彼は紅魔館の主:レミリア・スカーレットに助けられ、執事として紅魔館で働くことになった・・・・
私なりの二次創作ですので、駄作かと思いますがよろしくお願いいたします。
紅魔館 門前・・・・
そこをいつものように口笛を吹きながら見回る女性:紅美鈴はとあるものを見つけて駆け寄る。
そこにあったのは、血だらけの少年であった。
「大丈夫!?」
「ころ・・・・して・・・」
少年は瀕死の状態で、ぼそぼそとつぶやく。
美鈴は少年を担ぎ、屋敷の中へ急いで入った・・・・・。
紅魔館 一室・・・・
少年は包帯をグルグルに巻かれ、息も絶え絶えに眠る。
少年を見たのは、八意永琳。
一応医者である。
「彼の容態はどうなの?」
そう問いかけるのはこの屋敷の家主であるレミリア・スカーレット。
彼女なりに彼のことを気にしているのだ。
「外見はズタズタですが、外傷以外に目立ったけがは無いようです。それに・・・少なからず、3本ほど、腹から背中へ貫通している傷があるんですけど・・・・」
「?どうしたの?」
「もう8割方治りかけているんです」
「前に負った傷ってことね・・・」
「まだ予断を許さない状況ですので、何かあったら呼んでください」
「ええ、わざわざありがとう」
永琳は会釈をして部屋を出て行った。
「まさか・・・・・人間が迷い込むなんてね・・・・」
ふと、少年の手の包帯がほどけて素肌が見えた。
その手の指が切り落とされていた。
「・・・・かわいそうに」
するとその指が徐々に伸びてきた。
「!?」
指は見る見るうちに元通りになる。
「ふつうの人間・・・・ってわけでもなさそうね・・・」
そうつぶやき、レミリアも部屋を後にした・・・・。
翌朝・・・・
この屋敷のメイド長:十六夜咲夜が彼の包帯を替えに来る。
「失礼します」
中に入ると、少年はぐっすり眠っていた。
「昨日とは打って変わってますね・・・」
少年のベッドに近づき、包帯を変えようとしたとき、ガシッと腕を握られる。
咲夜は慌ててその手を振りほどき、離れ、ナイフを構える。
「あ!脅かしたのなら謝る、すまない・・・。気配がしたから・・・・」
「そうですか。気分のほうはどうですか?」
「ああ、頗る好調・・・。と言いたいけど・・・・昨日の今日だから・・・」
「包帯・・・・替えますのでじっとしていてください」
「あ、お願いします・・・・」
咲夜は警戒しつつ、少年に近づき、包帯を解く。
包帯を解いて、咲夜は驚く。
「き、傷が・・・・・」
「え?あ・・・・・」
するとそこへ、レミリアが入ってくる。
「お嬢様!傷が・・・・」
「やっぱりね・・・・。あなた・・・・能力を持ってるんでしょ?」
「・・・・化け物だろ。もう今すぐ出ていくさ」
立ち上がり部屋を出ようと歩き出す。
「まあ待ちなさいよ。あなた、行くところあるの?」
「・・・人間の里は一つじゃない。他の土地で生きていけばいい」
「そう?なら、ここで執事として働く気はない?」
「!?お嬢様!」
「こんな化け物を置いていてもなんもならんぞ・・・」
「貴方が化け物かどうかは私たちが決めることよ。ここにいる咲夜だって、いくつか能力を持っているけど、化け物とは思っていないわ。貴方もここでなら生きやすいと思うわよ。ね、咲夜」
「はぁ・・・・、まあお嬢様の言うことも一理ありますね。丁度、人手が欲しいと思っていたところなので・・・・」
すると、少年は背中を向けた状態で肩を震わせた。
「フフ・・・・泣いている暇があるなら、咲夜に仕事を教えてもらいなさい」
「はい・・・・・お嬢様」
少年は泣きながら返事をした・・・・。
それから一週間が過ぎた・・・・。
少年:紫陽花(あじさい)春夏(はるか)は地下にある大図書館で本の整理をしていた。
そこには、本に囲まれた中央に置かれた机に少女:パチュリー・ノーレッジが本に食い入るように座っていた。
「パチュリー様ぁ~、読み終わった本はちゃんと分けておいてくださいよ~」
「はいはいわかりました~」
とパチュリーは春夏の声にから返事で答える。
「はぁ・・・・・本の虫って呼ばれるよな・・・・これ・・・・」
「誰が虫ですって?春」
「い、いいえ~なんでも~」
春夏は再び本の整理を再開した・・・・。
すうっと春夏は両手を広げ、合掌をする。
すると、春夏の前にある本がすうッと浮き上がる。
「ここに居座りし、書物よ。元のあるべきところへ戻りたまへ」
