Harry Potter Ultimatemode 救済と復活の章 作:純白の翼
1993年12月22日。遂に、シリウスの無罪を晴らす時が来た。そして、ピーター・ペティグリューを地獄に叩き落す時も来たと言っても良い。ローガー家の皆、キット、シリウス、メリンダ、クリーチャーが暴れ柳の叫びの屋敷に一足早く向かっているとの事。
俺のやるべき事は、ルーピン先生の事務所に行く事だ。一足早いが、クリスマス用の2段ケーキを持って。ドアを4回ノックして、入室する。
「おや、ハリーかい。どうしたの?」
資料作成をしているようだ。しかし、俺のお手製のケーキを見て、今すぐ食べたいという風になった。そう言えばこの人、大の甘党だったよな。
「突然すみません。要件がいくつかありましてね。」
「その用件を聞いても良いかな?」
「はい。まずは、日頃の感謝の気持ちも込めてケーキを作って持ってきました。これをどうぞ。」
ケーキを机に置く。フォークも置いておいた。
「それでは早速……」いきなり食べようとしたので、手で制止の合図をする。
「ゴブレットの中身を飲んでからいくらでも食べて良いですよ。飲まないと、かなり厄介な事になります。そのトリカブトで作られた薬を。」
まだ手を付けていないゴブレットを指差して、さっさと飲む様に促す。かなり驚いているが、それでも俺の指示に従って飲み干してくれた。すぐに苦い顔となって、ケーキを食べ始めた。
「いつ私の体質に気付いたんだい?」
「俺を甘く見過ぎですよ。今までイーニアス義兄さんが俺に魔法薬の作り方を教えてくれましてね。その中に脱狼薬があったんです。ロイヤル・レインボー財団で経済的支援をしている、善良な人狼に提供するんだって言ってましたよ。それに該当するのがルーピン先生だって分かったのは4ヶ月も前になるわけですが。」
もう俺は、ルーピン先生の事情についてはイーニアス義兄さんを通して知っているからね。
「私に何をさせる気だい?」
「まさか。とんでもありませんよ。あなたの弱みに付け込んで、何かをさせるつもりは一切ありませんよ。ましてや、父様と母様が信用した俺の後見人に対してはね。」
ルーピン先生。いいや、リーマスは面食らった顔をしている。参ったという感じになった。俺は、ニコッと笑う。
「はあ。君はやっぱり、ジェームズの子だ。性格は全く違うけどね。どちらかと言えばリリーやメイナードそっくりだ。能力は、3人を足した感じだけどね。もう私が人狼という事だけではなく、君の後見人を務めている事まで知られちゃうなんて。全く恐れ入ったよ。どこで知ったのかな?」
「ええ。その事についてですよ。とあるルートからの情報になります。あなたを良く知る人物が言っていましたよ。その方が叫びの屋敷にいますので、一緒に暴れ柳まで来ていただけないでしょうか?」
さり気無く本題に入る形で頼んでみる。リーマスは、俺の言葉の意図を察したようだ。
「まさか。彼かいるのかい?」
俺はコクりと頷く。
「分かった。行こうか。」
エックス視点
先輩から叫びの屋敷に来てくれとの知らせが入った。もう、ロイヤル・レインボー財団に人たちが来ているそうだ。ウィーズリーさんやグレンジャーさんも連れて来いと言ってきたのだ。もうこの2人には、言いふらさない事を条件に真実を教えたそうだ。
「ウィーズリーさん、グレンジャーさん。そろそろお時間ですので、目的地まで行きましょう。」
「分かったわ。もうその時間なのね。」
「少しでも事を荒げないようにして下さいね。そしたら僕が、すぐさまあなた方を追い出しますから。本来あなた方に言うつもりは全くありませんでしたが、無理矢理先輩に真実を吐かせた以上はそれ相応の振る舞いをしてもらいますよ。」
「誓うよ!何もしない!ただ事実を受け入れるよ!」
「了解する。何度も約束したわ。絶対に守るわよ。」
「もうここから引き返せませんよ。それでも宜しいのですか?」
「覚悟の上だわ。」
グレンジャーさんは即答した。
「き、決めたよ。腹は括った。」
ウィーズリーさんもかなり迷ったが覚悟を決めたようだ。
「それでは、行きましょう。その他の人に関しては、姉ちゃんが担当してくださっております。」
僕は2人を連れて、暴れ柳に向かった。外は寒いので、先輩から支給されたホットドリンクを飲んで外出したんだ。体の芯まで温まるなぁ。全然寒くないや。
「ハリーって魔法薬が得意なのは知ってたけど、まさか自分でオリジナルを作れるレベルだったのは初めて知ったよ。」
「ええ。道理でスネイプが、文句もつけられない程のクオリティだったわけね。これと闇の魔術に対する防衛術に関しては上級生よりも上だし。今度教えて貰おうかしら?」
「やめておいた方が良いですよ。先輩って、あれで結構気難しい方なんですから。自分の作ったものは、本当に使って欲しい人にしか明かしませんからね。」
