Harry Potter Ultimatemode 救済と復活の章   作:純白の翼

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第7話 吸魂鬼

 1993年8月31日。早朝。漏れ鍋前。ここに、7人の人間がいる。俺に、エリナ、義祖父ちゃん、エイダ義姉さん、イーニアス義兄さん、アドレー義兄さん、キットだ。俺とエリナの見送りに来たんだ。

 

「あのう、皆さん。今回の夏休みはお世話になりました。」

 

 エリナはペコリと頭を下げた。

 

「別に構わないよ。何かあったら、我々に連絡を寄越しなさい。」

 

 義祖父ちゃんがエリナに対して穏やかに言った。俺と同様に、本当の孫を見ているかのような目をしている。

 

「そうだぜハリー。今年1年も有意義に過ごせよ。幸運を祈るぜ。」

 

 キットが俺に声を掛ける。

 

「ああ。じゃあキットも、皆も体調には気を付けてくれよ。それじゃ、行ってきます!」

 

「ありがとうございました!」

 

 俺達は一礼した。5人は、すぐにそこから消えた。姿くらましで。

 

「行っちゃったね。」

 

「俺達も行こう。」

 

 漏れ鍋に入る。すると、店主のトムさんが暖かく出迎えてくれた。周りの人達も、お帰りポッターさんと言ってくれたんだ。トムさんは、予約していた個室2つに案内してくれた。

 

 荷物を置いてから、自由行動をそれぞれする事にした。俺は、ダイアゴン横丁に行った。『ハイタカの掘り出し魔法道具専門店』に向かったんだ。

 

「スギ花粉。」

 

 床が動いた。下へと続く魔法で動く自動階段が現れた。それを降りていく。地下とは思えない広い空間が見える。1年前と変わらないな。そう思った俺だった。

 

「ハイタカさん。こんにちは。お久しぶりですね。ハリー・ポッターです。」

 

「おや、ハリー君じゃないですか。来ましたね。あなた1人とは。何か用ですか?」

 

「新しい物を買いに来たんです。何かありますか?」

 

「あそこに、新たに入荷した商品の一覧があります。ゆっくりと拝見してください。」

 

 ハイタカさんの指差した方向に行った。魔法薬の材料もあったし、外国の魔法の道具もあった。

 

 ふと、妙な存在感を放つ刀を見つけた。凄い気を放っているのを肌で感じ取れる。

 

『俺が持っている銀翼刃と違って、とんでもないじゃじゃ馬だろうな。』

 

 銀翼刃とは、10歳の誕生日にロイヤル・レインボー財団の科学力と竜人族の武器製造技術、ゴブリンの銀の製法を組み合わせて俺専用にチューニングした太刀だ。

 

 ゴブリン製の銀と、魔封石の中でも純度が極めて高い黄金魔封石を精密に混ぜたものを刀身にした。その上で真紅の魔石(魔力を科学の力で固形化させた人工石)を、刀身とつかの間にはめ込んだもの。

 

 最近、バジリスクの牙の毒を付着させ、分霊箱を破壊出来る様にした。また、魔封石もあるので、魔法族を斬った時に大きく怯ませる形で動きを抑制させることが出来るし、それ以前に普通の刀として扱えたりもする。

 

 どうしてそんなものを持っているかと言うと、マホウトコロにまだいた時の事だった。魔法を極めるか剣術を極めるか、心の中で悩んでいた。

 

 だが、最終的にこう思ったのだ。『剣術と魔法を組み合わせた、我流の戦闘スタイルを極めよう』と。

 

 この時から俺は、単なる魔法使いや剣士を目指すのはやめた。困難な道になろうとも、両方の道は捨てない。俺だけに許された道『魔法剣士』として歩むと決めたのだ。

 

 話しを戻して、この刀を事を聞いてみるか。

 

「これ、何でしょうか?」

 

「それは、日本で妖刀と恐れられているものです。名を『凶嵐』と言います。その一振りは、嵐の如く。しかし、この刀を持った者はいずれも非業の死を遂げると言われている曰く付きの代物です。」

 

「たかが言い伝えでしょう?」

 

「どうでしょうか?言い伝えでもおとぎ話でも、ある程度真実になぞらえて伝えられる物なのですよ。」

 

「ならば、賭けをしましょうよ。この刀が俺を切らなければ、売って下さい。俺、これ気に入ったんで。」

 

「腕を切っても知りませんよ。自己責任でお願いします。」

 

