この理不尽な世界をのらくらと   作:焼き鯖

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はいどうも。大学のテストが終わってヒャッハーな焼き鯖です。

しがない小説家の方を更新すると言ったな。あれは嘘だ。

いやーこれ思ったよりも書いてて楽しいんですよね。勿論小説家の方も楽しいですが、しばらくはこちらの方が楽しいと感じることが多くなりそうです。

さて、今回は主人公と文ちゃんの邂逅です。今回も駄文駄作ですが、楽しんで頂ければ幸いです。


彼女は、このシュールな出会いに驚きを隠せないようである

「うわぁ……これは酷いものですねぇ……」

 

 

 

 部屋の惨劇を見ながら、私は一人そう呟く。山の中継場から異臭がするとの報告を受けて来たけど、これ程までとは思っても見なかった。驚きで、この射命丸文の決め台詞、「あやややや」が出せなかった程に、だ。

 早速死体を見聞すると、背中と腕に一輪の大きな椿の刺青。間違いない。これは密輸業を生業とする、椿鬼組の構成員の一人だ。最近は妖怪の山の特産物も取り扱っていたはず。恐らく、夜のうちにこの部屋に入り、潜んでいた何者かと交戦した結果、全滅という憂き目に合わされたと見ていい。

 だけど、一体誰が彼らを始末したのでしょう?中にある死体の数は、少なく見積もっても百人前後はいるはず。この数を一人で相手取るには、相当の使い手でも至難の技だ。状況にもよるが、真っ向からの直接戦闘の場合、熟練の技を使う達人よりそこそこ戦えるゴロツキ百人の方が、戦力の点から見て圧倒的に有利な事が多いからである。それに、この部屋には隠れる場所がない。闇に紛れての奇襲戦法なら勝機はあるが、こんなだだっ広いだけで精々奥の押入れしか隠れ場所のないこの部屋で、奇襲戦法なんか出来るわけがない。尚更正面切っての戦闘になる可能性が高い。

 窓ガラスが割れていることから、外側からならあるいはとも思ったが、死体の中には手裏剣が刺さっているものもあれば、刀で斬られたものもある。割れた形状からしてこれは弓矢によるもの。いや、狙撃手がいるなら話は別かしら……?

 

 

 

「ちょっと文さん、処理の邪魔するなら出て行って下さいよ」

 

 

 

 あやや。考え事をしていたら椛に叱られてしまいました。本来この仕事は哨戒天狗の役割ですが、ネタになりそうな匂いを嗅ぎつけた私が、椛に無理を言って同行させて貰ったのです。

 

 

 

「あはは、申し訳ございません。すぐに私も手伝いますので、そんなに怒らないで下さいよ」

 

 

 

「全くもう……」

 

 

 

 振り返って謝ると、椛は呆れた顔をしながらも許してくれました。いやぁ、持つべきものはやはり有能な部下ですねぇ。

 

 

 

「ねぇ、椛。一体誰がこの人数を始末したのでしょう?分かりますか?」

 

 

 

 体を真っ二つに斬られた死体を片付けながら、私はこう問いかける。椛は難しそうに「うーん」と唸りながら、私にこう返した。

 

 

 

「分かりません。単独犯にしては手口が鮮やか過ぎるし、この人数を一人で相手取るのは中級の妖怪でもかなりの骨が折れます。二人組だったとしても、中と外で分けるなんて非効率な事、私はやりません。二人組なら、素直に中で白兵戦をやった方が殲滅できる可能性も高いのに」

 

 

 

「そうですよねぇ。私も同じ事を考えていたんですが……」

 

 

 

「ですが、こんな話があります」

 

 

 

 おぉ、なんでしょう。俄然興味が湧いてきました。

 一旦作業の手を止めて、椛の方に向き直る。この時ばかりは、椛はため息一つつかなかった。

 

 

 

「私も人伝でしか聞いた事がありませんが、この妖怪の山には、それはそれは優秀な始末屋がいるらしいんです」

 

 

 

「始末屋?」

 

 

 

「はい。そいつは忍者や騎兵、果ては大柄な武士を引き連れていて、それらを手足のように動かしては、密輸業者やヤクザ者、ルール違反者を影で殺してきていると言われています。ある人は、始末屋自身の戦闘力も高く、その戦い方は風のようだと語っていました」