そう春夏が唱え、両手を広げると本はすっと本棚へ戻っていった。
「あ!一冊読んでいない本があったわ、えっと確か・・・・数両・・・・」
そうパチュリーがつぶやくと春夏の手にその本が戻ってきた。
ぎろっとパチュリーを睨むとエイッと軽く投げる。
もちろんパチュリーは突然のことで慌てたため、本が背表紙からパチュリーの頭に落ちた。
「な、なにをするの!?」
「私、言いましたよね?読み終わった本はちゃんと分けてくださいって・・・いいましたよね?」
「そんなこと言ったかしら?」
「ほほ~う・・・・」
春夏はじりじりとパチュリーに歩み寄る。
一歩一歩、踏みしめながら・・・
「な、なに・・・・・」
するとピタッとその場に春夏が停まる。
「呼んでる・・・・・、まあこの件は、いいです。パチュリー様、読み終わった本と読んでない本は分けておいてください。いくら読んでも構いませんので。それでは」
そう春夏が言うとすっと消えた。
「・・・消えるって原理が怖いわね」
紅魔館 キッチン前扉・・・
そこにすっと春夏が現れる。
こんこんっ・・・
「はい、どうぞ」
「失礼します」
がちゃっと開けて中に入ると、
頬に手を当てて困っていた。
「咲夜さん、どうかしましたか?」
「本当に聞こえるんですね・・・・」
「ええ、聞こえるのは私の名前だけですが・・・・。それでなにかあったんですか?」
「ええ、実は私としたことが、うっかり買い忘れをしてしまって・・・・。できればお使いに行っていただけないかと」
「構いませんよ。何を忘れたんですか?」
「はい、これがお買い物リストになります・・・・」
「・・・・・・咲夜さん、買い物行ったんですよね?」
「いいえ、行っていませんよ」
「つまりまるまるってことですね・・・。わかりました、では・・・」
「空間移動は紅魔館の門までですからね。お嬢様と約束したでしょ」
「はい!しっかり守りますよ!それでは!」
そしてすっと春夏は消えた・・・・。
紅魔館 門前・・・・
そこには美鈴が退屈そうに門番をしていた。
「ふぁ~あ・・・・つまらないな~」
すると美鈴の前にすっと春夏が現れる。
もちろん、美鈴は驚く。
「うわっ!」
「おっとすいません!美鈴さん、驚かせてしまいましたね」
「ほんと・・・・びっくりした・・・・。でも、便利だね、その能力・・・」
「まあ移動するのはですよ。それではお使いに行ってきます!」
そういって、春夏は走っていった・・・・。
「この前まで死にかけていたとは思えないな・・・」
その日の夜・・・・
レミリアたちが寝静まった後、ランタンをもって春夏が見回りをする。
すると、咲夜が寝間着姿で現れる。
「こんな時間に見回り?関心ね」
「そんなことはないですよ。咲夜さんはお休みですか?」
「ええ」
「そうですか、おやすみなさい」
そういって歩き出したとき、咲夜が春夏の腕を掴んだ。
「少し、お話しましょうか」
紅魔館 咲夜の部屋・・・・
咲夜と春夏は対面で椅子に座って紅茶を嗜む。
「貴方が来てもう一週間・・・・。十分に働いてくれている・・・。お嬢様たちもあなたのことを褒めているわ」
「褒められるようなことは何一つしていないのですが・・・・。それ以前に私は、ここで働かせていただけるだけで、満足なんです。この能力を化け物と思わない・・・・そんな人たちに会える日が来るなんて・・・・」
「そこがお嬢様のいいところですよ・・・・。これからも精進してください」
「はい、頑張ります」
翌朝・・・・
紅魔館 レミリア書斎・・・・
「お嬢様、紅茶がはいりました」
と春夏はレミリアに紅茶を差し出す。
「貴方が紅茶をいれたの?」
「はい、咲夜さんに教えてもらいながらなんとか・・・・・」
「そう・・・・。ねえ、あなたはフランにあったことがあるのかしら?」
「たしか地下にいる妹様・・・・ですよね?実際にお会いしたことはありませんが・・・・」
「それならそれでいいわ。あの子、少し情緒不安定だから・・・・。消し飛ばされたくなかったら近づかないことね」
「わ、わかりました・・・・」
「そういえば、パチュリーがあなたを探していたわ、行ってあげて」
「わかりました、失礼します」
そういって会釈をし、春夏は消えた。
「すぅ・・・・・、なかなかおいしいわね・・・。咲夜より上・・・・かも・・・・」
紅魔館 地下大図書館・・・・・
