Harry Potter Ultimatemode 救済と復活の章 作:純白の翼
僕は、平凡な人間だ。いつも、5人の兄や妹と比べられて育ったんだ。いいや、違う。僕自身で勝手に比べて来たんだ。首席且つ銀行務めで欠点とは無縁のビル。クィディッチのキャプテンを務めて今やドラゴンキーパーのチャーリー。生真面目で優秀、今年から魔法省から入ったパーシー。学校の人気者のフレッドとジョージ。唯一の女の子のジニー。僕は、家族の中で1番影が薄いんだ。
3年前。僕は、ホグワーツに行く事になった。中々コンパートメントは見つからなかった。でも、席が空いていた。この日、僕に友達が出来たんだ。『生き残った女の子』エリナ・ポッター、その兄で以前は日本に住んでいたハリー・ポッター。マルフォイを殴り飛ばしたグラント・リドル、戦闘一族の末裔ゼロ・フィールドと。有名人とインパクトの強い同級生と仲良くなった。僕は、素直に嬉しかった。寮はハリー以外とは別れたけど、以前と変わらずに接してくれたんだ。
授業の宿題もハリーが見てくれた。彼の教え方は分かりやすかったんだ。特に、魔法薬学と闇の魔術に対する防衛術は得意そうだったんだ。特に後者は、下手をすればクィレルよりも詳しい。
ハロウィーンの時に、ハーマイオニーとも仲良くなった。そして、トロールを最終的に倒せた。始めて、4つの寮にそれぞれ所属する6人が共に戦い、本当の意味で結束した瞬間だった。他の寮でも友達が出来た瞬間でもあったんだ。個性的な5人と友情を育んだ僕。これで僕も、特別な存在になれる。そう思っていた。
1年生の時。ハリーがクィディッチの選手になった。親友が名誉を手に入れて単純に嬉しかった。本人は嫌がってたけど。
そして、賢者の石を守りに行く時の出来事。フラッフィーを手懐けたのはエリナ。悪魔の罠を切り抜けたのはハリー。箒の試練はハリーとエリナが担当し、ゼロが指揮を執った。魔法のチェスの試練は、グラントとゼロが連携して全て粉微塵にした。魔法薬のパズルを解いたのはハーマイオニー。クィレルを倒し、改心させたのはハリーとエリナ。服従の呪文で操られたハーマイオニーを無傷で元に戻したのはグラントとゼロ。
僕は、何も出来なかった。精々、ハーマイオニーを庇ってリタイヤした事位だ。
2年生になった。汽車に乗れずに待っていた時の事だ。僕は、バカな事をした。ふと思い付いた言葉が、後々皆に迷惑を掛ける羽目になったんだ。ハリーとゼロが散々対策を練っていたのに、エリナとグラントを巻き込んで車で学校へ。先生からは怒られてしまい、ハリーからもしばらく冷たい態度を取られた。翌日には、ママから吠えメールを貰う羽目に。
ハーマイオニーを穢れた血と呼んで侮辱したマルフォイを、クィディッチで完封なまでに叩きのめしたのはハリー。クィディッチの選手になったのはエリナとグラント。あらゆる呪文を習得、更には身体能力をハリーやグラントに匹敵するまでに高め、それに加えて動物の事を調べ尽くしたのはゼロ。彼は、蛇博士と呼ばれるようになった。見た事も無い魔法生物に懐かれ、育て始めたのはエリナ……僕は何も無し。
それに、秘密の部屋での騒動も僕は大して役に立たなかった。怪物の正体を特定したのはゼロ、その移動手段を見つけ出したのはハーマイオニー。日記のリドルとバジリスクの片割れを倒したのはハリーにエリナ、ゼロ、グラントの4人。そこに、ブラック姉弟も入れて6人。もう1匹のバジリスクを味方につけたのはエリナ。
3年生。吸魂鬼を撃退したのはハリーとゼロ。マグル界と魔法界の医療を両方勉強し始めたのはゼロ。ギャングの幹部になる為の礼儀作法を学び始めたのはグラント。逆転時計を使うのを許される位に成績が良かったのはハーマイオニー。シリウスの無罪を証明したのはハリーとエリナ。ジニーの総合的な成績を、トップ3までに引き上げたのはハリー。新しい脱狼薬を作って狼人間を過酷な運命から救い出し、勲章を貰ったのもハリー。これに関しては、シエルやルインの協力あってこそ出来た事で、その2人が勲章を貰ったのだ。
そして今年に入る。マグルの人を助けたのはハリー。ハリーよりも多くの無言呪文を会得したのはゼロ。服従の呪文に完全に抗う事が出来たのはハリー。マクゴナガル先生に、OWL試験でも通用するレベルと評価されたのはハリーとハーマイオニー。そして、2人よりも成績が良いゼロやイドゥンもそうなるだろう。代表選手になったのは、エリナとグラント。僕は…………
いつからだろうか。周りの人達が活躍する度に、僕の、この心が痛くなる様になったのは。英雄や天使と言われるエリナ。教え方が上手で、また切札と称され、それに見合う活躍をしているハリー。マグルと魔法、どちらの世界の知識も専門家レベルで詳しいゼロ。喧嘩が強くて乱暴だけど、何故か憎めない人柄のグラント。真面目な優等生のハーマイオニー。僕には、何があるって言うんだ?
