Harry Potter Ultimatemode 救済と復活の章 作:純白の翼
「ようやく、決闘が始まるみたいだな。行動開始だ。」
マクルトが立ち上がった。その虹色の瞳は、ヴォルデモートや死喰い人達に対して憎悪の視線を向けていたのだ。
*
ボクは、ヴォルデモートと向き合った。
「エリナ・ポッター。決闘のやり方は学んでいるな?俺様は礼儀を大切にする。真正面から挑む者には、いつも称賛を送っていた。」
「……」
「ダンブルドアも、礼儀くらいは守って欲しかろう。今夜はお前1人だ。死んでくれる母親もいない……命を張ってくれる兄もいない。互いにお辞儀をするのだ。」
「…………」
「さあ、死にお辞儀するのだ。エリナ・ポッター。」
死喰い人達が大爆笑している。特に、ルシウス・マルフォイはクラッブとゴイルを煽っている。だけど、何故か全員心から笑ってない。何かに怯える様に、それから逃れる様に空笑いをしているだけの様に見えた。
「イヤだ。」こんな奴に絶対お辞儀なんてしたくない。
「お辞儀をするのだ!」
ヴォルデモートが杖を上げた。すると、見えない手がボクを容赦無く前のめりにした。死喰い人達が大笑いしている。
「それで良い。今度は、背筋を伸ばして、誇り高く、お前の父と同じ様にだ。決闘を始めるぞ。」
態勢を整え、ジッとヴォルデモートを睨み付ける。
「威勢は良いようだな。
死んでしまいたいくらいの苦痛がボクを襲う。それが2分続いた。
「一旦休もうか。もう2度として欲しくないだろう?」
グラントだけでも逃がす。ここで死ぬ事になったとしても、あんな奴に弄ばせるつもりは無いんだ。
「俺様は聞いているのだがな。なら、答えさせるまでだ。
何の躊躇いも無く、許されざる呪文を使うなんて。やっぱりあいつは、生まれついての悪なんだ。ゲロ以下の臭いがプンプンする。
『イヤだと言えば良いんだ。』
「言わない……」
『そうすれば楽になれる。』
答えるもんか!
「ボクは言わない!」
服従の呪文を破った。死喰い人達は笑うのをやめ、逆に驚愕している。
「我が君の呪文を打ち破った!?」
「やはり、あの小娘は天才なのか?」
当のヴォルデモートはと言うと、逆に感心している。
「言わないか。だが、それは苦痛を意味するんだぞ?もう2度と味わいたくないと思うのだがな。」
「だったら、ボクは死んだ方がマシだよ!絶対に屈しない!!」
力強くそう宣言したボク。
「死をも恐れない……か。フフフフフ。気に入ったぞ。宿敵でも無ければ、ましてや何の因縁も無ければ、お前を永遠に俺様のものにしようと行動していた所だ。」
「うるさい!この……このロリコンストーカー!」
「何とでも言うが良い。さてと。そろそろ終わらせるとしようか。この茶番を…………この戦いを!」
ボクは、杖を握った。立ち上がった体の前にすっと構える。それは、ヴォルデモートも同じだった。
「
ヴォルデモートの杖から、緑の閃光が発射された。
「
白い光球を死の呪文の閃光に向けて発射した。死の呪文は、真っ白な光に包まれた。すかさず、次の呪文を唱える。
『
無言呪文で、武装解除呪文を発射した。死の呪文と相殺された。やっぱり、相殺が精一杯みたいだね。ヴォルデモートは、大変驚いている。だけど、分析もしているようだ。
「さっきの白い光球を放つ呪文。当たった箇所に攻撃の魔法を当てると、その威力が何倍にも増幅するのか。道理で、只の武装解除呪文が死の呪文を相殺出来たわけか。」
これには、流石の死喰い人も狼狽えの表情を見せている。だけど、魔塊球の効果があっさりとバレてしまった。もしこれで、死の呪文と一緒に使われたら…………
「だが、俺様には不要な魔法だ。要は、魔力を込めて呪文の出力を上げれば良いだけの事。魔力の無駄だ。」
また杖を向け合う。互いに、円の弧を描くかの様に回りだした。ふと、グラントの姿が見えた。どうやら、包帯が少しだけ解け始めている様だった。
「
「
ほぼ同時に呪文を唱えたボクとヴォルデモート。2つの呪文が衝突した。その時、ボクの杖は電流が貫いたかの様に振動し始めたんだ。
「これで終わり……何だと!?何だこれは!何が起こっているのだ!俺様の、俺様の死の呪文が!」