「うわっ!!」
大きな本の山が崩れ、パチュリーにのしかかる。
すっと春夏が現れ、すぐにその本を浮かした。
「大丈夫ですか?パチュリー様」
「え、ええ・・・ありがとう」
「これ、元の場所に戻していいですか?」
「ええ、お願い」
両手を広げ合掌し・・・以下略・・・・
本をきれいに直した後、掃除を始めた。
掃除を始めて2時間後・・・・。
ガチャッと図書館と扉が開き、少女が入ってくる。
赤い服に宝石のような翼・・・・。
先ほどレミリアが言っていたフランドール・スカーレットであった・・・。
「あら、フラン。どうしたの?」
「ここにお姉ちゃんが雇った新しい人間がいるって小悪魔から聞いたんだけど・・・・」
「それならあそこで掃除しているわ」
「わかった!」
フランは飛んで春夏の前に現れる。
「お前が人間か?」
「ふ、フラン様?お初にお目にかかります。紫陽花 春夏といいます」
フランは春夏の目に着地する。
そして春夏の周りをぐるりぐるりと走り回る。
「へぇ~、これが人間のオスか~」
「あ、あの・・・・なにか・・・?」
「ううん、どんな人間なのかな~って・・・・。じゃあまたね~」
そういってフランは戻っていった・・・。
「なんだったんだ・・・あの子は・・・・」
「あの子は好奇心旺盛なの。少し情緒不安定だけど・・・・」
「それは固定設定なのですか・・・・。まあ、危害がないのであればよかったです」
それからさらに3時間後・・・・。
「ふぅ・・・・終わった・・・・」
春夏は掃除を終えひと段落する。
時刻はすでに夕方の4時を回っていた・・・。
「さて・・・・」
と春夏が掃除道具を片付け、再びパチュリーのところへ行くと、パチュリーは眠っていた。
「はぁ・・・・」
春夏は毛布を持ってきて、パチュリーにかける。
ふと、パチュリーの読んでいた本に目が行く。
その本は、人との接し方の本であった。
それをみて、春夏は深々とパチュリーに頭を下げ、図書館を出て行った。
翌日・・・
紅魔館 中庭・・・
春夏は庭の花壇に水やりをしていた。
するとそこへ、赤い服の少女と黒い服の少女が門よりやってくる。
「あれ?新しい人がいるわね・・・・」
「どうも」
するとテラスからレミリアが顔を出す。
「あら、霊夢に魔理沙、何しに来たのかしら?」
「少しパチュリーに用事があるのよ」
「そう、パチュリーなら地下にいるわよ」
「OK、ならお邪魔させていただくわね~」
そういって二人は屋敷に入っていった。
「春夏、貴方もパチュリーのところへ行きなさい。恐らく・・・・ね・・・・」
「は、はい」
春夏はせっせと片付けて、地下の大図書館へ向かった。
紅魔館 地下大図書館・・・・
「あ・・・・・・」
図書館内はすでに散らかっていた・・・。
そう、片付けている間に何かが起こったのだ・・・・。
しかし、赤い服の少女:博麗霊夢とパチュリーが戦っていた。
「ぱ、パチュリー様!」
春夏はパチュリーのもとへ駆け寄る。
何やらパチュリーは飛んでいた。
「春、貴方は下がってなさい。これは霊夢と私の戦いよ」
「ですが・・・」
「な~に、私たちの邪魔するっての?なんなら、二人いっぺんに相手してあげるわよ」
「なんで戦ってるんですか!?意味が分からない!」
「昨日、うちのさい銭箱が盗まれたのよ。で、パチュリーに疑いがかかったってわけ」
「昨日?何時ごろですか?」
「さあ、多分昼から夕方にかけてだと思うけど・・・・」
すると春夏はパチュリーの前に立ち、シールドを発動する。
「なら、パチュリー様ではありません。私が保証します」
「貴方とパチュリーがグルって可能性が高いでしょ、信用できないわ」
するとパチュリーは春夏の後ろに着地する。
「昨日私は、昼から夕方にかけて転寝してたわ。多分、彼のほうが私のことを知っている」
「なあ霊夢ぅ~、パチェがお前のさい銭箱を盗む利点はないはずだぜ」
「うん・・・・・それもそうか・・・・。悪かったわね、それじゃあ・・・・」
霊夢と魔理沙が帰ろうとしたとき、ガシッと春夏が二人の腕を握る。
それも、怒って笑顔でにっこりと・・・。
「お二人とも、何か忘れているんじゃないですか~?」
「え・・・・?」
その表情に二人はおびえる。
・・・・・
二人は強制的に片づけを春夏にさせられる。
パチュリーも掃除をさせられる。
春夏は本を戻す。