 俺は、凶嵐を回転させながら投げ上げた。右腕を伸ばす。刀は、俺の伸ばした腕に近付く様に落ちて来る。しかし、俺の腕を斬る事無く地面に落ちた。ハイタカさんは、驚愕していた。

 

「お代は?」俺は、ニッコリとハイタカさんに質問した。

 

 それに加えて、ホグワーツでも難なく作動するウソ発見器と敵鏡を購入して、24ガリオン12シックル16クヌートで済んだ。俺は、ハイタカさんにお礼を言って店を出た。今までの支給された金の残り317ガリオン11シックル20クヌートは、全部ロイヤル・レインボー財団の俺の部屋に預けられている。1年で200ガリオン支給されるので、手元に残っているのは175ガリオン4シックル13クヌートだ。

 

 外に出る。少し箒を見に行く事にした。そこにあった物。それは、今まで見たどの箒より素晴らしい物だった。

 

 名をファイアボルト。本格的なレース仕様にしたその箒は、俺も思わず欲しくなった。

 

「あ、やっぱりハリーもファイアボルトを見に来たんだね!」声がした。

 

 振り向くと、エリナがいたではないか。

 

「喉から手が出るほど欲しいんだよな。正直言わせてもらうと。」

 

「分かる分かる。ボクだって、クィディッチの選手なんだもの。」

 

「でもやめたんだ。もう箒は2つあるし、スペックだけならファイアボルトを上回るレッドスパークも持ってるしね。」

 

「ボクも、よくよく考えたら性能が上回ってるプラチナイーグルがあるから今はその時じゃないって感じたんだ。」

 

「だな。それに、やる事と言ってもね。もう教科書と魔法薬学の材料、今年必要な物全部は、義祖父ちゃんがエリナの分ごと揃えてくれたし、ここにはぶらつくだけなんだよな。という事で、そろそろ戻るか。」

 

「うん!帰ろう!漏れ鍋に。」

 

 こうして、漏れ鍋に戻って来た。そこには、ウィーズリー家の人達と少し日焼けしたハー子がいた。それだけでなく、フィールド兄弟にグラントもいたのだ。グラントは、リーゼントにしていた。手入れ大丈夫かね?そしてゼロは、グラサンをしている。両者共に、イメチェンだそうだ。

 

「お久しぶり。」

 

 俺達は、再会を喜んだ。夏休み何をやっていたかを言い合ってた。その時だった。小さな虎の様な猫が、ネズミを追い回していた。

 

「ハーマイオニー!その怪物を閉じ込めろよ!スキャバーズを食ったらどう責任を取る気なんだよ!?」

 

「クルックシャンクスは、せっかくの外で思い切り過ごしたいだけなのよ。」

 

来い(アクシオ)。スキャバーズ。」ゼロが、ネズミを自分の方へ引き寄せる。

 

「ところでロン。このネズミ、どれくらい生きてるんだ?」ゼロが聞いた。

 

「知らない。かなりの歳なのは確かなんだ。元々パーシーが飼ってて。」

 

「ネズミの寿命なんて、せいぜい3年だぞ。2年前からコイツを飼っているみたいだが、そろそろ死期を覚悟した方が良いかもな。ハーマイオニーも、猫の管理はちゃんとしとけよ。いくら猫がネズミを食べるからって、誰かの所有物なんかに手を出したらそれこそ本末転倒だからな。下手すりゃ、訴えられる。」

 

 ゼロが鋭く指摘した。2人とも、渋々ながら納得したようだ。

 

『ナイロック。どうだ。』

 

『旦那。あのネズミ、やっぱり怪しいんよ。人間の臭いがする。そりゃ犬に比べたら、俺っちの嗅覚なんて大した事は無いけどなー。でも、人間よりは発達してる。そこは保障するぜ。だから分かるんよ。』

 

 やはり、スキャバーズは人間が変身したものだと言う可能性が高いな。

 

『ハー子の猫とコンタクトを取ってくれ。そして、ネズミの監視だ。』

 

『了解。』

 

 俺は、ナイロックにこの1年の指示を出した。その後、話題を変えてホグズミードの話になった。グラントは、菓子を買いまくると言い張ってた。

 

「皆。見てくれよ。」

 

 妖刀凶嵐を見せる俺。

 

「ハリー!あなた、何物騒な物持ってんのよ!銃刀法違反で逮捕されるわ!」

 