 

 

 

 成る程。この噂が正しいとしたら、大体の疑問に納得がいく。

 二人ではなく、四、五人でこの部屋に待ち伏せていれば、容易かつ確実に相手取れる。忍者や武士等の戦闘や暗殺のプロフェッショナルがいるのなら、尚の事簡単に始末が可能だ。弓での狙撃にしても、両側から挟み撃ちにすれば集中砲火でなす術がない。

 だが、ここでまた一つ、新たな謎が生まれる。人間や妖怪であれば、歩いた時必ず地面に足跡がつく。複数人いるのとすれば、その足跡は無数に残る。なのに、地面についている足跡は、私が見た限りだと一つしかない。空を飛べば足跡はつかないけど、この中継場は周りが木に囲まれていて、飛ぼうとするなら木の枝や葉っぱが必ず落ちるはずなんですよねぇ……

 

 

 

「文さん? 考えるのなら後にしてください」

 

 

 

 折角頭がフル回転してきたところなのに、椛の声にまた邪魔された。

 

 

 

「いーじゃないですか。ちょっとくらい思考の海に浸らせてくれても」

 

 

 

 口を尖らせながらそう言うと、椛は呆れた顔をしながらため息をついた。

 

 

 

「こっちは人手は十分なんです。はっきり言って手伝ってない文さんは邪魔なんですよ。なんだったら、仕事もしない管轄外の烏天狗は、部隊長に報告して即刻放り出してしまっても構わないですよ?」

 

 

 

 全く、椛は少し固すぎます。もっと柔軟な頭で対応してほしいものですね。

 

 

 

「はいはい分かりましたよ。頭のお固い白狼天狗の椛ちゃんにまた怒られるのは、私も嫌ですからねぇ」

 

 

 

 少しだけ嫌味ったらしく言って、また私は作業に戻る。悔しそうに尻尾を振る椛を見て、ちょっとだけ胸がスッとしたのはここだけの話だ。

 しかし……始末屋、ですか。

 椛の話がもし本当なら、これは大スクープのチャンス。最近の幻想郷は平和ボケしていてこれと言ったネタがなかったですし、ここで一気に購読者数を増やして発刊部数トップの座に駆け上がる事も夢ではない。

 だけど、ここまでの情報だけではあくまでも噂程度で止まってしまう。本人に直接会えればいいんですが、恐らく話が一人歩きし過ぎて半分伝説じみた感じになっている。この分ではギャップが大き過ぎて読者をがっかりさせてしまうかもしれない。そもそも噂が否定されてしまったら、この話自体がおじゃんだ。どこから切り込んで行けばいいものか……

 

 

 

「……ん?」

 

 

 

 首が切断された死体を置き、次の死体を運び込むために戻ろうとした時、履いていた下駄に何かが当たった。小石か何かかと思ったが、それにしては細長いし、妙な形をしている。

 拾ってみると、吸い込まれそうな程に黒い……置物? でしょうか。その割には小さいですし、頭みたいな部分は、何処と無く西洋の神官が被ってそうな帽子みたいで、何かのゲームかで使いそうな感じがします。

 確か、何時ぞやのレミリアさんの取材の時にその名前を聞いた気がしますね。なんて言いましたっけ……そうだ。ビショップだ。チェスの駒の一つで、将棋の角行よろしく斜めにしか動けない。

 この時のレミリアさんは、紅魔館の人達全員をチェスの駒に見立てていました。自分はキングで、咲夜さんがナイト。ビショップはパチュリーさんで、美鈴さんがルーク。小悪魔さんがポーンでフランさんがクイーン。なんともまあ吸血鬼らしい洒落た答えでした。

 と言うことは、これは紅魔館の人達の仕業……? いや、高貴な吸血鬼を自称するレミリアさんが、こんな小童共を相手にする筈がない。何より使われてる武器が違う。しかし、あの人は気まぐれだから、戯れにこんな事をしても可笑しくはない。だけど、だからと言ってこんな慣れない武器で戦おうとするかしら……?