「あぁ・・・こんなことなら来るんじゃなかったぜ・・・」
「何よ、さい銭箱をいっしょに探してくれるって言ったのは魔理沙でしょ」
「けどよ~」
「そのさい銭箱って、博麗神社のですか?」
「え?そうだけど・・・・何か知ってるの!?」
「い、いえ・・・・。知りませんけど・・・」
「・・・・春、あなたの力、使ってあげたら?」
「よろしいんですか?」
「別にこの二人があなたを軽蔑することはないわ」
「わかりました・・・」
春夏は図書館の中央の机に水の張った桶を置き、手をかざす。
「天より訪れし、生命の息吹よ。我に過去の視界を共有したまへ・・・」
そう唱えると、桶の水に昨日の博麗神社のさい銭箱が映し出される。
「何よこれ・・・・」
「彼も能力者よ。能力の数までは把握できていないけど・・・・」
するとさい銭箱に近づく赤い服の少女が現れた。
『はぁ・・・・今日もさい銭が少ないわね~。よっと・・・・』
『霊夢さ~ん、ちょっといいですか~?』
『は~い・・・』
その赤い服の少女は霊夢であった。
さい銭箱をもってすたすたと歩いていく・・・。
「あ・・・」
霊夢はつい声が漏れる。
「どうかしたんですか?」
「えっと・・・・・な、なんでもないわ。も、もういいんじゃないかしら~」
「・・・・・続きが気になりますね」
「そうね」
春夏とパチュリーはじっと見つめる。
すると霊夢はさい銭箱をもって倉庫のようなところへ入っていった。
しばらくして、霊夢は何も持たずに出てきて、倉庫の鍵を閉めた。
じろりと春夏とパチュリーは霊夢を見る。
魔理沙も見つめる。
「これ・・・・」
「あ、あはは、そういえば倉庫に置いていたのすっかり忘れてたわ~。それじゃあ!!」
霊夢は魔理沙を置いて全速力で走り出した。
「春・・・」
「はい」
春夏はすっと消え、霊夢の前に現れる。
「うわっ!」
「霊夢さん、別にあなたを怒る気はありません。逆に盗みではなかったことを私はホッとしております。ですが、何も言わずにいなくなるのはどうかと思いますよ。一言があるかどうかで、これからの関係性がどうにでもなってしまうのですから・・・・」
「・・・・・迷惑をかけてごめんなさい」
「はい、その一言で十分です。あと・・・・・」
すうっと春夏は中を指差す。
「片付け、終わっていませんよ」
にっこりと・・・・・笑みを浮かべる春夏であった・・・・。
昼・・・・・
パチュリーはテラスで春夏の入れた紅茶を飲んでいた。
「散々な目にあったわね・・・・」
「まったくですね・・・・」
「・・・・あなたはなんで私と霊夢の間に入ったの?下手したら死んでいたかもしれないのよ?」
「私は紅魔館の執事ですので、護るのは当然です」
「そう・・・」
するとそこへレミリアと咲夜がやってくる。
「あら、パチュリーがテラスに来るなんて珍しいわね」
「偶にはいいでしょ」
「でもさっきは散々な目にあったらしいわね」
「まったくよ・・・。でも、春夏のおかげで収拾がついたわ」
「彼の能力、意外と便利でしょ?」
「む・・・・・」
パチュリーは恥ずかしそうに目線をずらす、しかし、ずらした方には春夏が立っていた。
「べ、別に・・・・」
「素直じゃないわね・・・」
夕方・・・・・
春夏は花壇に水をやる。
するとそこへ悪魔の羽を羽ばたかせた少女:小悪魔が飛んでくる。
「春夏さ~ん、ちょっと手を貸してくださ~い」
「何かあったんですか?」
「パチュリー様が本の山に埋まりました」
「!?」
春夏はとっさに空間移動をして図書館へ向かった。
空かさず、本を浮かす。
「大丈夫ですか!?」
「ええ・・・ありがとう・・・・」
「はぁ・・・、これ、全部直していいですか?」
「ええ、お願いするわ」
春夏はいつものように本を直す。
「気を付けてくださいね、それでは」
そういって春夏は再び中庭へ戻った・・・・。
それからしばらく時間が経過した・・・・。
~~夏~~
み~んみ~んとセミの鳴き声が響き渡る中庭・・・。
春夏は花壇の手入れを日差しの強い中していた。
しかし、春夏は汗一つ掻かず、黙々と作業をしていた。
それをテラスからレミリアと咲夜は見ていた。
「暑いのによくやるわね・・・。咲夜だって室内から出ないっていうのに・・・」
「それは彼が私には室内の仕事をお願いしたからで・・・・」
「ふ~ん・・・・」
レミリアはテラスの淵まで行く。
「春夏、そろそろ休憩しなさい。倒れるわよ」
