Harry Potter Ultimatemode 救済と復活の章   作:純白の翼

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第15話 第一の課題

1994年11月22日。朝食を食べていると、エリナが血相を変えて後で話があると言ってきた。タダ事ではないなと思いつつ、さっさと食べ終えて約束の場所である湖畔へ向かった。エリナが第一の課題を教えてくれた。

 

「ハリー。第一の課題はドラゴンなんだ。ボク、ドラゴンを出し抜かないといけなんだよ。」

 

悲鳴を上げる様にエリナがそう言った。

 

本来、課題は当日まで知らない事になっている。が、カンニングなんて過去の試合でもザラに起きているんだ。今更咎める気は全く無い。寧ろ、こういう対抗試合を制するのは情報なのだ。情報は時として、どんな武器よりも強くなりうる力を持っている。

 

エリナは、グラントと共にハグリッドから試験の内容を教えて貰った。しかも、マダム・マクシームも一緒にいた。そして、カルカロフも盗み見たのだ。

 

「それとね。ボクの名前をゴブレットに入れたのはカルカロフ校長かも知れないってシリウスが言ったんだ。」

 

エリナの味方は少ない。それも、全幅の信頼を置けるものとなるとほんの一握りなのだ。だが、エリナにはシリウスという味方が外にいるし、俺を通してロイヤル・レインボー財団も味方なのだ。

 

シリウス曰く、カルカロフは変態ヘビの配下だったようだ。しかし、仲間を売るという形で司法取引を行い、娑婆に出られたとの事。この時点で俺の中のあいつの評価は落ちた。まるで、奈落の底の様に。ムーディが教師になったのも、奴の監視も兼ねてとの事だそうだ。本物ならそうだろう。しかし、偽物はそうとも限らないけどな。

 

「どうすればドラゴンを出し抜けると思う?ハリー。」

 

「ドラゴンは強力な魔力を持っている。だから、殆どの魔法は無効化される。死の呪文でさえ、何発も同じ所を当てないといけない位だからな。連中は、殆ど魔法使いを殺す為に生まれて来てるようなもんなんだよ。真正面から立ち向かえるのはグラントだけだ。」

 

「うん。」

 

「俺ならな。ドラゴンの眼に対して結膜炎の呪いを当てる。そうじゃないとしても、視力を奪ったり出来る眼に対しての攻撃はとても有効だ。習得もそう難しくないから、今から練習するように。」

 

「分かったよ。」

 

「それにだ。エリナの強みを生かす方法で出し抜く手段がある。」

 

「え?本当!?」

 

来い(アクシオ)!レッドスパーク!!」

 

俺の手にレッドスパークが飛び込んできた。

 

「呼び寄せ呪文!」

 

「そう。今年必要な修得呪文の1つ。これなら修得は間に合うぜ。これで箒を呼べばいい。」

 

「出来るかな?」

 

「出るんだろ?当日まで足搔くのもアリだよ。思いっ切りやってから後悔する方がスッキリする。そして、もう1つの手段。変身術を使うとかな。囮を出したり、ドラゴンと同等に戦えるまでに体を変化させたり、手段は色々さ。どれを使うかは知らんけど。」

 

「分かった。やってみるよ。」

 

「言っておく事がある。」

 

「なぁに?」

 

「ベストを尽くせ!そうすれば、誰もお前の事をバカにする奴は1人もいなくなる。そいつらを見返してやれ。」

 

「ありがとう!」

 

早速、対策し始めた。細胞分身を使わせて、呼び寄せ呪文を唱えさせる。どれか1人が成功したら、還元。本人でも出来るか試す。今度は、より難易度の高い物を呼び寄せる様にするの繰り返しだ。

 

*

 

一方のグラント。彼は、ゼロと共にドラゴンを出し抜く方法を模索していた。

 

「やっぱりよぉ。正面突破の方が良いんじゃねえか?腕っぷしは自信があるんだ。」

 

「確かにお前なら正面から立ち向かえるかもしれないな。だから、それも視野に入れる。だが、お前には動物変化能力があるだろう?それを使うという選択肢も出来るんだ。」

 

「お、おう。」

 

