Harry Potter Ultimatemode 救済と復活の章   作:純白の翼

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プロローグ2話目です。今日はここまで。


第0-Z話 ヤックスリー&エイブリー完全消滅

 1993年7月10日。ここは、ヤックスリー邸の前。ここに、アラン・ローガーから生け捕りの依頼を受けた男がいた。名はキット。本名は、キット・G・パディック。18歳。ロイヤル・レインボー財団の特殊戦闘部隊所属の参謀である。

 

 1974年8月8日生まれ。彼は、ホグワーツ出身ではない。イルヴァーモーニーと言う17世紀に創立されたアメリカの魔法学校の出だ。パッと見は、西部劇のガンマンの姿をしている。茶髪の巻き毛で、そばかすがある。だが、それでも美形と言われている。

 

 彼もまた、アラン・ローガーとの関係がある。彼をジジイと呼んでいるのは、アランを慕っている証なのだ。そして、ハリーとは兄弟分の関係である。

 

 特殊戦闘部隊。ロイヤル・レインボー財団の戦闘部隊の中でも選び選りの精鋭達の集まりである。十数人が所属しており、個人でそれぞれ車両や航空機を持っている。全員が魔力の保有者であるが、マグルの技術も完璧に使いこなす。それ故に、メンバー1人1人が闇払い数十人を瞬殺、また国際魔法戦士部隊を壊滅させ、そして上級死喰い人相手にも無双出来る戦闘能力を持っている。

 

「さあて。チャチャッとジジイからの仕事を終わらせるか。兄弟分のハリーとも、久々に顔を合わせたいしな。3年ぶりだからな。あいつに会うのは。」

 

 右手で杖を持つ。そして、白金のオーラを纏った。

 

「久しぶりだぜ、アレを解禁するなんてな……覚醒の力を使うのはよ。まあ良いや。取り敢えずは、保護魔法を解除しておこうか。呪文よ終われ(フィニート・インカンターテム)!」

 

 ヤックスリー邸の保護魔法を終了させる。彼は、既に成人しているので魔法省にバレる心配はないのだ。ついでに、姿くらまし防止呪文もかけておいた。

 

来い(アクシオ)!!」

 

 キットは、宇宙空間から流星群を呼び寄せた。ヤックスリー邸目掛けて、その流星群を発射する。ヤックスリー邸は所々損傷した。

 

 そのヤックスリー邸の中では、混乱が生じていた。

 

「な、何だ!?何が起こっている!」

 

「見知らぬ男が、この家に流星群で攻撃しています!」

 

 屋敷しもべ妖精からの報告を受け取ったヤックスリー。家中は大混乱している。

 

「とにかく、全員外へ!」

 

 ヤックスリー本人も、家族も、使用人も家の外へ出た。目の前には、キットが立ち塞がっている。

 

「よお。死喰い人のヤックスリー。この世界のゴミクズめ。初めましてになるかねえ。」

 

 挨拶をするキット。しかし、その態度は極めて不遜だ。ヤックスリーとその家族、使用人を徹底的に見下した態度を取っている。そんなキットの振る舞いは、ヤックスリーを苛立たせるのは容易であった。

 

「貴様!よくも私の家を!」野蛮な顔が、更に醜悪になっているヤックスリー。

 

「ま、こっちはお前らを全員捕まえるのが仕事なんでね。」

 

 キットが興味無さそうに言った。飽く迄仕事だと割り切った態度を取っている。

 

「捕まえるだと!?誰の命令だ!」

 

「さあな。誰だと思う?上級死喰い人様よお。」

 

「……そうか、魔法省か!だが、残念だったな。12年前、服従の呪文にかかっていたのは、はっきりと証明している!」

 

 勝ち誇るような表情となるヤックスリー。

 

「フン。バカの勘違いも、ここまで来れば笑いが込み上がって来るねえ。」

 

「何だと貴様!」

 

「いいか。俺が言ってるのは、魔法省(そんなもの)より、もっと上だっての。」

 

 キットは、空高く左手の一本指を伸ばした。

 

「もっと上だと!?どういう事だ!?それに、お前は一体何者なんだ?」

 

 ヤックスリーは、キットの返答に意表を突かれたのか動揺している。

 

「自己紹介がまだだったな。俺の名は、キット・パディック。アメリカの魔法使いだぜ。以後、よろしく。」

 

 ヤックスリーは思った。この男。明らかにタダ者じゃない。普通、隕石を自在に操って、特定の場所にピンポイントで落としてくるなんて聞いた事が無い。

 