「あ、はい。わかりました」
春夏は立ち上がり、テラスまでジャンプする。
「よくもまあ、あんな暑い中で汗一つも掻かずに居られるわね」
「ああ、これは少し能力を使ってまして・・・」
春夏は手のひらを出すと小さな竜巻が出る。
「体全体に小さな渦をまとって気温を下げているのです」
「へぇ・・・便利ね・・・」
レミリアは春夏の腕を掴む。
すると、レミリアの体にも渦がまとわる。
「これは涼しいわね・・・・咲夜も触ってみなさい」
「では・・・・」
咲夜もレミリアとは逆の腕を握る。
もちろん、咲夜にも渦がまとわる。
「本当に涼しいですね・・・・。これなら外の作業も苦ではないですね・・・」
「あなたの持つ能力はとても頼りになるものばかりね。一つの能力でここまで多用できるなんて・・・・」
「応用を利かせているだけですよ。ただ、強い日差しだけはどうもできないので長袖が必須なんですよね・・・」
「さすがにそこまでは対応できないのね・・・」
「そうみたいですね・・・・」
「・・・・・、あの、お二人とも・・・。いつまで握ってるんですか?」
「一度味わってしまうと、抜け出せないわね・・・」
「そうですね・・・・」
すると春夏は空間移動で庭に戻った・・・。
「くっ・・・・逃げたわね・・・・」
春夏は再び作業に戻った・・・。
それから数日後・・・・
「それじゃあ春夏、私たちは出かけるけど、パチュリーのことお願いね」
「わかりました。レミリア様達もお気をつけて」
「明日には戻ると思うから」
「はい」
レミリア、咲夜、フラン、小悪魔、美鈴は博麗神社の祭りに参加するために出かけて行った。
「さてと・・・・・」
春夏は花壇に水をやった後、屋敷の掃除を始めた・・・・。
咲夜のやっていた仕事もやらなければいけないため、せっせと大忙しである。
今は春夏とパチュリーしかいないため、屋敷はし~んとしていた。
仕事を一通り終えた春夏は、地下図書館へ紅茶をもって降りる。
ガチャ・・・・・
「パチュリー様、紅茶がはいりましたよ~、一息ついては・・・・・」
しかし、パチュリーはおらず、ただ積まれた本と崩れた山があった。
「あれ?どこか行ったのかな・・・・」
春夏は机に紅茶を置いて、パチュリーを探す。
「パチュリー様ぁ~、どこですか~」
ゆっくり本棚のほうへ歩いていくと、崩れた本の山がガサッと動いた。
「え・・・・?まさか・・・・」
「たす・・・・・け・・・て・・・・」
その声とともに本の山の中央に手が生えた。
「パチュリー様ぁ!!」
春夏は慌てて本を浮かしどかす。
山の中からはぐったりしたパチュリーが倒れていた。
「いつから埋まってたんですか!?」
「今朝から・・・・」
春夏はパチュリーを抱き上げ、寝室へ連れて行った。
紅魔館 パチュリーの寝室・・・・
「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・」
春夏は氷水の枕と湿らしたタオルを額に乗せる。
「大丈夫ですか?」
「ええ・・・・最初よりは大分楽になったわ・・・・」
「何か冷たい飲み物をご用意しますのでお待ちください」
そういって春夏はキッチンへ向かった。
春夏はキッチンで水に調味料を混ぜていた。
「えっと砂糖と塩・・・だったか・・・・」
混ぜたその飲料水を急須に入れ、パチュリーのもとへもっていく。
「パチュリー様、少しでもこれを口に含んでくださいね」
「ありがとう・・・・」
パチュリーは疑うことなく、その飲み物を飲んだ。
「変な味ね・・・、甘いのかしょっぱいのか・・・」
「こういう時にはこれがいいんです。また後で伺いますので・・・・」
春夏はそう言って、部屋を出て行った・・・・。
博麗神社・・・・
わいわいがやがやとやっている中、霊夢がレミリアを神社の外へ呼び出す。
「何かしら?」
霊夢は周りを見渡し、誰もいないことを確認する。
「ねぇ、今日はあの執事は連れてこなかったようね・・・」
「ええ、パチュリーの面倒を見てもらってるわ。それがどうかしたの?」
「その雰囲気だと、気づいていないようね・・・。まあいいわ・・・・。あの執事、一体何者なの?」
「さあね、ただの能力者よ。詳しくは知らないわ・・・」
「違う違う・・・そうじゃないって・・・」
「じゃあ何?」
「あの執事・・・、人の気配も妖気も感じないのよ・・・・・」
