Harry Potter Ultimatemode 救済と復活の章 作:純白の翼
談話室に戻ろうとする。しかし、悲鳴が聞こえた。何事だろうか。校庭に出た。
その光景は、ムーディが白いケナガイタチを弄んでいた。周囲、特にグリフィンドール生は爆笑していた。
「どうしたんだよ?ロン。」
「プププププ。ムーディの奴、超クールなんだぜ。僕とグラントを後ろから攻撃しようとしたマルフォイをさ。白いケナガイタチに変えたんだ。」
「あ、あれマルフォイなのか?」
「ハリー!君も笑えよ!!」
イヤ。笑えねえよ。それに、本物はあそこまでオーバーな事はしない。偽物という仮説も濃くなってきたな。流石にここで終わらせておくか。ドラコを元の姿に戻した。
「た、助かった。」今度は感謝の眼差しで俺を見るドラコ。
「そこまでやりますか?ムーディ教授。」
「お前はポッターだな。初めましてになるか。目は母親で、それ以外はメガネだな。尤も、奴に比べて幾分か穏やかで人の良さそうな顔をしているが。妹とは正反対だ。」
「私の事は良いんですよ……彼に変身術を使った理由をお聞かせください。」
「良いだろう。理由を教えてやる。そいつはあろうことか、ウィーズリーとリドルが後ろを見せた時に杖を上げた呪いを掛けようとした。これは教育だ。」
ドラコがロンとグラントを、ねぇ。いくら何でも変身術を使う体罰なんて聞いた事も無いがな。そう思って聞いていると、マクゴナガル先生がやって来た。周りの生徒から事情を聞いた上で俺達の所に駆け寄ってきた。
「アラスター!本校では、懲罰に変身術を使いません!書き取りの罰だけです!ダンブルドア校長が、初日にそうおっしゃった筈ですが!!」
「そんな話をアルバスはしたかも知れん、フム。それでは、そうさせてもらうとしよう。」
『おい、大丈夫なのか?』思念術で様子を聞いてみる。
『ああ。問題無い。でも、どうしてあいつは僕を目の敵にするんだ?』
『お前個人というよりも、お前の父が気に食わんだけだろうな。死喰い人のリーダーだった過去を持ちながらも、アズカバン行きを逃れて権力を維持したままだ。闇払いからすれば、不倶戴天の敵なんだよ。』
『…………フォルテ・フィールドが僕を目の敵にする謎が解けた。』
ドラコは、ムーディに連れていかれた。それを心配そうに見ているマクゴナガル先生。2人の姿が見えなくなると、俺の方へ向き直った。
「先程は見事で迅速な対応でした、ポッター。」
「別に大した事はしてませんよ。罰則を貰う覚悟で臨んだだけですから。」
「それに関しては不問になるでしょう。いいえ、何が何でも私がそうさせます。あなたに10点を差し上げます。さあさ、もう行きなさい。」
ペコリと頭を下げて、大広間に向かおうとする。ロンが来た。後からグラント、ハー子もついて来た。
「何であいつを助けるんだよ!」
「でもよぉ、ハリーが割り込んで来なきゃ、フォイはもっと酷い事になってたぜ。ロン。」
「そうよ。ハリーが駆け付けて来て仲裁出来たから良かったものの、もう少し遅かったら本当にマルフォイは怪我をしたかも知れないわ。あれ位で済んで良かったのよ。」
「まあ、俺なりに一線は構えているからな。本当に危うい時は助けるのさ。俺、そんなにスリザリンが嫌いってわけでもないし。」
寮のテーブルに座る。グラントとは、そこで別れた。
ビーフシチューを食べる。相変わらず、ここの屋敷しもべ妖精は良い仕事をするじゃないか。専属の料理スタッフとして雇いたい位にな。ハー子は、猛スピードで夕食を食べている。
「ご苦労な事だな?勉強か?今日は流石に宿題出てない筈だけど。」
「占い学は出たけどね。」