「それに、結膜炎の呪いを習得して貰う。ドラゴンの眼には最適な効果を発揮するんだ。」

 

「分かったぜ。」

 

「そしてこれを。」

 

ドラゴン図鑑をグラントに手渡すゼロ。

 

「課題で利用されるドラゴンはメスだ。ドラゴンのオスの姿を、出来る限り記憶しておけ。記憶は良い方なんだからな。」

 

「任せとけ!暗記は得意なんだぜ!!」

 

グラントは、ドラゴン対策を練り始める事に。普段の授業よりも集中していた。それを見つめるゼロ。

 

「これ位の集中力なら中の上は取れるのに。普段からこうしてくれるとありがたいんだが。」

 

呆れながらも、ちゃんとグラントのサポートに徹するゼロ。ムーディが偽物と知りながらも、ヴォルデモートを一網打尽にする為とは言え、友人を結果的に危機に陥れようとしている事に対しての贖罪をしていこうと決心したのだ。

 

*

 

2日経った。いよいよ、第一の課題の日となった。エリナとグラントは緊張している。それぞれ、俺とゼロがマネージャーの役割をこなしていたので、何とかモチベーションを上げてやろうと奮闘した。

 

この日は、半日で授業が終わる。昼食を食べている時の事だ。

 

「ご飯が進まない。」緊張の余り、殆ど手を付けていないエリナ。

 

「それでもだ。食べておけ。ここまでやれる事はやったんだ。挑戦する時にぶっ倒れたら元も子も無いぜ。」

 

「うん。」エリナは、無理矢理トーストを口に入れて、ミルクで押し込んだ。

 

食べ終わった後に、大広間からスプラウト先生がやって来た。どうやら、エリナを探していたようだ。それと同時に、グラントの方にもスネイプが来ていた。

 

「ここにいましたか。ミス・ポッター。代表選手は、すぐに競技場に向かわないといけませんよ。第一の課題の準備をしましょう。」

 

「はい。」

 

「行って来い!エリナ!!」

 

俺は、左手を突き出す。キョトンとしたエリナ。だが、エリナは右手の拳を握って、俺の突き出した握り拳とタッチした。

 

「大丈夫だ!ここまでキチッとやって来れたんだ!きっと大丈夫だよ!」

 

「うん。」エリナの声は、いつもと違っていた。

 

「それではスプラウト先生。エリナを、妹を宜しくお願いします。」

 

頭を下げた。

 

「お任せなさい、ミスター・ポッター。さあ、行きましょう。」

 

エリナは、スプラウト先生と一緒に大広間を出た。俺の所に、アーニー、ジャスティン、ハンナ、スーザン、ハー子、ネビルがやって来た。

 

「大丈夫ですかね。」

 

「まだ緊張してたみたいだけどな。」

 

「でも、ハリーと二人三脚でやって来たわ。」

 

「今は、あいつの成功を祈ろう、皆。さあ、観客席へ行こうか。」

 

俺は、観客席へと向かっていった。ハー子に、ネビルの近くに座った。ロンは、少し離れた所にいる。

 

「エリナ。グラント。」

 

「ネビル。あの2人なら大丈夫よ。」

 

「エリナは俺が、グラントはゼロがサポートしたんだからな。問題無い。あいつらは、ベストを尽くす!」

 

*

 

レイブンクローの観客席。ゼロは、今か今かと待っている。

 

「俺が参加するわけじゃないのに、緊張が止まらない。心臓がバクバクしてきた。」

 

「ゼロ。大丈夫?顔色が悪いわよ。」シエルが心配そうに言ってきた。

 

「悪い。問題無い。」

 

*

 

ここは、選手控え室の前。11月の外は、寒かった。

 

「さあ、落ち着いて。」

 

ボクの肩を、スプラウト先生が手を置いた。

 

「あなたのお兄様の言う通り、ベストを尽くしなさい。そうすれば、誰もあなたを悪く言いません。もし手に負えなくなれば、事態を収める魔法使い達が待機していますからね。大丈夫ですか?」

 

「はい。問題ありません。」

 