「それはあなたの力が落ちたってことじゃないのかしら?」
「・・・・そうかもしれないわね」
「あら、否定しないのね・・・」
「逆にそうであってほしいって思うのかもね・・・・。で、私なりにあいつのことを考えてみたの・・・」
「それで、どんな答えが出たのかしら?」
「彼・・・・、植物が人の姿になったんじゃないかって思うのよね・・・・」
「・・・・どういうこと?」
「ここは幻想郷よ。不思議なことなんていくらでも起きる。でも・・・・彼は不思議が多すぎる・・・・」
「・・・・信じろって方が無理ね・・・・」
「そうね・・・・。もしも彼の名前通りなら、もう少しで寿命が終わるわ・・・。ちょっと気を配ってみなさい」
そういって霊夢は神社へ戻っていく。
「忠告どうも・・・・」
レミリアは言われたことを少し信じていた・・・。
いや、信じたくないという気持ちが強かった・・・。
紫陽花 春夏・・・・。
文字通り春から夏にかけて咲き誇る紫陽花と同じなのだ。
紅魔館 地下図書館・・・・
春夏は図書館でとある本を見ていた・・・。
そして・・・・俯き、頭を抱える。
「あと・・・・・ちょっと・・・・一日でも長く・・・」
するとそこへパチュリーがやってきた。
春夏は慌ててその本を閉じ、戻す。
「もう大丈夫なのですか?」
「ええ、もう大丈夫よ。それより何を読んでたの?」
「い、いえ。別に何でもないですよ。それでは、夕食の準備をしてきますね」
そういって春夏は慌てて図書館を出て行った。
パチュリーは春夏の直した本を取りに本棚へむかう。
そして、その本を手に取り、机についた・・・・・。
レミリアたちは日付が変わると同時に帰宅した。
「今戻ったわ」
「お帰りなさい、皆さん。すぐにお休みできるように準備は整っておりますので」
「それではレミリア様、私はフラン様を寝室に連れて行きますので・・・」
「ええ、お願い。小悪魔ももう休んでいいわよ」
「うぃ~」
「咲夜も」
「では、お先に失礼します。お嬢様、お休みなさい」
咲夜たちは各自部屋の戻っていった。
「・・・・・春夏、ちょっと寝室まで付き合いなさい」
「は、はい」
レミリアと春夏は、レミリアの寝室へ向かう。
紅魔館 レミリアの寝室・・・・
レミリアは、ベッドに座り、春夏を見る。
「ねぇ、春夏。私に隠し事してないかしら?」
「?何のことですか?私がお嬢様に隠し事をする意図は何ですか?」
「そう・・・・・よね。ごめんなさい、霊夢に変なことを吹き込まれたの。もう休んでいいわ」
「・・・そうですか、ではおやすみなさい」
そういって、春夏は扉に手をかけたとき躓く。
「おっと・・・、すいません。ちょっと疲れてるみたいです」
「そう・・・。ゆっくり休みなさい」
「お気遣い感謝します。ではおやすみなさい」
「ええ、おやすみなさい」
春夏は会釈をして寝室を出る。
紅魔館 廊下・・・・
ドサッと扉にもたれ掛かり、それを捲り、腕を見る。
その腕は枯れ木のように固くなっていた。
「あとちょっと・・・・。一日・・・・いや・・・・一時間でも一秒でも長く・・・・お嬢様たちのそばに居たい・・・。だからせめて・・・・明日まででも・・・・」
翌朝・・・・
春夏はいつものように花壇に水を撒く。
レミリアはテラスからそれを眺めていた。
するとそこへパチュリーがやってきた。
「レミリア、少しいいかしら?」
「何か用?」
「ここじゃなんだから図書館で・・・」
「・・・・わかったわ」
紅魔館 地下図書館・・・・・
「昨日、春がここで本を読んでいたわ。それも、頭を抱えてね」
「考え事・・・・ってレベルじゃないわね・・・・」
「読んでいた本がこれ・・・・」
パチュリーはレミリアに一冊の本を渡す。
その本の表紙を見て、表情を曇らせた。
「霊夢の言った通り・・・・ね・・・・」
その本は、幻想郷植物図鑑であった。
「どういうこと?」
「春夏は、植物が人化したんじゃないかって霊夢が言ってたの・・・」
「まさか・・・・どうして・・・・」
「春夏が来る前にパチュリーが言ってたでしょ。紫陽花の花が一株消えたって・・・・。たしか紫陽花が消えて、2日後に春夏が来たのよ・・・・。信じたくはないけど、辻褄もあう」
「この本には開花の時期が書いてあるわ・・・・。もし・・・・それが本当なら・・・・・もう・・・・」
「・・・・・信じたくはないけど・・・」
バタンッ!!
