Harry Potter Ultimatemode 救済と復活の章 作:純白の翼
学期の最終日。真脱狼薬シリーズの効果が実証されたので、正式に発表になった。シエル、そしてルインの2人が新聞や学術誌に取り上げられた。
「凄いじゃん!もっと喜んだら?」
エリナが元気良く2人に言った。尤も、ジジイが間接的な表現で俺が立役者だと言ったらしく、思い描いていたビジョンとは全く違っていたのだ。
「極端な事言っちまうとな、先生を退職に追いやっちまったんだ。考えてもみろよ。素直に喜べるか?」
「確かに。でも先生は、そんなの覚悟の上だって言ってたよ。それにね、パパとハリーとボクには十分救われたってさ。」
「どういう事?」
「パパは自分が狼人間だったとしても決して見捨てず、危険を冒してまで動物もどき(アニメーガス)になった。ハリーは、今回の真脱狼薬で自分だけではない全ての狼人間を過酷な運命から救済した。ボクは、パパの最期の言葉を伝えて誰一人死なせる事無く事件を解決出来たって。あの言葉を聞かなければ、ピーターを殺してたって。」
「そうか。なあ、守護霊はどうなった?完成したら、ある呪文を教えようと思ったんだけど。」
「分かったよ。でも、ルーピン先生の所に行こうよ。見せたいし。」
「ああ。だな。」
2人でリーマスの部屋に入る。開けっ放しだ。荷物は殆ど片付いてる。
「やあ。」
「先生。いや、リーマス。俺は……」
「大丈夫さ。思いっ切り抵抗して敵を増やすよりは、数は少ないけど私の事を分かってくれる味方がいれば生きていける。それにね、君達を見てるとイタズラ仕掛け人の時の記憶が蘇ってくる。本当に2人は、ジェームズとリリーの子だ。性格は思いっきり違うけどね。特にハリーは、メイナードそのものだよ。」
「性格については、初めて聞きましたよ。育った環境が違うと、こうも変わって来るなんてね。」
「私がここに来て誇れる事があるとするならば、エリナの守護霊を完成させた事と、最後に飲みやすい薬を飲めた事だね。」
「最後、それで良いんですか?」
「まあまあ。本人が良いって言ってるなら良いじゃん。ボクの守護霊は牡鹿。つまり、パパの動物もどき(アニメーガス)だった。そうですよね?」
エリナが忍びの地図を取り出した。「われ、ここに誓う。われ、良からぬ事を企む者なり。」と言った。天辺に大きな文字が現れた。
「ムーニー、ワームテール、パッドフット、プロングズ、ティグリス、アンク……か。」
この6人、見事に引き裂かれたな。プロングズは友を信じ過ぎた事で殺されてしまい、ティグリスもダンブルドアに見捨てられて死喰い人に殺された。ワームテールは自らの心の弱さに負けて友を裏切り、挙句の果てに死んだ方がマシだと思う位の過酷な運命を待つ身となった。せめて、エリナ、ゼロ、グラント、ロン、ハー子とはそうなりたくない。
だけど、まだ希望や光も残っている。パッドフットは汚名を着せられながらも、味方の力を借りて名誉を回復させ、アンクはパッドフットを救ってゴールイン。ムーニーは自分の体質を、新しく作られた薬を通じて克服した。
「君達のお父さんは、いつも牡鹿に変身してた。枝分かれしているから、プロングズと呼んでいたのさ。」
「ティグリスって、アルフレッドさんですか?」
「それにアンクって、メリンダさん?」
「ああ。2人は私達4人よりも学年は3つ下でね。見事に綺麗なホワイトタイガーで鋭い牙をしてたからティグリス。鋭い目を持った凛々しい鷹に変身していたからアンクって呼ばれていたのさ。ティグリスの細胞分身が無ければ、動物もどき(アニメーガス)の習得に更に時間が掛かっていただろうね。」
「細胞分身を使った大量経験値で習得したんですね。」
「そうなんだよ……さてと。私はもう教師ではないから、これを正式に君達に譲ろうと思っている。尤も、ハリーはこの地図に似た物を持ってる様だし、以前の持ち主だったフレッドとジョージはスペアを幾つも作っているみたいだしね。それに、ジェームズは自分の子供達が城を抜け出す方法を知らないままだったら、大いに失望するだろうし。それは確実に言えるよ。」
コンコンとノックの音がした。エリナは、「いたずら、完了。」と言ってからポケットに地図を入れる。入って来たのは校長だった。俺達がいても特に驚いていない様子だ。
「リーマス、門の所まで馬車が来ておるよ。」
「ありがとうございます。校長。それじゃあ、2人共。また会おう。」
リーマスは、見送らなくて大丈夫だと言い、1人で去った。最後に振り返り、笑顔を見せながら頷いた。
「行っちゃったね。」
「そうだな。」