 そこでふと顔を上げると、足跡の一つが山頂に向かって伸びていることが分かった。確か山頂を通る道の途中には……。

 

 

 

「……椛、死体はこれで全部ですか?」

 

 

 

 私は、丁度死体を運んできた椛に声をかけた。

 

 

 

「はい。後は燃やして部隊長に報告すれば完了--」

 

 

 

「すみません。私、急用を思い出しました」

 

 

 

 言うが早いか、私は隠していた黒い翼を広げて空に飛び立った。

 

 

 

「ちょっと! 後始末はどうするんですか!」

 

 

 

「貴方達でやっておいて下さ〜い!」

 

 

 

 まだ下で椛が騒いでいるが、そんな事を気にしている場合ではない。

 椿鬼組は密輸を主としていた。であれば妖怪の山に来る理由は一つ。三日月草を取りに来たのだろう。死体は恐らく山の上にもある。だとすると、もっと確実な情報が得られる何かがある筈だ。多分、この後死体の処理が行われると思うし、証拠が消える前に情報を得なければ。

 私は、少しだけ飛ぶスピードを速めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 三日月草が咲く場所に行って、良い事と悪い事と、判断がつかない微妙な事の三つと出くわした。

 良い事は、私の予想通り大量の死体が転がっていた事。中でも椿鬼組の頭目である華山椿が惨い死に方をしていたのはありがたかった。もし始末屋の方が空振りになったとしても、この死に様を見出しにすれば、噂の存在と絡めて購読者の興味を一気に煽ることができる。

 悪い事は、始末屋に関する情報を殆ど得られなかった事。死体を検分してみても、手裏剣や弓が刺さっていない事や、喉を斬られて死んでいるものもある事を除いて有力な情報は無いに等しいと言っていい。確かに、その始末屋が忍者なんかを使っている事の裏付けにはなったが、だからと言って始末屋の存在を確証する手立てにはならない。期待していただけにこれはショックだった。

 そして判断がつかない微妙な事というのが……

 

 

 

「スゥー……スゥー……」

 

 

 

 華山椿の死体の前にある石の上で寝ている、一人の男の存在だった。

 この男、私がここに来た当初からずっと眠りこけている。昨日の夜から寝ているのか、白と黒の市松模様の着物には木の葉が散っており、顔の上には雀が止まっている。幻覚かそのうち起きるだろうと思い、最初は無視し続けていた私だが、全ての死体を調べ終えてもまだ寝ている事に気付いた時には思わず変な顔をしてしまった。ていうか、幻覚なら寝息なんて聞こえる筈がないですもんね。

 確かに、ここは昼寝したりピクニックするには絶好のスポット。いい感じに木陰も多く、見晴らしもそこそこいい。だけど、今はそこら中に死体が散らばる酸鼻極まりない殺人現場。そんな状況の中、ここまで安心して昼寝する人は幻想郷のどこを取材してもいない……いや、実際にここにいるわけだからいないと言い切るのは時期尚早でしたけど。

 

 

 

「……うー……ん……」

 

 

 

 おおっと、どうやらその男が起きたようですね。ゆっくりと体を起こし、寝ぼけ眼で此方を見ています。

 

 

 

「あややー、起きましたか。おはようございます」

 

 

 

 先ずは挨拶をしておきましょう。どんなにこの人が頭のおかしな人でも第一印象は大事ですからね。

 

 

 

「お加減は大丈夫ですか?何分こんな場所で寝ていましたからねぇ。夢見は最悪だったと思うんですが……」

 

 

 

「…………」

 

 

 

「それより、なんでこんなところで寝ているんですか?見ての通りここは凄惨な殺人現場ですよ?こんなところで寝るなんて酔狂な方、幻想郷でも貴方くらいだと思うんですけど……」

 

 

 

「…………」

 

 

 

「あのー……もしもし?」

 

 

 

「…………」

 

 

 

 どうしたのでしょう? 先程から私の声など気にも止めず、周りを見回したり着物の懐を弄ったりしている。何かを探しているようにも見えますが、何処と無く私を無視しているようにも見える。これがもし後者の方だったらただじゃおきませんが……

 

 

 

「…………はぁぁぁ〜…………」

 

 

 

 な、なんですか!? 急に大きな溜息をついて! あまりに突然の事だったんだ思わずびくってなっちゃいましたよ!

