Harry Potter Ultimatemode 救済と復活の章   作:純白の翼

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第32話 四面楚歌の古き闇

「グラント!しっかりして!」

 

グラントは、今にも発狂しそうになる。ボクが、ボクがグラントを支えないと。

 

「俺は……俺は……人間じゃなかったのかよぉ…………」

 

思わず悔し涙を流すグラント。それを、うっとりとした表情で見つめるシモンズ。これには、流石のヴォルデモートも驚いている。

 

「今まで疑問に思わなかったの?普通の人間が複数種類の動物に、自由自在になれるわけが無いじゃない。あなたは人間でも何でもない。それどころか、人間という概念すら超越した存在。私が造り上げた最高傑作。究極生命体G。あらゆる生命体の頂点に立つ事を生まれながらに約束された、いわば覇王なのよ。」

 

「……それじゃ、どうしてそういう風に自分の下で育てなかったの!?どうして、ギャング組織のスマイルに育てさせたの!?」

 

ボクが聞いた。シモンズに対しての怒りが込み上がって来た。友達をこんな風にしたから。

 

「私の下でそう育てても、そこのヴォルデモートみたいな下らない失敗ばかりする、まるでダメな大人になるだけじゃない。それに、早い段階で実戦経験を積ませた方が良いし、上下関係の厳しい所で性根も鍛えさせる目的もあって、スマイルの前に置き去りにしたのよ。結果は見ての通り。ヴォルデモートと違って、居場所も、対等な友人も、そして愛情を手に入れた。私や彼が惨めに思える位に完璧よ。」

 

「貴様ぁ!よくもよくもよくもよくも!!!」

 

ヴォルデモートがシモンズに死の呪文を放つ。自分の切り落とされた左腕を勝手に使われた事への怒りの方のが大きいんだろうな。きっと。

 

だけど、死の呪文をシモンズは握り潰してしまった。ヴォルデモートを見る。バカな。ありえないという表情をしている。

 

「何をした?」

 

「不思議かしら?あなたの十八番が通じなかったこの私が…………そんなに不可解に見える?」

 

「さっさと俺様の質問に答えろ!シモンズ!」

 

ヴォルデモートの怒声が響き渡る。死喰い人達はすくみ上っている。ボクも。グラントは、精神的ショックが大きいのか、何も変化はない。でも、シモンズとジュニア、マクルトだけは涼しい顔をしている。それどころか、まるで面白いものでも見てるかの様に、ヴォルデモートに侮蔑の視線を送った。

 

「必ずしも、不老不死の手段を手に入れたのはあなただけではないという事よ。」

 

そんな。この人も不死を獲得してるなんて。何がしたいのか聞かないと!

 

「あなた達の目的は何?ここにボクとグラントをおびき寄せて、グラントをこんな風にして、もう何が何だか!」

 

ヴォルデモートはともかく、シモンズとマクルトには、ボク達に対する殺意は一切なさそうに見える。だけどどうしてこうなったのか、分からない。

 

「そうだな。この復活パーティは、アルカディアとTWPFの意図も絡んでいたというわけだ。生き残った女の子よ。」

 

今度は、今まで無口を貫いて来たマクルトが口を開く。

 

「え?どういう事?」

 

「まず最初に言っておく。アルカディアとTWPFは敵対している。共闘など有り得ん、本来はな。その理由は簡単だ。シモンズがTWPFを裏切ったからな。だが、奴は世界各地にアジトを所有していて、我々やロイヤル・レインボー財団でも見つけるのは至難の業だ。不死鳥の騎士団など、絶対に無理なのだよ。それにだ、近い内に闇の陣営が再組織される事も読んでいた。見つけるのが難しい相手に余計な力を使うなどナンセンスだ。」

 

「だからね。私達は今、休戦且つ共闘関係にあるのよ。ある協定の下にね。」

 

今度は、シモンズが言った。

 

「ある協定?」さっぱり分からなかった。

 

「……!?まさか!!」

 

