Harry Potter Ultimatemode 救済と復活の章 作:純白の翼
早速ロンに、マリアからの了解が得られた事を伝えた。
「ありがとう!助かるよ!」何度も何度も頭を下げている。
「失礼の無い様にしろよ。」
「モチのロンさ!任せてよ!」逆に不安なんだがな。
休暇が始まって2、3日。あちこちで突然、ワッと羽の生える生徒が爆発的に増えた。どうやら、カナリア・クリームが広まったらしい。そして、俺はブレーズ・ザビニに制裁を下す。
「ま、待ってくれ!違うんだ!」慌てふためいた状態で、俺にそう言うザビニ。
「何が違うって?」
自分でも不思議な程冷たい声で、ザビニを問い詰める俺。
「マリアに手を出そうとするとは、女癖の悪さは相変わらずだな。イドゥンからの許可は貰ったんだ。徹底的にやらせて貰おう。」
「何であの子と親しいんだよ!?お前だってブラックを誘ったって聞いたぞ!他の寮の女子を誘うなんて、状況は全く同じじゃないか!どこか悪いんだ!?」
「……状況は全く同じだと?寝言は寝て言え。マリアの場合は、碌に知らない人間に対しては恐怖心や不信感を抱いてるんだ。お前のやり方は、それを増長させているだけなのさ。」
俺は、侮蔑を込めた目でそう言い放ってやった。
「そ、そんな…………」
「精神的な痛みを教えてやる。
ザビニに幻覚呪文を使った。その内容は48時間、水攻めにして、最終的に溺れさせる事だ。これを一瞬の内に体感するのだから、食らう者からしてみればたまったものではない。だが、ザビニには良い薬になるだろう。
「中々エグい無間地獄をブレーズに与えましたわね。まあ、彼の性癖の悪さは筋金入りですので、擁護は全くしませんけど。」
何時の間にか、イドゥン・ブラックがいた。
「イドゥン。いたんだ。」
「ええ。いましたわよ。あなたの行動を見ていると、本当にどうしてグリフィンドールに組み分けされたのか不思議に思いますね。何せ、スリザリン適性が強過ぎですもの。」
「これでも最初は、目的を最速且つ確実に成し遂げる為に、スリザリンでも良いやと思ってたのさ。でも、最初のホグワーツ特急で同席になった奴等の甘さが、俺に
「そうなのですか。」
「待ち合わせ場所の事で俺を探してたの?」
「はい。大理石ホールの近くの教室を見つけましてね。そこで合流をしましょうと伝えにきました。」
「オーケー。」冒険者の地図を開いた。
「ここの事で良いのか?」その場所を指差す。
「そうです。それでは、当日の夜7時半、宜しくお願い致しますね。」
イドゥンは、そう言って教室を出て行った。
「さあて。俺も行きますかね。」
俺も教室を出て行く。ザビニは放置しておいた。この後、誰かが見つけたようだが、女性関係で問題を起こしているので、女性からの怒りを買ったのだろうと片付けられたザビニであった。普段の行いってそれなりに大事なんだなぁ、と思った俺であった。
その後、大広間に向かった。ちょっと離れた所から見ていると、ロンのフクロウ、ピッグウィジョンが女子生徒の人気者となっているではないか。ちなみに、名前を付けたのはジニーなのである。
あ、ロンがピッグウィジョンに群がっていた女子生徒複数人を追い払った。皆、憤慨した表情で走り去っていった。ロンは勿体ねえ事するよな~。それはそうと、彼女達はエリナの下へ向かった。無論、クワノールを可愛がる為である。
エリナで思い出した。あいつ、シリウスの手紙を貰ったらしい。随分と褒めて貰ったようだ。そして、俺がサポートに回ってるとはいえ、まだ2つの課題が残ってるから気を引き締める様にしなさいという、どこぞのムーディと同じ事が書いてあったのだ。
クリスマス当日。突然目が覚めた。何と、暗い部屋の中からドビーが俺を見つめていた。ホラー映画顔負けの恐怖心が、俺の身体全体を襲った。
「軽くホラーじゃねえかよ、ドビー。脅かさないでくれ。危うくベッドから落ちそうになったぞ。」
「すみませんでした、ハリー・ポッター。ドビーめは、あなた様にプレゼントを差し出しかったのでございます。」
「そういう事だったのか。ただまあ、次からは指で突いたりとか、ゆすったりして起こしてくれよ。くれぐれも、フライングボディプレスだけはやめてくれよ。」