 可能性があるとすれば、この男が使ったのは呼び寄せ呪文だろう。だが、あの魔法は自分の許容量(キャパシティ・レベル)を超えるものを呼び寄せる事は不可能な筈だ。

 

 ダンブルドアや、元ご主人である闇の帝王ならば不可能ではないかもしれないが、この男はそれを平然とやってのけた。

 

『そんなバカな!?あり得ない!絶対に無理だ!下手をするとダンブルドアや闇の帝王よりも強いなんて考えるとは。そんな奴に目を付けられるなんて、私にとっては悪夢そのものではないか!』

 

「おい。醜男。顔色が真っ青だぜ。ちゃんと飯でも食ってんのか?それとも、この俺から逃げようって考えてんのか?」

 

「…………」図星を突かれたのか、更に狼狽えるヤックスリー。

 

「まあ良いや。どっちにしろ、テメエら生け捕りにするからよ。そんじゃ。先手必勝って事で、やらせてもらうぜ!麻痺せよ(ストゥーピファイ)!」

 

 キットが呪文を唱えて閃光を放つ。しかし、杖の先から出て来たのは、数え切れないほどの無数の赤い閃光だった。1000本は余裕に存在するだろう。それらはヤックスリー以外を、彼の家族や使用人全員を失神させてしまったのだ。

 

「そ、そんな!こんな事が!!」

 

 ヤックスリーは、恐怖のあまり呪文を乱射するが、ことごとくキットに一蹴された。

 

「これがお前と俺の、力の差って奴だぜ。鳥よ(エイビス)防火・防水せよ(インパービアス)燃えよ(インセンディオ)襲え(オパグノ)。」

 

 キットは魔法で、沢山の鳥に炎を纏わせ、ヤックスリーを襲わせた。ヤックスリーは、歴然とした力の差を見せつけられて、何も出来なかった。そして、無抵抗でキットに捕まり、気絶してしまった。

 

「やれやれ。大人しく捕まれば良いものを、手間かけさせやがって。」

 

 キットは、ヤックスリーの頭部に強い蹴りをお見舞いした。

 

「一応、杖の没収と魔封石の手錠を全員に掛けておくか。」

 

 全ての作業を終え、全員をヌルメンガードにぶち込んでおく。そして、アラン・ローガーに連絡を入れる。

 

『ジジイ。終わったぞ。』

 

「良くやった、キット。これから護送に向かう。」

 

*

 

 同時刻。エイブリーの家。

 

『クソ、何故だ!たかが10人に何故、ここまで嬲り殺されにされなきゃいけないんだ!?』

 

 エイブリーは今の状況を見て狼狽えていた。家族、使用人の何人かは突如現れた10人組によって、文字通り瞬殺されてしまったのだ。必死に応戦するが、1人1人の戦闘能力は桁が違い過ぎる。まるで、複数の国そのものを相手にしているようだと痛感する。

 

「隙を見せたな!バカめ!」

 

 リーダーらしき男の放った武装解除呪文が、エイブリーに当たった。エイブリーは吹っ飛ばされてしまう。エイブリーは、生き残った家族や使用人共々10人組に捕まってしまった。

 

「な、何が目的なんだ!私に手でも出して見ろ!仲間が報復に来るぞ!」

 

 エイブリーが吠える。だが彼は、心でも頭でも分かっていた。かつての死喰い人の仲間を呼んだ所で、逆に自分達がやられる事を。だから、ほんの少しの怒鳴り声で逃げようと思ったのだ。

 

「我々の目的……か。これから、一族共々死に行くお前に言って、何の意味がある?」

 

「い、今何て?」

 

 この虹の眼の男の言っている事が本当であれば、これから自分は死ぬのか。冗談じゃない。イヤだ。こんな理不尽があってたまるか、と思わず叫びたくなるエイブリーであった。

 

「だが、冥土の土産に教えてやろう。我々の目的は、お前達の終焉だ。」

 

 リーダーらしき男が冷酷に言い放つ。

 

「俺ら、少しずつこの地球上に存在する全魔法界潰しの為に活動していくから、魔法界と闇の陣営に先手を打ちたいわけ。」

 

「まずは、社会のゴミである死喰い人からってわけだ。」

 

「ミーティング場所の近くにいたお前から始末しようと思ったんだよ。近くにいるのであれば、死喰い人なら誰だって良かったのさ。俺達は。」

 

 エイブリーは絶望した。何とか、何とか見逃して貰おうと思った。

 

