Harry Potter Ultimatemode 救済と復活の章   作:純白の翼

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第3話 闇の印(前編)

「イーニアス。本当ですか?」

 

「はい、姉上。恐らく、アズカバン逃れした連中かと。マグルの方々を嬉々として吊るし上げています。」

 

「ここまで来てマグル苛めですか。ルシウスも懲りませんね。そんな事をやっても、TWPFの粛清対象から外される事は無いのに。」

 

エイダ義姉さんがほくそ笑んでる。この人、敵対者にはかなり残酷なんだよな。まあ、彼女に限らずローガー家は全員そうだけど。

 

「姉上。ここは、3組に分かれましょう。」提案したのは、アドレー義兄さんだ。

 

「そうですね。マリアちゃん以外は、杖をお持ちですか?」

 

皆、ちゃんと持っていた。俺も7本問題無く所持している。

 

「イーニアスとアドレーは、マリアちゃんを守って下さい。」

 

「兄上。久々ですね。チームを組むのは。」

 

「だな。アドレー、遅れを取るなよ。まあ、お前は私よりも強いし、覚醒の力もあるから心配なんてしてないけど。」

 

「言ってくれますね。兄上も。」

 

「ハリーとキットで組んでください。」

 

「え?どうしてなんですか?エイダさん。」エリナが質問する。

 

「必ず1人、成人が付き添いをしてた方が良いと思いましてね。それに、キットとの連携や補佐が出来るのは、ハリーをおいて他にいませんので。ですからエリナちゃん、あなたは私と同行しましょう。」

 

「は、はい。」

 

「それじゃ、片付いたら戻るから。」

 

3組に分かれて、テントを出た。

 

*

 

「兄上。」

 

「何だ?アドレー。」

 

「兄上の左腕のアレ、最近濃くなっていませんか?」

 

アドレーは、イーニアスの左腕を見る。イーニアスはそれに反応して、左腕を捲る。髑髏の口から蛇の出ている紋章があった。しかも色は黒い。

 

「……ああ。奴が、あの厨二病患者が最近力を取り戻している可能性が極めて高いな。やはり、早くてもこの1年以内に……何が何でも動き出すだろうな。」

 

「とにかく、それは帰ってからにしましょう。マリアを守りながら行動するので。」

 

「分かっている。」

 

*

 

「エイダさん。」

 

「どうしましたか?」

 

「傷跡の事なんですけど……」

 

「ええ。分かっています。でもエリナちゃん。あなたも薄々気づいてる筈です。ヴォルデモートは、また立ち上がると。」

 

「はい。でも、勝てるかどうか不安です。」

 

「大丈夫ですよ。立場は違っても、私達ロイヤル・レインボー財団はあなたの味方ですからね。」

 

「ありがとうございます。」

 

*

 

暖かな光よ、生命を守りたまえ(カリルチェン・ケストディマム)邪神の碧炎(ファーマル・フレイディオ)!!炎よ我に従え(プロメス)!!!」

 

自分自身に環境適応呪文をかけ、碧炎を自らに纏い、形態変化させる。背中に、翼を生成した。

 

キットは飛行術、俺は碧炎の翼で空を駆け巡る。

 

「キット。あの死喰い人もどき、殺して良い?」

 

「最後の手段にしとけ。主に俺が掃除するから。」

 

「了解。最初は、マグルの人を助けるんだよな。」

 

「ああ。行くぜ。互いの最大攻撃呪文で蹴散らす。麻痺せよ(ストゥーピファイ)!」

 

神の怒り(デイ・デイーラ)!」

 

術の性質上、神秘の光竜(アルカレマ・ルメンリオス)はまだ使えない。だから俺は、代わりに虹色の光線を撃つ。エックス達の修行を見ている間、何もしなかったわけじゃない。破壊光線の軌道を、好きなだけ変えることが出来る様になり、命中率を限りなく必中にしたのだ。

 

話しは変わるが、キットは失神呪文が十八番だ。失神呪文を鍛え過ぎたその果てに、1回の詠唱で何百もの閃光として放てる。

 

各々が放った魔法が、厨二臭い仮面の一味目掛けて発射された。

 

「おい!何だあれは!」

 

「ギャア!」1人墜落した。あらら、あいつは死んだな。

 

「赤いのは失神呪文だ!この高さから食らったら、ヤバい!死ぬぞ!!」

 