「ボクの放った虹色の破壊光線が、死の呪文とぶつかり合ってる!?」
眩い濃い金色の糸の様に、2つの杖を結び付けたんだ。死喰い人達が騒いでいる。
「我が君!指示をください!お願いします!」
ルシウス・マルフォイが叫んだ。
「やめろ!手を出すな!この小娘だけは、俺様自ら手を下してやる!小僧の方にも、色々と聞き出したい事がある!手を出したら命は無いと思え!!」
ヴォルデモートが、ルシウス・マルフォイにそう言った。でも、何人かはいつでも準備出来る様に杖を構えていた。
「そういう事だったんだね。ボクの柊の杖。あの杖が許せないんだね。兄弟羽根を持つ、ヴォルデモートの杖が!イチイの杖が!!」
その言葉を言ったと同時に、1度だけ聞いた事のある歌が聞こえた。ダンブルドアの不死鳥の、フォークスの歌だ。
「何故だ!ダンブルドアの糞鳥なんて招いた覚えはないぞ!」
ヴォルデモートが吠える。
「す、すげえ。エリナちゃんと、お辞儀ハゲの杖の間に出来た光が、どんどん強くなってやがる!エリナちゃんが……光ってるみたいだ!俺も何だか、希望が湧いて来たぜ!」
グラントを縛り付けていた包帯が、完全に解けたのが見えた。
「俺様の呪いが!こんな事があってたまるか!許されてたまるか!何も力が無い、小娘如きに!俺様が!」
「ボクは、何も力が無い!他の人みたいな力なんて!そういうあなたは、その力で今まで何をやってきたつもり!?」
「黙れえええ!良い加減、諦めろおおおお!」
ボクも負けじと言葉を返す。
「ボクが諦めるのを!諦めなさいよ!」
ボクの杖から、光の玉を伝って球体がヴォルデモートの杖に流れ込もうとしている。杖が悲鳴を上げている、そんな気がした。
ペティグリューの銀色の腕から何か出て来た。ゴーストみたいなのが。夢で見た、あのお爺さんが立っていた。
『そんじゃ、あいつは本当に魔法使いだったのか?』
「あなたは!去年の夏にヴォルデモートに殺された!マグルのお爺さん!」
『俺はあいつに殺されたんだ……やっつけちまえ!お嬢ちゃん!頑張れ!俺が付いている!』
お爺さんがヴォルデモートを見ながら言った。ヴォルデモートの顔は、恐怖で非常に歪んでいた。死喰い人達も然りだ。
その気持ちは、何となくだけど予想出来た。自分が手に掛けた人物が現れるという事は、己の罪を突きつけられてから。死人に口なしどころじゃない、糾弾や罵倒をしてくるんだ。他者を見下し、利用し続けて踏みにじり、挙句その命すら弄ぶという形で己の欲望に忠実に生きたヴォルデモートにしてみれば、これほど恐怖を伴う出来事なんてないだろう。
もう1つの頭が出て来た。今度は、中年の女性だ。確か、あの女の人はバーサ・ジョーキンズって名前の人だ。夏に行方不明になった…………
『手を離すんじゃないよ!絶対に!エリナ!あなたなら出来る!杖を離さないで!』
「もしかして、あいつにやられた人達?殺された逆の順番で現れてるって事?…………って事はまさか!?」
また出て来た。一目見て分かった。ボクを大きくして、顔つきも大人びたような外見の女の人。目だけは、ハリーと同じ緑の目をしていたのだから。
『エリナ。大きくなったわね。まるで、子供の時の写真を見てる様だわ…………』
「ま、ま、ま……ママ!!」
『すぐにお父さんが来るわ。一昨年にハリーと、あの子が持ってた不思議な石を通じて話したわ。ハリーがお父さんに似てるように、あなたは私そっくりだわ。目だけは逆転しているけどね。』
その隣にまた人が現れた。ハリーと瓜二つの、クシャクシャな髪をしたメガネの男性。ボクと同じ、ハシバミ色の目をしている。
『2年前はハリーと話せたんだ。不思議な石の力でな。今回は、僕達のもう1つの宝か。』
「パパ!」
『やあエリナ。僕達の宝物の片割れ。』
パパは、今度はヴォルデモートの方を向いた。恐怖で鉛色の様になっている。死喰い人達も戦慄していた。
『まだあんたは僕達ポッター家に執着しているのか?死の飛翔。ストーカー性分は相変わらずじゃないか。』
「貴様!ジェームズ・ポッター!」ヴォルデモートが震え声で名前を呼ぶ。