「2人共。もっと自分を誇ってはどうかね?」
「エリナはともかく、俺はそうもいきませんがね。新しい薬が齎したのは、俺の望む形じゃなかったのですから。」
「はあ。それに、シリウスと一緒に暮らせないなんて。」
エリナが溜息をつく。シリウスは俺達を引き取りたかったが、エリナは護りの魔法を維持する為に、成人までダーズリーの所へ帰らなければならない。
俺の場合は、今の生活も捨てた物じゃないし、提案はありがたいけどケジメを全てつけてからにして欲しいと頼んだ。それが終わった後に、また誘って欲しいと。
シリウスは、俺の意見を尊重してくれた。尤も、メリンダから逆プロポーズされた様なので、1人で寂しくなんて事は無いけど。だが、夏休みの後半はロイヤル・レインボー財団が手配した2人の新居にお泊りになったし、いつでも連絡は取れるようにもした。その時はエリナも一緒にだ。
「でもさ。半分だけなら何とかなったんだ。あと3、4年あれば、な?」
「うん。」
ある程度の妥協で済ます事にしておいた。何もしないで後悔するより、精一杯やって後悔した方が良いからな。タイミングを見計らった様に、校長が口を開く。
「君達の今回の活躍は見事じゃった。罪無き命を救い、この世界の狼人間を救った。それに、歴代最年少の動物もどき(アニメーガス)として名を刻んだ。わしとしても、鼻が高い。」
まるで、自分が出来なかった事を教え子にやらせる様な言い方をしているな。相変わらず気に食わんが、今はまだツッコまなくても良いか。
「その功績を称えて、エリナに300点、ハリーとシエル、ルインにそれぞれ150点与えよう。」
「おや、ハッフルパフが逆転優勝か。まあ、クィディッチの優勝は貰ってるし、俺自身寮対抗杯には興味無いから別に構わないさ。ともかく、おめでとう。エリナ。」
俺は、エリナに向けて右手を差し出す。握手しようといった感じで。
「ありがとう、ハリー。」エリナも握手に応えた。
「さあさ。学年末の宴会に行きなさい。」
「あ、そうだ先生。」行こうとしたエリナが足を止め、校長に話しかける。
「何かね。」
「占い学の試験の途中に、トレローニー先生がおかしくなったんです。確か、何だったっけ。」
「これを使いな。」記憶を映すメモ帳とペンのセットを差し出す。
エリナは、そこにその時の内容を書いた。
『闇の帝王は、友もなく孤独に、朋輩に打ち棄てられて横たわっている。その召使い、一旦は捕らえられる。しかし、召使いは自由の身となり、ご主人様の下に馳せ参ずるであろう。闇の帝王は、召使いの手を借り、再び立ち上がるであろう。以前よりさらに偉大に、より恐ろしく。召使いが……ご主人様の……下に……馳せ参ずるであろう……』
何だ。変態ヘビが復活する内容か。こうなる事は分かってるのさ。そう思っていると、まだ続きがあった。
『時を同じくして、神をも恐れぬ者と滅びを司る者も動き出す。神をも恐れぬ者はこの世の摂理を冒涜し、滅びを司る者は圧倒的な力を振るってこの星に災いを齎す。気を付けよ、闇の帝王と決して相容れる事はないが、その者達も汝の敵なり。』
……リチャード・シモンズの一味と、終わりを生み出す者も動き出すって事なのか。敵ではあるけど、それは変態ヘビの一味にとっても同じか。
「先生。これから一体どうなるんでしょうか?ボク、勝てますか?」
「勝てる勝てないの問題じゃない。勝たなきゃな。特に、終わりを生み出す者。奴等は、俺にとっても無視出来ない存在だからな。」
「エリナよ。ハリーの言う通りじゃよ。確かに勝機は薄いかも知れぬ。じゃがのお、この3年間でグリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリンの4つの寮が互いに協力し合い、助け合って来た事を知っておる。そこに、わしは可能性を見い出したのじゃ。未来という希望を。」
校長は朗らかに笑って、部屋を出て行った。俺とエリナは顔を合わせる。
「お互いの守護霊を出し合おうぜ。」
「うん。」
「「守護霊よ来たれ(エクスペクト・パトローナム)!」」
2人で一斉に唱えると、メンフクロウと牡鹿がそれぞれ出て来た。部屋の中を駆け巡る。
「父様……プロングズ。」
俺は、牡鹿にそう言った。エリナには、母様の愛だけでなく父様からの愛も持ってる事が良く分かったよ。守護霊を出し終え、大広間に向かおうと視線で言った。そして、部屋には誰もいなくなった。