「虹色の光線に当たった奴は、身体がこんがりジューシーに焼けたぞ!即死だ!」

 

「あいつらの目!我々を殺す事に、悲しみも楽しみも感じて無い!ただ消えるのが当たり前だという目をしてやがる!!」

 

「あんなガキ共に、舐められてたまるか!虫ケラでも見る様な目をして!」

 

そんな事を言ってる奴は、零界の翠氷(アブソリュス・グラキジェイド)で凍てつかせた俺であった。

 

「おい!変態仮面共!覚えておけ!そして、厨二病でロリコンのご主人様とやらに伝えてやれよ!もし、ハリーのみならずエリナも俺に助けを求めるのであれば――例えこの国の裏側にいようともだ!俺はすぐに駆け付けるぜ!!義理とはいえ、俺はあの2人の兄貴同然だからな。」

 

キットの言葉を聞き、見えはしないが表情が青ざめた仮面の一味。

 

「何!?ポッター兄妹に、義理とはいえ兄だとぉ!冗談じゃない!!」

 

「それで、この理不尽なまでの強さ!『終わりを生み出す者』なる組織に目を付けられただけでも厄介なのに!!!」

 

「敵わん!逃げろぉ!」

 

「うわあああああああああああああああ!!!」

 

「フォオオオオオオオオオオイ!!!」

 

仮面の集団は、一目散に逃げだした。つーか、やっぱり変態ヘビの息がかかった連中だったか。先程の台詞、死喰い人ですって言ってるようなもんじゃねえか。

 

「逃げたか。仕留め損ねたぜ!」キットが舌打ちをした。

 

「まあ良いじゃん。マグルの人も救出出来たし。」

 

「ハリー・ポッターに、キット・パディックね。あなた達2人がまともに手を組むと、確実に闇の陣営にとっては脅威になるわね。」

 

上から女がやって来た。マゼンダで表現されている太陽の柄がプリントされている白いローブを羽織っている。青みがかかった黒の髪をしている灰色の両眼を持った美しい女だ。どことなく誰かに似ている気がする。この女、背中に翼が生えているな。いいや、正確には俺と同じく何かの物質で形作っている様だな。こりゃ。

 

「誰だ!?」俺が質問をする。

 

「私の名前は……ケテル。リーダーとコンビを組んでいる者よ。」

 

「マクルトの!?」

 

「ケテルは、俺が前にぶっ倒したはずだ!」キットが吠える。

 

「飽く迄コードネームよ。」

 

「2代目って事か!要は!!」

 

「そうよ。ハリー・ポッター。切札と呼ばれるあなたの力、見せて貰う。」

 

「来やがるぜ!ハリー!」

 

「ああ!分かってる!」

 

「紙吹雪……」数多の白い紙が俺達2人降り注いできた。

 

「いきなりやられるかよっ!」碧炎の翼で紙を焼き払った。

 

「数が多過ぎるじゃねえか!固有能力を使うしかねえな。こりゃ。」

 

キットの左腕に、ありとあらゆる金属が集結する。キットの固有能力って、磁力を操るんだな。初めて知ったよ。

 

「食らいやがれ!」左手をブンブン振り回すキット。紙を全て振り払った。

 

「やるわね。2人共。ならば、これはどうかしら?ペーパークレイン。」

 

無数の紙を1つにまとめ、巨大な鶴の姿となった。

 

「上等だ!焼き尽くしてやる!!邪神の碧炎(ファーマル・フレイディオ)!!炎よ我に従え(プロメス)!!」

 

碧炎で作った、右眼が赤、左眼が緑の、東洋の龍に良く似た魔獣を形作り、紙の鶴にぶつける。

 

「弾けろ!」

 

魔獣の頭や鱗、爪や尻尾など各所に両刃状のパーツが本体から分離し、独自の攻撃を行う。碧炎の魔獣と紙の鶴は、互いを消そうと戦い合っている。

 

「焼き尽くせ!!!」

 

「…………」

 

だが、紙の鶴が勝ってしまった。仕方が無い。

 

「切札。あなたの力は、こんなものではないでしょう?」

 

神秘の光竜(アルカレマ・ルメンリオス)!!」

 

エメラルドグリーンの目を持った赤い甲殻を持つ飛竜が現れ、紙鶴と衝突する。

 

「行っけええええええええええええええ!!!!」

 