『悪いけど、エリナにはこのままトンズラして貰うよ。丁度、一緒に来た少年も優勝杯を取りに行ってるし。あの子、見た事も無い武器で死喰い人を攻撃しまくってるな。』
『あれは対戦車ライフルよ。ジェームズ。あの子、どうやってあんなものを調達して来たのかしら?』
グラントが、死喰い人相手に重火器を乱射していた。気付いてない者は、鉄の玉を打ち込まれて、倒れている者までいる。
『エリナ。良く聞くんだ。繋がりが切れると、僕達はこの世に僅かしか留まれないんだ。それでも時間を稼ぐよ。優勝杯を持って重火器を乱射しているあの少年と一緒に、ホグワーツまで脱出するんだ。良いね?』
「パパ、分かったよ。」
『ハリーに宜しく言っておいてね。後、シリウスやリーマス、メリンダにも。あの3人なら、あなたとハリーを大切に思ってくれるから。ねえ?ジェームズ。』
ママが笑顔で言った。
『そうだね、リリー……さあ、エリナ。もう行くんだ。』
『あなたなら、きっと出来るわ。幸運を祈ってる。行ってらっしゃい。』
「パパ、ママ!」言おうとして言葉を詰まらせた。
「ありがとう!行ってきます!……わああああああああああ!!!」
両手で掴んでいた杖を、渾身の力で上に捩じ上げた。金色の糸が切れた。それと同時に走った。死喰い人達も混乱している。チャンスだ!
「グラント!」一緒に来た子の名前を呼んだ。
「おお!エリナちゃんかよ!今日は宴だぜ!ヒャッハー!!俺のAK-47とバレットM-82も疼いてるぜええ!!」
グラントは、アサルトライフルと対戦車用ライフルを使い分けながら、手当たり次第に乱射していた。所かまわず撃っているので、何の対策も出来てない死喰い人はどんどん倒れていった。多分、死んでるのもいるだろうね。これは。
「邪魔だ!ジェームズ・ポッター!」
『死を超越した僕に勝てるとでも?』
『また2回とも塞がれるわけだわ。』
『あの子達は、新しい時代を気付いていく希望であり光!邪魔はさせないよ!』
『お前さんに一矢報いないと気が済まんのでな。』
パパとママ、バーサ・ジョーキンズ、マグルのお爺さんが立て続けにヴォルデモートにそう言った。それで、ちゃんと足止めをしている。
「今がチャンスだよ!行こう!グラント!」
「おっしゃ!揃ったんだ!これで無事に…………」
その時、死喰い人達目掛けて空から隕石が沢山降って来た。
「な、何だあれは!」誰かが叫んでいる。
「ま、まさか!?あいつなのか!?」
ルシウス・マルフォイが、これまでにない怯えた声でそう言った。
「お前達!盾の呪文を使え!」
ヴォルデモートが叫んだ。もうパパ達はいなくなっている。でも、突然起こった予想外の出来事を、ただその場しのぎの対応しか出来なかった。現に、盾の呪文は簡単に破られてしまい、早くも100人いた死喰い人は、70人位までに減らされてしまったのだ。
「私達も混ぜて貰おうかしら?」
男の声がした。女の人の口調になっている。
「ヴォルデモートよ。お前の厨二病まっしぐらの演説は見事だったぞ。事が事なら、四つん這いになって笑いたいくらいだ。」
続いて男の声がした。全てを威圧する様な声だ。
「何故だ!何故ホグワーツにいる筈のお前が、見るからに変態な男と一緒にいるのだ!」
ヴォルデモートが怒鳴った。その方向には、金髪で丸刈りの、女性用のクラシックチュチュを着用している男性。もう1人は、少しそばかすがあり、薄茶色の髪をしている。憂いの篩いで、ネビルの両親を廃人にした容疑でアズカバンに収監されて、すぐに死んだ筈の人だ。
「どうも。元ご主人様。俺はもう、2年前からこちらのお方の配下になっていましてね。去年からアンタに従っていたけど、お前に従うなんてクソだな。バカ以外、ありゃしない。今回は、ダンブルドアだけでなくお前まで欺いてやったぞ。ざまあみやがれ!」
薄茶色の髪の男性が、ニターッとヴォルデモートに意地の悪いスマイルを送った。
「おい!エリナちゃん!あっちからも人が来るぜ!」
反対方向を向いた。グラントの言う通りだ。1人だけだ。男の人だ。年齢は20歳代程。シルバーの短髪に、全てを威圧する様な神々しい虹色の瞳。マゼンダで表現されている太陽の柄がプリントされている白いローブを羽織っていている。