「た、頼む!何でもするから、私だけは助けてくれ!許してくれ!!前の魔法戦争の時は……本意ではなかった!!あの方が、闇の帝王が恐ろしかっただけなんだ!!!」

 

 エイブリーは、泣き叫びながら命乞いをする。しかし、10人組は全く話を聞いていない。それどころか、家族を差し置いて自分だけ助かろうとするエイブリーの性根の悪さを嫌悪し、失望していたのだ。

 

「そうやって以前、どれだけ多くの罪無き者の命を殺めてきた?その者達の痛みを、貴様にも刻み込んでやろう。」

 

 リーダーらしき男が、杖を構える。他の9人もエイブリーの家族、使用人に杖を向ける。

 

「お前たちが好き好んで使っていたあの呪文で、とどめを刺してやろう。」

 

「あ……ああ……」自らの最期を悟ったエイブリー。

 

息絶えよ(アバダ・ケダブラ)!!!」

 

 一斉に緑の閃光を放つ。エイブリー達は恐怖と絶望に満ちた表情で、まるで糸の切れたマリオネットの如く動かなくなった。

 

「まずは1人だ。エイブリーの死体を回収し、ここを撤退する。」

 

*

 

 エイブリー家が全滅した時間と同じ時間。キットは、ハリーとアランと合流した。ヤックスリーの一家は、ヘリで護送している。

 

「探し物は、既にすり替えられてたんだ。無駄足だったよ。」

 

ハリーがキットにそう言った。

 

「それで、ヤックスリーから情報を引きずり出すのか。ハリー。R.A.Bに心当たりは?」

 

「無いね。じゃなきゃ、今回みたいにヤックスリーを捕らえたりしないよ。」

 

 その時、メンフクロウがハリーの所に来た。手紙を持っている。ハリーは、それを受け取って手紙を呼んだ。

 

『例の物が完成した。受け取りに来るように。支払い金額も忘れないようにする事。W.G.O』

 

「ようやく完成したか。残り半額の70ガリオン持っていくかな。」

 

 ハリーは、金貨がジャラジャラ鳴っている袋を弄びながら言った。

 

「行ってこい。ヤックスリーの件は、私とキットで対処する。」

 

「了解。よろしく頼むよ。」

 

「そう言えば、手紙の差出人は誰なんだ?」

 

「W.G.Oの事?ワット・ギャリック・オリバンダー。あのオリバンダー老人のお孫さんさ。もう独立してて、杖だけじゃない。物品の修復もやってるんだ。ロイヤル・レインボー財団が贔屓にしてるよ。出来る限りの安全を提供してね。」

 

「ほう。…………って事は、Rは名前、Aはミドルネーム、Bは名字じゃないのか?Bから始まる名字で心当たりは?」

 

「ブラックしか思いつかないね。でも、あの人やイドゥン、エックスは純血主義じゃないよ、キット。」

 

「まあ、その3人とアンドロメダが例外なだけだ。ブラック家は、熱狂的な純血主義の家系だ。現に、ロイヤル・レインボー財団の調査で冤罪の可能性が極めて高いと判断されたシリウスや、エックス以外はスリザリンだ。全員がそうじゃないとしても、誰か1人や2人、ヴォルデモートの配下になっている奴もいておかしくはないな。そう思わないかい?ハリー、キット。」

 

「そこもふまえて情報を引き出すんでしょ?何しろヤックスリーは、自分の情報に自信を持つほどの情報通だからね。」

 

 そういう会話をしている内に、ロイヤル・レインボー財団本部に辿り着く。

 

「じゃ、俺は行って来るよ。アドレー義兄さんと一緒に。」

 

「気を付けてな。」

 

「任しとけよ!」

 

 ハリーは、W.G.Oことワット・ギャリック・オリバンダーの所へ行った。

 

 ヤックスリーを本部の地下にある尋問部屋に叩き込むアランとキット。

 

「ジジイ。ヤックスリー以外は、どうするんだ?」

 

「殺しておけ。死喰い人の家族に情けなどかけるな。例えそれが、女子供であっても。情けなどかけるからつけ上がり、そしてダンブルドアの様な過ちを犯すのだからな。アルフレッドを殺した奴らに、本当の地獄と憤怒の恐怖を教えてやる。」

 

「結構えげつないな。アンタもよ。まあ、気持ちそのものは分からなくも無いがな。何せ1人は、もう報復すら出来ないんだろ?もっと強い奴を隠れ蓑にしてよ。」

 