押され気味だったが、エックス達との修行の成果により、俺とのシンクロを行う事で蒼い甲殻と身体を持った飛竜へと進化変身する能力を習得した。俺自身の負担も、赤い飛竜の時と比べて凄まじいものになるが。

 

それでも、大幅に相殺しながら勝利に持ち込むのが精一杯だった。飛竜は、ケテルに衝突する前に消え去った。ケテルが不敵に笑っている。この女、まさか。

 

「貴様!手を抜きやがったな!13年前に、お前のリーダーが俺を殺そうとしておいて、今度は手加減か!何が目的だ!!」

 

「……あなたが我々に歯向かうのも、また一興。ハリー・ポッター。世界に変革を齎す切札よ、もっと強くなりなさい。私達と同じ『覚醒』の力を身に付けた状態で、再び戦いを挑みなさい。」

 

ケテルはそう言って、全身が紙に分解されて去って行った。

 

『あの女……一体何を言ってやがるんだ?敵である筈の俺を、まるで殺す気は無いかのように振る舞って……』

 

「ハリー。あの女の事は、後で幾らでも考えようじゃねえか。取り敢えずは、ノーマジの一家を……な?」

 

「ああ、分かってるさ。やろうか。」

 

俺は、吊るされていたマグルの人達を浮遊呪文で支えていた。そして、着地をする。

 

「大したもんだぜ。ハリー。」

 

「キットも、相変わらず凄いよな。俺も到達したいぜ。その、『覚醒』って奴にさ。」

 

着地した瞬間、強烈な疲労感に襲われた。俺は、倒れ込んでしまった。神秘の光竜(アルカレマ・ルメンリオス)特有の副作用が出たか。でも、キットが支えてくれた。

 

「デカ過ぎる力も考え物だけどな。お前のその呪文もそうだが……」

 

「そっか……!?」

 

1人ここにいやがるな。この魔力は恐らく……

 

「…………おい。隠れてないで出て来いよ。ドラコ・マルフォイ。」

 

草むらから、1人出て来た。ドラコ・マルフォイだ。何で分かったんだという顔をしてやがる。そして、非常に怯えていた。まるで、これから死刑執行される囚人みたいな表情にもなっている。さっきの戦いを見ていたのだろうか。まあ、父親でもすぐに瞬殺されるような状況だから分からなくも無いけど。

 

「てめえ。俺達の会話を良くも盗み聞きしやがったな。殺してやる。」

 

キットが殺気立っている。マルフォイ、恐怖のあまり失神しかけている。失禁もしそうだね。ああなったキットは、俺達以外誰も止められないんだよな。ま、こいつに関しては止める義理も無いんだけど。

 

「ま、待ってくれ!違うんだ!盗み聞きをしていたわけじゃない!隠れていただけなんだ!!本当だ!誓おう!信じてくれ!!」

 

「うるせえ!!そうやって騙して、俺達を殺すっていう魂胆だろうが!それともあれか!親に差し出すのか!テメエの親父は、ロイヤル・レインボー財団のブラックリスト入りしてるからなあ!俺達に何かをすれば状況が良くなるって魂胆だろうが!!」

 

ドスの効いたキットの口調に、マルフォイは号泣する。

 

「ポッター!お前からも言ってくれ!本当に僕がここにいたのは偶然なんだって!」

 

「黙れ。疑わしきは、ぶっ殺してやる。覚悟しやがれ!!この近親相姦しか能の無いクズ野郎が!」

 

杖をマルフォイに向けるキット。殺さないでくれとか、本当に盗み聞きしていたわけじゃないとか、そう言う言葉を言いながら必死で命乞いをしているマルフォイ。これじゃあ、どっちが悪役か分かんねえな。

 

「マルフォイ。俺は、お前に手を出す気は無いぞ。そもそも、そんな気力無いし。だからと言って、キットを止めるとは一言も言わないがな。今のキット、獲物を仕留め損ねて、大変機嫌が悪いみたいだからさ。」

 

マルフォイは、俺を見て全身をガクガクさせているではないか。今のあいつの眼は、俺にキットを止めてくれって眼をしているな。まあ、無理もないか。親の権力でもどうこうならない状況に陥ってるんだからな。

 

「一言位、言わせようよ。俺達の神経を逆撫でする内容だったら、すぐに始末すれば良いだけだしさ。キット。」

 

「…………チッ!分かったよ、ハリー。お前の要望を聞いてやらあ。」

 