ヴォルデモートは、ボクとは逆に気付いたようだ。でも、これまでにない程の恐怖の感情で表情が満たされていた。

 

「まずは、目障りな闇の陣営から潰す事にしたんだよ。」

 

マクルトが静かに答えた。

 

「互いに闇の陣営にスパイを送り込んでね。私の場合はジュニアだわ。」

 

「俺の方は……違うな。そいつは、その自覚すらない。自分がスパイ行動をしてるとも気付いてない。」

 

「具体的に何をしたの?」ボクが聞いた。

 

「まずは、シモンズがジュニアをホグワーツに送り込んだ。アラスター・ムーディを襲撃し、なりすましに成功したんだ。これは一見、ヴォルデモート自身の策略と本人は考えていたが、俺達の作戦でもあったんだ。」

 

「!?という事は、今までのムーディ先生は偽物!?」

 

そんな。あのダンブルドアを騙し通していたなんて。

 

「ご名答だ。ポッター。やはりあいつの、ハリー・ポッターの妹だけあるな。ハッフルパフに50点。お前の兄は、魔力の感知で違和感を覚えていたがな。それも、かなり最初期の事だ。早々に、俺が表向き死喰い人だった事も見破った。だが、実際はシモンズ様に完全なる忠誠を誓っている事だけは見破れなかった。今頃、偽物の方もホグワーツで尋問を受けているだろうが、もう遅い。何せ、ここに本体の俺がいるんだから。」

 

ジュニアが楽しそうに言った。

 

「ヴォルデモートの計画は、もう最初から乗っ取られていた。我々の同盟によってな。TWPFは、闇の陣営の完全なる抹殺。アルカディアは、グラント・リドルにこの場で強化改造を施す。ホグワーツの正式な選手が選定されない様に、強力な錯乱の呪文を掛けた。対戦相手は、少ないに越した事は無い。随分と苦労したが、それでもお前達2人の名前を入れる事に成功したのさ。」

 

ジュニアが自慢したげな感じで、周囲にそう説明する。ヴォルデモートは、口をパクパクさせていた。

 

「ええ。ヴォルデモートを一網打尽にする為に、エリナ・ポッター。あなたを使う事にしたのよ。」

 

「ボクを!?」

 

「そうだ。ヴォルデモートがお前の血を使って、元の肉体を取り戻す事は承知済みさ。だが、奴にとってはそれが致命的な落とし穴と化したんだ。」

 

「……」ヴォルデモートにとっては良くない事?

 

「確かにお前の血を取り込んだヴォルデモートは、お前に難無く触ることが出来る様になった。そうだろ?エリナ・ポッターよ。」

 

「実際そうだった。頭が割れそうな激痛に襲われんだもの。」

 

「お前に宿った魔法は、母方の親族がいる時でさえ。闇の陣営が、お前の成人まで一切近づく事すら出来ないわけだ。お前の預けられているダーズリーの家に。」

 

マクルトが抑揚の無い声で言った。

 

「それじゃあね。考えてみると良いわ。あなたの血を直接流す存在がいたとしたら、どうなるかしらねえ?」

 

今度は、シモンズが言った。何となくだけど、分かって来た。ヴォルデモートは、まるで分ってないようだ。

 

「もしかして…………ヴォルデモートの存在自体が、ボクの護りを作っていて…………だから……だから、あいつにボクは、殺せない?それを言いたいの?」

 

シモンズが微笑んだ。ヴォルデモートは、自分のやらかした事にさっそう後悔しているようだ。近くの死喰い人達も、まるで悪夢でも見ているかのような絶望の表情になっている。

 

「そう。地を這いずるヘビが、空高く飛びたいと願った所で、所詮無理な話。それでもどうにかしたいと、巣の中の雛をいやらしく付け狙っていたお前達闇の陣営が、逆に狙われていたのさ。」

 

マクルトが、ヴォルデモートと死喰い人達に、冷たくそう言い放った。

 