「大丈夫。帯刀じゃなくて、必要に応じて口寄せしていけば良いんだから。それに、俺は剣術を習得してるから、魔法剣士の道を目指す。誰かを試し斬り…………じゃなかった。練習をしていきたいんだ。」

 

「今、試し斬りって言おうとしたよね!?」ロンが驚く。

 

「さあ?気の所為じゃない?」すっとぼける。

 

 何せ、俺の極めた剣術は人を導く剣じゃないのさ。俺が極めたのは言うなれば、人を斬り殺す為の剣。無論、闇の陣営の関係者全員をね。だからこそだ。この刀と俺の相性は、扱い易さや人を導く剣に特化した銀翼刃よりも高いかも知れないんだ。

 

「まあ、普段の剣術の練習に関しては『洞爺湖』って木刀を使うから安心てしてくれ。仮に折れたり、先生の没収されても、通販でまた買えるしさ。」

 

 それを言った途端、聞いていたエリナ、ゼロ、グラント、ロン、ハー子、ジニー、フレッド、ジョージの顔が引き攣ったのは言うまでもない。

 

 皆泊まるという事で、泊まった。翌朝、エリナがこんな事を言ってた。ウィーズリー夫妻がシリウスはポッター兄妹を狙っているらしいと話していたのを聞いたと言ってきた。

 

 シリウスの事は、ウィーズリーおじさんとおばさんに言って良いんじゃないの?と、エリナは言って来たが、許可は出来ない。やはり、ロンのネズミが動物もどきだという事、正体がペティグリューの可能性が極めて高い事を話しておいた。本人も、納得した。しかも、今年は吸魂鬼が学校に配備される事も知った。

 

 よりによって、アイツらをかよ。仕方がない。守護霊の呪文と、場合によっては、もしもの時に備えての切札も使うしかなさそうだな。

 

 1時間後、魔法省が車を出してくれて、そのままキングズ・クロス駅へと出発した。去年の二の舞を踏まない為に、俺とエリナは最初にホグワーツ特急へと乗り込んだ。一際大きいコンパートメントを確保した。

 

 すぐ後に、ロン、ハー子、ゼロ、グラントも来た。更に追加で、ネビルとジニーも来た。8人で旅を楽しんだ。

 

 ウソ発見器で遊んでた。

 

「次ハー子な。気になる異性がいますか?」

 

「い、いいえ。」

 

 カタカタと揺れながらブイーッと言う音が鳴った。

 

「やっぱり好きな人いるんだ。」

 

 ガラッ!何だろう?ドアが開いたような音が聞こえたけど。気のせいかな。ドアの建て付けでも悪いんだろう。うん。

 

「おやおや、誰かと思えば!」マルフォイの声が聞こえるけど、幻聴だろう。

 

「次は俺だ!俺にやらしてくれ!」グラントは、大層ウソ発見器を気に入ったようだ。

 

「グラント。次はボクだよ!」エリナもやりたそうだ。

 

「フォイ!いや、おい!!僕を無視するな!!お前達!」

 

「ねえ。このコンパートメントって時々幽霊の叫び声が聞こえるって噂があるのよ。聞いた事ある?」

 

 ジニーが、怖い話でもするかのように皆に囁く様に言った。

 

「ポッター!ポッティーのイカレポンチと、ウィーズリー、ウィーゼルのコソコソいたちじゃないか!」

 

「どんな噂なんだい?」ネビルが恐る恐る聞く。

 

「ウィーズリー!君の家がやっと小金を手に入れたと聞いたよ!良かったじゃないか!母親がショックで死ななかったかい!?」

 

「うん。何か、フォイ、フォイ、って言って来るみたいよ。」

 

「もしかしたら、我らが親愛なるドラコの先祖かも知れないぞ?」

 

 ゼロがジニーに返した。

 

「ウケるぜ。案外そうかも知れねえな!」グラントが茶化す様に言った。

 

 皆大爆笑した。約数名は、吹き出す程度だったが。俺はノーコメントだ。笑いはしない。

 

「聞けよ!!というかお前達、失礼だぞ!」

 

 我に返った。いつの間にかマルフォイが捨て駒1と2を引き連れていたからだ。しかも、ご丁寧にオールバックをやめているではないか。

 

「で、何しに来たの?つーか、オールバックじゃないのかよ。アレ、結構親近感あったのにさぁ。」

 

 俺は、結構ドライな口調でマルフォイにそう言った。

 