そう。ここまで努力してきたんだ。ボクには、たった1人だけ生き残ってる兄がいる。名付け親もいる。こうして心配してくれる先生もいる。仲間がいる。この場にはいなくても、ボクは1人じゃない。そう思うと、自然と落ち着いてきた。

 

ボクは、控え室のテントに入ろうとした。その時に、スネイプ先生と鉢合わせになった。

 

「ミス・ポッター。君の健闘を祈る。」

 

「ありがとうございます。先生。」お辞儀をして、テントに入った。

 

そこには、いつになく無口のグラント、やや青ざめた表情のデラクールさん、渋い顔をしているクラムさんがいた。そんな中でバクマンさんが入って来た。

 

「皆、楽にしてくれよ。これから、直面するものの模型を選んで貰う!さあさ、レディー・ファーストだ。」

 

バクマンさんは、ボクに袋を差し出した。ボクは手に突っ込んで、引いた。

 

最悪だ。よりによって最初に、4番。そう、ハンガリー・ホーンテール種を引いてしまったんだ。ハグリッドが密かに見せてくれた黒いドラゴン。あの時の記憶が蘇る。皺の刻まれた黒い瞼の下で、ギラリと光る黄色い筋を、ボクは思い出した。

 

皆が何を相手するのか決まった様だ。デラクールさんは、2番のウェールズ・グリーン普通種。クラムさんは、3番の中国火の玉種。グラントは1番の、スウェーデン・ショート・スナウト種。グラントは、更に青ざめた。最初に自分が1番なんてという顔をしている。それでも、ホイッスルが鳴ってから囲い地へと向かっていった。

 

グラント視点

俺が最初かよ。やべえ。緊張してきたぜ。だが、ここで本領を発揮しないと俺を献身的にサポートしてくれたゼロに顔向けが出来ねえや。だから、俺はやってやるんだ。

 

俺が戦うのはスウェーデン・ショート・スナウトと呼ばれるドラゴンだ。

 

『試合!開始いい!!!』

 

掛け声が響いた。ドラゴンが咆哮した。上等じゃねえか。真正面からやってやるよ!

 

細胞分身(セラーレ・ディバリット)!!」

 

ハリーが宿題掃除用に使っていて、前にあいつから教わった魔法を使う。すると、沢山の俺が出現した。

 

『オオットォ!?リドル選手が沢山出て来たぞ!彼は一体、何をする気でしょうか?』

 

「皆、アレをやるぞ!」

 

「「「「「「「「「オーッ!!!」」」」」」」」」

 

俺は、俺だけの持つ能力で自分の身体を変化させた。俺の分身達もそうだ。敵のドラゴンはメス。オスのドラゴンまみれにして逆ハーレムを味合わせるのさ。

 

『リドル選手!今度は、分身と一緒にドラゴンに変身したー!大きさからしてオスの個体でしょうか?いずれも、純血種であります!流石のスウェーデン・ショート・スナウト種も唖然としている!』

 

第1の限界突破(ファスト・リジェネレイター)!」

 

脳のリミッターを外し、身体能力を飛躍的に上昇させた。50倍だ。

 

本体たる俺は、分身の1人が変化したドラゴンに乗って、敵のドラゴンの所までジャンプした。そして、奴の顔に俺の脳のリミッター解除をした拳の一撃を食らわせてやった。

 

ドラゴンは吹っ飛んだ。俺は、地面に無事着地した。

 

「どうだ!邪魔する奴は潰す!それが俺のやり方だ!文句あっか!?」

 

ドラゴンは立ち上がって来た。本格的に、俺に敵意を表してやがる。ここから、本気で殺しにかかってるだろうぜ。ならば、次はこれだ。分身を解除した。

 

「へへっ。じゃあ、見せてやるぜ。俺の本来の戦いって奴をよぉ。」

 

地面に右手の拳を付けた。

 

第2の限界突破(セカン・リジェネレイター)!」

 

俺の新戦法、身体能力強化呪文の第2段階目を発動する。第1段階目に比べて、1.6倍に引き上げられているのさ。

 

「こうなった俺は、もう誰にも止められねえぜ!」

 

俺はダッシュした。もうドラゴンの懐まで来た。

 

「オラァ!オラァ!!」

 