主に幹部級の上級死喰い人が、揃いも揃ってこの世の絶望の感情となった。
「わ、我が君!アイツです!今回来てないカロー兄妹は、あいつが我々の想像を超える力を使って殺したのです!理不尽極まりない奴です!」
ルシウス・マルフォイがヴォルデモートにそう進言した。だが、当のヴォルデモートは聞いてない。ずっと、その人物だけを見ていた。
「これはどういう事だ!バーティ・クラウチ・ジュニア!」
ヴォルデモートが憤怒の形相でその人物にそう言ったのだった。
*
セドリック・ディゴリーとブリザック・スタグロフは睨み合っている。
『さあ。どうやって、この鹿の化け物を倒そうか。』
「行かねえなら、俺から行くぜー。ふむふむー。」
スタグロフは、氷で出来た頭の角をミサイルの様にして発射した。
「一旦距離を取るべきかな?」
セドリックは、後ろへと下がった。氷の角は、セドリックが移動した場所まで届く事はなかった。
「あの攻撃、放射線状に来るって事かな?」
「避けるなんて上等じゃねーか。なら、これはどうだ?ブリザード!!」
スタグロフは、右腕から冷気を発射した。
「!?何だこれは!僕の身体が、動きにくくなったぞ!」
セドリックの身体には、所々霜が付いたのだ。思ったように動かし辛くなってしまったのだ。つまり、スタグロフの攻撃が当たりやすくなったという事になるのだ。
「クッソ!!早く取り除かないと!!!」霜を必死で振り払うセドリック。
「オオオオ!!」
スタグロフは、ジャンプをしてきた。セドリックを本気で踏み潰して殺す気だ。
「間に合え!!」
セドリックが言い終わると同時に、スタグロフの地上への着地が完了した。
「呆気ねー。魔法使いがこんなにも貧弱だとは思わなかったなー。他の魔法使いのガキ共を仕留めに…………」
「
呪文が聞こえた。スタグロフが燃え盛る。
スタグロフは、油断した。魔法使い、ましてや人間なんて軟弱で愚かな生き物だと断じているからである。その油断と傲りが命取りとなったのだ。手痛い深手を負ってしまう。
「むっはー!!あ、アチィッ!!!」
「どうやら、油断したようだね。」
思わぬ反撃を受けてしまったスタグロフにそう告げるセドリック。但し、彼も無傷では済まされてはいない。額と左腕、右足から血が出ている。
「人間の分際で生意気なー!!」
「ハア……ハア……その人間に、これから君は負けるんだよ。」
セドリックはまだ戦意を失っていない。こいつは、火や熱を使った攻撃に弱い。スペックの方は、あちらに分があるかも知れない。だけど、勝ち目が無いわけじゃない。今の攻撃でそう確信したセドリック。
「ゆ、許さねー。ぶち殺してやるー!!!フローズンボム!!!」
スタグロフが再びジャンプした。
「霜で動きにくいって事は無いから、もうその攻撃は効かない!盛衰の柴土《サーダス・ヒャシソイル》!」
紫色の土が、セドリックを守る様に彼の全方向に土の壁が生成する。氷を防いだ。
「食らいやがれー!!!」
ジャンプをするのは同じではあるが、その最中に氷の球を投げつけて来た。しかも、セドリック目掛けて。
「よっと。」
紙一重で回避するセドリック。そして、すぐ近くに着弾した氷の球。冷気まで生じているので、少し離れた。するとどうだろう。氷の球が着弾した個所から、氷のトゲが発生したではないか。しかも、まともに直撃すれば人間の体なんて貫通する程に鋭利な物へと。
「フレッドとジョージとの雪合戦での経験がこんな形で生きて来るなんてね。いつも勝負に付き合わされて迷惑だなって思ったけど、今回ばかりはあの2人に感謝だね。」
セドリックは、氷のトゲを見る。今の所、あっても無くても問題は無い。だけど、危険になる物は取り除くべきかと考えた。
「
「ちょこまかとしつこい野郎だー!!お前如きに使うつもりは無かったが、これで終わらせてやる!ダブルブリザード!!!」
ブリザードの時とは異なり、今度は両手から前に出し、ブリザードを放ってくるスタグロフ。
『見たところ、霜を付着させない様だけど……何かあると考えた方が妥当だろうな。』
セドリックの読みは当たっていた。ブリザードから、氷の刃が発射されたのだ。
「やっぱりか!今度はそう当たるもんか!