「グヌヌ…………オフォン。ウィーズリー、君んとこの額縁眼鏡が主席になったそうじゃないか!賄賂でも送ったのか?」

 

「誰の事を言ってるんだろう?」ロンが皆に聞いた。

 

「パーシーは今、星型メガネが本体なのにね。」エリナが言った。

 

「フォしぃ!?」狼狽えるマルフォイ。

 

「さっきからうるせえぞ!フォイ!去年のクィディッチの一件で見直したかと思えば!」

 

 グラントがポキポキと骨を鳴らす。

 

「リドル。何だその頭は。差し詰めコッペパンか、カボチャだな。」

 

「「ゲラゲラゲラゲラ。」」

 

 マルフォイと捨て駒2人が笑っているでは無いか。

 

「あぁ!?テメエ、今何つった!?」グラントが怒った。

 

「聞こえなかったのかい?君の耳は節穴じゃないのか?もう1度言ってやろう。コッペパンか、カボチャ頭だって言ったんだよ。」

 

「この頭にケチつけるたぁ上等じゃねえか。」

 

「僕はもうカマセじゃない!クラッブ、ゴイル!やれ!!」

 

「ゴアー!」

 

「ウッホウッホ!!」

 

「ハア。このパターンか。いい加減、飽きてきたぜ。」

 

 5分後、3人はグラント1人にボコボコに叩きのめされたのだった。

 

「聞こえたぜ、フォイ。俺の、このヘアースタイルがサザエさんみてえだとな!この髪を侮辱する奴は、誰だろうが叩きのめす!!」

 

 何でそのネタ知ってるんだよ。つーか、この国でサザエさんやってたっけか?

 

「だ、誰もそんな事は……」

 

 その直後、マルフォイは頭を踏みつけられた。

 

「確かに聞こえたぞコラァ!!」

 

 これじゃ、どっちが悪役か分かんねえな。流石にマルフォイが可哀想になって来たし、ここでグラントを止めるか。

 

「クソォ!リドル!……!?」

 

 杖を抜こうとしたマルフォイの様子がおかしい。左の首筋を押さえつけている。何か激痛に襲われているようだった。

 

「グアアァ!!!…………またか!一々僕が魔法を使おうとすると、反応して!」

 

 俺は、一瞬だが見えた。マルフォイの首筋の痣を。まさか、アレなのか!?

 

「おい。お前まさか。その痣、リチャード・シモンズにやられたのか!?よりによって、あんなド変態のマッドサイエンティストに!!」

 

 皆固まっている。マルフォイは、何故それをという視線を俺に向けた。

 

「ふ、フン。ポッター、お前には関係ない。行くぞ、お前達。」

 

 マルフォイは、自分のコンパートメントに戻っていった。

 

 席に戻った俺とグラント。ハー子が戻って早々質問して来た。

 

「ハリー。私の言いたい事、分かるわよね?」

 

「さあな。知らん。勿体ぶらないで、言ってみたら?」

 

「リチャード・シモンズって誰なのよ!?」

 

 そう来るか。そもそも俺もそんなに知らないからな。

 

「そいつか。俺も良くは知らん。ただ…………」

 

 そう言いかけた時、急に電車が止まって電灯が消えた。そして、真っ暗になった。それと同時に、少し気温も下がったようだ。寒気が押し寄せて来た。

 

「一体これは?」ロンの声がした。

 

「この感じ。まさか!」ゼロが何かに気付く。

 

「吸魂鬼……か。守護霊使える奴いるか?」俺が皆に聞いた。

 

 皆首を振った。ゼロを除いて。

 

「ゼロ。俺は運転手の所に行く。ここで皆を守ってくれ。」

 

 俺は、守護霊を出しながらゼロに提案した。俺の守護霊は、メンフクロウのナイロックだ。最初はハヤブサだった。というのも財団を象徴する動物が、ハヤブサだからだ。

 

 それがナイロックを飼い、最終的に心が通じ合う様になってから守護霊に変化が生じたんだ。

 

「分かった。だが、無茶だけはするなよ。ハリー。」

 

 俺はコンパートメントを出た。運転手の所へ向かおうとすると、誰かがぶつかって来た。かなり小さい。恐らく入って来たばかりの1年生。その4人組だろう。

 

「君達。どうしたんだい?」

 

「あ、あれが。あれが、僕達に襲い掛かって来るんだ!」

 