キットは、杖を下した。だけど、マルフォイに対しては未だに警戒と殺意のこもった視線を送っている。

 

「下手な闇の魔法使いよりもタチが悪過ぎる……」

 

ヒンヒン泣きながら、ボソッと言ったマルフォイ。

 

「あ?今、何つった?」

 

「な、何でもありません!!」

 

「そうか…………おい!何とかフォイ。最期に言い残す事はあるか?」

 

相変わらず、殺す気満々な口調でマルフォイにそう問いただすキット。

 

「僕はあれから考えた。純血とは何か。純血主義とは何か。僕は、間違った事はしてない筈なのに、何故自分達は理不尽に命を狙われないといけないのかを。だから、必死に自分で調べたりした。」

 

「それで……答えは分かったのか?」

 

「それでも、自分では分からなかった。だから、秘密の部屋に入る為に蛇語を習得したんだ。そこで、サラザール・スリザリンに聞いた。」

 

「直接入ったのか。道理で去年度、暇な時間はいなかったわけだ。それに彼は今、蛇だけどな。」

 

「僕なりの答えを出した。闇の帝王、いいや。ヴォルデモート卿の言ってる事なんて出鱈目だって。」

 

「……」

 

「先祖のサラザール・スリザリンの名前を勝手に使って。自分の気に入らない奴を、使えない奴を排除しようとしてるだけだと理解した。そうじゃなきゃ、何で敵にも関わらず曲がりなりにも純血まで殺す必要があるのか理解できない!」

 

全てを言い切ったマルフォイ。その表情は、何処かスッキリしている。

 

「それを俺達に言いに来て、何をする気なんだ?俺の力に縋りつきたいのか?」

 

「ただ助けてくれなんて言わない。取引だ。闇の陣営、それに死喰い人への復讐と完全抹殺への手引きはする。僕が知り得る限りの情報も渡す。」

 

「……」

 

俺の中で、ある考えが浮かんだ。尤もこれは、マルフォイ家の者が味方にいる事前提になるけど。

 

「その見返りにマルフォイ家を、それが無理ならせめてまだ何も悪い事をしていない僕の妹のスピカと弟のコーヴァスには手を出さず、命と安全の保障をしてくれ。頼む!」

 

何と、敵である筈の俺達に頭を下げている。今までのあいつならそれはしないだろうし、寧ろそうして貰えるのが当たり前だと思っているからな。どういう心境の変化があったかは知らない。

 

「そんな事信じられるか!今ここで……」

 

「キット。今はちょっと待ってくれ。」

 

「なっ!?どうして!?」

 

「プライドを捨ててまで、敵対してる筈の俺達に頭を下げたんだ。何か考えがあるだろうし、ここで闇の陣営が有利に傾くように仕向けても、終わりを生み出す者に目を付けられるままなのは相変わらずだからな。それに、もしかしたらアレもすんなりと手に入るかも知れない。」

 

上手くいけば、ハッフルパフのカップをリスクを冒さずに手に入れられるかもしれないぜとアイコンタクトを取る。

 

「……確かに、お前の考える方法なら現実的かつ安全で、確実性はあるかもしれねえが。」

 

目で、言葉のキャッチボールを交わす俺とキット。しばらくして、キットがやれやれと言った感じになった。

 

「分かったよ。ここまで覚悟を決めてるなら、そいつの件はお前に任せるぜ。だけどな、ちゃんとやり遂げろよ。誰かに助けてもらうのは、ナシだ。」

 

「分かっている。元からそのつもりだ。今までも……今も……そしてこれからも。」

 

「じゃ、じゃあ。僕との取引を受け入れてくれるのか?」

 

縋りつくように聞いて来た。開心術で心の中を探ってみるか。

 

「ジジイに報告した方が良いんじゃないのか?ハリー。」

 

俺だけに聞こえる様にキットが囁く。開心術で心の中を探った結果、今の考えと俺に出した提案は本当のようだな。閉心術を使ってる可能性も否定出来ないが。

 

「……一先ず保留だ。事が事だからな。新学期初日まで返事を待ってくれ。答えが出たら、すぐに返事を返す。」

 

「分かった。良い返事を期待している。」

 

そう言って、マルフォイは去っていった。

 

「これに関しては、ハリーが担当するって俺もジジイに言っておくぜ。」

 

「そうして貰えると助かるよ。」

 

空を見上げる。もう暗いな。そう思っていると、どよめきと悲鳴の声が上がった。

 

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