パンチを2発食らわせる。ドラゴンが爪で俺を攻撃しようとする。もう俺は別の場所だ。遅いぜ。

 

「食らいやがれ!」

 

パンチやキックを食らわせる度に、別の場所に移動している。ドラゴンは、完全に俺が何処にいるのか分かんないようだぜ。

 

『ドラゴンがフラフラに!そしてリドル選手!目にも止まらないスピードでドラゴンを翻弄し、一方的に叩きのめしています!まさかの正面突破!熱い!熱過ぎです!!』

 

最後に渾身の一撃を食らわせた。ドラゴンは、ついにノックダウンした。俺は、すぐさま卵を手にした。

 

『やりました!最年少選手の片割れが!お見事です!グラント・リドル!お疲れ様でした!さあ、審査員の点数に入ります!』

 

試合が終わり、歓声が上がった。俺をボロクソに言ってたであろうハリーとハーミーちゃん以外のグリフィンドール生も、拍手していた。

 

ハリー視点

本当に正面突破で行くとは。まあ、あいつらしいと言えばそうなるがな。さて、審査員の点数に入った。インパクトが強いから、これは行けるのではないだろうか?

 

結果が出た。マクシーム、クラウチ、ダンブルドア、バクマンは8点ずつ。カルカロフだけ6点か。合計38点。最初はこんなものだろう。

 

次にデラクールの出番になった。途中、あいつのスカートが燃えて、バクマンがセクハラ染みた解説をした。それで女性陣が全員敵に回ったのは言うまでもない。俺からすれば、普段、周りの人間をぞんざいに扱っているツケが来たのだろうと割り切った。デラクールは、ドラゴンに対しては魅惑の呪文で対応していた。結果としては39点。まだ逆転は出来るだろうと言った感じだ。

 

3番目はクラム。結膜炎の呪いを使った。だが、それが不幸だった。ドラゴンが暴れ出して、本物の卵が半分割れてしまったのだ。これは点数に響きそうだな。それでも、途中までは完璧だったし、ちゃんと卵を取れたから凄いんだけど。点数は40点。何でこんなに高いかというと、カルカロフが10点を与えるという露骨過ぎる贔屓をしたからだ。ブーイングが響いた。

 

そして最後にあいつか。しっかりやれよ、エリナ。

 

エリナ視点

ボクの出番になった。相手はハンガリー・ホーンテール種。ホイッスルが鳴り、ボクは囲い地に出た。

 

『試合!開始!!』

 

来い(アクシオ)!プラチナイーグル!!」

 

呼び寄せ呪文で箒を呼び寄せ、手に収める。でもこれだけじゃないんだ。

 

「えい!」

 

岩に魔法を掛ける。1つや2つではなく、辺り全てに。ホッキョクグマ、サイ、狼、クロコダイル、ライオン、ゴリラ等々に変身したんだ。彼らを囮に使う。そして、もう1つ。

 

守護霊よ来たれ(エクスペクト・パトローナム)!!」

 

守護霊を加えての囮作戦を展開。その隙に、プラチナイーグルに跨る。そして、空を飛ぶ。

 

「さあ。ここから先は陽動作戦を展開するよ。」

 

ボクは、急降下した。動物に変身した岩や守護霊に気を取られている隙を見計らって、卵を奪い取る事にした。でもドラゴンは、ボクの方に狙いを定めてきた。

 

「だったら、出し抜く。」急上昇した。

 

そこから、城を駆け巡ってのエアチェイスが始まった。ドラゴンの炎が、ボクを焼き殺そうとしてくる。だけど、ブラッジャーだと思っていればあっさりと避けられた。徐々に、空でドラゴンを翻弄した。

 

「結膜炎!」ドラゴンの眼に当てた。

 

ドラゴンはもがき苦しんだ。そして、囲い地に墜落しようとした。まだまだ。

 

身体浮上(レビコーバス)!」

 

ドラゴンを宙ぶらりんの状態にした。そして、反対呪文で安全な場所に寝かせた。

 

来い(アクシオ)!!金の卵!」

 