「神を恐れないアルカディアと、滅びの力を司るTWPFによってね。」

 

シモンズが続けて言った。

 

「うわあああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

「イヤだあああああ!」

 

「死にたくないよおおおおおおおおおおおお!」

 

「フォオオオオオオオオオオオオオオオオオイ!!!」

 

その言葉を聞いた死喰い人達は、慌ててこの場から逃げようとした。その場でくるりとローブを翻し、姿をくらまそうとした。

 

だけど、それは出来なかった。虚しくその場で回転するだけで終わってしまった。

 

「な!?どうして!?」

 

「姿くらましが出来ない!」

 

その光景を見て、マクルトが口を動かす。

 

「言った筈だ。次に会った時には、お前達を1人残らずあの世に送ってやると。お前達のご主人様が、まるで舞台の役者の様な振る舞いをしていた間に、姿くらまし防止呪文を、このリトル・ハングルトン全域に掛けておいた。お前達を逃がさない為にな。」

 

「尤も、主役は我々3人。観客はエリナ・ポッターとグラント・リドル。このまま退治されるのは闇の陣営だがな。」

 

「ボクも、グラントも、その後に殺すつもりなの?」

 

「いいや。エリナ・ポッター。お前は、ヴォルデモート破滅の一端を担ってくれた。どういう形であれな。」

 

「だからね。私達の力を見せつける意味でも、ダンブルドアやロイヤル・レインボー財団に刻み込んでやりたいのよ。だからね。あなた達を、今この場では助けるわ。」

 

シモンズは、グラントの首筋に何か緑色の液体を注入した。

 

「ギャアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

今にも死にそうな声を上げるグラント。

 

「あなた!グラントに何をしたの!?」

 

「段階ごとに、改造をしていくプランを立てていてね。変化能力をパワーアップさせたのよ。」

 

「パワーアップ!?」何を言ってるの。この人。

 

「これからは、この星の絶滅種にも変化出来る様にしたのよ。それじゃ、観客は席に行って貰うとしようじゃないの。」

 

シモンズが杖を振るった。

 

「何これ?……バリアー!?しかも見えない!」

 

ボクとグラントと優勝杯は、見えないバリアーに隔離された。ヴォルデモートは、死の呪文をボクに放った。だけど、バリアーに触れた瞬間に緑の閃光が掻き消されてしまった。

 

「これから私達の恐ろしさを見せつけてやろうじゃないの。指を咥えて見ていなさい。」

 

「バカな奴らだ。シモンズ様と、その気になれば全世界を破壊出来る圧倒的力を持ったTWPFに目を付けられるとは。お前ら死んだな。」

 

ジュニアが、死喰い人達とヴォルデモートにそう言い放った。殆どの死喰い人は、青ざめてしまった。

 

「目的は、あくまで闇の陣営。妥協はしない。例外も無い。さあ。宴の始まりだ。」

 

*

 

リーマス・ルーピン。彼は、倒れているエックスを介抱していた。

 

「重傷だけど、命に別状は無いようだね。」

 

応急処置を施し、エックスを担架に乗せるリーマス。

 

「エックス。今、マダム・ポンフリーの元へ連れて行くよ。」

 

*

 

アドレー・ローガーは、セドリック・ディゴリーを発見した。

 

「酷い怪我だ。あと少し遅ければ……」

 

死んでいただろう。間に合って良かった。本当に。

 

「セドリック・ディゴリー。負けるな……生きろ!」

 

医務室へセドリックを運んでいくアドレー。

 

*

 

「アルバス!急ぎましょう!」

 

「分かっておるよ。ミネルバ。」

 

「我々がムーディの救出及び、クラウチ・ジュニアの尋問をしていた時にここまで事態が悪化していたとは。ゼロ。セドリック。イドゥン。エックス。そしてハリー。頼む!間に合ってくれ!!」

 

「校長。我輩、あなたにはドラコの事で幾つか言いたい事がありますぞ。ですが、今はウィーズリーの方が先ですからな。」

 