誰か教えてくれ!僕も特別だって!!添え物やおまけ扱いじゃない、優秀な兄達の弟、ジニーの兄ではない、ロン・ウィーズリーだって言ってくれよ!!
ハロウィーンの代表選手が決まった時の事だ。ホグワーツの代表選手は、エリナとグラントに決まった。頭では分かってる。なのに、僕はあの2人がズルをしたんだと思ったんだ。あの2人は嵌められたと判断しているハリーとも口論になった。
「ロン。どこに行ってた?」ハリーが聞いた。その表情は、険しいものとなっている。
「ああ。やあ。」僕は答えようとする。
もう我慢の限界だった。いつも脚光を浴びるのは友達だけ。皆、僕の常に何歩先を歩いている。どうして皆ばかり。
「それじゃ、君の妹が選ばれたってわけだ。おめでとう。」
「おめでとう?どういう意味だ?」
「年齢線を越えられたのは誰1人いないんだ。ポッターとリドルを除いてね。フレッドとジョージでさえ出来なかったのに。透明マントでも使ったのかい。」
「透明マント如きじゃ、ダンブルドアの設定した線は越えられない。」
ハリーがキッパリと言った。
「ああ、そうだな。その手段だったら、ちゃんと話す筈だもの。あれなら、2人いっぺんに入るしね。共謀してやったんだ。」
「ロナルド。」いつもの愛称ではない。本名で呼んだ。
「いいか。エリナとグラントにそんな芸当は出来やしない。あいつらは、嵌められたんだ。」
「何の為に?」
「エリナに関して容易に想像がつく。ヴォルデモートか、死喰い人の陰謀だ。連中からすればな、破滅の原因となった人間を殺したいって思うのは当然だろうが。」
「じゃあ、あの腐れスリザリンはどうなるんだよ!?例のあの人の子供かも知れないのに!何でやってないって言い切れるんだよ!」
「グラントに関しては分からない。だが、今までの奴の行動パターンを見ているから直感で分かる。あいつは、良い意味でも悪い意味でもバカだ。それに、ヴォルデモートと違って対等な仲間がいる。俺は、あいつと拳でやった事があるから分かるんだ。どうやっても、グラントはしてないってな。」
何で君は、あいつら2人をそこまで信じられるんだよ?今は、この僕よりも。
「明日にでもなったら、本当の事を話させる。賞金1000ガリオン、期末試験も無し、ダンブルドアが出させるようにしたんだ。きっとね。」
「まだそんなふざけた事を抜かすのか!?」
ハリーが壁を叩いた。
「2人に出来るわけないだろうが!」
「フーン。オーケー。昨日のうちに入れたんだな。そうだ。そうに決まってる。僕だってバカじゃないぞ。」
「バカの物真似が上手いんだよ。お前は。」
その言葉を聞いて、僕はカチンときた。
「そうかい?それなら、どっちが正しいか戦おうじゃないか。それで白黒つけてやるさ。」
「望むところだ。」
「明日の正午。禁じられた森の入り口で。」
「…………」ハリーが沈黙している。肯定したと受け取ったのだろう。
そして、翌日の正午。指定した場所に向かう。僕が来てみると、既にハリーは来ていた。ハリーは右手に杖を持っている。僕達はお互いに目を合わせる。3歩下がって一礼した。
「
僕は呪文を唱えた。ハリーは呪文を詠唱しないで魔法を出した。相殺された。
「ナメクジ食らえ!」
2年前にマルフォイに掛けようとした呪文を、今度は親友に向けた。
「…………」
ハリーはまたも無言で杖を振り上げた。そして、僕の呪文は防がれてしまったんだ。