「レミリア様!パチュリー様! 春夏が倒れました!!」
「「!?」」
レミリアとパチュリーは急いで春夏のもとへ向かった・・・・。
紅魔館 春夏の部屋・・・・
「すいません、少し日に当たりすぎたかもしれないです」
「まったく・・・・気を付けてくださいね・・・」
「あはは・・・」
春夏は咲夜に笑顔を見せ、安心させる。
するとそこへ、レミリアとパチュリー、美鈴がやってくる。
「あれ?起きてる・・・」
「はぁ・・・・美鈴の早とちり?」
「それはどうかしらね?」
レミリアはすたすたと春夏の前に立つ。
「ご心配おかけしました」
「そう、大丈夫ならよかったわ。ねぇ、上を脱いでもらえるかしら?」
「え・・・?どうして急に・・・・」
「これは命令よ・・・・」
春夏は俯く。
「・・・・・。嫌です・・・・」
「本当のこと・・・話してもらえる?」
「・・・・・嫌です」
するとレミリアは春夏の襟をつかみ上げる。
「どうして主の言うことが聞けないの?」
「・・・・真実を話してしまえば、レミリア様達に悲しい思いをさせてしまうからです・・・」
そう春夏が言うと、レミリアは手を放す。
「・・・・咲夜、美鈴。フランと小悪魔を連れてきて。大事な話があるから・・・」
「?わかりました」
「?わかりました・・・」
咲夜と美鈴は各自二人を呼びに行く。
「春夏、もう隠さなくていいのよ・・・。私とレミリアは知っちゃったから・・・・」
春夏はその言葉を聞いて、笑みを浮かべた。
「そうでしたか・・・・。悪事はバレるものですね・・・・」
しばらくして、フランと小悪魔がやってくる。
紅魔館全員集合であった・・・。
「私は、ここの屋敷で育った紫陽花が人化した者です」
そう春夏が言うと、パチュリーとレミリア以外は驚いていた。
「寿命は紫陽花の開花と同じ3か月・・・・。そうですね・・・・・もうすぐ・・・でしょうか・・・。私は皆様の生活を陰ながら拝見していて・・・・羨ましく思っていました。私も、皆様のように楽しく、短い時間だけでも過ごしたい・・・・そう思っていました・・・。しかし、私が目を覚ますと、咲夜さんがいた・・・・。その時はまだ、自分が人間になったなんて信じられませんでした。どうしてこういう姿になったのか・・・・。不思議でした。ですが、私は庭に植えられた紫陽花を見て、自分の寿命を思い出したんです・・・・。人間の姿とは言え、紫陽花の寿命は均等です・・・・。だから・・・人間の体も朽ちていくのではと・・・・。案の定、体は内部から朽ちて行きました・・・・。どんどん朽ちていく中で、だんだんと枯れていくという恐怖が芽生えていきました。でも、そんな姿を皆さんに見せるわけにはいかない・・・・。そう思い、伝えず、平然を装ってたんです・・・・」
「貴方の寿命はあとどのくらい?」
「正確にはわかりませんが・・・・・恐らく今晩か明日の明け方でしょうか・・・・。確証はありませんけど・・・」
「そう・・・・」
すると咲夜が一人飛び出していった・・・。
「さ、咲夜さん?」
「美鈴、そっとしておいてあげて・・・」
「ですが・・・・」
「え?お姉ちゃん、春夏死んじゃうの?」
「そうなるわね・・・」
「どうにかならないんですか?」
「現状、彼のような実例は書籍になっていないわ。あったとしてももう手遅れ・・・・」
「そういうことです・・・・。レミリアお嬢様、最後のお願いをしてもよろしいでしょうか?」
「・・・・何かしら?」
「覚悟を決めたいので一人にさせてもらえないでしょうか?」
「・・・・・わかったわ。みんな、聞いたでしょ?」
すると名残惜しそうに、全員部屋から出て行った・・・
廊下に出ると泣き崩れた咲夜がいた。
レミリアが歩み寄り、優しく抱きしめる。
「お嬢様・・・・私は春夏になにも・・・」
「そうね・・・・、私も同じよ・・・・」
「みんな、彼に助けられてばっかりだったわね・・・・。私が一番助けられたわ・・・・・。あ!まさか!」
パチュリーが慌てて春夏の部屋に入る。
するとベッドには春夏の姿がなかった。
「やっぱり・・・・」
「どうしたの?」
「春夏が消えたわ!多分・・・・・屋敷の外に行ったんだと思う・・・・」
「え!」
「わ、私探してきます!」
「わ、私も!」
「お嬢様・・・・」
「行ってきなさい、屋敷の中は私たちで探しておくわ」
「すいません!」
咲夜、美鈴、小悪魔は屋敷の外へ春夏を探しに出た・・・。
博麗神社・・・・
「さ~て、今日のさい銭は~」
霊夢がさい銭箱のチェックに来る。
「あれ?いつもは入ってないのに入ってる・・・・。?当たり前・・・・?」
ふと、茂みのほうに目を向けると木にもたれ掛かり、座っている春夏がいた。
霊夢は近づく。
そして、両足と両手が木のように朽ちているのに気が付いた。