「わ、分かりました。ですがドビーめは、あなた様にそこまでしません。」
というわけで、少々サイズの足りなくなったソックスをプレゼントした。途中で起きてきたロンは、送られてきたばかりのセーターとすみれ色の靴下をドビーに差し出した。俺は、ドビーから鮮やかな赤、箒の模様がある左用、緑色でスニッチが描かれている右用の靴下を貰った。
「ありがとう。ドビー。」
「どういたしましてでございます!そして旦那さま!何てご親切なのでしょう!」
今度はロンの方に向きを変えて、ひたすら頭を下げるドビー。ロンは、満更でもないようだ。余談だが、俺はロンにチャドリー・キャノンズの帽子を送った。色が恐ろしく合わなかったけど。ドビーは、次にエリナの所に行ってから、厨房に戻ると言って、姿くらましした。あ、そうだ。アレを渡そうかね。
「ネビル。ほらよ。」
俺は、ネビルに鰓昆布を1つ渡した。上手くキャッチしたネビル。
「これ、鰓昆布じゃないか!何処で手に入れたの!?」
「去年、俺が新しい薬を作ってたのは知っているよな?」
「うん。シエルやルインと一緒に、新しい脱狼薬を作ってたんだよね。祖母ちゃん、君の事を凄く褒め称えてたよ。」
「それはどうも。その時に、材料をスネイプの部屋から手に入れたんだ。ついでに、鰓昆布を3つ回収してね。薬草学に強いネビルなら、これの量産も出来るんじゃないかと思ってな。1つ譲る事にしたんだ。」
「良いのかい!?ありがとう!!」凄く喜んでくれた。
さてと。俺に来たプレゼントの内訳でも見てみますか。
ハー子からは、イギリスとアイルランドのクィディッチチームという本が送られてきた。ロンからは糞爆弾がぎっしり詰まった箱、シリウスからはペンナイフだ。何でもこじ開ける道具と、どんな結び目も解く道具がついていた。ハグリッドからは大きな菓子箱。ウィーズリーおばさんからのプレゼントもちゃんとあった。セーターとミンスパイだった。
ロイヤル・レインボー財団からもあった。ミラクルガンナー用のカートリッジ複数種、インクの要らない羽ペン8本、しかも羽根の部分で訂正箇所を直せる仕様だ。そして、入手ルートは不明だが輝きの手。俺に泥棒になれとでも言いたいのだろうか?
そして、最後の1つ。何やら大きい箱が出て来たぞ。まるで、ド○え○んに出て来る道具だな。確か、道具を作る為の設計図を出してくるのに似てるような。
「何々?『魔法科学製品製作修繕機器』。これで、科学技術を取り入れた新たな魔法道具の製造、及び修繕を行える。仕様書を書いて読み込ませると、それに沿った設計図と修復方法が記された説明書が出て来る。不器用な人にでも手頃且つ簡単に使える道具。」
マニュアルを読んでいく。それによれば、ノアと同期する事で初めて使用可能になるとの事。おいおい、フレッドとジョージが喜びそうな道具だよな。絶対にこれ。
その後、朝食を食べに行き、外に出た。誰もいない場所で、ノアを口寄せ召喚した。内部に入る。
「この動力室に同期すればいいか。」
3時間かけてノアとの同期を完了させた。丁度昼食の時間になったので、ノアの召還を解除し、食べに行く。少なくとも100羽の七面鳥、クリスマス・プディング、そしてクリベッジの魔法のクラッカーが山ほどあったのだった。
今度は校庭に出た。真っ白な雪だ。神秘的である。あちこちで雪合戦をしているので、観戦した。5時になって城の中に戻って行った。
「レアリー・ファイト。電豆球。」
談話室に戻った。男子生徒は殆どいないようだ。ちょっと体を温める事にした。早く準備するに越した事はないので、俺は6時半になってからローブへの着替えと身嗜みを整え始めた。結果、7時頃になった時にはいつでも出発出来る様になった。
髪型はいつもよりもデリケートに意識して整えた。ドレスローブの襟の部分にラペルピンを挿した。
「ふむ。こんなものか。ま、ちゃんとやったから悪くは無いかもな。」
ロイヤル・レインボー財団のパーティで散々経験してるので、今更恥ずかしがる事は無い。
「さて。行きますかね。」
集合場所まで向かう事にした。そこで、ロンやネビル等のグリフィンドールの男子生徒と遭遇した。