「……」ダンブルドアは、何も言えなかった。

 

「バーテミウス・クラウチ・ジュニア。ハリー達は早期に死喰い人だと見破った様ですが、まさか。14年前の時点では本当に無実で、リチャード・シモンズが本当の主だったとは。奴の命令で、闇の陣営に加わっていたのか。ハリー達も欺かれていたわけですね。」

 

「その様じゃの。フォルテ。わしですら、ドラコに教えられるまで気付かんかった。」

 

「例のあの人の計画は……闇の陣営を追い込む為に利用されていたなんて。」

 

マクゴナガルは、アルカディアと終わりを生み出す者の恐ろしさに、恐怖心を隠せなかった。

 

「奴の言った事……本当なのでしょうか?エリナの血を入れた時、エリナはヴォルデモートが生きる限り、死ぬ事は決して無いって言葉。」

 

「断言は出来ん。じゃが、あの者が嘘を言ってる様にも見えんかった。」

 

「その割に、勝ち誇ったような表情をしていましたけどね。ダンブルドア校長。」

 

フォルテが、皮肉交じりにダンブルドアに対して言った。

 

第三の課題の開始の宣言を終わらせた後、ダンブルドアは即座に寮監4人を引き連れてムーディもといジュニアを捕らえた。ついでに、本物のムーディを救出した。スプラウトが付き添いで医務室まで同行したのだ。

 

そこからジュニアが語った真実。表向きはヴォルデモート復活の準備であるが、実際には闇の陣営を一網打尽にする為の計画だったのだ。まずはエリナをおびき寄せ、血を入れる事でヴォルデモートの敗北を確定させる事が目的だったのだ。

 

ついでにアルカディアは、グラントも代表選手にする様に仕向けた。その時に、彼の出自が語られたのだ。これを聞いて、流石に聞いていた全員は絶句したのだ。

 

そして今、死喰い人達100人はPWPEとアルカディアによって悪夢の晩餐を堪能しているだろうと言って、ジュニアは高笑いした。その直後、彼の身体は灰化した。本体は別の所にあると。そして、また会おうと捨て台詞を言い残して。

 

「我々だけでなく、死の飛翔すら欺かれていたとは。バーテミウス・クラウチ・ジュニア。油断の出来ない男だ。」

 

フォルテが舌打ちをしながら言った。それについては、3人も同意した。

 

「今更、今の状況を嘆いても遅いけどな。」声がした。

 

「だ、誰じゃ!」ダンブルドアが叫んだ。

 

ダンブルドア、マクゴナガル、スネイプ、フォルテの前に人が現れた。3人も、である。

 

「いきなり人が現れた!?」マクゴナガルは、大変驚いている。

 

「赤い目の男。コイツ、ポッターと同じ……」スネイプは苦い顔をしている。

 

「ゲブラーに、ティファレト!!」フォルテが、敵意剥き出しで2人の名を呟いた。

 

「久しぶりですね。フォルテ・フィールドさん。あなたが闇払いの時でしたか。初めて出会ったのは。そして2回目は、ローマの古代遺跡での戦いの時ですねえ。」

 

ティファレトが、狂気の笑みを浮かべている。

 

「ダンブルドア。成る程な。フォルテ・フィールドを教員にした理由がちょっとばかり分かったぜ。あいつの持つ、もう1つの杖の力と、闇の陣営を確実に倒せる人材目当てで雇ったんだな。奴は自然物化能力のみならず、ケテルと同じ宇宙モード、俺達と同じ覚醒の力まで持ってやがるからな。簡単に言っちまえば、危険な爆弾は相手に渡すよりも自分で管理していた方が良いと考えているそうじゃねえか。食えない狸ジジイだぜ、お前は。教師よりは寧ろ、政治家の方がお似合いなんじゃないか。ええ?」

 

ゲブラーは、ダンブルドアに侮蔑の視線を込めてそう言い放った。

 

「僕は、ダアトって言うですよ♪」仮面の男が自己紹介する。

 