 そのうちの1人が叫んだ。その直後、空気が冷たくなった。その先には、マントを着た、頭はすっぽりと頭巾に覆われた大きな影がそこにいた。

 

「吸魂鬼か。君達、下がってろ。守護霊よ来たれ(エクスペクト・パトローナム)!!」

 

 メンフクロウの守護霊を召喚する。吸魂鬼は、逃げ出した。列車の外に。チッ!あの呪文を使う機会が無くなったか、完全に。まあいい。人がいるから、かえって使わなくて正解かもな。

 

 俺は、4人組に持参してきたチョコレートを差し出して、食べさせた。4人は随分と持ち直した。お礼を言ってきた。そして、どこかへ行った。

 

 俺は、運転手の所まで行った。車内販売の魔女から、大量に蛙チョコレートを購入した。そして、チョコをコンパートメントが見える度に提供した。既に持っていた奴には、チョコレートを食べるようにアドバイスした。

 

 元々いたコンパートメントが最後尾なので、全て配った。そして、戻って来た。

 

「ただいま。」

 

 やはりここにも吸魂鬼が来ていたのか。エリナが一番酷いらしく、ゼロがいなければ今頃どうなっていたかと思うとゾッとした俺だった。そのエリナもある程度持ち直してた。

 

「助かったよ、ゼロ。エリナを助けてくれてサンキューな。」

 

「礼には及ばないぜ。ルーピンって先生が駆けつけてくれた。すぐにフクロウを飛ばしたよ。今の状況を伝えている。そしてさっき、兄さんがエリナにチョコを食わしてた。」

 

 また列車が動き出した。ようやく、ホグズミード駅に汽車が到着した。懐かしい声も聞こえた。

 

「イッチ年生はこっちだ!」

 

 さっきの4人組も、ハグリッドの下へ行っている。もうすっかり元気なようだった。

 

 2年生以降は、馬車で行く事になっている。去年は、あの件でそれどころじゃなかったんだよなぁ。俺が馬車に乗ろうとする。しかし、ゼロが立ち止まってた。

 

「ゼロ?早く行こうぜ。」

 

「皆には見えないのか。あそこに馬がいるんだよ。」

 

 皆首を傾げている。でも、ゼロが嘘を言ってるようには見えない。

 

「あれはね。セストラルって言う生き物だよ。」

 

 声がした。ゼロを大きくしたような外見の男性がいた。

 

「フィールド先生!」

 

「死を見た事のある人間にしか聞こえないんだ。」

 

「それじゃ、誰の死を見たんですか?」ロンが聞いた。

 

 俺は、ロンを小突いた。

 

「何すんだよハリー!」

 

「デリカシーの無い奴め。間違ってもそんな事を聞くもんじゃないだろうが!」

 

 でもフィールド先生は落ち着いた表情で答えた。

 

「ゼロの母だよ。あまり本人の前では言いたくないけどね。後がつっかえるから、皆乗ろうか。」

 

 馬車に乗った。それで、城へ向かった。学校に入ると、誰かに呼び止められた。

 

「ミスター・ポッター!ミス・ポッター!ミス・グレンジャー!ミスター・フィールド!4人共、私の所へおいでなさい!!」

 

 マクゴナガル先生の声だ。エリナは、また自分が何かしたんじゃないかって顔をしてる。俺達4人は、ネビル、ジニー、ロン、グラントと一旦別れた。事務室に案内された。

 

「ミス・ポッター。大丈夫ですか?ルーピン先生からふくろう便を受け取りました。吸魂鬼の影響で、気分が悪くなったそうですね?」

 

「はい、大丈夫です。ゼロとフィールド先生とルーピン先生がいてくれましたので。」

 

「そういう事にしておきましょう。ミスター・ポッターに、ミスター・フィールド。2人とも、列車での対応は見事でした。」

 

「別に大した事はしてません。」ゼロがきっぱりと言った。

 

「毎度の食事にチョコを用意したらいかがでしょうか?吸魂鬼がいるから、効果はかなり高いと思いますが。」

 

 ダメ元で提案してみようか。要求なんて通る確率は低いけど。

 

「分かりました、私の方から厨房に言っておきましょう。それにしてもこの齢で、守護霊を使うとは素晴らしいです。よって、2人にそれぞれ20点ずつあげましょう。それとミスター・ポッターには、後でチョコレート購入に掛かったお金を渡しておきます。」

 

 点数貰った。それだけの為に、ここに連れて来たのか?