「ハリー。君、何か上手に着こなしてるよ。それに、いるもよりもお洒落だね。」
ネビルが言った。
「まあな。身嗜みは、いつも以上に気を遣ったんだ。じゃあ、俺は一足先に行くぜ。」
手を振って談話室を後にする。大理石ホールの近くの教室に入った。流石に、イドゥンはまだ来てないな。7時10分か。20分はあるな。ちょっと早く来過ぎたかもしれない。
20分程経って、教室の扉が開いた。白いプリンセスドレスを身に纏った少女が入って来た。イドゥンか。普段の服装でも容姿は整っているのに、これは反則だ。今のイドゥンの姿は、まるで物語の中に出て来るお嬢様そのものだからな。
いつも伸ばしている黒髪は、輪郭美人なロングのハーフアップに仕上がっている。そこに、ご丁寧に俺が送った首飾りを付けている。薄いメイクもしているが、普段の美貌を増幅させている。免疫の無い奴なら、服従の呪文に掛かる様な感覚になるだろう。
「絵本、もしくは2次元の世界の中にお帰り下さい。」思わず口走ってしまった。
「開口一番それですか。あなたは。」イドゥンが苦笑しながら言った。
下手すると、他が引き立て役に成り下がるな。代表選手でさえ。卵かけご飯的な意味で酷い。
「取り敢えず思った事は、普段の服装で十分だという事だな。そして、黒いドレスで来ると思ってたけど、意表を突かれたよ。苗字とは真逆の白で来るとは。」
率直な感想を述べる俺。
「それは、誉め言葉として受け取っておきましょう。そう言うあなたこそ、普段よりもお洒落をしているではありませんか。」
「折角こういうイベントがあるんだからな。気を遣ったよ。お陰で、整えるまでに30分かかったんだ。」
「私の場合は2時間半ですね。それでは、行きましょうか。エスコートをお願い致しますよ?ハリー。」
「元よりそのつもりだよ。」
というわけで、2人一緒に大理石ホールに向かった。
「何あの美男美女は!?」
「ハリー・ポッターとイドゥン・ブラックだ!」
「噂は本当だったんだ!」
「キイィィイー!!!2人共呪ってやる!!!」
「リア充は爆発しろ!!!」
色んな声が聞こえた。何やら物騒な言葉も飛び交って来たのだが。
「無視無視。あんな奴らなんて相手にしてたら、こっちの身が持たないや。」
「そうですわね。」
その時、「おーい!」という声が聞こえた。振り向くと、朱色のドレスローブを着込んだエリナと、紺色のタキシードを着ているゼロが近付いて来たのだ。ゼロは、メッシュをしてない。いや、メッシュは天然だった筈だから、その部分だけ染めたのか。一方のエリナの姿は親しみやすく、可愛らしい感じだった。
「おや。エリナとゼロではありませんか。」
「ハリーもイドゥンもお似合いって感じだね!」
「ゼロ。もっとシャキってしたらどうだ?」俺はゼロに言った。
「そうなんだがな。ダンスパーティは初めてなんだよ。緊張するんだ。代表選手のエリナを、恥を掻かせるんじゃないかと思うと怖くなる。」
「いつもの調子で良いんだって!ボクも初めてだからね!」エリナがゼロを励ました。
「ミス・ポッター!ミスター・フィールド!代表選手のペアはこちらに来るのです!」
「あ、マクゴナガル先生が呼んでるからそろそろ行くね。」
「またな。」ゼロがぎこちなく言った。
声がした方向に向かって、エリナペアは走り去っていった。それと同時に、ビクトール・クラムとすれ違った。クラムの隣にいた女の子を見て、俺は口をあんぐりと開けた。ハー子だった。確かに当日まで秘密にしておきたいのも分かるな、今思えば。
ハー子は、髪をどうにかしたようだ。普段のボサボサから滑らかな髪にし、頭の後ろで捻じっている。そして、優雅なシニョンに結い上げているではないか。
「こんばんは!ハリー!イドゥン!」ハー子が挨拶した。
「まあ、ハーマイオニーでしたか。普段とギャップが激し過ぎましたので、最初は誰かと思いましたわ。」
「ハー子。何となくだが、誰と行くの隠してたのか、その理由が分かって来たよ。俺はさ。」
「ふふっ。ハリーも意外に大胆不敵なのね!イドゥンを誘うのは私でも予想外だったわよ。」
「そりゃどうも。」
