短くてせつない話しです。
長門が戦艦水鬼になっても提督の事を愛してるとかそういう話です。

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短いです


貴方に嫌われようと、私は貴方を愛してる

 

 

熱い、熱い、熱い。

 

胸の内を焼き焦がされるように、体の中が熱い。

 

体からは赤い血が溢れ出し、真っ白い肌を染めていく。

 

もはや私一人になってしまったか。

 

まあ、それも当然だろう。

 

私は人類から忌み嫌われる深海棲艦。

 

こういう事になるのは、当然の報いであろう。

 

 

 

 

 

私、戦艦長門、いや、元長門は今、戦艦水鬼?とやらに成ってしまっている。

 

 

どうしてこうなったのかはわからないし、一生わかる事もないのだろう。

 

事の始まりは、きっとあの日沈んだ事にあるのだろう。

 

敵の攻撃から仲間を庇う為に、私は体を張って受け止めた。

 

艤装は吹き飛ぶ、肉を抉られる、骨は折れるでとても痛かったと記憶している。

 

もはや航行能力の失われた私では、離脱は不可能。

 

ならば、残った力で仲間を逃がすという手段を取り、それを強制させて逃がした、というのが私が轟沈した(死んだ)時の直前の記憶だ。

 

陸奥には悪い事をしたな。あれほど悔しそうな表情は見た事が無かったか。

 

いや、もっと悪い事をしてしまったのは、私の提督にだろうか。

 

誰よりも仲間思いで、誰かが傷つく事をよしとしない、優しい提督だった。

 

そんな彼が、まさか私に好意を寄せていたなんて誰が思ったか。

 

私の方も事情も考えず、いきなり好きだ、と叫んでくれた時は、思わず狼狽してしまった。

 

ま、まあ、私も、彼には好意を持っていた訳であり、だが叶わない恋だと思って半ば諦めかけていたのだが。

 

そんな私の想いを見事に裏切ってくれたな。あの道化師め。

 

と、まあ、そういう事だ。

 

私は彼一人を残して、死んでしまった。

 

ケッコン指輪を渡され、戦いが終われば本当に結婚しよう、ていう約束を、見事に破ってしまった訳だ。

 

身勝手だろう?

 

どれもこれも、私が弱いからこうなったのだろう。

 

ただ、沈んで目覚めたら深海棲艦になっていたなんて思いも寄らなかったが。

 

それも鬼か姫級の素体になっていて、私の知る限り、知らない姿だった。

 

ただ、もっと予想外だったのは、奴らの反応だったか。

 

何故記憶ガ残ッテイル、だとか、殺セ、だとかで、いきなり砲撃されて、逃げるのに必死だった。

 

そして、こんな姿だからかつての仲間にも追い回され、それはもう散々だった。

 

ただひたすらに孤独を感じ続けた。

 

時間の流れも忘れ、ただ海の上を彷徨う亡霊と化しそうだった。

 

そんな私を、私のままでいさせてくれたのは、この姿になっても左手の薬指に収まった指輪の送り主のお陰だろう。

 

だから私は、どんなに苦しくても生きていられた。私でいられた。

 

また、あの人に会える事を願っていた。

 

 

 

 

 

だけど、次に会った時の彼は変わってしまっていた。

 

その眼は、かつてのやさしさは無く、ただただ対象に憎悪をぶつけるだけの復讐鬼へと成り果てていた。

 

仲間たちもそうだった。

 

特に、私と関わりの深い者たちの目は、他の者たちとは比べものにならなかった。

 

 

 

これは罰なのだろうか?

 

ただ一人浮かれていた罰なのだろうか。

 

それとも、ただ運命の気まぐれか。

 

それなら運が相当悪いな、私は。

 

ただ、まあ、今、その愛しき人に殺されかけている所だ。

 

艤装でもなければ私を沈める事はできないのだが・・・ここは()だ。

 

ついでにいって艤装は完全破壊、右腕は吹き飛んでるし、何より動ける状態ではないな。

 

何他人事のように言っているんだ、て?

 

そうだな。どうやら、あまりの事に感覚が麻痺しているみたいだな。

 

実際、提督に、何度も・・・・・腹を刺されているのだからな。

 

 

 

「お前たちさえ・・・・お前たちさえ・・・・・お前たちさえいなければぁぁぁああああああ!!!」

 

 

私は、この人を変えてしまった元凶。

 

その報いは受けなければならない。

 

腹の痛みはとうに引き、意識も遠のいてきた。

 

もう、助かる事は無いのだろう。

 

終わる事のない彼の怒りを、私は受け止めきれるだろうか?

 

いや、受け止めて見せる。

 

せめて、私の死で、元の貴方に戻ってほしい。

 

私の死が、貴方の憎しみを取り除ければいい。

 

今の私には、これぐらいの事しかないのだ。

 

だから、だから、私は・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「アナタヲ愛シテル」

 

 

 

 

 

 

 

 


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