金の卵を回収した。そして、地上に降り立つ。会場は、沈黙に包まれた。だけど次の瞬間、爆発したかと思う程の歓声と拍手が響き渡る。

 

『やりました!完全勝利です!最短時間を更新したのです!』

 

やった。取り敢えず、生き残れたんだ。

 

ハリー視点

そうか。それが答えか。俺の提案したものを全てつぎ込むとは。全く以って大した奴だ。さてと、エリナとグラントのとこへ行くか。

 

救護用のテントに来た俺。エリナは、特に怪我は無かった。消毒は受けていたが。グラントも元気そうだった。一気に疲労が来たらしく、今日中は安静にする様にとの事。

 

「良くやったな。お前ら。」精一杯の労いの言葉を掛ける。

 

「ありがとう。」

 

「俺、頑張ったんだぜ。」グラントが言った。

 

「凄いな。本当に作戦通り行くなんてな。」ゼロもテントに来た。

 

そこから人が来た。ハー子に、ハッフルパフでエリナと仲の良い人達、ネビル、そして少し離れた所にロンだ。

 

「ロン。言った方が良いわよ。」

 

「…………エリナ、グラント。君達を疑ってゴメン。僕はようやく、2人は嵌められたんだと気付けたんだ。」

 

「ううん。気にしないで。」

 

「そうだぜロン。もう過ぎた事は気にしねえよ!」

 

「ありがとう。」

 

いやあ、良かった。ロンとも仲直り出来て。無論、俺ともだ。これで、また元の6人組に戻れたわけだ。エリナの点数を見て見た。マクシームが9点、カルカロフが4点という事を除けば、全員10点満点をくれたわけだ。これで、エリナがトップに躍り出た。

 

ロン視点

僕は、非常に後悔した。ドラゴンに命懸けで立ち向かって行くエリナとグラントを見て、自分自身がいかに下らない嫉妬をしたかと。そして、それを真正面から教えてくれたハリーにも、申し訳なく思ったんだ。

 

僕は、謝罪をした。2人共、別に気にしてないからと笑って許してくれた。ハリーも、そこを知っといてくれたら良いんだと言った。仲直りの握手をした。

 

友人達の寛大さを見て思った。僕だったら、嫌味を言ってたかもしれない。誤ったのは、僕なりに責任を取ろうと思ったからだ。今でも、僕がいるから皆苦しんでしまうと思っている。僕がいるから彼らを苦しめるだけだと痛感したのだ。

 

このままじゃいけない、変わらないといけない、でなければこの胸の痛みは収まらないと思う自分がいる。その一方で、ハリーやハーマイオニー、ゼロ、グラント、エリナ、その他大勢の人とずっとこのまま友達でいたいと思っている自分がいるんだ。

 

結局、どっちつかずのままだ。僕は、何も出来ない。1人では無力だ。そう実感してしまった。

 

*

 

仮面の男、ダアトは密かにホグワーツに侵入していた。第一の課題を見ていた。

 

「久しぶりの三校対抗試合か。生き残った女の子と、全ての生命の頂点に君臨する、奴の最高傑作。成る程な。奴も良い人材を持っているではないか。そして……」

 

救護用のテントでのやり取りを見た。

 

「あの6人。4つの寮に見事に別れながらも、その絆は揺るぎないものだと思っていた。だが、見えない所で亀裂が生じているな。」

 

ダアトは、ロンを見る。

 

「ロナルド・ウィーズリーか。未だに、あの5人との関係は離れているようだ。かつてのお前みたいじゃないか。なあ、ワームテールよ。」

 

ワームテールと呼ばれたネズミ顔の男にそう語りかけるダアト。その表情は、どこか嬉しそうにしていた。

 

「はい。ダアト様。私めも若かったのです。」

 

「そうだな。そう言えば、例の計画はどうなっている?」

 

「順調でございます。闇の帝王は、エリナ・ポッターを使って復活するつもりです。」

 

「そうか。引き続き、奴の配下の振りでもしてろ。奴にとって、最悪の復活パーティーにしてやらねばな。俺の方は、少しロナルド・ウィーズリーに揺さ振りでも掛けてみるか。」

 

ダアトとワームテールは、吸い込まれる様に消えていった。

 

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