「ロン。それはお前の自業自得だぜ。下ネタを授業で言う奴がいるか、普通。1ヶ月の惑星の動きを星座表に書くっていうアレだろ?トレローニーの宿題なんて、悲劇的な事を書けばいいんだし。」
「そりゃあねえ。そうだけどさあ。」
「行くのよ。行かなきゃ。」ハー子の顔が怖い。
「やる事が沢山あるんですもの。」
「何をする気だよ?数占いは宿題無いじゃないか。」
「違うわよ。学校の勉強じゃないの。屋敷しもべ妖精の……」
そう言って、ハー子は立ち去ってしまった。また下らん事を、俺に対して持ち込まないで欲しいのだがな。
入れ違う様に、フレッドとジョージがやってきて俺達の近くに座った。
「ムーディ!」フレッドが言った。
「なんとクールじゃないか?」
「クールを超えてるな、フレッドよ。」
フレッドの向かい側に座ったジョージが言った。
「超クールだったよな。2人共。」
更に、リー・ジョーダンがジョージの隣に座った。
「超クール?一体全体何があった?」
「今日は、ムーディの授業があった。あんな授業は初めてだったよ。」フレッドが言った。
「参った。分かってるぜ、あいつは。」リーも続いた。
「分かってるって、何が?」ロンが身を乗り出した。
「現実でやらなきゃいけない事が何なのか、分かっているのさ。」
ジョージが勿体ぶって言った。
「やる?何をだ?」
「『闇の魔術』と戦うって事だよ、ハリー君よ。尤も、君にとっては復習にしかならないけど。」
いきなり、シリアスな口調でフレッドが言った。
「あいつは、全てを見て来たな。」ジョージが言った。
「ああ。スッゲエぞ。」
闇の魔術に対する防衛術の時間割を探す。
「木曜までお預けか。結構遅いな。」
ロンは、それを聞いて残念そうにした。
夜。誰もが寝静まった時間帯の談話室。ここで俺は考え事をしていた。ムーディについてだ。
『お前はポッターだな。』
何故だ。何故あたかも初対面みたいに振る舞ったのだろうか。それに、夏休みに感知した魔力と、学校に戻ってから感知した魔力が根本的に違い過ぎる。出歩く時は、感知しているんだ。そして、それは全て当たっている。間違うなんて事は有り得ない。
「ナイロック。」
『どうした?旦那。』
「ムーディを監視してくれ。手段は問わない。ただ、見つかりさえしなければ良い。」
『分かったんよ。行ってくる。』
ナイロックは、学校中を徘徊した。取り敢えず、このまま寝るか。
その2日間は、特に何も起こらなかった。ネビルがまた、ヘマをやらかしたと言った所だろうか?そして最近、スネイプの研究室から魔法薬の材料が盗まれている事もカウントする。材料は、ポリジュース薬で使われているものばかりだ。あいつは怒り心頭となっている。俺が疑われているけど、状況と物的、そのどちらの証拠も全く掴めていない様だ。
ムーディの授業の評判を聞いたが、良質なものらしい。皆、自分達から聞くよりも見た方が分かりやすいと言ってきた。曰く、シビれるとの事。
木曜の午後、俺は闇の魔術に対する防衛術の教室に入った。まだ、余り人は来てないようだ。だから、最前列に座った。
その10分後、ロンが来た。
「さっきスネイプを見たんだけどさ。何処かでムーディを恐れている様な感じだったぜ。あれは傑作だったな。」
「ふ~ん。」
死喰い人だった過去を持っているんだ。目の敵にされるのは当然なのさ。まあ、偽物の可能性も濃くなっているんだけどな。
ハー子が授業開始直前にやって来た。俺とロンの隣に座る。
「今まで――」
「図書館にいた、だろ?」
「ええ。」
『闇の力――護身術入門』を取り出した。ムーディがやって来た。
「教科書など要らん。そんな物、仕舞ってしまえ。」
