったものの、やはり未だ四年生のハリーに不利なことは変わらない。よって、相変わらずセブルスの部屋で実戦の特訓をしているのであった。そして、それにはたまにドラコやシャルロットも参加した。
「ん、もうこんな時間か」
セブルスが自身の机の上にある時計を見れば、もう生徒の消灯時間間近。教師としては、この時間を超えて返すわけにはいかない。
「今日はここまでにするか」
「ねえ、セブルスおじさん」
真冬とはいえ、暖かい部屋で模擬決闘をしていたハリーの額には汗が滲んでいる。セブルスはタオルを彼の頭にぽふっとかけると、どうした?と問うた。
「卵の言ってた大切なものってなんだと思う? 僕の箒だったらどうしよう。もし、水に濡れたりしたら…」
ハリーはこないだシリウスに買ってもらった『炎の雷』を思い浮かべ、不安そうにそう言った。それ一つで小さな家なら建ってしまうほど高価な箒である。
セブルスは、ふむと何かを考えこむように顎に手を当てる。
「恐らくだが…私はその卵の言う大切なものは人間なんじゃないかと考えている。 その方が盛り上がるだろうしな」
「に、にんげん!?」
「ハリーだったら、最近付き合い始めたラブグッドだろうな」
セブルスがそこまで言って、目の前のハリーが真っ青になっていることに気付いた。そして、思わずハハハッと彼らしくないことに大口を開けて笑った。
「馬鹿者。 人質たちの安全は完璧に確保されているに決まっておるだろう」
「だって! 卵の歌では、1時間超えたら二度と戻らないって!」
「そんなものただの脅しだ。 よく考えてみろ! そんな危険なことを魔法省や学校関係者が許すわけないだろう」
セブルスは未だ笑いを顔に残しながら、そう言った。
言われてみればその通りだとハリーは思ったが、卵の歌をその通りに信じていたのが恥ずかしく、むくれたようにぷくっと頬を膨らませた。
「…ほら、本当に消灯時間を過ぎてしまうぞ。 早くベッドに行きなさい」
ハリーとしてもクタクタだったので、はぁいと気の抜けた返事をすると杖をポケットにしまい、部屋をあとにする。
ハリーは忍びの地図を起動させた。代表選手であるハリーだけ特別に個人レッスンを施されていると、多くの人に知られるのは良くない。セブルスにそうアドバイスされたハリーは、毎回セブルスの部屋と自分の寮を行き来する時にはこうして忍びの地図を使っていた。
「ん?」
何気なく地図の右下、レギュラスの魔法薬室に目をやるとそこには小さな点でバーテミウス・クラウチと書いてあった。
どうしてクラウチがこんなところに? 確か、彼は体調が悪く仕事を休んでいるはずだ。その代わりにパーシーが来ているのだから。
そうしてクラウチのことにばかり思考を走らせていたからか、ハリーは自分に近付く点に気付かなかった。
薄暗い廊下で、この学校で最も会いたくない人と前から鉢合わせた。
おや、とレギュラスはわざとらしく眉を上げた。
「まだ消灯時間ではありません、ブラック先生」
ハリーが反射的に先手を打ってそう言う。さりげない仕草で、忍びの地図をローブのポケットに突っ込んだ。
「…そのようですね。 しかし、覚えておくといい。 次に私の研究室に立ち入り物を盗んだなら、今度こそ私が直々に退学にしてあげましょう」
ハリーは敵意も忘れ、きょとんと首を傾げた。身に覚えのないことであった。
「とぼけても無駄ですよ。 そうですね、盗まれた材料を見る限り…ポリジュース薬でも煎じるつもりですか?」
確かにポリジュース薬を煎じたことはあるけれど。ハリーは心の中でそう呟いた。
とはいえ、無実の罪を擦り付けられたのは癪だ。ハリーが、何かを言い返そうとしたその時。
コツン、コツンと音を靡かせ現れたのはマッドアイムーディだった。
夜更けに突然現れ、眼帯の目玉をぎょろぎょろさせるその様はさながらマグルのホラー映画のようで、彼が自分の味方だと理解しつつも思わずぎょっとした。
「何をしているのだ?」
ムーディは低い声でそう問うた。
「何をしている、ですか? 消灯時間間際に生徒が彷徨いていたのでね。 注意を促しただけですが」
レギュラスの声色は落ち着いたものだったが、言葉の端々から棘を感じた。
「それだけならば、もう用事は済んだだろう」
「いいえ、それだけではありません。 私の研究室から材料が無くなっていたのでね。 ハリー・ブラックに訊いていたのですよ」
ムーディの義眼がぐるりとレギュラスを睨め回した。
「それで何故この小僧を疑う理由がある? おまえの研究室に小僧の眼鏡でも落ちていたのかね?」
「ブラックは何度も規則を破った前科があります。 疑うのは当然かと」
レギュラスは素っ気なくそう返した。
コツ、とムーディがさらに一歩レギュラスに近付いた。松明の明かりが不気味に彼の顔を照らした。
「本当にそれだけか?」
「何を言いたいのです」
「ダンブルドアは、誰がハリーに恨みを持っているのか大変興味がおありだ。 レギュラス・ブラック、わしはな…洗っても落ちないシミがあるものだと考えている。 決して消えないシミがな。 どういうことか、分かるはずだな?」
レギュラスは突然奇妙な動きを見せた。発作的に、右腕で左の前腕をぐっと強く掴んだ。 …そう、まるで左腕が痛むかのように。
思わず、ハリーははっと息を飲んだ。
死喰い人は自身の左腕にあの人への忠誠を、刻印として文字通り刻む。幼い頃から魔法界にいて、かつ闇祓い局の局長である父を持っていれば当然知りうる知識だ。
かつて死喰い人だった(とシリウスから聞いている)レギュラスにだって、その印はあるのではないか?