「ああ。出来る事なら、スネイプも殺してやりたい所だがな。奴め、我々が狙っていると分かった瞬間ダンブルドアに寝返った。」

 

 キットは、ヤックスリーを目隠しさせながら、アランに言葉を返す。

 

「それに、ハリーをこんな奴の為に一生消えない罪を背負わせたくないからな。ハリーには、まだ早過ぎる。いいや、出来ればやらせたりはしない。」

 

「あいつ、まだ未成年だからな。いくら目的が復讐だとしてもだ…………終わったぜ、ジジイ。いつでも行ける。」

 

「それでは始めようか。活きよ(エネルベート)。」

 

 失神しているヤックスリーの意識を回復させた。

 

「な、何をする気だ!」ヤックスリーは2人に対して声を荒げる。

 

 キットがヤックスリーの顎に蹴りを入れる。ヤックスリーは吹き飛んだ。涙を流しながら、痛い痛いと泣き叫んでいる。

 

「テメエ。自分の立場分かってんのか?もう、テメエを庇ってくれる奴は、ここには1人もいないんだよ。大人しく俺達の質問に答えやがれ。」

 

「R.A.Bは誰か答えろ。」アランが、ヤックスリーに質問した。

 

「仮に知ってても、お前らに教えるものか!!この、間抜けめ!!」

 

 ヤックスリーが言い返す。しかし、キットは杖をヤックスリーに向けている。

 

「何処までも傲慢な奴め。それが命取りになるんだよ。苦しめ(クルーシオ)!!!」

 

 キットは、ヤックスリーに無限の苦痛を与えてやりたいと言う加虐心を以って、磔の呪文を唱えた。ヤックスリーは、この世のものとは思えない叫び声を上げる。頼む、いっその事一思いに殺してくれと思いながら許されざる呪文を浴び続けるヤックスリー。そして、気を失う。

 

「さっさと起きろ!このゴミムシが!!!熱を持った水よ(アクアメンディ・フェルベンティス)!!!」

 

 ハリーが開発し、彼自身から教わった呪文をヤックスリーに放つ。その温度は100℃。あまりの熱さで、ヤックスリーは強制的に意識を取り戻す事になった。

 

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

「気を失っては困る。」アランが、憎悪を込めた目でヤックスリーに言い放った。

 

「わ、分かった。話す、話す!話すから、もうやめてくれ!!助けてくれ!」

 

「最初からそうすればよかったものを。ジジイ。真実薬だ。」

 

 アランは、ヤックスリーにありったけの真実薬を飲ませた。その後、知っている死喰い人の名前を上げさせた。どれも知った名前で、大した成果は上がらない。

 

 キットは、ヤックスリーに暴行を加える事で更に吐き出させた。骨の殆どを骨折させたり、内臓の重要な部分を損傷させたりして。すると、未成年で入って来たレギュラス・アークタルス・ブラックという名前が出て来た。更に、ベラトリックス・レストレンジが何か金のカップをヴォルデモートから預かってグリンゴッツに入れたという情報も聞き出せた。

 

「し、知ってるのはこれだけだ。頼む、解放してくれ!」

 

「役に立ってくれてありがとう。そんなお前には、それ相応の褒美をやらないとな。」

 

 キットは、まるで優しそうな表情をヤックスリーに向けた。ヤックスリーも、安堵の表情が戻ってくる。だが、キットは残忍に満ち溢れた笑みを浮かべた。

 

「ヤックスリー。テメエ、自分のご主人様の情報を暴露したんだ。お前は、真っ先に粛清されるに決まってるだろうが。それを回避する為に、俺達に責任転嫁する事は見え見えなんだよ!だから、そう言ったゴミは、殺すのが相場だ!」

 

「イヤだ!死にたくない!協力もする!情報は、これからも渡す!!だから、だから……助けてくれええええええええ!」

 

 ヤックスリーは、必死に泣き叫んで命乞いをする。

 

「ダメだ。私の孫のアルフレッドを殺した罪は重いのだ。確か、貴様はその主犯格だったな。私の家族に手を上げておいて、只で済むと思うなよ。」

 

「そ、それは……」

 

 ヤックスリーは悟った。何故自分がこんな目に遭わなければならないのかを。だから、12年前の自分の行動を恨んでやりたくなったのだ。とんでも無い奴らを、自分を含めた闇の陣営は敵に回してしまったと。

 

「問答無用だぜ、ヤックスリー。疑わしきは、ぶっ殺してやる。切り裂け(セクタムセンプラ)!」

 