「ロナルド。無駄だ。諦めろ。お前が口を閉じて、心を閉じない内は、何をやっても無駄だ!」
「うるさい!この呪文で黙らせてやる!!」
ハリーが最近作った魔法。必死になって覚えた僕の得意技。これで終わらせてやる。
「
重力を凝縮した、小さな黒い球を杖から作り出す。そしてそれは、どんどん大きくなっていく。まるで、『
「な、何であいつがあの呪文を!?チッ、仕方が無い。アレを相殺するには、俺も!!」
ハリーは、杖を仕舞った。代わりに、また別の杖を左手で持った。
「
ハリーの杖から黄金の電撃が生成され始めた。やがてそれは、僕の呪文と同じ位の大きさの電撃の球体となった。
「ハリー!!!」
僕は、重力弾の発射が完了したので、放とうとした。
「ロナルドォ!!!」
ハリーも電撃の球体を形作るのを終えたらしく、杖から放とうとする。
「絶対に勝ってやる!僕が正しいって事を証明してやるんだ!」
「ふざけんな!この分からずや!!」
そうして、2つの呪文はぶつかろうとしていた。
ハーマイオニー視点
昨日から、ハリーとロンの作り出す空気がかなり重いものになっていた。談話室からも聞こえる位の口論に発展していた。流石のグリフィンドール生も、エリナやグラントを罵倒するどころの状態では無いと悟っている。
ハリーは、エリナとグラントは入れてない、寧ろ誰かの陰謀だと言い張っている。それに対してロンは、2人がズルをしたと思い込んでいる。
私は、これについてはハリーが正しいと思っている。
翌日の朝、マクゴナガル先生の所に行った。昨日のハリーとロンのやり取りを報告した。
「そうですか。ポッターとウィーズリーが。」
「あの2人、今ギクシャクした関係になっているんです。ついこの間まで、あんなに仲が良かったのに。」
「ミス・グレンジャー。熱い友情程、壊れるとそう簡単に治らないものなのです。何があっても目を離さないようにして下さい。私の方でも注意深く見ておきますから。」
「はい、分かりました。」
教室を出る。ロンとすれ違った。何時に無く真面目になっていた。
「何があったのかしら?」
ロンの後ろを付いて行くことにした。20分して、ロンが足を止めた。ここは禁じられた森の入り口。そこには、既にハリーがいた。
何をするのだろうと隠れながら見て見る。一礼の動作で分かった。2人は決闘するつもりなんだわ。
戦いを見ている。終始、ハリーが優勢だった。ロンの呪文をハリーが無言呪文で相殺する。当然よ。ハリーはホグワーツに来る前から魔法の訓練を、そしてロンよりも圧倒的に実戦に慣れているもの。能力と経験が桁外れよ。
ロンが見た事も無い魔法を出した。それは徐々に、人に向ける大きさではなくなっていた。ハリーもそれに対抗するべく、天魔の金雷を大きな雷の玉にしていた。
「や、やめて……」
2人が戦って何になるのよ。こんな無意味な戦い…………
「絶対に勝ってやる!僕が正しいって事を証明してやるんだ!」ロンが吠えた。
「ふざけんな!この分からずや!!」ハリーが負けじと言い返した。
それぞれの魔法は、いつでも発射可能な状態にまでなった。止めないと!
「やめてよ2人共!」
私は、2人の間に割って入る為に駆け出した。
ハリー視点
これで、いつでも発射が完了だ。あの重力弾。あの大きさなら、人を簡単に消せるレベルだ。ロンの奴、俺を殺す気か!?