言われてみれば、彼はどんなに暑い日でも生地が透けない厚いローブを着ていることに今更ながらハリーは気付いた。
「ベッドに戻れ、レギュラス」
ムーディが笑い声を上げた。
「貴方に命令される覚えはありません」
レギュラスは自分に腹を立てるかのように右手を離し、努めて冷静に言葉を続けた。
「しかし、ハリー・ブラックが魔法薬を盗んだ証拠もないことは事実です。 私はこれにて失礼します」
レギュラスはそれだけ言うと、目も合わせずローブを翻し暗い廊下へと消えて行った。
「危なかったな、ブラック。 …む?何か落ちたぞ」
ムーディはステッキを置き屈むと、ハリーのポケットから滑り落ちた紙を拾い上げた。
「あ、それは…」
「これは驚いた!」
ハリーが説明する前に、ムーディはそう言葉を漏らした。彼の魔法の目はぎゅるんぎゅるんと勢いよく回っている。
「大した地図だな、これは」
「はい。 実はこれ、僕のパパが学生時代に友達と作ったものなんです」
地図を褒められ気を良くしたハリーはそう教えてあげた。
「ほう、シリウスが! 大したものだ。 ふーむ」
ムーディはじっくり地図を眺め、そして再び口を開いた。
「ブラック、この地図でレギュラスの研究室に誰が忍び込んだか、もしや見たのではないか?」
「え…あ、はい。 見ました。 クラウチと書いてありました」
ハリーは正直に答えた。
途端ムーディの顔色にさっと警戒が浮かんだ。
「クラウチとな? それは…それは、確かなんだな。 ブラック?」
「間違いありません」
「ふむ。 やつはもうここにいない。 …しかし、クラウチか。 まっこと、おもしろい」
ムーディは地図を睨んだまま、暫く何も言わなかった。
「あの、ムーディ先生。 クラウチさんは、どうしてレギュラス・ブラックの研究室に忍び込んだのでしょう?」
ムーディの目が--本物の目も義眼も両方だ--がハリーを見据えた。鋭く、射抜くような視線だ。
「…わしが現役をおまえの父親に譲ってから長い時が経った。 人は皆、わしを闇の魔法使いを捕らえることに取り憑かれてると言う。 しかし、わしなどまだ小物よ。 バーティ・クラウチに比べたらな」
「それはどういう…」
「ブラック。 わしが一番憎いのは、野放しになっている『死喰い人』よ」
ハリーは思わずムーディをまじまじと見つめた。もし、ムーディが言ったことが、ハリーの考えるような意味だとしたら?