 キットは、ヤックスリーに呪文を放った。身体を切り裂かれた。それでも、まだ息のあるヤックスリー。

 

「まだ息があったか。次こそとどめだ!切り裂け(セクタムセンプラ)!」

 

 また身体を切り裂かれた。もう、流石にヤックスリーは息をしていない。この攻撃で死んでしまった。だがあろうことか、キットはまだ攻撃をやめない。

 

切り裂け(セクタムセンプラ)切り裂け(セクタムセンプラ)切り裂け(セクタムセンプラ)切り裂け(セクタムセンプラ)切り裂け(セクタムセンプラ)切り裂け(セクタムセンプラ)!!!」

 

 ヤックスリーの五体は、ズタズタに切り裂かれた。

 

「これだけやっておけば、流石にもう生きてはいねえよな。せめてもの情けだ。死体処理でもしておくか。」

 

 キットは、ヤックスリーの遺体を悪霊の火で焼却処分したのだった。

 

 後日、エイブリー家とヤックスリー家の完全消滅が日刊予見者新聞の大見出しを飾った。純血の名家が2つも滅ぼされた事は、英国魔法界に大きな波紋を広げる事となったのだ。

 

*

 

 ここは、ホグワーツ魔法魔術学校の校長室。いるのは3人。アルバス・ダンブルドアとミネルバ・マクゴナガル、そしてセブルス・スネイプだ。日刊予見者新聞の大見出しをデスクに広げていた。

 

「ダンブルドア校長。これは一体、どういう事ですかな?」

 

「うむ。もう少し情報を集めないといけのじゃが、ロイヤル・レインボー財団が関わっている可能性も否定出来ないのじゃ。」

 

「……ヤックスリーは、アルフレッド・ローガーを殺害した死喰い人達の主犯格です。恐らくは、その報復で一族諸共全滅させられた可能性があります。」

 

スネイプが、ダンブルドアにそう進言した。スネイプも、僅かながらに震えている。

 

「うむ。じゃがのう、セブルス。わしが分からないのは、何故今と言うタイミングなのかじゃよ。」

 

「それだけではありません。ルシウスから、リチャード・シモンズという男と出会い、ドラコの首筋に痣を残して消えたという情報もあります。痣を消す事は出来ず、かと言って影響を抑える薬も申し訳程度にしか持続しません。」

 

 マクゴナガルは、何かを決心したように2人に情報を話した。

 

「リチャード・シモンズ。ロイヤル・レインボー財団の元構成員です。禁断の魔法を、ヴォルデモートが使用していた分霊箱とはまた別の不死の魔術を開発していた事がバレて、追放を受けました。そして、アランはシモンズを追っている内に、ある組織に数年いた事が明らかとなりました。」

 

「してミネルバ。その組織は何と言っておったのじゃ?」

 

「いいえ。そこまでは教えてくれませんでした。アランは、闇の陣営についてはギリギリまで放っておく。そして、今はその組織を追っているとだけしか言ってませんでした。」

 

「一度、彼と話をしよう。」

 

「ですが校長。素直にアラン・ローガーがあなたと話してくれるとは、我輩はそう思えませんな。」

 

「なに。そこは考えておる。そして、聞きたい事もあるしの。」

 

 ダンブルドアは、朗らかに笑っていた。だが、問題は山積みなので笑顔を作っているだけに過ぎない。

 

 今の所は、全ていっている。しかし、想定外だったのは、切札たるハリー・ポッターが自分を完全に信用して無い事だ。エリナに過酷な事をさせようとしている事、危険に晒した事、手駒として見ている事に対して怒っているのだ。

 

 しかも、エリナも自分よりも兄であるハリーの方を信じている。家族の方が信頼出来ると言えばそれまでだ。だが、あと数年でヴォルデモートは行動を開始する。結束しなければ、勝てるものも勝てなくなる。

 

『わしが……わしが全て悪いと言うのか、アラン。アルフレッドを死なせた任務を与えたこのわしが…………そして、君の息子夫婦を殺したセブルスを引き渡さないで匿った事も。』

 

「校長。」

 

「良いかね。セブルス。君は、間違ってもロイヤル・レインボー財団の怒りを、もう2度と買わぬ事じゃ。ジェームズとの確執を理由に、ハリーに何か手でも出そうものなら、アランは口実が出来たと言わんばかりに干渉してくるのは目に見えておるからのお。」

 

