200文字強の掌編。セミの鳴き声でもBGMにしながら読んでください。
1 / 1
とあるダッツの死
とある夏の暑い日。両儀式は自室のベッドに転がりながらハーゲンダッツを食べていた。
そんな折、何を考えるでもなくアイスの表面を見ると、死の線が浮かんでいることに気づく。
式はなるほど、ハーゲンダッツは生きているのだと考えた。生きているならハーゲンダッツだって殺してみせるぜ。内心でそう嘯きながら浮かんだ線をスプーンでなぞると、するりと何の抵抗もなく突き刺さった。
当たり前である。ただのアイスなのだから。どこか残念に思う気持ちと共に、掬われたアイスを口に運ぶ。
味が死んでいた。