ハリーがさらに何か聞く前に、ムーディはほんの僅かに眉間の皺を緩めてハリーの肩に手を置いた。おそらくこれが彼なりの最大限の優しい顔なのだろう。
「…門限時間を過ぎてしまったな。 ブラック、寮まで送る。 グリフィンドールはこっちだったな?」
「あ、はい」
ムーディは片方の足を引きずっていると思えないほどさっさと歩くので、ハリーは小走りで着いていかなければならなかった。
「ところで、第2の課題は問題なさそうか? 手段は見つかったか?」
「はい。 えら昆布を使おうかと」
「ほう? いい方法だ。 えら昆布は手に入ったか? ないなら用意してやらんこともないぞ」
「いえ、セブルスおじ…スネイプ先生が用意してくれたので大丈夫です」
ムーディはそうかそうかと満足したように頷いた。
どうやら自分のことを心配してくれていたらしい。強面で怖いところもあるが、ハリーはちょっとほっとして、ムーディに追いつくと並んで歩いた。
「ところで、ブラック。 頼みがあるのだが」
ムーディは『太った婦人』の前に着くと、突然そう言った。
「はい?」
「その便利な地図を暫く貸してくれないか?」
ハリーは予想外の言葉にちょっと目を瞬かせた。しかし、
「いいですよ」
と快く頷いた。今夜はレギュラスに難癖をつけられたところを助けてもらった恩があるし、何よりシリウスの元上司だ。
「いい子だ、いい子だ。 これこそわしが求めていたものかもしれん。 …ああ、今夜のことはシリウスに黙っていてくれ」
「どうしてです?」
「バーテミウス・クラウチのことは、わしが個人的に調べる。 おまえの父親は常に忙しいからな。 これ以上面倒事は増やすのは可哀想だ」
ムーディは上機嫌でそう言うと、『太った婦人』の肖像画の奥に消えていくハリーを見送った。
その間にも、ムーディの義眼を何かを探るようにギョロギョロと自分を睨め回し、やはりハリーは居心地の悪い気分になるのであった。
「あーあ、始まっちまったか」
そう言って髪をくしゃくしゃかきあげながら、セブルスの隣りに腰を下ろしたのはシリウスである。
「残業終わりか?」
「ああ。 これでも一睡もしないですっ飛んできたんだ」
シリウスはぐーっと腕を天に伸ばして、欠伸を噛み殺した。そして、ボトルに詰めていたコーヒーをぐびぐびと飲む。
「ハリーは?」
「無事にえら昆布を食べてスタートしたぞ。 水中の生き物とも対等に戦える程度の呪文を無理矢理教えこんだ。 何事もなければ1位通過間違いなしだろう」
セブルスは少し自慢げにそう言った。
第一の課題の時は大きなドーム状の競技場だったそこは、今や湖の周りを取り囲んで階段状の観客席になっている。
特に席は決まっていないはずだが、良くも悪くもホグワーツの特徴なのだろう。4つの寮はざっくりと分かれて座っている。ダームストラングやボーバトンは1つに固まって応援しているというのに。
しかし、ハリーというイレギュラーを炎のゴブレットが排出してしまった以上仕方のないことなのかもしれない。
グリフィンドールの観客席の中には、ロンやハーマイオニーなど見知った顔が並んでいる。その中に、シャルロットと…そしてドラコの顔を見つけた。
「あまり感情を入れ込むなよ」
セブルスはシリウスの視線の先に気付いたらしく、静かな声でそう言った。
「わかってるよ」
クィディッチ・ワールドカップでの死喰い人の騒動。十中八九、それにはルシウスも関わっているだろう。
「シャルがな、正式にドラコと付き合い始めたと報告してきたんだ」
「…まじか」
セブルスは渋い顔で頷いた。
状況が状況なので、娘に彼氏が出来たことを素直に祝福できないのだろう。
「というより、ドラコの両親は恐らく認めていないだろうな。 ルシウスがシャルに優しくしているのは私への見返りを求めてだけだろう」
「そりゃそうだ。 もともとそういう付き合いだったんだろ?」
「そうだ。 だから、シャルと付き合っているのは…ドラコの独断なのだろう」
グリフィンドールの応援軍団の端っこでシャルと断幕を掲げるドラコ。スリザリンの中には、彼がマルフォイ家だから黙っているだけであってそうした彼の行動を快く思わない生徒もたくさんいるだろう。
シリウスは両親に反発し続けた子ども時代を思い出した。今でこそ自分の家名を利用している節があるが、昔はどんなにブラック家という肩書きが邪魔で仕方なかったことか。
境遇も状況も違うが、シリウスはドラコに共感すべきところがあった。
そしてドラコが、ハリーのことを本当に大切に思っているのも知っていたから余計に彼に同情してしまう。
その時辺りを劈く悲鳴に、シリウスとセブルスは同時に湖へと視線を戻した。
ボーバトンの代表生徒フラー・デラクールが水中から助け出され、震えていた。ここからだとよく見えないが怪我を負っているらしい。
「---!!」