「ハーマイオニー。パートナーを待たせてはいけませんよ。早く行ってあげてください。」
「ええ!」
「薄い青色のドレス、驚く程似合ってるぜ。」
「ありがとうハリー!」
「ハーム―オウン―ニニイ。あー。そろそろヴぉくと行こう。」
「そうね。ビクトール!それじゃあハリー、イドゥン。良いクリスマスを!」
ハー子は、クラムと一緒に行った。その後、セドリックとチョウのペア、グラントとスピカのペア、ロンとマリアのペアとも出会った。
セドリックからは、前に魔法薬学の課題を手伝ってくれてありがとうと礼を言われた。グラントは、以前の髪形に戻していた。ローブもそんなに酷くなかった。ロンは、マリアの魅力に取り憑かれていた。マリアの方は、緊張してるのか無表情だった。それでも行く先であらゆる男を魅了していったのだから、マリアはある意味恐ろしい。
大広間の席に入った。もう寮なんて関係ない。違う寮どころか、学校が違う者までいるのだ。だから、各自が好きな席に座った。俺とイドゥンは、かなり前の方に座った。
その後、代表選手が入って来た。大広間の一番奥に置かれた、審査員が座っている大きな丸テーブルに向かって歩いた。ハー子、エリナ、ゼロ、グラントが通り過ぎる度に俺に向かって手を振って来た。なので俺も、それに応えた。
審査員の席を見てみる。3つの学校の校長は健在だ。カルカロフがハー子を見て、大変驚いていた。バクマンはいつも通りと言った感じだ。クラウチはいない。代理人を務めているのは、パーシーだ。ウェーザビーと呼ばれなくなったかどうか、後で聞こうかね。
「金色の皿だけですわね。そして、メニューだけがポンと置いてありますわ。ウエイターもいませんし。」
イドゥンが不思議そうに言った。
「あれ?もしかしてこれって……やってみる価値はあるかな……シーザーサラダ。」
メニューの品の1つを呟いた。すると、俺の目の前にシーザーサラダが出現した。
「……マジかよ。本当に出て来やがった。」
「どうやって出しているんでしょうね?ならば私も。ホタテとサーモン、アボカドの前菜。スダチ風味で。」
すると、その通りのものが出て来た。
「ありがとうございます。先輩。頼み方が分かりましたよ。」
向こう側にいたエックスが俺に礼をした。ルインは、俺とイドゥンのやり方を見て、メニューを注文しようとしている真っ最中だ。
「斬新だな。でもこれ、ハー子が反発しそうなやり方だな。」
「確か反吐、もとい『S.P.E.W』でしたっけ。」
「ああ。目的は、屋敷しもべ妖精の権利向上だそうだ。でも、やり方が性急過ぎるから参加を断ってやったよ。」
「権利向上ですか。聞こえは良いですが、屋敷しもべ妖精の事情や背景を知ろうとしないで、目的を達成してるようにしか見えませんわ。」
「俺も同意見。肝心な所はバカなんだよなぁ。あいつ。」
「ですが、何かしらのアクションを起こすというのは決して悪くありませんよ。」
「そりゃあ。まあ、そうなんだけどさ。あ、ダンスが始まった。」
ダンスパーティの主役は、代表選手とそのパートナーなのである。クラム、デラクール、エリナ、グラントがそれぞれ踊った。
エリナ視点
ボクは、今緊張している。これから皆の前でダンスをしなきゃいけないかと思うと。でも、それはゼロも同じ考えなんだ。ボクを何とかエスコート出来る様に、そして失礼がかからない様に気を付けているんだ。本当に、その気持ちだけで良いのになぁ。
金のお皿とメニューだけがテーブルに置いてあった。どうやって頼むんだろう?ダンブルドア先生が何か言おうとした時、ハリーのいる所からサラダが出て来た。引き続き、イドゥンの前にもハリーが頼んだ物とは違うサラダが出て来たんだ。
「あー。ハリーにはもう気付かれたようじゃの。見せ場を奪われてしもうた。わし、涙目。」
ダンブルドア先生も、これには思わず苦笑いした。ボクは、ハーミーの方を見た。これ、ハーミーは怒り心頭になるんじゃないかと思った。でも、それどころじゃないみたい。クラムさんと話している。
「ヴぉくの学校にも城はあります。大きくないし、4階建てですし。」
クラムさんがハーミーに、そう話しているのが聞こえた。