 しかし、これで怯んではいけない。何があったか聞き出さなければ!

 

 

 

「……ど、どうしたんですか?」

 

 

 

 恐る恐る尋ねてみると、男の方は暗いテンションのまま答えた。

 

 

 

「…………だよ」

 

 

 

「はい?」

 

 

 

「チェスの駒がないんだよぉ〜……」

 

 

 

 え? チェスの駒? 一体どう言う事でしょうか?

 

 

 

「昨日、仕事の後始末が終わった後、駒入れてる袋確認したら、何故か一つだけ駒がないんだ。多分片付けてる時に何処かに落としたんだと思うんだが……」

 

 

 

 ふむ。どうやらこの人は本当に探し物をしていただけのようですね。私の存在を無視していないだけ良かった良かった……って、チェスの駒? それってもしかして……

 

 

 

「あのー、そのなくした駒って言うのは、一体なんでしょうか?」

 

 

 

「え? 黒いビショップって駒だけど……」

 

 

 

「それって、もしかしてこれではありませんか?」

 

 

 

 そこで先程拾ったものを見せてみると、先程のテンションとは打って変わって、凄い嬉しそうな顔になった。

 

 

 

「え!? 嘘ォ! あんた、これ一体どこで見つけてきたんだ!?」

 

 

 

「いや、麓の中継場に落ちてましたよ?」

 

 

 

「よかった〜。この前香霖堂で入荷してもらったばっかりでさ、なくしたら一週間は待たなきゃいけないんだ。ありがとう! 本当に助かったよ!」

 

 

 

 な、なんでしょうこの人。チェスの駒一つでどうしてここまで一喜一憂出来るのでしょうか? ていうか、仕事? 仕事って一体なんですか。農民でもここまで耕しに来るほど阿呆な人はいないですよ。仮にここに住む妖怪だったとしても、ここを耕すのは禁止のはず。服装からしても、農耕を働き口にしているのではなさそうですし、この人は何者なのでしょう? 妖力は感じますが特に危険な匂いはしないですし、人間だと言われればそのまま信じてしまいそうです。

 

 

 

「あ、しまった。自己紹介をしてなかったな。俺は沼田駒次郎。妖怪の山に住んでる者だ。よろしく」

 

 

 

「あ……あぁ。えっと……私は射命丸文と申します。文々。新聞(ぶんぶんまるしんぶん)を作っている天狗です」

 

 

 

 って、しまった! 相手のペースに乗せられるあまり、ついうっかり普通の挨拶をしてしまったじゃないですか! ぐぬぬ……この射命丸、一生の不覚です……

 

 

 

「射命丸……あぁ、たまに妖怪の山に捨てられてるあの新聞書いてる人なのか。中身もそこそこ面白いし、発刊者とこんなところで会うなんて光栄だよ」

 

 

 

 あや? この人、私の新聞を読んでいるのですか。なんか、真正面から読んでるとか、面白いとか言われるのは初めてですからちょっと恥ずかしいですね……ん?なんか、今スルーしてはならない事を聞いた気がしますが……まぁ、気分がいいので気にしない事にしましょう。

 ……って、そうそう。いい気分になって一番気になっていた事を聞きそびれるところでした。

 

 

 

「ところで……沼田さん」

 

 

 

「んー、駒次郎でいいよ。沼田って苗字、呼びづらい気がするし」

 

 

 

「では、駒次郎さん。どうして貴方はこんなところで寝ていたのですか? ここ、今は殺人現場になっていて、とても眠れるような状況ではないのですが」

 

 

 

「あぁ、あの時は駒探しで必死だったから、寝床なんて考えてなかったんだ。あそこの石が寝床に丁度よくて……あっ」

 

 

 

 そこで駒次郎さんが、何かに気付いたような顔をした後、恐る恐ると言った感じで私に尋ねてきた。

 

 

 

「なぁ、射命丸。今何時だ?」

 

 

 

「へ? えっと……私が中継場に来たのが八時半でしたから、結構経ってると思います。日の高さ的に十時くらいじゃないですかね」

 

 

 