「お主ら、PWPEの者かの?」

 

ダンブルドアは静かに聞く。だが、その瞳はメラメラと燃えている様だ。

 

「だったらどうするんだ?」ゲブラーが言った。

 

「お主達を拘束する!!」4人は杖を構えた。

 

「この人達!僕たちに勝つつもりらしいっすよ!ゲブラーさん!ティファレトさん!!」

 

「愚かな奴らだ。」

 

「ささとケリを付けましょう。」

 

3人も、戦闘態勢に入った。

 

*

 

「オラオラ!どうしたサル野郎!」

 

キットが杖を振るう。1つの呪文を詠唱する度に、それは無数の閃光と化す。ハヌマシーンが、素早い身のこなしで避けようとするが、いかんせん数が多過ぎる。どうしても幾つかは当たってしまうのだ。

 

『この男、もしや……』ハヌマシーンは焦った。

 

完全粉砕せよ(ボンバーダ・マキシマ)!!」

 

キットは、ハヌマシーンの頭部以外の身体を粉砕した。頭部だけとなったハヌマシーン。

 

「お、お見事……まさか、PWPEに対抗出来る存在がいたとは。」

 

「褒めたって何も出て来やしねえ。機械は機械らしく、人間に従ってろ。」

 

キットは、ハヌマシーンを機能停止させた。

 

「す、凄い……」キットの戦いを見て、思わずそう呟いたマリア。

 

「城へ戻るぞ。その怪我で先に進んだら、今度は本当に死ぬぜ?」

 

「分かっているわ。行きましょうか。」

 

城へ戻るキットとマリア。

 

『ごめんなさい。私、どこまでも役立たずで。』

 

心の中で謝罪するマリア。無念の表情を胸の内に秘めながら、自分の命の安全を選択したのだった。

 

*

 

「蘇るが良い。」

 

アヌビステップがパンテオンの残骸を再構成させ、ゾンビとして4体復活させた。

 

「やれやれ。この数じゃ、今の状態だと無理があるかもな。」

 

そう言ってシリウスは、左目を隠している包帯を解いた。そこには、ちゃんと眼があった。だが、ルビーレッドの目をしている。

 

『もしかして、ハリーと同じウイルスモードなのですか?ですが、何故片目だけに?』

 

イドゥンが考察をしている間に、シリウスはイドゥンとはまた違う肉体強化呪文を発動する。真紅の光を纏っていたのだ。そうして、両手に1本ずつナイフを持った。

 

「2つで1セットのマジックダガー。ロイヤル・レインボー財団が俺用に新しく用意してくれたこの武器で、さっさとやってしまおうか。」

 

「その程度の装備で、我をやれぬぞ。黒き王の末裔よ。パンテオン・ゾンビ。その2人を始末するのだ。」

 

「くたばり損ないめが!!そこをどけぇ!」

 

ネクロマンセスが蘇らせたパンテオン・ゾンビを手持ちのナイフで圧倒するシリウス。

 

「チッ!埒が明かないな!こうなったら……」

 

ナイフに魔力を纏わせ、切れ味と破壊力を飛躍的に上昇させる。パンテオン・ゾンビの1体を踏み台にして、ネクロマンセスに直接近付いた。

 

「なっ!?」アヌビステップが驚愕の表情をした。

 

「食らいやがれ!!」

 

「ぐああっ!?」

 

魔力で増幅した斬撃で、アヌビステップ・ネクロマンセス3世を一刀両断した。

 

「黒き王の末裔達よ。PWPEが創り出す世界に、お前達の居場所は無い。もがき苦しむお前達の姿……地の底より見ておるぞ……フ……フフフフッ……!!」

 

不気味な笑みを浮かべながら、爆散するアヌビステップ・ネクロマンセス3世。

 

「助かりましたわ。シリウス。でも、どうしてここが分かったのですか?」

 