雷の玉を発射した瞬間、誰かが割り込んできた。
『な!?は、ハー子!?どうして?…………いいや。まずは術を止めないと。
「ああ!もう発射しちゃった!間に合わないよ!」ロンとしても想定外な事態のようだ。
「ハー子!今すぐこの間から離れろ!危ない!!」
俺は、力一杯叫んだ。
「間に合ってくれ!アル……」
だが、2つの呪文は衝突もせず、かと言ってハー子にも当たらなかった。それぞれ別方向に弾かれ、誰もいない校庭の地面に衝突。2つのクレーターが生じたのだ。マクゴナガル先生と、フィールド先生、スプラウト先生、スネイプの4人がいたからだ。
「一体全体これはどういう事ですか?2人共、ご説明なさい。」
「君達。喧嘩にしては、少しやり過ぎだ。後ちょっとでも遅かったら、ハーマイオニーは死んでいたんだよ。」
これは、完全に俺が悪いな。
「すみませんでした。」
「何があったか説明してくれる?」
「……昨日の炎のゴブレットから出てきた代表選手の件で揉めました。ロンは、エリナとグラントがズルをしたんだとか言ってきたんです。私は、3年以上前から交流をしてましたが、とても2人がそんな事をするようには見えなかったのです。」
正直に言おうか。ロンは言いたくないだろうし。
「ウィーズリー。あなたから言う事はありますか?」
「…………」ロンは黙っている。
「黙っていては何も始まりませんよ。」
それでも黙っているロン。マクゴナガル先生は、溜息をつく。その状況をじっと見ていたフィールド先生が口を開く。
「ハリー。君は少々1人で突っ走り過ぎだ。我々としても、エリナとグラントが入れたとは思っていない。だけど、本当にズルをして入れたという考えがいる人もいるから、そこを考慮した行動をとるべきだったんだ。」
「申し訳ありませんでした。然るべき処罰は受けます。」
「そしてロン。あの2人は、君の大切な友人なのだろう?何故無実を訴える彼らをもっと信じてやらない?あの2人、今思った以上に追い詰められているんだ。それにさっきの呪文、あれは人に向ける大きさじゃないよ。」
「…………」
「ハーマイオニー。ハリーやロンを止めようとしたのは本当に良い事だ。だけど、自分の命も大事にするように。次は、本当に死ぬよ。」
「ゴメンなさい。」
「マクゴナガル先生。この2人の処罰はいかがいたしますか?」
「そうですね。まず、1人20点ずつ減点。本来なら50点ですが、状況が状況です。そして何より、ミス・グレンジャーは2人を庇うでしょう。」
「そうですか。」
「次に罰則。ポッターは、代表選手に選ばれたエリナ・ポッターの全面的な支援をさせます。ウィーズリーは、ハグリッドの手伝いをさせます。ポモーナ、それで良いですか?」
「ええ。悔しいですが、ハッフルパフ生よりも彼女の手助けがしやすいのは双子の兄であるミスター・ポッターが適任ですからね。それはそうと、セブルス。ミスター・リドルはミスター・フィールドと仲が良いではありませんか?彼にサポートを頼んだらどうです?魔法薬学の時に。」
「うむ。そうでしょうな。聞いてみますぞ。」
一歩間違えたら人が死んでいたかも知れないのに、これで良かったんだろうか。何か、見えない内に亀裂が広がりつつある気がする。
「ハリー。ロン。行きましょう。ここでケンカしてたって意味が無いじゃない。」
「ハー子。ゴメン。俺、下手をすれば殺しかける所だった。」
「気にしないで頂戴。それよりも、あなたに出された罰則、というか実質の指令を実行する方が今は大切よ。良いわね?」
「ああ、分かっているさ。」
「ロン?ロン!行きましょう!」ハー子がロンに声を掛ける。
でもロンは、2つのクレーターを見ていた。
「僕の方が……小さい。ハリーのが大きい。それだけじゃない……あれ以上の術まで持ってるなんて……ハリー。何処まで僕の先を行くつもりだよ?」
大きいクレーターと小さいクレーター。それぞれ、天魔の金雷と重力弾によって生じたものだった。
俺は、その光景をぼんやりと眺めていた。本格的なケンカは、こうして幕を閉じた。だが、俺は知らなかった。こんなのはまだ序の口に過ぎないと。そして遠くない未来で、再び…………