「ですが、校庭は広いのです。でも冬には、日光が来ません。しかし夏は、ヴぉく達は思いっ切り飛んでいます。湖や山の上を――」
「ビクトール。ストップ。そこまでだ。居場所がバレてしまう!」
カルカロフ校長が、必死にクラムさんを止めた。ダンブルドア先生が、遠回しにもっと言えって言ってる様な気がした。そして、必要の部屋の事を示唆程度に語った。
デラクールさんは、ホグワーツのクリスマスの飾り付けが貧相だと言っている。ダイヤモンドの様な解けない氷の彫刻、森のニンフの聖歌隊、食事の時間だけ歌を奏でるそうなんだって。鎧も無いし、ポルターガイストもいないそうだ。ボーバトンのクリスマスイベントも1度見て見たいなぁ。
デラクールさんのパートナーの、デイビースさん。彼は、魂を抜かれた感じになってた。
「何やってんだよ。あの人は。」ゼロが小さな声で愚痴ってた。
しばらくして、妖女シスターズが出て来た。ボク達、代表選手が最初に踊る事になった。
「それらしい感じになれば良いのか?」ゼロが呟く。
「なるべく形にすれば良いと思うよ。」ボクが返した。
ボクは、ゼロの両手を掴んだ。片方の手は自分の腰に回して、もう一方の手は強く握りしめた。そこで、スローなターンをゼロがした。うん。思った程悪くないね。もう皆始めちゃってるし。
ネビルとジニーちゃんが、すぐ近くで踊っていた。よく足を踏むもんなので、ジニーちゃんは痛そうだった。その一方で、ハリーとイドゥンは既に経験者なのか、見事なコンビネーションを発揮している。それにより、周りを魅せているのだ。あの2人、まともに手を組むと凄いんだろうなぁと感じたボクであった。
「ようやく終わった。」ゼロが疲れた様に言った。
「後はフリータイムになるから、食事でも何でも良いと思うよ。」
「ちょっと見物しようか。」
「オーケー。そうしよう。」
ボクとゼロは、大広間中を駆け巡る事にした。
ハリー視点
「どうする?」
「後は雑談にしましょう。元々、こういうイベントは余り慣れていませんのでね。」
「分かった。何か取って来ようか?」
「それでは、バタービールをお願いします。」
「了解。」
バタービール2つを取って来る事になった。
「あなたって、見た目に反して結構繊細な動きが出来るのね。そして、笑うととても優しいし。」
おや、ハー子とクラムが何か会話してるぞ。仲良さげだな。
「いつも校長から言われてるのです。ヴぉくが笑うと弱く見えるから、常に睨み付ける様な表情にしておけと。もう1回、踊りましょう。」
また躍るらしいな。これに関しては、俺が口を出すまでも無い。そっとしておこう。
「チョウ。一緒に僕と座ろう。」
セドリックは、完璧なエスコートをチョウにしていた。
「ええ。セドリック。あら、ハリーじゃない!楽しんでる?」
「うん。上々だよ。俺、急いでるからまたね。」
セドリックとチョウと別れて、バタービール2つを貰って来た。帰る途中で、ロンとパーシーが会話している。それによると、クラウチ個人の補佐官に昇進したそうだ。クラウチ自身、最近は余り体調が良くない事も分かった。
イドゥンの所に戻り、彼女にバタービールを1つ手渡した。
「ありがとうございます。本当に気が利きますね。あなたは。」
「例には及ばないよ。」小羊背肉のリンゴソースかけを受け取りながら、そう返した。
受け取った食べ物を食べていると、ロンとマリア、ハー子が来た。
「ハー子。マリア。ロン。どうだ?楽しいかい?」
「ええ。とっても。ビクトールは今、熱い飲み物を取りに行ってるわよ……ロン?」
ロンの様子がおかしい。ハー子を睨み付けている。
「ビクトール?ビッキーって呼んでくれって、まだあいつは言わないのかい?」
おいおい。よしてくれよ。ここで一触即発なんて俺はゴメンだ。
「どうかしたの?言いたい事があるなら、目を合わせて言ってみなさいよ。何なの、その態度は。」
「あいつはダームストラングだ!」ロンが吐き捨てる様に言い放った。
「ホグワーツの敵なんだぞ!それにハリー!何でその女とパートナーなんだよ!そいつはスリザリンで、闇の――」
ロンは、それ以上何も言えなかった。俺が魔力の放出をして威圧した。それ以上の失言を言わせなくしたからだ。