「アドレーの魔力感知で、ハリーを含む5人の魔力が禁じられた森に入るのを知ったからさ。マリア・テイラーって娘が、援護をしにここに来てるのも分かったんだけど。」

 

「そうでしたか。」

 

「動けるかい?イドゥン。」

 

「とてもではありませんが、1人では無理そうですわ。」

 

「分かった。俺が付き添いをしよう。」

 

こうして、イドゥンも城へ戻る事となった。

 

*

 

「ビートプラズマ!!!」

 

ヘラクリウスの角から、小さい弾が5発発射された。ゼロはフリットウィックを掴み、風となって攻撃を回避した。

 

「食らいやがれ!エネルギーよ(ヴェスティブルーム)!」

 

逆にカウンター攻撃を食らわせるゼロ。

 

「ヌおおっ!オールレンジアタック!!」

 

ありとあらゆる場所へ、エネルギー弾がヘラクリウスから発射された。

 

反射の盾よ(プロテゴ・リフラート)!!」

 

約2年前、ハリーが決闘クラブで使っていた呪文を使う。ヘラクリウスの周りに、盾の呪文が形成された。だがそれは、内側からエネルギー弾を跳ね返し、ヘラクリウスを攻撃してしまう自業自得の術なのだ。

 

「グッ!こんな事が!」

 

「とどめだ!五星の霊獣(クインキュー・サルムビスト)!!」

 

ゼロ自身、まだ不完全ではあるが火、水、土の自然物化能力を会得している。そして、闇の陣営がフィールド家の人間の遺体を奪って解析した結果、生み出された飛行術の闇の自然物化をも獲得した。

 

ハリーとやっている事は同じだろうが、ゼロなりに自身の杖だけで出来る術の幅を作りたかったのだ。星を模した5つの顔を持つ生物を象った強大なエネルギー攻撃を放つ。1つの顔ごとにはそれぞれ、火、水、風、土、闇の属性を司ってる。これをヘラクリウス・アンカトゥスにぶつけた。

 

「あの人間!まだあんな隠し玉を!」ヘラクリウスの最期の言葉だった。

 

「おや。私の出番はそんなにありませんでしたか。」

 

「すみません。何かこう、出番取っちゃって。」

 

「いえいえ。私は嬉しいですぞ。君は、フォルテ君にはない強みを持って敵に対処した。もう、1人前だと言える位の。」

 

「そんな事はありません!俺はまだまだ、弱いですよ!」

 

「……焦る事はありませんぞ。アルバートも、フォルテも、最初から強かったわけでは無いですからなあ。時には負けたこともあった。でも、人が真に成長する時なのは、敗北を経験した時です。前の戦いで事実上負けてしまいましたが、それを恥じる事はありません。」

 

「分かりました。それを肝に銘じておきます。それでは俺、先に進んでロンを……」

 

ゼロは、突然倒れてしまった。

 

「どうやら、ここまでのようですね。私が、医務室まで連れて行きましょう。」

 

「申し訳ございません。フリットウィック教授。何から何まで。」

 

「こういう時は、大人を頼るものですよ。それに……」

 

「?」

 

「ポッター君ならば、時間が掛かったとしても必ずやウィーズリー君を連れ戻せると私は信じておりますからね。」

 

*

 

俺は走る。森は、とっくのとうに抜けた。このまま進めば、学校の外に出るわけだ。

 

見つけた。校門に顔を向けている。どうしてだ。何でこうなっちまうんだよ。必死で叫びたくなった。そいつの姿を見るや否や、俺はそいつの名前を叫んだ。

 

「待てー!!!ローン!!!」

 

沈黙が走る。俺は休み無しで走って来た為、息切れを起こす。ロンは、こちらを振り向いた。

 

「ハリー。僕は、この機会を逃さない。これで、他人とは違う自分を手に入れるのさ!!」

 

ロンの魔力が根本的に違っていた。魔力感知で、そう感じ取った。何だこの魔力は。だが今は、友を止めると決めているんだ。絶対に連れ戻すと誓ったんだから。

 

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