成績が発表された。相変わらずイドゥンが1位で、ゼロが2位、ハー子は3位か。俺は4位で、ロンが11位、エリナは12位、グラントは20位だ。意外にも、マルフォイは5位だった。尤も、俺との差はかけ離れているけどな。エリナの奴、苦手教科でもない限りは、成績については問題無い。魔法薬学は、スネイプが甘く評価しているんだろうしな。
最終日の宴会で、真脱狼薬の事が発表された。ルインもシエルも含めてマーリン勲2等が貰えるそうだ。そして優勝はハッフルパフ。ハッフルパフ生は大いに喜んだ。だが、勲章を貰える人間が所属しているレイブンクロー、スリザリンもそれに勝るとも劣らない喜びを表した。
今年度起こった事は、全てロイヤル・レインボー財団に話す事としよう。それに、調べなければならい事もあるしな。俺はふと、最初に日本で手に入れたナナカマドの杖を右手で触った。
そして翌日。汽車で帰る事になった。
「来年は誰が来るんだろう?」エリナが尋ねた。
「死喰い人じゃなきゃ、誰だって良い。」
ババ抜きをエリナと一緒にやっている。
「また2週間後に来るぜ。後、アドレー義兄さんとキットがクィディッチ・ワールドカップのチケットを準決勝と決勝、両方揃えたんだって。行く?出来たらシリウスやメリンダも誘って6人で。」
「うん。お願い。」
近くのコンパートメントでは、俺達の知人が全て独占している。ウィーズリー兄妹、ブラック姉弟、コリン、ハー子、ネビル、ゼロ、シエル、ジャスティン、グラント、ルインで。
ハー子は、マグル学をやめるそうだ。ロンは、クィディッチ・ワールドカップの事を言っている。色々話し込んでいると、何時の間にかロンドンに到着した。降りようとすると、エックス、コリン、ジニーが俺の前にいた。
「今年は、ありがとうございました。戦闘の特訓だけでなく、授業の事まで教えていただきいて。僕ら、総合教科でトップ3を独占出来ました。先輩のお陰です。」
「いいや。3人の努力のお陰だよ。俺は、その後押しを少しやっただけだからね。」
その後、イドゥンからも礼を言われた。その後に、マグルの世界へと行く。
「じゃあな。」
「うん。また2週間後にね。」
エリナはダーズリー家に引き取られ、俺は待っていたエイダ義姉さん、そして共に迎えに来たマリアと共にロイヤル・レインボー財団本部に戻っていった。
*
アズカバン。魔法使いの牢獄。そこに、ピーター・ペティグリューはいた。かつての仲間たちは、正気を失っていたので彼が責められる事は無かった。
突然、吐き出されたかの様に人が現れる。仮面を付けた男、ダアトだ。だが、その雰囲気はクリスマスの時とは余りにも違う。吸魂鬼の力をものともせず、平然と歩く。そして、足を止めた。目の前には、ピーター・ペティグリューが繋がれている。
「さて。ヴォルデモート殲滅の為に大いに役立ってもらうとするかな。それが、落とし前ってものだろ、ワームテールよ。」
僅かに見えたのは、闇をも照らすルビーレッドの眼。ペティグリューの目と合わせる。
「ああアアアアアアアアァァぁ……」
ペティグリューは絶叫を上げる。
「い、一体……何が……どうなって?」
「久しぶりだな。ワームテールよ。」
ダアトが、抑揚の無い口調で語りかける。
「ひ、久しぶり?僕はあなたを知らない!」
「ならば、これで思い出せるかな?」ダアトが面を外す。
その素顔。ペティグリューにとっては、とても信じがたい光景であった。彼にとっては、余りにも見知った顔だったからだ。
「う、嘘だ!そんな事!ありえない!!あなたは死んだ筈だ!」
「嘘ではない。これが、現実だ。ワームテールよ、俺に従え。」
ペティグリューの目が、ダアトと同じく赤く光った。
「お前の今の心。破壊させて貰うとしよう。マインド・クラッシュ…………」
ダアトは、ペティグリューの精神をパズルの如くバラバラにした。ペティグリューは、正気を失った。
「そして、お前の心は生まれ変わる。」
精神を再構築する。再び、目に光が戻った。ダアトの操り人形としての新たな人格となって。
「さあ、まずはここを出て、ヴォルデモートの所まで行け。奴の今の潜伏先であるアルバニアの森までな。」
ダアトは、ペティグリューにそう命令した。
「はい。ダアト様の仰せのままに。」
ダアトとペティグリューは、まるで吸い込まれるかのようにアズカバンから忽然と消え去った。後日、それは日刊予見者新聞に大見出しで記載されたのだった。ピーター・ペティグリュー、脱獄と。
これで3年生編は終了です。炎のゴブレット辺りから原作とかけ離れる展開になります。
ちょっと修正を行う必要がある事、スランプ状態になっている事もあってしばらく休載する事にします。
また、息抜きでポケモンの小説を投稿してみようかなと思ってみたりもしています。