何かを大声で訴えているが、早口のフランス語のため分からない。
「なんて言ってるんだ?」
「おそらく妹の名前を呼んでいる。 …全くあの少女といい、ハリーといい、本当に人質が戻ってこないわけなかろう」
「本当に信じてたのか。 ハリーもまだまだ子どもだなあ。 …って何ヶ国語喋れんだ、おまえは」
気持ち悪いものを見るような視線を親友から向けられ、セブルスは心外だと眉を顰めた。
フラーはマダム・マクシームに肩を抱かれ、テントの中へと入って行った。
ボーバトンの観衆からは明らかな落胆の声が聞こえる。
数分後には、妹と思われるフラーそっくりの美少女が湖から引き上げられた。
「…ところで、アラスターを見なかったか?」
シリウスは話題を変えた。
「どこかの警備に当たってるんじゃないか? 先程スタートの時にはちらっと見かけた」
「今日俺が観戦にくることを知っているはずなんだが」
シリウスは不審そうに首を傾げた。
第一の課題の時にも、ムーディには会えなかった。ここまで来ると、まるで避けられているようにすら感じる。
「こないだから妙にアラスターのことを気にしているな。 何か引っかかってるのか?」
「当たり前だ。 アラスターが生徒の前…それもハリーやアリスとフランクの息子の前で、許されざる呪文を使うわけがない」
「それに関しては…職員の間でも問題になった」
しかし、とセブルスは言葉を続ける。
「別に彼は狂ってなどいないと思うぞ。 それにおまえの息子だからだろう。 ハリーのことも気にかけてくれている」
「…それもおかしいんだ。 ハリーにえら昆布が必要か聞いたんだろ? アラスターがそんな露骨な贔屓をするわけない。 俺の息子なら尚更、一切手を貸さずにどこまで出来るか見たがるだろう」
何なら、毎日廊下で出会う度に「油断大敵!」と怒鳴りながらハリーに呪文を飛ばしてくる方が余程想像に容易い。
ざわめく会場とは対照的に、シリウスとセブルスの間に重苦しい空気が流れる。
「…何が言いたいんだ?」
セブルスは単刀直入にそう訊いた。が、シリウスは未だ確証がないのか「さあな」と言葉をぼかした。
「まだ何とも言えない。 だが、ゴブレットにハリーの名前を入れたやつがホグワーツにいることは確かなんだ」
「それが…アラスターだと言いたいのか? まさか服従の呪文にかかっているとでも? だとしたら…目的はハリーの命か」
「いや、そしたらハリーに好意的なのが気になる。 辻褄が合わないだろう。 何でハリーに手助けするんだよ」
「それは確かに」
「とにかくおまえに余計な先入観を持ってほしくないからな。 ただアラスターの動向に気をつけてくれ」
「しかし、服従の呪文か。 いくらアラスターが引退して長いと言っても、そんなヘマを踏むとは思えないがな。 もっとも私は彼とは騎士団時代に数回話したことがある程度だが」
「俺もそう思ってるよ。 ただ、最近色々とおかしいんだよ。 日刊予言者新聞読んでるか? バーサは行方不明のまんまだし、バーティも一度も魔法省に顔を見せない」
「読んでいる。 バーテミウス・クラウチか。 確かに、病気で長らく休むような人物には見えなかったな」
精悍な顔立ちできっちりとローブを着こなしていたクラウチを思い出しセブルスがそう呟くと、シリウスは首を傾げた。
「うん? おまえ、バーティと面識あるのか?」
「レイの…ペデュグリューの事件で顔を合わせている。 彼がまだ魔法法執行部の部長だった時に」
ああ、とシリウスは悲痛な声を漏らした。
「…悪いことを聞いた」
「昔から何度も言っているがな、おまえが罪悪感を抱く必要は全くない」
そう言うセブルスの表情は穏やかだった。
後は本人の目覚める意志だけ、と癒者には言われている。その時を、セブルスはどんなに時が流れても信じて待つしかない。
「おーっと!! 今度こそ、1人目の選手が帰ってきたようです! さあ、誰か!! そして人質を連れ、無事に帰って来れたのか!!」
水面がコポコポと揺れ、観衆たちはわっと沸いた。
「…さて、一番乗りは誰だと思う?」
「そりゃもちろんハリーに100ガリオン」
「阿呆め、自分の息子を賭けのだしに使うな」
セブルスが苦笑したのと同時に、水面からざばりとハリーが顔を出した。その腕には、しっかりとルーナが抱かれている。
マダム・ポンフリーが慌てて2人に駆け寄り、タオルを掛けた。大きな怪我はしてないようだが、救護室のテントへと連れて行かれる。
ハリーはテントに入る前にこちらに気付いたようで、シリウスに大きく手を振った。
次いで、ジニーを抱えたセドリック。レイブンクローの女子生徒を抱えたクラムの帰還をもって第二の課題は終了した。
1月9日(セブルスの誕生日)に更新しようと思ったのに10日の遅刻です。ひえっ。
今年こそ完走したいですねぇ。よろしくお願いします。