盾の呪文を発動する。実際、盾の呪文はそんなに得意じゃない。ハリーやゼロ、イドゥンみたいにレベルの高いものも含めて無言で出来るわけではないのだ。精々、自分が作れるのは持続時間も小さく、その効果範囲も狭い物が精一杯なのだ。だから、顔や体等の上半身を守る事は出来ても、下半身、特に足の部分は完全に無防備になってしまう。
「グワァッ!!!」
氷の矢が、セドリックの左足に直撃した。突き刺さった状態になった。余りの激痛に、思わず倒れそうになる。
『意識が……遠退いていくような感じだ。』
後ろに倒れるセドリック。この方が楽だと感じた。
「むっはー!!ようやく当たったぜー。ざまあみやがれ!人間!!!」
その言葉を聞き、ハッと気づいたセドリック。そうだ。まだやるべき事が残っているじゃないか。人間を舐めているコイツに、負けるわけにはいかない。人間は確かに弱くて、愚かかも知れない。時には、取り返しのつかない過ちだって犯す。だけど、それだけが全てじゃない。あらゆる可能性を持っている。それを教えてやる。
「まだだ……まだ終わってないぞ…………」
セドリックは立ち上がって来た。もう体はボロボロである。左腕と右足から出血をし、その上左足は氷の刃が突き刺さったままだ。それでも、立ち上がって来た。
「な、何故だ……?どうして立ち上がって来れる?」
スタグロフは理解出来なかった。もうとっくに限界なんて超えている筈なのに。そこまでして自分に必死に抗う目の前の人間が、急に怖くなってきたのだ。
「君は確かに、僕が戦ってきた敵の中では1番強い!だけど!僕が戦ってきた全ての者の中で1番強い者と比べたら、遥かに弱い!それだけだ!!僕は、彼を超えると誓ったのさ!!」
スタグロフは、何も出来なかった。セドリックの気迫に、全く何も。
「
セドリックは、魔法の詠唱を連続して行った。スタグロフの身体を燃やし、爆破させ、そして爆発させた。
「む、むっはー!!!こ、こんな死にぞこないの人間如きに……俺があああ!!」
「君の負けだ。」
「ふ、ふむー。だが、ロナルド・ウィーズリーは戻らねー。あいつは、他人とは違う特別な存在になりたがっていた。その為に、闇を望んだんだ。無理な話だ。」
「それはどうかな?」セドリックが笑った。
「な、何ぃ?」
「彼を、闇から救えるさ。この世に不可能なんて無い。諦めない限り、道は開かれるんだ。」
「む、むっはー!!」
スタグロフは爆散した。後ろに倒れ込むセドリック。
「ゴメン皆。僕は、行けそうにないや。」
意識を失うセドリック。応急処置はしたが、全く動けなかった。
だけど、後悔は全くしてない。少しでも、手助けになれれば。そう思えば、不思議と死も全く怖く無かったのだ。
*
レイブンクロー寮。マリア・テイラーは、第三の課題を見に行かなかった。1人でくつろいでいた。
「!?」
今、物凄い魔力の衝突が起こっていた。それを魔力感知で読み取ったマリア。その場所へ向かうのだった。