Harry Potter Ultimatemode 救済と復活の章 作:純白の翼
1994年1月3日。必要の部屋。
「駄目だ!上手くいかない!!」
年が明けても、真脱狼薬の第3段階の過程で行き詰っている。どんな物質も試したけど、即座に水に変わったり、腐食性の毒になったりしているのだ。
「クソが。前の2種類は上手くいったのに、ここで手詰まりになるなんて!調子コクんじゃなったよ。」
年末が懐かしいな。火炎弾と冷凍ガスを使い分けることが出来る、甲殻類の特性を持った改造人間が攻めて来た事があった。城を凍らせて中にいた全員を外に出られなくし、凍死させようとしたんだ。免れたのは、修行で外に出ていた俺とジニーとエックスの3人だけだった。
俺は冷凍ガスで一時的に戦闘不能になったものの、エックスの作戦で火炎弾をぶつけられて復活。神秘の光竜とフルシンクロを行い、更にパワーアップした光竜の力で改造人間を倒したのだ。俺は3日間の絶対安静をその後言い渡されたのだった。
新学期が始まるまであと5日か。あっという間だったな。そろそろ夕食の時間だ。一昨日の餅つきが懐かしい。日本の年明けの過ごし方を教えるつもりだったのだが。あれ、残ってる皆には好評だったよな。
しかもだ。ダンブルドアのジジイが厨房で毎日餅が出るように手配したのだ。毎日食ってりゃ太るってのに。運動やクィディッチの練習をしている奴はまだ良いけどな。してない奴は、そりゃあ激太りだろうよ。
今日も上手くいかなったなと思い、必要の部屋を後にする。そこで、女性と遭遇した。痩せていて大きな眼鏡を掛けており、スパンコールで飾った服を着ている。それに、腕輪に指輪、鎖やビーズ玉など装着品を身に付けている。さしずめ『煌く特大トンボ』と言った所か。
「あ、どうもこんばんは。」取り敢えず挨拶する。
「こんばんは。えっと、あなたは?」
「俺ですか?俺は、ハリー・ポッターと申します。以後、お見知りおきを。」
自己紹介してお辞儀した。
「ポッター?ああ、天使と何か関係がありますか?」
「天使って、エリナ・ポッターの事を言ってますか?」
「その通りですわ。そして、私はシビル・トレローニーでございますわ。占い学を担当しております。」
霧の彼方から聞こえてくるような声で話してるな。エリナに死や不幸の予言ばかり言ってくるもんだから、エリナにとしては苦手意識があるって言ってたな。
「エリナの兄ですよ、私は。」
「そうでございましたか。でもあなた、私の授業では見かけませんが?」
「無理もありませんよ。占い学の時間は、別の授業の履修で利用していますんで。それよりもトレローニー教授、一体ここで何をされていたのですか?」
「シェリー酒の貯蔵をしにまいりましたの。」成る程な。
「道理で酒臭かったわけだ。というよりも、本当に必要の部屋を知っている方が俺以外に存在していたとは。正直驚きです。」
「私もですわ。よもや生徒で、ましてや3年生であの神秘の部屋の存在を知っている人がいるとは、思いませんでしたわ。」
「先に俺が利用していたから待っていたわけですね。それはともかく、トレローニー教授。待たせてしまい、申し訳ありません。」
「良いのですよ。それで何をやっていたのか、差し支えなければお聞かせいただきたいのですが。」
「新しい魔法薬を作っていましてね。途中までは上手くいってたのですが、突然行き詰ってしまいました。ハッキリ言うと、スランプ状態って奴です。そろそろ夕食の時間だから、今日はこの辺でと思ったんです。」
「そうだったのですか。」
「では、俺はそろそろ大広間に向かいます。トレローニー教授もお気をつけて。」
まあ悪い人ではないだろうな。あの人は、あの人なりに良い人なんだろう。だが、俺からしてみれば雰囲気がちょっと苦手だ。でも、パーバティやラベンダーの反応からして、人望はあるんだろうな。腹減ったから、さっさと行ってしまおう。
軽くお辞儀をしてから、大広間に向かおうとした。だが、後ろから太い荒々しい声が聞こえてきた。
「ことは6つの年を刻むまでに起こるぞ。」
何だ!?俺は、振り向いた。トレローニーだ。さっきとは一転して、虚ろな目をし、口をだらりと開けている。
「だ、大丈夫ですか?すぐに医務室へ行きましょう。」
だけど何も聞こえていない様だった。目がギョロギョロ動き始めた。俺は、戦慄して動けなった。トレローニー教授は、今にも引き付けの発作でも起こしそうだった。すると、また話し始めた。先程と同じく、太い荒々しい声でだ。
「虚空より来たりし者が再び立ち上がって来る。その者は感情も心も無く、ただ破壊という意思のみを持つ。モノがあれば破壊し、命があれば殺す。全てを無に帰す者なり。その者を完全に滅する事が出来るのは、古き思想を司る闇を打ち祓いし天使、この世界に眠りし真実を解き明かせし賢者、全ての生命の力を以って魔を撃ち滅ぼす覇王、そしてあらゆる秘宝を手に世界に変革を齎す切札の4人なり。誰か1人でも欠けてはならぬ。されど世界は、否。この
トレローニーの頭がガクッと前に傾き、胸の上に落ちた。呻く様な声を出したかと思うと、首がまたピンと起き上がり、立ち上がった。
「あーら、ごめんあそばせ。」夢見るように言った。
「私、ちょっとウトウトしていましたわ。」
俺は、礼をしてからグリフィンドールの談話室に向かった。口寄せで再生の水晶玉(プレバク・ピラクリスタル)を召喚した。そして、予言の記憶だけを取り出し、読み込んだ。予言なんてクソだと今まで思ってた。だが、あれに関しては出鱈目やインチキ、嘘だとは到底思えなかった。何でかって。まあ、直感だと言ってしまえばそれまでだ。
誰かに報告すべきだろうか。いいや。嘘の可能性も否定出来ないから、俺だけの秘密にとどめておこう。情報が余りにも少な過ぎるので、調査しなければ。にしても、虚空より来たりし者か。
闇の陣営、リチャード・シモンズの勢力『アルカディア』、終わりを生み出す者『TWPF』だけでも手一杯なのに、またとんでもないのが出て来やがったな。まあ、一応夏休みにロイヤル・レインボー財団に報告だけはしておくとしよう。それにしても、虚空より来たりし者を止められる事が出来るのが4人か。そいつらも探さなければな。