「分かっております。それに、もう憎いとかそんな感情はありません。恐ろしいのです。我輩の過ちが大きく響いて、ポッターが闇の帝王以上の闇の魔法使いになってしまう事が。勿論、闇の帝王と同調するのは決して有り得ない事だと分かってはいるのですが……」

 

「うむ。それよりは、ハグリッドの話に出ていた謎の男に同調してしまう方が懸念材料という事じゃ。では、ミネルバ。セブルス。わしは行って来る。」

 

 悩んだ所で仕方がない。とにかく、ひたすら行動しなくては。今、魔法界で起きている異変を知る為に。それが、今自分が出来る道なのだから。死んでしまった妹と自分を信じて付いて来てくれた者達にそう語りかけるダンブルドアであった。

 

*

 

「1週間ぶりだ。ここに来るのは。3日間で宿題を終わらせて正解だな。」

 

 ハリー・ポッターは、ワットの家に来た。扉を開ける。様々な品が並んでいる。散らかっているが、それを慣れた感じで難なく進む。

 

「来たねハリー。僕は、お祖父様から独立して5年になるわけだが、どうかな。上手くやってるのかい。」

 

「オリバンダー老人がそう簡単にくたばってたまるものか。……約束の金だ。70ガリオンある。数えてくれ。」

 

 袋を投げ渡す。ワットは、中身を取り出して1枚1枚数える。

 

「ちゃんとあるな。よし、約束の140ガリオンは確かに全額受け取った。これを渡す。」

 

 渡されたのは、杖が5本。

 

「素材は?」

 

「芯は、いずれもバジリスクの牙。正確には、杖の大きさに合わせて加工したものだ。材質の木は、それぞれユーカリ、アカシア、カラマツ、ハンノキ、クマシデだ。分霊箱の破壊に特化している。」

 

 1本ずつ試す。結果、ユーカリの杖を持つ事にした。これが、1番馴染んだからだ。ユーカリの杖の方も、ハリーを気に入ったらしい。

 

「ありがとう。また来るよ。」

 

「じゃあな。気を付けて帰りな。」

 

 ハリーは、ワットの家を出た。アドレーが待っていた。

 

「お帰り。それで、杖は?」

 

「1本だけいただいて、残り4本は渡しておきますよ。」

 

 ハリーは、アドレーに4本の杖を渡した。

 

「それと報告だ。R.A.Bの正体は、レギュラス・ブラック。シリウス・ブラックの弟だよ。そして、証言通りハッフルパフのカップはグリンゴッツにある。場所は、レストレンジ家の金庫だ。予めこちらの調査で分かっていたけど、裏付けも取れたから確実だね。」

 

「それはまた、厄介な所にあるね。一先ずそれは、保留にしよう。まずは、ロケットだ。丁度、イドゥンにシリウスの事を伝えなきゃいけないからさ。」

 

 ハリーは、ロイヤル・レインボー財団に戻ってからイドゥンに手紙を書く。ナイロックに持たせた。その3日後、ナイロックが帰って来た。イドゥンからの返事。それは、8月28日に会いましょうという返事が来たのだった。

 

*

 

 アズカバン。ここに収監されている2人の男がいた。シリウス・ブラックとクィリナス・クィレルである。彼らは、最近ファッジから貰った新聞を読んでいた。だが、シリウスはある記事を読むと表情を強張らせたのだ。

 

「どうかしましたか?」

 

「エリナ達が危ない。ピーターの奴を見つけた!ホグワーツに戻る気だ!」

 

「……行くのですね。」

 

「ああ。」

 

「くれぐれも、無茶な事だけはなさらない様に。」

 

「……クィリナス。君とは1年ちょっとの交流しかしてなかったが、退屈じゃなかったぜ。ありがとう。」

 

「いずれ、また会いましょう。」

 

「行ってくるよ。」

 

 シリウスは、犬の姿となって脱獄したのだった。




書いていく内に気付いた事なのですが、今作ハリーを含めてエリナ、ゼロ、グラントの4人は各々が所属している寮における主人公的存在と化しています。最初からそう決めていたわけではなく、執筆していったら自然とそうなっただけです。

彼らのモデルは、ロックマンゼロシリーズの『ネオ・アルカディア四天王』及びルドラの秘宝の『ジェイド戦士』です。具体的にはそれぞれ、以下の様になってます。

ハリー……隠将ファントム、デューン
エリナ……妖将レヴィアタン、リザ
ゼロ……賢将ハルピュイア、サーレント
グラント……闘将ファーブニル、シオン

別に知っても知らなくても良いです。
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