「何で?発明を公表すれば、名誉を貰えるのに。」
「グレンジャーさん。先輩は、名誉や名声の類に興味なんてありませんよ。今までダンブルドア校長からの点数や栄誉を貰っても、あまり良い顔してませんからね。」
「何でそんな事が分かるんだよ!君は、僕達よりもハリーと交流している期間は1年短いじゃないか!僕達の方が、ハリーを良く知っている!!」
ウィーズリーさんがそんな事を言ってる。
「僕の目標はですね。姉ちゃんや先輩みたいになりたいんです。だから、あの2人を常に観察してたんです。癖とか性格とか。尤も、僕も全てを知っているわけではありませんけどね。少なくとも、あなた方よりは分かってるつもりですから。」
2人を黙らせた。
「着きましたよ。ここで待機しましょうか。」
「誰を待つのよ?」
「すぐ分かりますって。棘のある言い方はやめてください。」
暴れ柳が見える位置で、止まった。ここで、姉ちゃんを待つんだ。
イドゥン視点
伯父上。いいえ、シリウスの無実の証明を決行する日になったわけです。すぐにグラントを叩き起こしました。
「グラント。グラント、起きてください。」
「い、伊織ちゃああん。ハア……ハア……」
何やら不埒な夢を見るそうですね。そして、18禁物のロリコン雑誌を手に寝ているではありませんか。制裁を与えなければ。
30分後。私は、早速ハッフルパフ寮に向かいました。グラントと一緒に。彼の顔が原形を留めていない程腫れているのは、気のせいなのです。ゼロが開発し、伝授された念話術を使ってエリナを呼びます。
「お早う。イドゥン…………ええと?」
エリナが寝ぼけながら談話室の入り口前まで来ました。しばらく顔の腫れたグラントを凝視しています。
「…………ああ。グラントなんだ。お早う。」
「エリナちゃん。何だよ、その間は?」
「気にしない気にしない。レイブンクローの談話室へ、レッツゴー!」
西塔の天辺まで行きます。グラントは、巨大なウミツバメに身体を変化させて、私達を乗せて一気に向かいます。
「着きましたね。」
「うん。」
「つ、疲れたぁ。」グラントはゆっくりしていますね。
『ここにレイブンクロー以外の生徒が来るとは、珍しいな。』
何かが喋りました。
「壁から声が出た!」エリナが叫んでいます。
『私は、レイブンクローの談話室の守番だ。入りたくば、私の出す問題に答えるがよい。』
「合言葉じゃないんだ。」
『私の問題に答えられないような無能は、レイブンクローには要らんわ。』
「口悪いし、態度も大きいですね。」
『黙れ。蛇の小娘が。ここでは私がルールであり、神なのだ。』
面倒臭いのが現れましたわね。
『それでは問題!チョメチョメとチョメチョメとチョメチョメ。掛け合わせると何になる?』
いきなり訳の分からない問題を出してきましたわね。こんなのをいつもレイブンクローの生徒は解いているのですか。苦労しますわね。
「はい!!」手を挙げたのはエリナですか。
「では君。答えを言ってみなさい。」
「8チョメでーす!!!」
え?いくらなんでもそれは無いのでは?
『正解!!』
は?これは一体、どういう事ですの?
『チョメチョメで2チョメ。2×2×2で8。そこにチョメを組み込めば答えになるのだ。』
はあ。何か疲れましたね。少し頭を使おうとした自分がバカっぽくなりましたわ。
『では、通って良し。』
壁が開き、談話室に通じる道が見えました。広いですね。
「ゼロー!迎えに来たよー!!!」
エリナが元気よく呼びかけます。すると、ゼロが下りてきました。何故か覇気の無い顔となっていますが、どうしたのでしょうか?それでも、エリナを見て少し頬を赤らめていますけど。開心術で探ろうにも、入り込めないようですね。
「迎えに来てくれたのか。ありがとな。」
ゼロは、僅かに笑みを見せました。それでも、無理にそうしているのは分かります。
「ゼロ。やっぱりあのやり取りの事を引きずってるのか?」
「ああ。俺はどうあるべきで、どうすべきなのか分からない。見た事も無い一族の悲劇を悲しめば良いのか、パーキンソンを憎めば良いのか。正直分からない。」
「無理に答えは出さなくて良いと思うよ。割り切ったり、乗り越えたりするのは難しいからね。」
「たまにはストレス発散した方が良いぜ!行こう!」
「スマン。ありがとう。」
ゼロも加わって、外出します。暴れ柳が見えるところで、エックスにウィーズリー、ハーマイオニーの姿が見えました。
「姉ちゃーん!おーい!」エックスが手を振っていますね。
「早かったですね。ハリーはどうしましたか?」
「ルーピン先生と一緒に来るって。先に行って欲しいって言ってたんだよ。」
「そうですか。そろそろロイヤル・レインボー財団の方々が来ますわね。行きましょう。」
こうして私達は、叫びの屋敷へと向かって行ったのです。