 

「グレンジャーとの話が終わったら、すぐに大広間へ向かいます。3人共、外で待つように。」

 

 数分後、2人が出て来た。袋を手渡された。ハー子は、嬉しそうな顔をしている。大広間に戻った。

 

「あー。組み分けを逃しちゃった!」ハー子が小声で言った。

 

 とりあえず、席に座った。着席し終えると、ダンブルドアが話し始めた。

 

「新学期おめでとう!皆にいくつかお知らせがある。1つはとても深刻な問題じゃから、ご馳走でボーッとなる前に片付けてしまおうかの。」

 

 咳払いしてから、言葉を続けた。

 

「ホグワーツ特急での捜査があったから、皆も知っての通り、現在わが校ではアズカバンの吸魂鬼を受け入れておる。魔法省の要請でのぉ……警備と護衛の為にとの事じゃ。」

 

「何か含みのある言い方ね。」ハー子が俺とロンだけに分かりやすく言った。

 

「ジジイは、()()()()が好きじゃないんだよ。」

 

 俺が返した。ハー子は、ダンブルドアをジジイ呼ばわりした俺に怒りの表情をぶつけている。

 

「吸魂鬼達は、学校への入り口という入り口を塞いでおる。誰も許可なしで学校を離れてはならんぞ。変装や悪戯に引っ掛かるような輩ではない――『透明マント』でさえ無駄じゃ。」

 

 ダンブルドアがさらりと言葉を付け加えた。

 

「言い訳や説得が通じる相手ではない。極力関わらない事じゃ。連中が皆に危害を加える口実を与えてはならんぞ。各寮の先生方、監督生、そして首席の諸君。誰一人として連中といざこざを起こす事の無いよう頼みましたぞ。」

 

 パーシーが胸を張っている。自分がいる内は、そんな事はさせないと言ってた。尤も、フレッドとジョージ、ジニーからフォシ、もとい星型メガネを酷評されて、凹んでしまったが。

 

「楽しい話に移ろうかの。今年は新しい先生を2人、お迎えする事となったのじゃ。まず初めに、『闇の魔術に対する防衛術』を担当してくださるルーピン先生。」

 

「皆、よろしく。」

 

 ルーピン先生が、そう言った。あまり気の無い拍手が起こった。俺だけでも、大きな拍手を送っておくか。ふとスネイプを見た。あいつ、いつも俺に向ける同じ視線を送ってやがる。

 

「次は、長年『魔法生物飼育学』を担当してくださったケトルバーン先生の後任として、ルビウス・ハグリッドが、森番に加えて兼任してくださる事になった。」

 

 スリザリン以外の寮から割れんばかりの拍手が起こった。スリザリンで拍手してるのは、グラント辺りだけだった。

 

 俺は拍手しつつも、何か複雑な気分だった。絶対に怪物を取り扱うに決まってやがる。ドラゴンに、アクロマンチュラが良い例だ。確かに知識はあるかも知れないけど、教師としての適性があるかどうかは、また違ってくるのだ。

 

 そんな事を思っている内に、宴になった。思いっ切りかっ込んだ。それで、寝る時間になった。急いで談話室に戻った。そして、ベッドに潜り込んだ。ここは、落ち着くな。そう思いながら、夢の世界へと旅立った。

 




銀翼刃
ハリーが10歳の頃から持っていた、鳥の翼を模した光沢のかかった銀色の剣。魔法攻撃上昇の能力を持つ。邪神の碧炎、零界の翠氷、天魔の金雷をそれぞれ纏わせる事で専用技を発動させることが出来る。

以下に、銀翼刃による技を記載。名前は、エストポリス伝記シリーズの魔法の名前を使用している。

フ・レイア
銀翼刃に邪神の碧炎を纏わせる事で、超高熱の碧い空気弾を前方の敵目掛けて発射する。

リ・デルト
零界の翠氷を纏わせる。足元から、全16方向に拡散する非常に鋭い氷刃を召喚し、相手を攻撃する。敵への追尾能力も強化されている。

レ・ギオン
天魔の金雷を纏わせる事で発動。剣の先端から大放電と共に金色の電球を発生させる。

凶嵐
妖刀と言われており、実際禍々しい気を解き放っている。所有者は皆、非業の死を遂げている様だが、ハリーは自身の持つ運で手懐ける事に成功。戦闘に役立つ特殊能力は一切無いが、その代わり血中の鉄分を吸収する事で切れ味を回復出来る力を持つ。
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