ムーディが教卓の上に立った。出席簿を取り出し、生徒の名前を読み上げた。普通の目は名簿を見ている。だが、義眼と化した『魔法の眼』はギョロギョロと周囲を見渡していた。物質を透過して物を見渡せるんだなと感じた。それを裏づけるかの様に、コソコソ何かをやっている者が次々と摘発されたからだ。
「さて。出席はあらかた終えたな。早速授業に入る。ルーピン先生から手紙は貰っている。去年1年間で闇の生物と戦う術を身に付けたようだな。それも、ありとあらゆる種類と……」
皆、そこ言葉を聞いて同意するかのように頷いた。
「だが、一部を除いてお前達は遅れている――非常にな。一番肝心の、闇の魔法。呪いの扱い方についてだ。魔法省は6年生になるまで見せてはいかんと言っている。だが…………油断大敵ッ!!」
突然ムーディが叫んだ。半数以上が飛び上がってしまった。
「そう易々と見た事も無い物、知らない物から身を守る事など出来ん。神以外はな。わしの役目は、許された持ち時間である1年間を使って、魔法使い同士が互いに何処まで呪い合えるものなのか、お前達を最低限のレベルまでに引き上げる事だ。」
「え?ずっといるんじゃないの?」ロンが思わず口走った。
「ほう。アーサーの末息子か。」
「は、はい。」
「前に、お前の父親のお陰で窮地を脱する事が出来た……そうだ。1年だけだ。ダンブルドアからの頼みでな。特別に。」
ムーディはしわがれた声で笑い、節くれだった両手をパンと叩いた。
「ああ。話が少々脱線したな。続きだ。戦うべき呪文を知る事で、そこで始めて身を守る事が出来るようになる。さてと……魔法法律により最も厳しく罰せられる呪文が3つ存在する。答えられる者はいるか?」
何人かが手を挙げた。ロンやネビルもだ。俺?挙手はしない。知っているが、答えたい奴に答えさせれば良いだけの事だ。だから、無言を貫く。
だが、ムーディは俺の方をじっくりと見た。普通の眼と魔法の眼を使って。俺も、ウイルスモードを発動してムーディを見つめる。
「ポッター。何故手を挙げない?4年生の、いいや。下手をすればこのホグワーツにおいて闇の魔術に対する防衛術の成績が突出しているお前なら分かる筈だ。答えられない筈があるまい?」
まさかの指名か。挙手を促しといて良い身分だな。ならば、知識を披露しようか。
「知っています。許されざる呪文。この英国魔法界の場合は、服従の呪文『
ムーディは、俺の回答を聞いて大変満足そうだった。
「見事だ。ポッター。何故、自分の妹がそう呼ばれるのかも解説してくれたな。良かろう。グリフィンドールに50点。」
意外だな、点をくれたよ。しかも高い。
「早速実践していくとしよう。」
ムーディはそう言うと、黒い大蜘蛛を3匹取り出した。俺の隣で、ロンがギクリと身を引くのを感じた――そうか。ロンの奴、蜘蛛が苦手なんだっけか。フレッドのイタズラが原因で。しかも、ハー子の腕にしがみ付いている。シャキっとしなさいよ、と言われちゃってるけどさ。
「まずは服従の呪文。
服従の呪文をかけられた蜘蛛は糸を器用に使っての空中バレーを披露した。次に、タップダンスをやらせた。皆笑ってる。笑ってないのは、俺とロン、ハー子、ネビルだけだった。特にハー子は、苦しそうな表情で蜘蛛を見ていた。
「完全なる支配。わしは今、コイツを思いのままに出来る。窓から飛び降りさせる事も、溺死させる事もな。」
ロンが思わず身震いした。
「多くの魔法使いがこう言った。自分達の悪事は、この呪文でやらされたと。本当にそうなのか、それとも噓か。それを見分けるのは、魔法省でも容易に出来なかった。」
服従の呪文に掛けられた蜘蛛を瓶に戻し、次の蜘蛛を用意したムーディ。
「次は磔の呪文だ。」
肥大呪文で蜘蛛を大きくした。ロンが絶望に満ちた表情をしている。ハー子の背後に隠れたが、軽く小突かれてしまった。