「やっぱりあなたは・・・・」
「ああ、霊夢さん。すいません、お嬢様からもらったお小遣いはそれで全部ですので使ってください」
「別に気にしなくてもいいのに・・・。どうしてここに来たの?紅魔館で看取ってもらえば・・・・」
「悲しい顔は・・・・・もう見たくないので・・・・・」
「そう・・・・、最後まで優しかったわね・・・あなた・・・・」
「霊夢さんも・・・・・・優しいですよ・・・・」
「・・・・・。貴方の最後、私が看取ってあげるから安心してお逝きなさい・・・・」
「ありがとうございます。最後に・・・・紅魔館の皆さんにごめんなさいとつた・・・・えて・・・く・・・だ・・・い・・・」
春夏は笑顔のまま、目を閉じた・・・・・。
「こんないい子が逝ってしまうのがとても悔やまれるわね・・・・・」
それとすぐに咲夜がやってきた。
「はぁ・・・・はぁ・・・・春夏・・・」
「一歩遅かったわね・・・・。ついさっき息を引き取った・・・いいえ、元に戻ったわ」
春夏の体は光の粒となり天に向かう。
それと同時に、春夏のもたれ掛かった木の根元に紫陽花が残った・・・。
咲夜はゆっくりと紫陽花に近づき、膝から崩れ落ちた。
「最後に、紅魔館の皆さんにごめんなさいだって・・・・」
咲夜はそれを聞き、その場で泣き崩れた・・・・・。
それから一か月後・・・・
紅魔館 門前・・・・・
そこは霊夢と頭から黒いローブを纏った少年が立っていた。
「さ~て・・・・どんな反応をするか楽しみね・・・」
少年は何もしゃべらない。
そして門へ向かうと、そこには美鈴がぐっすり寝ていた。
「相変わらず、薄っぺら警備ね・・・・」
「中には凄腕の警備がおりますから大丈夫でしょう」
「まあそれもそうね・・・・」
博麗は少年を連れ、ヅカヅカと奥へ進む。
するとそこへ、レミリアが現れる。
「何しに来たの?」
「あなた達が今どうしているか気になったのよ」
「悪いけど、まだ咲夜たちの傷も癒えてないの。また改めてもらえるかしら?」
「どおりで静かなわけね・・・・」
「で・・・・それは何?」
「ああ、あの執事がいなくなってから、悲しんでるんじゃないかと思って・・・代わりを連れてきたんだけど・・・・」
「折角だけど、その人に春夏の代わりは務まらないわ。帰って・・・・」
「まあ話だけでも・・・」
霊夢が話をしようとしたとき、少年はレミリアの前に立ち、会釈をする。
「何のつもり?」
「長い間、屋敷を開けて申し訳ありませんでした。大変お怒りなのは十分承知なのですが、またこちらで働かせていただけないでしょうか?レミリア様」
「何を・・・・言ってるの?」
すると少年は深くかぶったフードを捲る。
レミリアはその顔を見て、驚き、自然と涙がこぼれた。
「春夏・・・・」
「紫陽花 春夏、天界より帰って参りました」
春夏はいつも見せていた笑顔で笑った。
レミリアは春夏に抱き着く。
「よく・・・・帰ってきたわね・・・・」
「はい・・・・、少々時間はかかりましたが・・・・」
「いいえ、帰ってきてくれただけでうれしいわ」
「レミリアお嬢様・・・・、ありがとうございます」
するとそこに、俯いた咲夜がやってくる。
「お嬢様、お客様・・・・で・・・・春夏・・・・!?」
「咲夜さん、ただいま戻りました」
咲夜は春夏に駆け寄り、抱き着く。
「一体どこに行ってたんですか!」
「すいません・・・・・」
「でも・・・・帰ってきてくれてよかった・・・」
「私も帰ってこれてうれしいです・・・・」
ふと、春夏が振り返るとすでに霊夢はいなかった。
「ありがとうございます・・・・霊夢さん・・・・」
春夏は小声でそう言った・・・・。
霊夢は紅魔館を去って、神社へ向かっていた。
するとそこに霧雨 魔理沙とアリス・マーガトロイドが待っていた。
「うまくいったのか?」
「ええ、みんなして再会を喜んでたわ」
「でも、霊夢がタダで動くなんて珍しいわね」
「失敬な。私だって情くらい湧くわよ。あんな笑顔で、遺言を残すのを見ると・・・・なんだか後味悪いじゃない・・・・」
「でも・・・・よく見つけたわね。彼の魂は普通のと違うでしょ?」
「それが一番大変だったわ・・・・・。まあどう探したかは企業秘密よ。アリスもありがとうね。わざわざ人形作らせて」
「いいえ、あのタイプは初めてだったけど成功してよかったわ」
「そういえば・・・・魔理沙は何をしたっけ?」
「あいつの絵を描いたぜ!!」
「それだけ?」
「な、なんだよその言い草は!」
「はいはいごめんなさい。でもこれで幻想郷はよりにぎやかになるわね・・・・・」
霊夢たちは博麗神社への帰路についた・・・・。
Fin
最後までお読みいただきありがとうございました。
駄作だったと思いますが、読んでいただいただけでうれしいです。