 そう答えると、駒次郎さんは「しまった」と言った感じで頭を抱えた。

 

 

 

「まずい! 仕事の報告をすっかり忘れてた! 早く行かないとあの人にどやされる! ああでも、この格好のまま行ったら何言われるか……」

 

 

 

 どうやら、駒次郎さんの上司というのは相当怖い人らしい。いつの間にか、彼独特のマイペースな雰囲気が消え失せ、あたふたと慌てふためく駒次郎さんの姿がそこにあった。

 ふむ、私をここまで翻弄した駒次郎さんが怖がる上司は一体どんな人なのでしょう。ちょっと見たくなってきましたね……そうだ。

 

 

 

「あの……よろしければ、その報告者さんの所まで送って行きますけど」

 

 

 

「え!? いいのか!?」

 

 

 

 おお、食いつきが早いですねぇ。余程焦っているのでしょうか。

 

 

 

「はい。ですが、条件が一つあります」

 

 

 

「条件?」

 

 

 

「その上司さんに会わせて下さい。貴方がここまで怖がるので、少し興味が湧いて来ました」

 

 

 

 勿論、始末屋の存在を忘れているわけではない。ここに必要な情報がなかった以上、長居しても意味はないし、何より駒次郎さんとその上司という人にも取材すれば、始末屋に関する情報や得られるかもしれない。もし始末屋の噂を知らないとしても、明日の見出しは暫定的に華山椿の死亡記事。どちらに転んでも美味しい展開ですし、ここは少し情報収集の範囲を広げましょう。

 

 

 

「え? 上司に? ……うーん……」

 

 

 

 おや、先程の食いつきぶりから打って変わって今度は考え始めましたね。「あの人もそうだけど……」とか、「今まで秘密にしてたし……」とかぶつぶつ独り言まで言い出す始末。これは何か裏がありそうですね。少しカマをかけて見ますか。

 

 

 

「嫌ならいいんですよ。駒次郎さんが遅れても私は何も困りませんからねぇ。それでは、私は先を急ぐので、これにて失礼します」

 

 

 

「いや、ちょっと待ってくれ! それは困る! 理不尽だろ!」

 

 

 

「なら早く決めて下さいよ。私も暇ではないんですから」

 

 

 

 こうしておけば、後は向こうの方から勝手に食いついてくれる。駒次郎さんも例外ではなく、散々唸って悩んだ挙句、「分かった! それでいい!」と了承してくれました。私の作戦勝ちですね。

 

 

 

「話が早くて助かります。それで、その場所というのは一体どちらなんでしょうか?」

 

 

 

「あ、あぁ。三尺坊まで頼む」

 

 

 

「え? 三尺坊……ですか?」

 

 

 

 驚いて、つい怪訝そうに駒次郎さんをまじまじと見る。

 どうしてその場所を知っているのだろう。確かに彼は妖怪だが、あの区画に行く資格を備えているとは到底思えないし、その上司もそんな力を持っているとは考えられない。

 

 

 

「ん? どうした? まさか場所が分からないとか? あそこは()()()()()()()()()()()()()()()って聞いてたから、射命丸もそうかなって思ったんだけど違うのか?」

 

 

 

「いえ、そんなわけでは……」

 

 

 

「それなら頼んでいいかな?」

 

 

 

「は、はい……分かりました……」

 

 

 

 つい了承してしまいましたが……本当に彼は何者でしょう?天狗しか知らない区画を知っているのは、妖怪の山でもごく限られた妖怪しか知らないはず。なのに駒次郎さんはそれを知っていた。

 もしかして彼は……いえ、ありもしない事を考えるのはやめにしましょう。それをしても詮無き事。真実を伝える新聞記者が、憶測で物事を考えるのはナンセンスにも程がある。

 

 

 

「それでは、私の手に捕まって下さい」

 

 

 

 取り敢えず、駒次郎さんを三尺坊まで送りましょうか。私は彼の手を取り、三尺坊に向かって大空に飛び立った。

 

 

 




次回は今度こそ小説家の方を更新します。次回はそうですね。駒次郎の上司との邂逅ですね。どんな天狗なんでしょうか。

それでは次回まで、またお会いしましょう。
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