「
蜘蛛が痙攣した。掛けたい対象を思いっ切り苦しめるという本気の態度で使って、初めて効果を発揮するんだ。例えば、『無限に続く、いっそ死んだ方がマシと思える位の苦痛を与えてやるんだ』とかな。
「やめて!」ハー子が金切り声を上げた。
咄嗟にハー子を見る。ハー子は、蜘蛛では無くネビルを見ている。ネビルは顔面蒼白になっている。膝の上の拳は、指の関節が白く見えるほどに強く握りしめている。その目は恐怖に満たされていた。
「苦痛。親指締めやナイフは要らない。これだけで十分だ。相手をより苦しませてやりたいと言う加虐心がこの呪文の力の源となる。」
縮小呪文で蜘蛛を元に戻し、瓶に入れる。まだ何もしてない蜘蛛を取り出す。
「そして最後。死の呪文だ。反対呪文は存在しない。
緑の閃光が発射された。それが蜘蛛に当たり、絶命した。俺以外の全員が悲鳴を上げた。蜘蛛の死体がロンの近くに来たので、彼は危うく椅子から落ちそうになった。
「気持ちの良いものではない。防ぎようがない。だが、強力な魔力が必要だ。1回使う度に、大量の魔力を消費する。中途半端な魔力の量しか持たない者には一切使えない。しかし、そんな事はどうでも良い。何故わしが、お前達に見せたりするのか?分かるか?」
ムーディは、全員を見渡しながら問いかけるように聞いた。
「それは、お前達が知っておかねばならんからだ!最悪の状況がどういうものなのかを、味わっておかねばならない!精々そんな物と向き合う様な目に遭わんようにするんだな。油断大敵!」
筋は通ってるな。これからは闇の陣営だけじゃない。リチャード・シモンズの一味、最近奴は組織名を『アルカディア』と名乗っているらしい。そして、終わりを生み出す者。通称TWPFも活動してくるのだから。強さと危険度、凶悪さで言ったら闇の陣営以上だ。
ロイヤル・レインボー財団は、その2つの勢力の活動も最初期から見越して対策は進めているから問題無いけどな。だが、この国の魔法省とダンブルドアのジジイが率いる不死鳥の騎士団は何処まで抗う事が出来るかね?
「この3つの呪文。人間は勿論、ヒトたる種族に使ったら、問答無用でアズカバンにて終身刑を受ける事になる。死喰い人や闇の魔法使い、犯罪者を除いてな。この1年、わしはこれらの呪文と戦う術をお前達に教えていく。お前達は知っておかねばならん……そして常に身構えていなくてはならんのだ。備えと武装が必要になる。それ以前に、『常に、絶えず、警戒する』事の訓練も行っていく。分かったら羽根ペンを出せ。わしが言う事を書き取るのだ。」
その後、許されざる呪文に対しての内容を、ノートに取る事になった。誰も喋らなかった。授業終了のベルが鳴る。終わると、皆喋り始めた。どうやら、授業内容は絶賛だったようだな。
「ネビル。医務室へ行ってこい。顔色が悪いぞ。」
「う、ううん。だ、大丈夫さ。」
「両親があんな目に遭わせわれたら、誰だってああなる。無理すんなよ?」
「え?パパとママの事、知ってるのかい?」
「ロイヤル・レインボー財団にいた時の事だ。俺は闇の陣営に復讐する為に、奴らの事を調べていた。その過程で、お前の両親の事を知ったんだ。」
ネビルを医務室に行かせようとした。でも、ムーディはネビルを自室へ連れて行った。それを見届けて、俺は談話室に戻った。部屋に戻ると、ナイロックがいた。
『どうだった?』
『ネビルに本を渡した後に、スネイプの部屋に侵入したんよ。ポリジュース薬の材料を盗んでいた。』
『クロ確定だな。明日、殴り込みをかけてやろう。』
『やり過ぎないようにな。旦那。』
『分かっているよ。』
大広間へ夕食を食べに行った。