「お前。このイベントの最大の目的を忘れたんじゃないだろうな?他校との親睦を深める為なんだぞ。ハー子のやってる事は、別に問題無いじゃないか!それに、同じホグワーツの生徒を貶すなんて言語道断だ!」
俺はすかさず言い返した。イドゥンも表情を変えていないが、激怒寸前まで行ってるのだろう。
「敵とベタベタしてる奴等はあっち行けよ!」
「!?」また嫉妬かよ。いい加減にしろ。
「バカ言わないで!あなた、彼がここに来た時にどれだけ騒いでたか忘れたわけじゃないでしょうね!?散々応援してたのは、どこのどなたかしら!?サインを欲しがったり、人形を談話室に飾ったり!」
「俺は、イドゥンに今まで散々助けて貰ってたんだ。今の発言、完全にお前に落ち度があるぞ。先入観だけで物事を図るな。」
「そうかい。愛しのビッキーと仲良く踊っていれば?そしてハリー。闇の魔法使いに心を売れば良いじゃないか。僕よりも、そのスリザリンの女を庇うんならね。」
俺はイドゥンと目配せをする。ここを離れようって視線を送った。イドゥンは頷いた。ハー子も、クラムを見つけるや否や、さっさと行ってしまった。
マリアは、スピカと合流してどこかに行った。
少し離れた所で、俺とイドゥンは足を止めた。
「申し訳ない。イドゥン。俺の友人が、君に失礼な事を言ってしまって。何て詫びれば良いのか。」
何でこうなるんだよ。昔みたいに戻れないのか。そう言う思いを込め、ロンに代わってイドゥンに謝罪した。頭も下げた。
「あなたは何も悪くありませんよ。私を庇ってくださいましたからね。謝る必要もございませんわ。ですので、頭をお上げください。」
俺は頭を上げた。少し哀しそうな表情をしていたが、何とか笑顔を取り繕ってた。やはり、さっきの闇の魔法使い発言は相当堪えたんだな。
「悪いのはウィーズリーですよ。それに、あんな事を言われるのは慣れていますからね。あなたも相当、気苦労が絶えないようですね。あなたには同情します。」
「そう言ってくれると助かるよ。それよりも、慣れているって?」思わずキョトンとした。
「それはまた、後日話しますわ。それよりも、今日は大いに楽しみましょう。先程の嫌な事なんて忘れて。丁度、グラントがロックバンドの人と一緒に演奏もしていますからね。」
「あいつ。音楽が出来るのか。初めて知ったよ。」
しかも、いつの間にかリーゼントのカツラを被っているではないか。服装もロック風にしている。しかもだ。妖女シスターズの名曲、『Do The Hippogriff』を演奏しながら歌ってる。某ガキ大将みたいに歌が下手糞かと思いきや、思いの外上手だった。演奏を終えたグラント。たちまち観客から拍手喝采が送られた。
「やるなぁ。」
「そうですわね。」
メニューを開いて食べ物を注文したり、校庭に作られた庭園で休憩したり、また違うタイプのダンスを踊ったりした。その後、デザートも注文出来る様になった。
「ケーキが出るのか。これは当たり前だけどな。」ケーキを口に入れる俺。
「アイスクリームも出て来ましたね。意外です。」アイスクリームを頬張るイドゥン。
その他にも和菓子、プリン、杏仁豆腐、トライフルカスタード等々を堪能した。
真夜中になって、妖女シスターズの演奏が終わった。そうして、クリスマス・ダンスパーティは終了した。我先にと帰る生徒達。俺は、ある程度時間を置いてから戻る事にした。
「送らなくて大丈夫か?」
「問題ありませんよ。気持ちだけで十分です。あなたが来ると、誰かが呪いを掛けかねませんからね。」
「ハハッ。それは言えるな。それじゃ、気を付けて帰れよ。」
「あなたもですよ、ハリー。今日はありがとうございました。」
「良いんだよ。礼を言いたのはこっちだからね。」
そうして、俺はイドゥンと別れた。彼女は地下のスリザリン寮に、俺は8階のグリフィンドール寮にそれぞれ戻って行った。
談話室に戻った。殆どが寝静まっている。中には、椅子にもたれ掛かって寝ている奴までいる位だ。
「急に睡魔が襲ってきやがった。」
急いで寝巻きに着替え、そのままベッドにダイブした。その瞬間、一気に眠気と睡魔が襲い掛かって来た。なので俺は、意識を手放したのだった。